関西の龍×狩人   作:1R1分1秒KO

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第4話 二次試験開始

「そいつは偽物だ!俺が本当の試験官だ!」

サトツがヌメーレ湿原に向かう前に説明していると突如現れた自称試験官の男が受験者を騒然させ、さらに口を開く。

「そいつは俺を不意討ちして…ぎゃあっ!?」

試験官を名乗った男がヒソカのトランプによって殺され、一部を除き全員がヒソカを見るとヒソカは笑みを浮かべていた。

「本当に試験官ならこれくらい避けるはずだよね♠ねえ?本当の試験官さん◆」

そして全員がサトツの方へと振り向くとサトツがトランプを指先に挟んでいる姿があった。

「受験番号44番、いくら私が本当の試験官かどうか確かめる為とは言え今度私を含めた試験官に攻撃したら失格と見なします。」

「ふふっ…そりゃ失礼、今度から気を付けるよ♣」

「では皆さん、私に着いてきてください。」

サトツが再び走りだし、ヌメーレ湿原でのマラソンが始まり、脱落者が再び現れ…次々と立ち去った。

 

そんなことはさておき、龍司は順調に進んでいた。

「(さて…この調子やったらゴンも問題なく着いて来れるやろ。少し前に行こか。)」

龍司はそのままサトツがいる先頭へと向かって行こうとしたが…

「ってえっ!!」

後ろからレオリオの悲鳴が聞こえ、そちらを振り向くとレオリオがヒソカにやられていた。

「(…しゃあない。流石に人を平気で殺すような奴は放っておく訳にもいかんし、お仕置きせなあかんな。)」

龍司は振り返り、レオリオとヒソカの元へ走って行くとレオリオの他にもクラピカ、ゴンがおり三人は怪我を負っていた。なおキルアについてだが龍司よりも先に先行しており、既にいない。

 

「おや?どうやらちょっとは楽しめそうな人が来たね♠」

「黙り…ワレ何しとんねん?」

龍司は怒りに満ちていた…ヒソカは人殺しをしておいて笑っているのだ。ゾンビ事件の時の黒幕のDDと同じような狂気がヒソカにはあった。

「試験官ごっこ。まあ簡単に言えばふるいをかけているのさ◆」

そしてその言葉が龍司を完全に怒らせた。

「ふるいやと…?そのせいでどんだけの人死んだと思う!?殺す必要なんぞどこにあったんや!?」

二階堂は龍司を誘き出す為に神室町の人間を犠牲にした。DDは戦場にいる人間を安楽死させてやりたい…どちらも狂気に染まっているとはいえ目的はあり、遊びで殺すことはなかった。だがこのヒソカは試験官ごっこと言う遊びで人を殺していたのだ。前者二人の時点でも怒っていたのだ。ヒソカの動機で怒らない理由はない…

「ふふ…僕の攻撃で避けられないような奴らはハンターになったらすぐに死ぬよ♥それに君も人を何人か殺しているじゃないか♣」

ヒソカの言っていることはもっともでハンターの資格証を売るだけでも7代は遊べる金が手に入れられる為、年に5人以上が殺られているのだ。この数は一見少ないように見えるが一回のハンター試験で合格するのはだいたい3人前後で豊作でも5人で中には合格者がいないという例もあることから年々ハンターの数が減っていることがわかる。

「ワレの人殺しとワシの人殺しを一緒にすんなや。ワシはワレのように堅気の人間は殺しとらん。」

龍司のいっていることは正しく、堅気の人間を痛め付けることはあっても殺すことはなかった。その代わり千石や高島など近江連合の幹部達を殺したが千石は桐生を誘き出す為に女や子どもに手を出し、高島は龍司の妹である狭山薫を殺そうとした。どちらも龍司の逆鱗に触れていたのだ。

「ハンターは堅気じゃないよ。ハンターのなかにはブラックリストハンターっていう犯罪者を取っ捕まえるハンターもいる。いつ殺されるかわからない職業なんだよ♠」

「未来どうなるか知らんが今は堅気や。殺す必要はない…」

「そこまで言うなら僕の相手…」

ピピピ…

ヒソカの携帯が鳴り、手に取って話し始めた。

「(ゴン、レオリオ、クラピカ…今のうちに逃げとき…ここはワシが引き受けとくわ。)」

龍司は三人にアイコンタクトを取ると三人とも首を横に振った。

「(それは無理だ。私達が行けばリュージ…貴方は無事でいられない。)」

「(俺はリュージのオッサンのように強えって訳じゃねえが…おんぶに抱っこって訳にもいかねんだよ!!)」

「(リュージさんが残るなら俺も残る!)」

クラピカ、レオリオ、ゴンの順にアイコンタクトを返され、龍司はずいぶんと信頼されていると感じ、余計に死なす訳にはいかないと再びアイコンタクトを取ろうとするがヒソカの口が開かれてアイコンタクトを取るのを中止させられた。

「僕は用事が出来たからこれで失礼するよ♥」

それだけ告げるとヒソカはあっという間にいなくなり龍司も追いかけようとするが三人に止められた。

「お前ら邪魔すんなや!あのまま逃がしたらあいつは受験者を殺す!」

「下手に追いかけて試験を落としたらどうするつもりだ!」

「そうだよ!リュージさん!あいつと関わるより試験に合格しないとダメだ!」

「…くそが!」

龍司はヒソカを逃がしてしまったことに後悔しながらも龍司達は無事に二次試験会場へと移動した。

 

