ゆっくり魔理沙「長らく待たせてスマン;」
「天龍」
「……ダメだ。もう遠くまで連れて行かれてる。あのスピードじゃあ艦娘じゃあ追いつけねえぞ」
シゲ達の所まで来てから声をかける加賀に天龍は眼帯をずらして海をみつえながらそう返す。
その際、シゲ達は天龍の左目の色が違う事に驚く。
「?天龍、その目は?」
「あー、この目はなんだか分からないけど透視も出来て遠くまで見通せるんっスよ。そのままにしとくと頭が痛くなるから眼帯してるんっス」
そんな天龍の左目について問う翔に天龍は眼帯で隠しながら答える。
あっちの俺ってそんな能力あるのかと戦治郎側の天龍は驚きながら聞き、家の鎮守府の天龍さんだけなんですよと五月雨が返す。
「(おいマモ、あの天龍もしかして……)」
「(別の世界だし、その可能性ありえそうっスね)」
「ってかやべえじゃん!早く追いかけねえと!」
「そうだぜ!今のアレディさんの状態ってヤバいじゃん!」
そんな天龍のに護とシゲは小声で話し合う中で深雪と涼風が慌てて言う。
それを止めたのはビスマルクだった。
「ド待ちなさい!もう遠くまで連れて行かれてる中でここで慌てて出撃しても危険な目に遭うだけよ!どうするか話し合った方が良いわ!」
「確かにビスマルクさんの言う通りです。ここはあなた達のいた所とは違い、深海棲艦よりも遥かに強力な力を持つ転生個体や神話生物が存在しています。しっかりと準備をして事に当たらなければ、待っているのは要救助者と救助メンバー、両方の死と言う最悪の結末だけです」
同意する様に通も連れ去られた方向を見ながら落ち着かせる。
「そいつらの言う通りだ。俺達にとっては初めての海なんだ。お前らが出た時点で海の藻屑になるのは安易に想像できるぞ」
だろ?と護を見るマーベラスに見られた本人も頷く。
「マーベラスさんの言う通りッス。特にあのアリーさんと
一瞬で死ぬと言う言葉にゴクリと誰かが喉を鳴らす。
「マモの言う通り、あの人が相手ってなるとこっちも入念に準備しねぇといけねぇ……、戦力的にも追跡速度や捜索能力的にも、ある程度バランスが取れた編成を考えないとな……」
むやみやたらに出せねえのがな……とぼやくシゲに他のメンバーも同意する様に頷く。
しかも最近襲撃を受けたばかりなのもあるのと天龍達が帰るのに必須なゴーカイガレオンを防衛しないといけない。
「とりあえず、そのアリーって奴のをもう少し詳しく教えろ」
「その前にこの事をアニキに報告させてもらっていいっすかね?今回の件、事が事なんで鎮守府でしっかりとブリーフィングしなきゃなんねぇモンっすから……。アリーさんの件については、その中でアリーさんの事を知らねぇ他のメンバーにまとめて説明するつもりでいますんで、それで納得してもらえやせんかね?」
促すマーベラスにシゲは待ったをかけてそう言う。
ちゃんとしとかないと迷惑かけるだろうし、そうしようぜと天龍も同意して仕方ねえなとマーベラスは首を掻いてさっさと行くぞと促して全員が鎮守府へと急ぐ。
その際、天龍は通信機で戦治郎に報告しているシゲを見ながら軽い気持ちで来た異世界旅行が厄介な状況になったよなと内心ぼやく。
天龍「(まさか来た異世界がとんでもなく情勢がややこしくてヤバい奴らがいて、神話生物も存在するとはな……)」
頭痛い……と天龍は頭を抑える。
しばらくして鎮守府に帰還した後にこちらですと言うシゲの案内の元、大会議室に連れて行かれる。
「っし……、これで敷地内全部のスピーカーに声乗せられるな……」
シゲはそう呟くと、深呼吸でもする様に大きく息を吸い込み……
