関西の龍×狩人   作:1R1分1秒KO

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何故か龍司の小説とHUNTER×HUNTERの小説を書きたくなりました


第1話 ゴンという少年

神室町にて起きたゾンビ事件が解決し、一ヶ月後、郷田龍司こと龍司は神室町でたこ焼き屋を営んでいた。

「……あかんタコ切れてもうた」

口コミなどで龍司のたこ焼き屋はあまりにもうまく軌道に乗り過ぎた。その結果たこ焼きの材料となるタコがなくなってしまったのだ。

「(今日はもう夜やし、しまいやな。この調子やと明日もタコがなくなるかもしれへん。海にいって多めにタコの調達でもしよか)」

龍司は店を閉め、埠頭へと向かった。タコを釣るためである。いくら漁師が漁で獲ったとはいえ釣りたてには敵わない上、限度がある。そのため自分で釣る選択をしたのだ。偶にタコを仕入れる時はそうするのだ。

 

「今日はやたら静かやな」

それが今日、埠頭に来た龍司の感想だった。いつもならタコを仕入れる際はこんな静かではない。しかし今日に限って違かった。海にいる魚がいる気配を感じるのだが、まるで嵐の前の静けさという表現が似合うような静けさだった。

「まあええ、やるだけやってみよか」

しかしそんなことはお構いなしに龍司は釣竿を使い、タコ釣りを始めた。すると波が発生し、それまでの静けさが不気味さを生み出し、龍司の釣竿の餌に何かが引っかかった。

 

「よっしゃぁっ!」

龍司はすかさず反応し、ルアーを巻くとこれまでにない大物が引っかかる感覚があった。タコは釣れなくともこれがマグロやシーラカンス、カジキであれば相当な値段で売れるのは間違いない。龍司はそういう目的でも釣りをしに来たとも言える

「うおぉぉぉっ!!」

しかし龍司がどれだけ引っ張ってもむしろ後退する一方でこれ以上無理をすれば糸が切れる。そんな状況の中、龍司は諦めなかった。

「釣れろやボケがぁっ!」

龍司は釣竿を引っ張り、無理やり陸にあげようとするものの淵の近くまで来ていた龍司は一瞬の不意を突かれた。

「なぁっ!?」

そして足が滑り、海へと落ちてしまった。

龍司は釣竿を離そうとするが硬直してしまい釣竿ごと海の中へと消えた。その日から龍司の探索は進んだが見つからず数日後、龍司は正式に行方不明となり神室町から消えた。

 

~某所~

「……あ、起きた?」

龍司が目覚めると見慣れない天井があり、見慣れない女性に声をかけられた。

「ここはどこや?それにあんさんは?」

龍司は上半身だけ起き上がり、女性に尋ねた。

「ここはくじら島よ。私はミトよ」

 

それを聞いた龍司は首をかしげた。それもそのはず。龍司はかつて関西の龍(その二つ名は本人は嫌がるが)と呼ばれる極道つまり世間一般でいうところのヤクザだった。しかもただのヤクザではなく一時はヤクザ最大の組織近江連合で最も勢いがある男と言われ、現在でも関西史上最強と言われている男だ。そんなヤクザをやっていた以上地名に関しては少なくとも知識があるがそんな名前の島は聞いたことがない。

 

「くじら島? そないな島聞いたことあらへんな。日本のどこや?」

龍司はミトと自分が話している限りではここは日本だと思ってそう質問したが予想外の言葉が返された。

「ニホン? もしかしてジャポンのこと?」

ミトは日本のことをジャポンと答えたことから日本に相当するのがジャポンであることがうかがえ、英語に近い響きから外国だと考えるのだが、龍司は違った。

「(日本のことをジャポンなんて言うとは……わかりにくい嬢ちゃんやのう。せやけど日本のことをジャポンと答えとった以上考えられるんは地方に間違いないわ)」

龍司はそれをさらに曲解させてしまった。龍司は地方の名前は知っていても方言は知らない。強いていうなら龍司から見て方言は東京弁もとい標準語しか知らないのだ。元々英語のジャパンは日本が訛ったジパングから派生したものなので龍司が日本をジャポンという方言を使う地方だと勘違いするのは無理なかった。

「多分それや。それでこのくじら島はそのジャポンのどこにあるんや?」

龍司は勘違いしたまま尋ねるとミトはため息を吐いた。

「ここはジャポンじゃないわよ」

「ん? つまりここはくじら島っていう国なんやな?」

ややこしいのう、と龍司は呟きながらも考えていた。そんな国は聞いたこともない。もしかしたら世界に知られていないだけで自分も知らなかったということになる。龍司の頭の中では既にどうやって神室町に帰るか考えていた。

