関西の龍×狩人   作:1R1分1秒KO

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投稿遅れましたぁっ!なかなか文字数4000いかなかったものでして…


第6話 ハンター協会会長ネテロのゲーム2

龍司は本能で感じていた。目の前にいる老人は強い。それは正しく、ゴンやキルアを使ってどのくらい動けるか様子見をしても全く敵わずにいた。龍司を倒せる桐生は秋山と谷村の2人程度ならばほぼ無傷で倒せてしまうがネテロはその域を超えていた。ゴンやキルアは少なくともその年の頃の龍司の動きを超えている。その力を持ってしてもネテロには敵わない。

「流石やのう…会長はん。」

だから龍司は賞賛した。龍司は禁句である関西の龍と呼んだ男に対しても実力があれば認め、酒を奢ったりと気前が良い。それはネテロに対しても例外ではない。

「褒めたところでボールは渡さんぞい。それよりもかかってこんのか?」

ネテロは首をかしげ、挑発の仕草をするが龍司は乗らなかった。

「もう少し様子見させてもらいますわ。あんたはゴンとキルアを倒したところでちっとも体力を消費せん。今手加減しとんのが何よりの証拠や…」

「えっ!?」

それを聞いたゴンがネテロを見ると「ありゃバレた?」と笑っているネテロがおり、本当に手加減していたようだ。もっともキルアは気付いており、不貞腐れていた。

「右手と左足…使っとらんのが何よりの証拠や。それ使うた時があんたが少し本気になった時や。ワシはそん時まで様子見させて貰うわ。」

「仕方ないの…じゃあワシ少し本気だしちゃお!」

ネテロはお茶目にそう言ってキルアとゴンの攻撃を右手と左足のみを使って防御し始めた。

「さっきと変わらないやないかい!」

大阪人の性質故に、思わずツッコミを出してしまう龍司だった。

 

「冗談、冗談。流石にこれ以上はキツイしの。両手両足で行かせてもらうぞい…」

「ウッ!?」

「ガハッ!?」

そしてネテロは一瞬でゴンとキルアを倒してカタをつけると龍司はとんでもない化け物だと感じた。

「(こいつ、全盛期の親父…いやそれ以上や。)」

郷田仁が五代目近江連合会長を20数年もの間その座に就いてこれたのは運が良かっただけではない。生粋の武闘派だったからだ。晩年は年老いて車椅子を使うことになったが若い頃は、高校生数人がかりでも倒せない龍司(12歳)を物理的に抑えたりすることも出来たりしていた。その為、自覚はないが龍司の中で仁を基準にしている部分もある。

「さて…やるかね?」

その言葉に龍司は正気に戻り、目をネテロに向けた。

「ほな…行くで。」

龍司の戦闘のスイッチが入り、目つきが変わった。

 

そして龍司が走り出し、気合の入った拳を入れようとするもネテロに躱された。

「ぬりゃぁぁぁっ!」

だが龍司は諦めずに今度は左の拳を使い、ネテロに当てに行く。そのスピードからは逃れることは出来ない。普通…いや龍司と同じ身体能力を持っていても防御に移るのがやっとだ。

「スピードが足りんの。」

「(ホンマに人間かいな!?まだゾンビと言われた方が納得いくわ!!)」

だがネテロはそれを避けた。その動きの速さはゾンビ化してしまった林を思い出す。

 

林弘

元近江連合舎弟頭補佐という幹部でありながら龍司の生き様に惹かれ、龍司の組織、郷龍会に所属した。しかし龍司が去った後郷龍会を引き継いだ二階堂とは折り合いがつかずゾンビ(正確には実験体)にされ、神室町のゾンビ騒動を引き起こした。

 

「(動きを抑えたとしてもあのスピードや…まともにやり合うたら勝ち目はない。なら…!!)」

 

龍司はとある装備品を外した。すると龍司の身体から青いオーラのようなものが見えた。そのオーラはヒートと呼ばれるもので興奮すると一部の人間(冴島なども含む)が扱えるものだ。使用用途は様々でヒート状態になると通常よりも強力な攻撃を繰り出すヒートアクションや銃とヒートを組み合わせた攻撃、ヒートスナイプが出来るようになる。またヒート状態であれば体力を回復したり、刃物での攻撃をガードしたりすることも出来る。

これまで龍司がヒート状態にならなかったのは龍司が外した装備品にある。それは平常心の手ぬぐいと呼ばれる装備品でそれを装備品していれば戦闘において常に平常心を保つことが出来る…らしいが日常では何の役にも立たない。ハンター試験会場に向かう途中、それを装備していた龍司がキレたのが何よりの証拠だ。

 

「ほう…」

ネテロはそのオーラを見て感心していた。ネテロはそのオーラを使えるとは思いもしなかったのだ。

「らぁっ!!」

そして龍司が攻撃すると龍司に違和感を感じた。身体は軽く、スピードも増しパワーも増した。つまり身体能力そのものが上がっていたのだ。ヒート状態になっても身体能力を上がることはなかった。しかし今は違う。別の力が漲ってきている。

「甘い甘い!」

しかしネテロはさらにスピードを上げ、それを躱す。

「どりゃぁぁぁぁっ!!」

そしてボールが擦り、ネテロの手の元を離れ龍司はそれを掴みに行った。

「ぬうっ!!」

龍司がフラグを立てる間もなく、ネテロは素の力では間に合わず、念の力を使い自分の手元から離れたボールをキャッチした。

「惜しかったの。努力賞じゃ。」

 