「長門屋鎮守府の艦娘共っ!!昨日に引き続き特上クラスの厄介事のお出ましだっ!!!全員大至急で大会議室までツラ出せやぁっ!!!」
大会議室の窓がガタガタと音を立てて揺れる程の、それはそれは凄まじい声量で通信機に向かってこの様に叫ぶのであった
その声量に思わずマーベラスを除いて耳を抑える。
少しして、興味があったので見たいと言う事で残っていた漣や霞以外の各自の持ち場に戻っていた長門屋鎮守府の艦娘達が集まって各々決まってるだろう席に座る。
「(すげぇな、集まる時間にそこまで時間かかってねえな……やっぱり転生個体とかそう言うのもあって時間のロスは命取りになるからか……)」
「おいおい……、厄介事ってまた何かあったのか?」
「そうだぜシゲ!ブリーフィングをする理由はなんだ?」
その様子に天龍は感心する中で木曽と摩耶が集まった面々を代表して聞く。
「それは今から話すが、その前に久しぶりに『アレ』やらせろ!実はちょっとやってみたかったんだよ、『アレ』!」
木曾と摩耶の問いに対して、シゲはほんの少しだけ童心に返った様な表情を浮かべながらこの様に返答し、それを聞いた天龍達が頭の上に疑問符を浮かべ、シゲの様子を不思議そうに見守っていると……
「緊急特別長門屋会議いいいぃぃぃーーーっ!!!」
\おおおぉぉぉーーーっ!!!/
突然シゲが先程と変わらないレベルの声量でブリーフィングの開始宣言を行い、それに反応した長門屋鎮守府の古参艦娘達がそれに呼応する様に時の声を上げ、このノリが分からない天龍達と長門屋鎮守府の新規の艦娘達は、その様子を見て只々困惑するのであった。
ちなみにマーベラスは騒がしいなと思い、天龍側でさり気無く深雪と涼風と響がノッていた。
「よっし!皆士気が上がったなっ!?正直今回の件は、相当気合入れて臨まねぇと死傷者出ちまうかもしんねぇからなっ!!因みに今回のブリーフィングだが、アニキと空さんと医療チームはちょいとばっかし手が離せねぇって事で不参加、んでさっきアニキにこの事報告した際に、アニキから俺がブリーフィングを取り仕切る様にって指示されてっから、そのつもりで頼むわ」
その後、シゲは大会議室全体を見回した後にこの様な言葉を発し、それを聞いた長門屋鎮守府の艦娘達は、より一層その表情を引き締めて静かにシゲの次の言葉を待つ……
「さて、今回ブリーフィングを開催する事になった理由だが、翔達にガス抜きをやってもらっていた異世界からの客人の1人であるアレディさんが、ガス抜きが完了した直後に、俺達の目の前で攫われっちまったんだ」
「その犯人について、僕とシゲは全く見当が付かなかったんだけど……」
「自分は過去に『ソレ』を見ていたッスから、犯人をすぐに特定する事が出来たッス」
それから少し間を空けて、シゲが真剣な面持ちで今回のブリーフィングを開始する理由を告げ、それに続く様にして翔と護が言葉を発し、それによって大会議室が軽くざわつく中、護は頭部に乗せたヘッドマウントディスプレイを装着し、天井からシゲ達の背後にスクリーンを出現させると同時にプロジェクターを起動させ、ある深海棲艦の画像をスクリーンに映し出すのであった
その画像が表示された直後、長門屋鎮守府の古参艦娘艦娘達が一斉に目を大きく見開き、今以上にざわつき始める……
そこに映し出されていたのは、三頭六臂の巨大な人型に近い怪物の様な物をバックに、スカート丈を踝辺りまで伸ばした白いワンピースを纏い、両手に剛が模擬戦の際に使用したハンドガンであるケルベロスを握り、圧倒的強者の余裕をほのめかす様な、それはそれは穏やかな笑みを浮かべて佇む水母水姫であった
