関西の龍×狩人 作:1R1分1秒KO
・原稿用のiPhoneが使えなくなった
・龍が如くのシリーズのうち、the endと4がなくなった
・何度書いても違和感が仕事し過ぎて何度も消すはめになった
以上の三点が作者のモチベーションをゴリゴリと削ってようやく書けました。もちろん妥協した上ですので違和感があるとは思いますがご了承下さい。
作者の復活記念だと思って今回の話を読んで頂ければありがたいです
龍司達がトリックタワーを出るとそこは草原だった。
「ようやく外の空気が吸えるぜ」
レオリオが身体を伸ばし息を吸うがそこには殺伐とした空気が漂っていた。
「レオリオ、空気を読め」
「あんな窮屈なところから出られたんだ。別に良いだろうが」
そんな二人の会話を聞いていると、リッポーが次の試験について説明し始めた。
「三次試験合格おめでとう諸君。残る試験は四次試験と最終試験の2つ。今回の四次試験はゼビル島でのサバイバルだ」
「サバイバル?」
「そう、この試験では期限内にナンバープレートを集めるという実にシンプルな試験。先程出る際に引いてもらったカードに書かれていた番号のナンバープレートや自分のナンバープレートは各三点。その他のプレートは一点。それらを6点分集め、集合場所の試験官に見せることがこの試験の合格条件」
「集合場所? 一体どこなんだ?」
「それは四次試験内に教えることになっている。それともう一つ。ゼビル島に下船したものから順にスタートすることになっているが、ゼビル島に下船する順番は三次試験を合格した順になる。その二分後に一人ずつゼビル島に下船してもらう。以上。質問はあるか?」
「あらへん」
「それじゃ、ゼビル島に行きの船に乗って、順にスタートするように」
龍司達がゼビル島行きの船に乗ると、彼らのナンバープレートは既に隠されていた。
「(なるほど、考えることはどこにおっても変わらへんか)」
しかし龍司が堂々とナンバープレートをつけて乗船したことによってその船に乗船した受験者のほとんどが困惑していた。
「あいつ、馬鹿なのか?」
「いや、余程自信がある証拠だろう」
そう、ここにいる受験者達の大半はこの試験を合格するにはターゲットから狙われない為に自分のナンバープレートを隠し、その隙を見計らって自分のターゲットになっている受験者を狩ることこそが最良の判断であると確信している。しかし龍司はそれを破った。それを破る受験者は自分に余程の自信があるか、なにも考えていない大馬鹿そのものだ。
「(高島のように計算高い男、軽く裏を掛かれただけでも脆くなる。裏を掛かれたワレ等の反応だけで十分や)」
高島、その名前はかつて龍司と同じく近江四天王と呼ばれた男だ。高島は腕っぷしよりも頭の回転が良さで郷田仁に認められ、近江連合の本部長を務めるまでに成り上がった。そんな高島が弱点とするのは本人そのものの個人の強さではない。むしろヤクザ狩りの女と恐れられる狭山が襲いかかろうが逆に人質にしてしまうだけの腕前がある。高島の弱点は計算高い故に予想外のことに弱く、パニックになりやすい。その隙を見計らって高島を殺した位である。ここにいる受験者は高島程ではないにしても予想外のことが起こり動揺し、龍司はその反応を見て誰が自分を狙っているのかを確認していた。
「(候補はあいつらやな)」
龍司をターゲットにしていたハンターが龍司と目を合わせてしまい、動揺する。その反応を見逃さず、目を光らせる龍司の様子はまるで獲物を見つけた肉食動物のようだった。
「(ワシを狙う刺客もわかったことやし、今度はターゲットやけど、199番は誰や? 少なくともゴンやキルア達やないのう。あのピエロや針男でもあらへん)」
龍司が顎に手を添えながら座ると目の前に銀髪が現れたことに気付き、頭を上げるとそこには予想通りキルアがいた。
「リュージ、ターゲットは誰だった?」
「キルア、ワレはどないやねん? 少なくともワシのターゲットはワレやない。ところでキルア。ワシのターゲットに心当たりあるんやったら教えてくれや」
龍司がキルアにカードを渡すと笑みを浮かべた。
「へえ、俺のターゲットと一番違いだ」
「ほんまかいな?」
「あ、疑っている? 証拠を見せてやるよ」
キルアがカードを渡すと、そこには198番の文字が書かれていた。
「ついでに教えてやるよ。リュージと俺のターゲットは三人兄弟でハンター試験に挑みに来た奴らだ。だから奴らは一緒に行動してくる。そこで協力しないか?」
「その三兄弟を倒すためにワシと協力せえ言うことかいな」
「倒すこと自体は簡単だけどあのヒソカが面倒だ。ヒソカがあの三兄弟をターゲットにしていた場合俺達も巻き込まれる」
「確かにのう」
「ヒソカが来た時の対処はリュージが囮になっている間、俺がヒソカを殺る。それでどうだ?」
「話にならん」
「はあ?」
「いくらワシが囮になってもワレがあのピエロを殺れるだけの実力を持っとらん以上、作戦として成立せえへんのや」
龍司のその判断は念、龍司の世界でヒートと呼ばれるものにあった。キルアや龍司が不安定なオーラの出し方をしているのに対してヒソカはネテロ同様に安定している。このオーラが安定しているほど力を無駄に使うことはない。故に防御面でもキルアの攻撃を防いでしまうだろうと判断していた。
「そんなんやってみねーとわかんねえじゃん」
「キルア、確かにやってみないとわからへん。せやけどワシの推測じゃ通じるのは200回に一回くらいや。そんなに体力を使うんやったら関わらずに逃げた方がええ」
「ちっ、わかったよ。俺一人でやるから」
キルアがその場を立ち去り、龍司の目の前から消える。
「(……若いのう、キルア)」
龍司はその姿を見てかつての自分を思い出していた。
「こればかりは運としか良いようがあらへんな」
龍司をターゲットにしていた人物、それは三兄弟のうちの次男だった。つまりキルアのターゲットは龍司を狙う受験者であった。故に龍司がキルアが試験中会うことになるのは目に見えていた。
「ほな、行こか」
ゼビル島に着くやいなやそう告げ、龍司は足を進める。そして四次試験が始まった。