「平たく言うとそうね。ところで貴方の名前は?」

そのセリフでこれまで龍司は自分が自己紹介していなかったことに気づいた。

「こりゃ失礼。ワシは郷田龍司。ただのたこ焼き屋……ん?」

龍司が頭を下げると違和感に気付く。龍司の右腕は自分の身を守るためにガトリングガン装備の義手となっていたのだが、生の感覚があった。

「(元に戻っとる?)」

龍司はそれを確かめるために握ったり、放したりしてその感触を感じ、ミトはそれを見て奇妙に思った。

「右手がどうしたの?」

ミトは龍司の様子を不審に思い、尋ねると龍司は首を振った。

「なんでもないわ。それよりワシを海から助けてくれはったんはミトはんか?」

「ただいま!ミトさん!」

龍司が聞こうとすると、声変わりもしていない少年の声が聞こえそこにはツンツン頭の少年がいた。

「あ、起きたんだね。おじさん!」

少年は安堵のため息を吐いて龍司の隣に座った。

「もしかしてワシを助けたんは自分か?」

「魚を釣り行ったらおじさんが流れていたからすぐに手当てしたんだよ!」

「さよか、ほなら名前教えてくれへんか?礼がしたい。ワシの名前は郷田龍司や。そっち風にいうならリュージ=ゴーダやな」

「俺はゴン!ゴン=フリークス!」

その名前を聞いて龍司は頭を下げた。

「ミトはん。ゴン、ワシを助けてくれておおきに。感謝しております」

「どういたしまして!リュージさん!」

こうして龍司とゴンは出会った。

 

ゴンとミトが部屋からいなくなり、龍司は1人考えていた。

「さて、これで問題はどうやって日本に帰るかやな」

龍司は日本に帰ることを考えていたが今の所持金では日本国内の飛行機に乗ることどころかその所持金は使えることすら怪しい。

「となれば、ここで働いて日本に帰るのがベターや」

龍司はくじら島でたこ焼き屋を開くことに決め、その稼ぎで日本に帰ることを決意した。

「だからダメに決まっているでしょ!」

「(なんや今の声は?)」

ミトの荒ぶる声が聞こえ、龍司はそちらに耳を傾けた。

 

「それならさ、沼の主を釣ったら文句ないでしょ?」

「出来たらね。大の大人5人がかりでも釣り上げなれなかったのよ」

「約束だよ!」

「(沼の主か……それも気になるがゴンは主を釣るなんて言い出したんや? 尾行して聞いてみよか)」

龍司はゴンを尾行してついて行くとゴンは沼で釣りを始めた。尾行した理由は2人きりで話せる機会を伺う為だ。そして今、その時が来た。

 

「ゴン、さっきの話し聞いたで」

「リュージさん」

「詳しくはわからんが何を条件にあないなことを言い出したんや?」

「俺、ハンターになりたいんだ」

「ハンター? 何やそれ?」

「ハンターを知らないの?」

「知らん。ワシのとこにはそないな言葉聞いたことあらへん。どないなもんか教えてくれへんか?」

「じゃあ説明するよ」

龍司はゴンからハンターの説明を受けていくうちに日本に帰れる可能性が見えて来て興味がわいた。

「なるほどな、ワシも受けてみよ」

ゴンが言うにはハンターは身分証明書にもなるので身分が証明できない龍司にとってはまさに欲しいものそのものだった。

「それじゃ俺がミトさんに説明しておくよ。ミトさんは子供の俺に過保護だけどリュージさんならきっとわかってくれるよ」

「頼むで……ん?」

龍司はゴンの竿を見ると浮きが沈んでおり、その影には巨大な魚が映っていた。

「ゴン、引いてんで」

その一言でゴンは影を見つけると引っ張り始めた。

「キタキタキタァァーッっ!!」

ゴンはその釣竿の感覚から大物、いや主が引っかかったことに歓喜して引っ張り、釣り上げた。

 

「(おいおい冗談やないで。沼にこないな魚ほんまにおるんか?)」

龍司はゴンが歓喜している一方、魚の大きさに呆れてしまった。何しろその魚は今まで釣った3m超のマグロよりも一回り小さいサイズだったからだ。あの広大な海の魚ですら3mが限界なのだ。川や沼に住む魚となればそれよりもサイズが小さくなるのは当然のことだ。それにもかかわらずこのサイズとなれば間違いなく沼の魚では世界最大だろう。

「それじゃミトさんにリュージさんがハンターになりたいって言っておくから先帰るね!」

「済まんの。いきなりこないなこと言って」

「良いんだよ。俺だってハンター目指しているんだから!」

ゴンは駆け足で主を持って帰るとそこに龍司1人だけが残されていた。

「ハンター試験か。過酷な戦いなんやろな」

龍司はそう呟いて歩いて帰った。


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