「こいつの外見、確か水母水姫だったな」
「トラック泊地防衛戦に参加したメンバーなら分かるッスよね?この水母水姫が一体誰かなのか」
「これって……、生前剛さんと結婚してたって言うアリーさんじゃない……っ!?」
「そうッス、あの世界中に武器ばら撒いて世界を混乱させて、それで発生した戦争を煽り散らかしまくった上で、それらの戦争を自分達で管理する事で永久に戦争が続く世界を作ろうとしている、本拠地の所在が何時まで経っても判明しない世界規模で活動するテロ集団のエデンの指導者であり、戦場のド真ん中でも盛って剛さんとネットリとディープキスする様な、組織の方針と合わせて考えても頭のネジが外れてしまってるとしか言えない狂人で、転生個体となった事で剛さんと互角に渡り合える様な銃撃戦の腕に磨きがかかってて、更に兵器開発だけでなくバイオテクノロジーにもエレクトロニクスにも精通しているマジものの天才で、生前は剛さんの嫁さんだったアレクサンドラ・稲田、通称アリーさんが今回のアレディ略取の犯人ッス」
「ちょっと待って下さい、戦場の真ん中でディープキスってどういう事ですか?」
「細けぇ事は音声が無ぇんでサッパリ分かんねぇッスけど、自分の人工衛星がその瞬間をしっかりバッチリ撮影してたッスから、紛れもない事実ッスよ~」
映像のを見てマーベラスが呟く中での護の問いに対して陽炎がそう答えると、護はアリーの事を知らない者達への説明も兼ねながらこの様に返事をし、その内容に少しだけ気になる点を見つけた阿武隈がそう問えば、護はこの様に答えながらその瞬間を捉えた映像を、スクリーンに映し出すのであった
「あの……、アリーさんと言う方は、如何して戦争を永久に続けようとしてるのでしょうか……?」
アリーのディープキスの映像が元の画像に戻った直後、さっきの映像のせいなのか顔を真っ赤にした五月雨が、恐る恐るこの様な質問をしたところ……
「剛さんが言うには、生前は戦争を永久に続ける事で兵士と軍事産業関係者の楽園を作ろうとしていたって事なんだが、今の行動原理についてはまだこっちも把握し切れてねぇってのが現状だな……」
「恐らくディープキスの件もあって、剛さんの存在が大きく関わっているのかもしれないって予想は出来るけど……、詳細は本人の口から聞くしかないかなぁ……?」
今度はシゲが申し訳なさそうにこの様に答え、それに続く様にして翔が自信無さげにこの様な言葉を口にするのであった
「そうなるとアレディさんを連れて行ったのは剛さんを重傷にしたからと言う事でか;」
「可能性は高いかもしれねぇッス、実際さっき自分が言ったトラック泊地防衛戦の時の話ッスけど、その時に対峙していた組織のアタマやってる駆逐ナ級後期型flagshipの転生個体が、剛さんを激しく動揺させる様な事を言って、遠くからその様子を観察していたと思わしきアリーさんをブチギレさせてたッス」
「あぁ、その話か……。確かそれが原因で、そのナ級は自身の手駒だった1000匹以上の非武装深海棲艦や転生個体を、アリーさん本人とハデスって言うアリーさんが作り出した大型人型艤装……、画像に出てるこのでっかい奴、因みにアレディさん攫ったのもこのでっかい奴な。これと遠隔操作が可能なアリーさんの専用機っぽい水上バイクに、ものの数分で壊滅させられたんだっけな……」
呻る様に発された天龍の言葉に対して、護はその内容を肯定する様に2、3度頷きながらこの様な事を言い、それを聞いたシゲが何かを思い出す様に、渋い顔をしながらこの様な言葉を口にするのであった