~二次試験会場~

 

茶番じみながらも試験官の二人、ブハラとメンチはサトツと交代して課題を出した。最初の課題はブハラが提案した豚の丸焼きだった。この島に普通の豚はいるはずもなく、代わりにいたのはモンスターともいえる巨大な豚、グレイトスタンプだった。龍司は弱点である鼻を殴り、気絶させて丸焼きを作り提出して合格した。ゴンやレオリオ、クラピカもそれを真似て同様に合格した。

 

「さあて!それじゃ私の課題は寿司よ!ただし寿司は寿司でも握り寿司ね!チラシは受け付けないよ!」

次の試験官、メンチが課題を出すと受験者達は騒然とした。その理由は龍司の世界では寿司は日本料理の代表格で世界的にも有名な料理だったがこの世界では違う。日本に相当しているジャポンは鎖国しており、受験者は寿司の文化を知るよしもない。

「寿司かいな…ワシは寿司職人やないが寿司を知っとる…」

「マジかよ!?リュージのオッサン!?」

「どんなのだ!?」

「やかまし。せやな…魚が必要な料理や。それから…」

「よっしゃぁ!!川だ!」

レオリオが川に向かい、それに続いて受験者達も我も我もと川へ向かっていく。ここに残ったのは龍司ただ一人だ。

「まだ話は終わっとらん言うのにせっかちなやっちゃの…」

龍司は自前のタコを捌き始めた。そう、握り寿司は別に魚オンリーじゃなくてもいいのだ。少なくとも日本の回転寿司ではハンバーグをシャリの上に乗せたハンバーグ寿司なる物もある。その発想から龍司は船で釣ったタコを捌いて作ろうとしたのだ。

「こんなもんやろ。後は銀シャリや。」

タコを捌き終わると今度は炊きたてのご飯に酢をかけ、シャリを作り先程捌いたタコを乗せる…これで完成だ。

 

「試験官はん。これでどうや!」

「タコぉ?形はあっているけど何で魚じゃなくてタコなの?」

「もしかして知らへんのか?魚やのうてタコでもイカでもこんな風になっとればワシが住んでいたジャポンじゃ寿司言うんや。」

「ええ~~!?嘘でしょ!?」

「ホンマや…食わず嫌いせんではよ食ってくださいや。」

「仕方ないわね…」

メンチはしぶしぶそれを醤油につけて食べた。

「あんた何者?タコがこんなにうまいなんて初めてよ。」

メンチはそう言ってもう一貫口にして食した。それだけ龍司の作った寿司が旨かったのだ。

「ワシはリュージ=ゴーダ。たこ焼屋や。タコを捌くんやったら誰にも負けへん…負けたら亡うなったおやっさんに笑われるわ!」

それは確信だった。何しろ自分の師匠であるおやっさんは大阪人顔負けのたこ焼を作り、龍司はそれを学んだ。おやっさんは二階堂に殺されてしまったが龍司の心の中におり、龍司を支えている。タコを捌く時もたこ焼を作るときも変わらない。

「(なんて気迫なの…!?それに二人いる!)」

そしてメンチは龍司の後ろに誰かがいたのを感じた。それは龍司の師匠のおやっさんだった。

「…本当なら落としたいところなんだけど、あんたの魂しっかり見せて貰ったから合格よ!」

「よっしゃぁっ!」

こうして龍司は二次試験を合格した。

 

その後、受験者達が魚を持ってきて龍司に寿司の作り方を尋ねるが龍司は「自分で考えろや」とだけ告げてたこ焼を作り始めた。それがヒントだと思ったゴン達は丸いおにぎりに魚を突っ込んだナニカを提出して不合格。龍司以外で唯一寿司を知っていたハンゾーも味がなっていないという理由で不合格にされて作り方をばらしてしまい、結局味で決めることになった。

 

数分後

「悪り!腹一杯になっちまった!」

当然メンチの腹が持つわけもなく、合格者は龍司のみとなってしまった。当然龍司がメンチに黄金色の寿司を渡したと思い込む受験者がおり龍司に突っかかってきた。

「てめえ!どうせイカサマしたんだろ!」

「しとらんわ。それにその証拠はどこにある?」

龍司は冷静に反論するが受験者には馬耳東風、まるで意味をなさない。

「うるせえ!俺はブラックリストハンターになるんだ!こんなふざけた試験で落ちてたまるか!」

故に受験者は殴りかかる。何で龍司が合格なのに自分は合格でないのかと言う嫉妬だ。

 

ドガッ!!

 

龍司はその受験者の腹に一発殴り、倒した。神室町や蒼天堀等ではこれらのことが日常茶飯事であり龍司はそれに慣れていた。

「やかましいわ。だいたいそれやったらワシやのうて試験官はんに聞けや。それにそないな程度でブラックリストハンターなんぞ無理や。止めとき…」

「ガッ…ゲッ…」

「まあ気持ちはわからんでもない。…試験官はん!いくらハンター試験とはいえこのままワシ一人だけ合格やったらマズイんとちゃいまっか?」

「うるさいわね。もう確定事項なのよ。それとも合格取り消されたい?」

「いや彼の言うとおりじゃぞ。メンチ君。」

メンチが龍司の言葉に反論すると上空から声が聞こえ、そちらの方に注目すると飛行船がそこにあった。

「ネ、ネテロ会長~!?」

そしてその声が現ハンター協会会長ネテロだと言うことがわかり受験者達は騒然とした。


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