「なんちゅー爺さんや…」

龍司は完全に脱力し、その場に座った。ガチ勝負ならば龍司は何度も立ち上がるだろうが今回は遊びだ。故に諦めた。

「ほっほっほっ…ところでこれが何だかわかるかな?」

ネテロはそう言って人差し指を立てた。

「…人差し指がどないした?」

だが龍司は脱力しているせいかその行動を理解していなかった。

「違う違う。目を凝らして見たらわかる。」

龍司はヒート状態のまま目を凝らしてそれを見た。するとネテロのヒートが人差し指から数字を作り出していた。

「なっ…会長はん、どないなっとんねん!?」

龍司はそれに動じずにはいられなかった。ヒートは通常、垂れ流れているようなものだ。故に何もせずに時間が経つとヒートが減り平常心に戻る。

それはともかく垂れ流れている為、ヒートで形を変えることは無理なのだ。だが目の前にいるネテロはそれをやってのけている。

「それで何が見えた?」

「数字の6や…せやけどあんた何者や?」

ネテロの質問に答え、龍司は頭の中の疑問を無くすためにネテロに問う。

「ハンター協会会長、アイザック=ネテロ。」

 

「そないなことはわかっとんねん。何でヒートを操れるんや?」

「ヒート?もしかしてこれのことかの?」

ネテロはウネウネとオーラを操り、龍司を驚かせる。その様子は第三者から見ればかなりシュールだった。

「それや。ワシは今まで極道の世界で生きてきてヒートを扱える人間は何度も見てきた。せやけどあんたはその比やない。正真正銘、文字通りそれを操っとる…何者や?」

「ふむ…その前に一つ言わせて貰おう。お主の言っているヒートはワシらプロハンターは念と呼ぶ。この事は世間には知られてはおらぬ…何故だかわかるか?」

「危険過ぎる…ちゅうことや。ワシの故郷でもヒートが使えるんは極少数やがその強さはヒートが使えない人間の比やない…その力を間違うたらエライことになる。会長はんのいう念の力もそうやろ?」

「だいたいそんなものかの。ワシがその事を教えた理由は単純…お主はこの先、この子達と共に行動することになるだろう。その時に念の力について聞かれたらお主が教えるのではなく自らの力で生み出させた方がいい。無闇矢鱈に教えても困るからの。」

「それが理由かいな。まあ言うつもりもあらへんし、ワシはヒート…いや念について聞かれても何も言わへんわ。こいつらの成長はあくまでこいつらのもんやしな。」

 

「助かるわい…ところでリュージ君、いつ頃使えるようになったのか教えてくれんか?」

「そやな…こいつらと同じ頃にはもう使えるようになったわ。」

龍司の言っていることは事実だ。その時からすでにヒートを扱えるようになっていた。ただ龍司は力任せにやっていた部分もあり、ヒートを扱える技術はまだまだのものだった。

「ふーむ…もったいないのう。それだけのオーラを効率よく使えばもっと強くなれるかもしれん。」

「なら期待に応えなあかんな。試験が終わるまでそのオーラを自在に操れるようになっとくわ。」

「それは楽しみじゃわい。」

ネテロが子供のような笑みを浮かべると龍司はゴンとキルアを担いだ。

「…ほな、ワシはこいつらを部屋に寝かしとくわ。お休み、会長はん。」

「それではの…」

 

龍司が出て行き、ネテロはその部屋にあった電話機を取った。

「もしもし、機長か?順調?うん…すまないが少し遠回りして貰えない?ありがとう。じゃあよろしく頼むよ。」

次の試験会場に着くまで少し時間がかかったが受験者達から不満の声はなかった。

 

 

〜おまけ〜

 

かつて若き頃の龍司をボコボコにした真島吾朗はとある悩みを持っていた。

「(兄弟…はよ帰って来んかい…)」

真島と同じ東城会若頭補佐である冴島大河のことである。彼は中国に出張しており、取引先で殺されないか…などという心配はしていない。むしろ逆にマフィア達が殺されないかなどという心配だ。

冴島自身の性格からしてそれはありえないが冴島のパワーは異常だ。人間を卒業して人外の就職活動をするくらいにあった。そんな彼が手加減失敗してしまったらもちろん(向こうが)死ぬだろう。

 

「(でもそれはそれで楽しみや…何せ兄弟と戦う口実が出来るしの…!)」

だがそれ以上に真島は楽しみだった。冴島が向こうのマフィアを殺せば東城会に追われ、真島はその刺客として戦うことになるだろう。そんな展開を想像して真島は口元の笑みを浮かべていた。

「あん時の借り返したるわ…兄弟!」

真島は冴島に敗北しており、その悔しさから腕を磨いていた。具体的には地下闘技場で高速のあまり、分身することに成功して過激な観客が対戦相手に同情するくらいボコボコにしたり、カツアゲ君から10億円くらいカツアゲしたり、旧堂島組や旧風間組、旧錦山組の面倒を見たりと様々なことをやった。

「ヒーッヒヒヒヒ!!」

真島の笑い声が事務所から漏れ出し、近所迷惑になったのは余談である。ちなみに真島は分身したり、カツアゲ君が10億円持っていたのが念能力によるものだとまだ気づいていなかった。




作者の独自解釈…
念=ヒート
と捉えています。そうでなきゃ般若が分身したり笹の虎が電柱引っこ抜いたり出来るはずがありません…なので新しくタグをつけておきます!

では次回もお楽しみに!

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