「ホントに厄介ね。ヤンデレと言えば良いのかしら?」
「それ言ったら病的の可能性高くねえっすか加賀さん;」
「病的……、ですか……、それも否定し難いところですね……。これは穏健派連合のトップを務めている、剛さんの親友で生前は米国大統領として活躍していた転生個体の方から提供された情報なのですが、転生個体と言うものは基本たった独りでこの広大な海に投げ出され、私達が日本帝国海軍に接触するより以前の場合、現状が全く掴めず困惑している中、その気が無くても艦娘や深海棲艦に問答無用で攻撃される事で、精神が限界に達して精神崩壊を起こしてしまったり、不安な心境を付け込まれ、人類と敵対する転生個体の組織に引き込まれ、組織の色に染まり切って狂ってしまう様な方もいらっしゃるのだとか……」
「僕達の場合、長門屋の皆が割と固まった状態で海に投げ出されていたから、すぐに合流して変な気を起こさずに済んだんだよね……」
加賀の発言に対して、顔色を悪くしながら深雪がこの様な事を言うと、それを聞いた通が顎に手を当てながら、転生個体が最初に受ける洗礼とも受け取れそうな内容について語り、それに続く様にして翔が沈痛な面持ちを浮かべながら、呟く様にこの様な事を口にするのであった。
マジかよぉ……と深雪はさらにげんなりして白雪や初雪に慰められる。
「んで、そんなアリーさんとの戦闘と、攫われたアレディさんの捜索、アレディさんの身柄を確保した後、急いで鎮守府に戻る事を想定してメンバーを選出したい」
「少し良いかしら?その選出に私達も入れてくれないかしら?」
そう切り出したシゲに加賀が挙手してそう提案する。
「……その理由は?」
「アレディさんはこちらの人間だから全てをあなた達に任せるのは心苦しいのもあるのと、そのアリーって人がもしも足止めの為にここを襲撃してくる可能性があるならこの世界で戦い慣れている人が多く残っていた方が良いわ」
「なら私も行くわ。ド足手まといになりかねないけど、アレディが動けない状態だった時に逃げる役目があった方が良いわ」
問うシゲに加賀はそう答えて、ビスマルクも乗って名乗り上げる。
「そうなると……加賀は空母用の言霊式ネームド艦載機を、ビスマルクは3号さんを貸しとくべきだな……。ぬ~……、艦載機は兎も角、3号さんは在庫あったっけかな……?」
「質問なのです!3号さんってなんですか?」
「武器だとしても誰のなんだそれ?」
加賀とビスマルクが名乗り出た後、頭頂部をガシガシと掻きながらシゲがこの様に呟いたところ、マーベラスの電とレ級がその呟きに反応して不思議そうに質問すると、シゲはあ~……という呆けた様な声を上げた後、3号さんについて説明し始めるのであった
「3号さんってのは、正式名称はガトリングキャノン203・3号砲カスタムって言う、ガトリング砲の要領で巡洋艦が主に使用する中口径主砲の20.3cm砲の砲弾を、大量にばら撒ける戦艦艦娘用の主砲なんだ。因みに製作者はアニキで、戦艦艦娘が使用する事を前提に作ってるモンだから、それに合わせて俺達重巡も使える三式弾だけでなく、戦艦や航空戦艦しか使えねぇ徹甲弾も、問題無く装填して使用する事が出来る様になってんだ。これだけでも結構な脅威なんだが、こいつはアニキの趣味で銃身部分の底部に、殴打用の装甲板が追加で付けられてんだ。んでこの装甲板の硬さと砲の重量もあって、こいつで殴った時のダメージは相当なモンになってんだ」
「巡洋艦用の主砲で作ったド戦艦主砲……?どうして戦艦の主砲を使って作らなかったの?」
