てんこうぐらし!~SCHOOL LIVE! IF STORY~   作:委員長@バカ犬

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更新が遅くなり、すみませんでした!(>_<。)

お詫びにこちらをどうぞ!

【挿絵表示】


今回はトレスです。トレス元は艦これのRJさんです。結構共通点があることに気付いてトレスしちゃいました。


それでは、本編をどうぞ!


第3話「すれちがい」

涙はいつの間にか流れなくなっていた。まるで体中から水分が抜けきったような気分だ。

 

大きく深呼吸をしてから、横たわる水奈の亡骸をお姫様抱っこの形で抱きかかえた。

人間は死んだ際に少しだけ軽くなるらしい。魂が抜けたからという説も存在するらしいが……やはり、水奈の体も軽くなっていた。

肌に触れると、冷たい。

 

そして、亡骸を草むらに仰向けの形で降ろし、両手を胸の上に乗せ、顔にタオルを被せる。

その前で正座し、鞄から数珠を取り出し、両手で合わせて持つ。とても手慣れた動きだった。

 

それもそのはず、弥涼の祖父が寺の住職をしており、弥涼に継がせるつもりだったのか僧侶としての作法は物心つく前から叩き込まれていたのだ。

そんな祖父も、五年前に他界している。今となっては、こんなことに巻き込まれないで済んだと思ってしまう。こんなことを考えるのは不謹慎だとわかってるのに。

 

「…………………」

 

般若心経は空で覚えている。目を閉じ、小声で数珠を合わせたまま読経を行う。長々と読むが、あいつらは奇跡的に現れなかった。

 

「………………般若心経。」

 

深く呼吸した後、最後の言葉を告げる。そして、鞄を肩にかけるとゆっくりと立ち上がった。

 

「……ほな、ウチは行くで……水奈」

 

そう言って水奈に背を向け、歩き出した。

何時までも泣いていられない。死ぬのは……怖かった。

だから、生きる。死んでいった母や、友達のためにも。そして、出来るだけ奴らを葬り、弔ってやらなきゃいけない。

決意を固め、木刀を強く握りしめる。

 

 

 

 

 

あれから何日経ったのだろう。もう覚えていない。

巡ヶ丘は、もはや死人の楽園と化していた。

 

異変が起きた初日は何人か生存者を見かけたが、みんなパニックを起こしていた。弥涼が声をかけても見向きもせず、宛もないだろうにどこかへと走り去っていく。

 

二日目から、誰も生きている者と会ったことがなかった。

 

こんなに早く、あっさりと……みんな死んでしまったのか……そう思う。

そんなわけがない。どこかに隠れて生き残ってる人だっているはずだ。自分以外みんな死んでしまったなんて、信じられない。

 

そう考えながら、あいつらを木刀で始末し、遺体の前で読経する。もう何回目か、数えるのはやめた。

 

 

 

キリがなかった。一体どれだけあいつらはいるのか……。

祖父から聞いた話だが、約五十年前に人口半減が起きた(男土の夜という)らしいが、今ではその事件が起きた時よりも人口は増えたのだという。

つまりは……あいつらはそれだけいるということになる。

 

それだけの数を1人で倒せるわけがない。

やはり……無理なのか、そう思った時だった。

 

 

 

タイヤがコンクリートを擦る音、即ち……車が通り過ぎる音がした。

その時弥涼はコンビニで保存のきく食料を集めていた。

 

「……っ!車っ!?」

 

咄嗟にコンビニから出る。

既に車は通り過ぎていた。車体の色は……赤、ナンバーは小さくなり、もう見えない。

後部座席に人影が一つ見えた。

運転者と合わせて、少なくとも2人は乗っていたのではないだろうか。

 

「……まだ、生きてる人が……おるんや!!」

 

一緒に連れて行ってもらえなかったことを悔やんだりはしなかった。

何よりも嬉しかったからだ。

1人じゃない。生きてる人はいたんだ。

それが、嬉しくてたまらなかった。

 

久しぶりに、涙がこぼれた。




人間は独りで生きるのは辛いものです。
僕は今は家族と離れ、一人暮らしをしています。
好きなことを好きなだけできますが、なんというか…寂しいです。
おもむろにテレビをつけるとなんだか安心します。

弥涼は今、そんなことすらできないわけです。
やはり、嬉しいことですよね。1人じゃないって気付くと。




次回も、お楽しみに。

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