シゲが3号さんについてある程度説明したところで、不意に疑問が浮かんだビスマルクが思わず質問をし、それに対してシゲがどこか困った様な表情を浮かべながら返答しようとしたその時……
「戦艦主砲を使用したガトリングキャノンは、一応35.6cm砲をベースにしたミゴロさん、41cm砲をベースにしたヨイチさん、46cm砲をベースにしたシロクさん、51cm砲をベースにしたゴイチさんなどがありますけど……、恐らくビスマルクさんに使いこなせる物は1つも無いと思います……」
「あぁ……、姉様はミゴロさんの試し撃ちした時、ミゴロさんの反動を制御し切れなくて空飛んだもんな……。まぁこれのおかげで、戦艦艦娘が使えるのはハタチさんや3号さんまでって分かった訳なんだけどなぁ……」
扶桑が話に割って入る様にしてこの様な事を言い、それを聞いたシゲが苦笑しながらこの様な言葉を口にする
反動で空を飛んだの!?と天龍や一部の面々は驚愕する。
「それでどうして戦艦艦娘がド一括りにされるのかしら?もしかしたら長門や大和の様な戦艦艦娘ならそのミゴロさん?とやらのド反動を制御して、使いこなす事が出来たかもしれないんじゃない?」
「いや……、ウチの扶桑姉様で無理だったら、長門型だろうと大和型だろうとまず無理なんだよなぁ……。まぁ、俺が知らねぇだけで例外はいるかもしんねぇけど……」
そのやり取りを聞いて不満を感じたのか、ビスマルクがムッとしながら腕を組んでシゲに対してこの様に尋ねた所、シゲはこの様に返答しながら扶桑にアイコンタクトを送り、それを受けた扶桑が1度ゆっくりと頷いてみせたその直後、突然扶桑の足元から禍々しい黒いオーラの様なモヤが立ち上り始め、その光景を目の当たりにした天龍達が動揺している中、その黒いモヤは扶桑を包み込んでしまうのであった……
「なっ!?一体何が……っ?!」
何とか我に返った天龍が叫ぶ様に声を上げたその刹那、扶桑を包み込んでいた黒いモヤが突然弾け飛ぶ様にして消失し、その中から1隻の戦艦棲姫が姿を現すと、天龍や一部の艦娘は驚きの余り思わず息を呑んでしまうのであった
「これが俺がさっきああ言った理由だ、ウチの姉様と神通はな、過去に1度轟沈して深海棲艦になっちまった艦娘なんだわ。ウチの世界ではそう言った深海棲艦の事を、黄泉返りからとって『黄泉個体』って呼んでんだよ」
「『黄泉個体』の基本定義は、元々は艦娘だった、轟沈して深海棲艦化した、とある方法で深海棲艦の呪縛から解き放たれた際、艦娘の時の記憶が残っている、大体この3つが挙げられるね」
「『黄泉個体』の特長は、何と言っても艦娘と同じ様に練度で成長出来る事ッスね。これは本当に脅威ッスよ~?深海棲艦はステータスの基本数値が元から高いッスから、艦娘の成長倍率で成長した場合、上昇数値が艦娘の比にならんくらい高くなるんッスからね~」
「只、『黄泉個体』欲しさにわざと所属艦娘を轟沈させる様な真似をすれば、もれなく私達特警隊や陸軍の憲兵隊が物凄い速さで飛んで来て、即座に逮捕されてしまうでしょうね……」
そんな天龍や一部の艦娘達の様子を見たシゲが、何処か複雑そうな表情をしながらこの様な事を言うと、それに続く様にして翔、護、通が口々に言葉を発するのであった
「成程な、面倒な奴らには知られたらいけねぇ個体だな」
「黄泉返りとは上手く言ったものね……」
そう呟くマーベラスの隣で加賀がそう呟く。
因みに先程扶桑が触れた戦艦主砲ベースのガトリングキャノンについてだが、如何やら戦艦水鬼の転生個体である戦治郎でさえもヨイチさんまでしか使用する事が出来ず、それ以上のサイズのガトリングキャノンに関しては、全て戦治郎の艤装となっている大五郎専用となっている事が、シゲによる補足説明で明らかとなるのであった。
「話を編成ので戻しますが、天龍さんも付いて行くべきです。ハーケン提督とアレディさんの様に仮面ライダーに変身出来る彼女なら相手によりますが対処できると思います」
すると赤城がそう言って天龍を推薦する。
「いや、ちょ、赤城さんよ。俺のはハーケン提督やアレディと違って不完全に近いから微妙な感じもするし、援護と言う意味じゃああんたが最適だと思うんだけどよ……」
「ごめんなさい。理由はよく分からないのだけれど、急にメルヴィンちゃんが何かに怯え始めたの……。こんなに震えているこの子を放っておくわけにもいかないので、私は今回の出撃に関しては辞退させてもらうわ」
「確かに震えた子犬みたいなのです」
慌てる天龍に赤城は自分の肩で震えてるメルヴィンを撫でる。
「ちょいまち!?そっちの天龍よぉ……おまえさんも変身出来るのか?」
「いや、ホント不完全なんだよ」
こういう風にと言いながら天龍はブレイバックルを取り出して装着してから変身と言ってレバーを引く。
ターンアップ!
そのままオリハルコンエレメントを通り抜けて仮面ライダーブレイドになる。
「ぶ、ブレイド……だが、頭の角が短いし、肩のも丸い形状で少し違うな」
「ちなみにこれを作ってくれた知り合いの綾波はドライブと言うライダーのを使ってたすき掛けでタイヤだけを装着すると言う姿になりました」
光太郎は目をパチクリさせながらブレイドを観察して呟くのに対し、ブレイドはそう返す。
タイヤをたすき掛けで装着した綾波と聞いてシゲ達は想像したのかぶふと思わず笑っている。
「だったらこっちからは瑞鶴に医療チーム用に改造を施した超高速型ケートスを使ってもらって、ビス子達について行って貰うッス!」
「え!?私!?」
自分が加えられると思わなかったので驚く瑞鶴に推薦した護は頷く。
「こっちの艦隊編成事情を踏まえた上で編成を考えると、先ずはそっちの天龍達で3人、こっちからは現場での指揮と火力要員としてシゲ、アレディの容態次第では超速で鎮守府に帰還しなきゃなんねぇと思うッスから、その要員として光太郎さん、空さんに次いで単体での移動速度が速い通を採用、瑞鶴について行ってもらう理由については、速力が高速である事、艦載機を使って広い範囲に亘ってアレディの捜索を行ってもらう為、そしてこの鎮守府に着任してからまだ3日しか経っていないにも関わらず、古参の艦娘達並の実戦経験を積んでいて、尚且つ神話生物との戦闘経験もある事から、その経験と同じ艦娘と言う立場を活かして、天龍達にこっちでの立ち回りって奴を教えてやって欲しいからってとこッスね」
「因みに食堂でも触れたと思うが、ウチの世界では転生個体は生きた核爆弾みてぇな扱い受けてっから、こっちがこれ見よがしに転生個体を大量に艦隊に編成しちまうと、深海棲艦側がその対策としてアホほど戦力をブチ込んで来る可能性があっから、転生個体は通常編成では2人まで、連合艦隊では4人まで、支援艦隊まで含めれば6人までってなってるんだわ」
「普通だったら、対峙する相手が相手だから支援艦隊込みで連合艦隊を編成して向かうところなんだろうけど、今回は航行速度も重要になる場面になっているから、どうしても航行速度が遅くなりがちな連合艦隊は使えないんだよね……。支援艦隊に関しても、今回の件では使用許可が下りないだろうし……」
瑞鶴を推薦した理由を述べた護の後にシゲが彼の発言に補足する形でブレイド達へと復習を兼ねて改めて説明をし、この仕様に若干うんざりしているのか、翔がその表情を曇らせながらぼやく様に2人に続く。
「確かに後1人はこの世界での戦いの先輩としていて貰えると助かるわ。頼めるかしら瑞鶴」
「そ、そんな先輩だなんて!」
「ド謙遜しなくて良いわ。事実あなたは私達よりこの世界の戦いの先輩ですもの」
「いや2人とも、教えて貰うと言う意味では正しいけどそんなに持ち上げたら瑞鶴が困ると思うぞ;」
「尚、瑞鶴の実力的にはもっと持ち上げられても良いンゴ。ソースは舞鶴鎮守府のメインサーバー内にあった、2種類の咲作の爺さんとの演習データ。その両方に瑞鶴の名前があって、どちらも中々いい成績叩き出してたンゴ」
理由を述べる護のに加賀とビスマルクがそう言い、慌てる瑞鶴を見てブレイドが注意するが何時の間にか復活していたイオッチが何気なく追い打ちな一言を残す。
その一言にブレイドは止めたげて、瑞鶴のライフがゴリゴリ削れてるから……と内心述べて、レ級達はまた新たな神話生物だろう人物の名前にまた聞いたら頭パッパッラッパーになりそうだから追求しない方向でいた。
「まぁ、とにかく俺と通に瑞鶴、天龍もといブレイドと加賀さんとビスマルクで決まりだな」
「6人とも、アレディさん救出ので注意して欲しい事があるッス。アレディさんの存在が自分達以外の、他の鎮守府や警備府などの艦娘達に見られちゃいけないッス。もしも知られたらこの世界に新しい混乱を生じさせる可能性があるッス。だからこの作戦は自分達以外の誰にも悟られない様に細心の注意を払って迅速に処理して欲しいッス」
確認の点呼をするシゲの後に護が作戦の注意事項を述べる。
「了解!」
「分かりました……所で気になった事があるんですが……」
「何ッスか?」
元気よく返事をするブレイドの後に加賀からの問いに護は聞く。
「いえ、早く行くと言うのは分かったのですが……そのケートスって何人乗りまで出来るんですか?」
「ケートスは水上用機動兵器がコンセプトになってるッスから、エンジンの馬力的には荷物満載の10tトラック1台乗っけても問題無く航行出来るんッスけど、人間を沢山乗せて航行する事は想定されてないッスから、シートのサイズ的に最大搭乗者数は2人までってところッスね~」
なぜ乗れる人数を加賀が確認したかに護は察して説明する。
「あら?そうなると飛べる天龍はともかく、私と加賀のどっちかをどうするかになるわね」
「そんなの、俺が担ぎ上げて運ぶ事になると思うぞ。前もやった事あるしな」
同じ様に気づいたビスマルクの後にシゲがそう言う。
「だったら加賀がバイクに乗って私が担ぎ上げした方が良いわね。バイクで移動するのな速さでは遅い加賀を乗せた方が良いわ」
「では瑞鶴、私の命はあなたに預けたわ」
「重い!!ホントに重いから!!プレッシャーかけるの止めて!!」
お腹いっぱいと叫ぶ瑞鶴に思わず誰もが声を上げて笑った
尚、この後ビスマルクは、自分の発言に後悔する事になるのであった……
そうして皆が一頻り笑って気が済んだのか落ち着いて静かになったところで、突然シゲが自身の両頬を、まるで自身を蝕む緊張を解す様に、そして気合を入れるかの様に勢いよく2度ほど叩き……
「よっしゃてめぇ等ぁっ!準備が出来次第速攻出発すんぞっ!!んで異世界組っ!!おめぇらはヤバいと感じたらこっちのこたぁ気にせずすぐに逃げろっ!!!いいなっ!!?」
「一応、鎮守府に残る自分達の方でも、鎮守府からの援護射撃や衛星を使っての索敵って形で、出来る限り出撃組をサポートしていくつもりッスから、出撃する方もしない方も気張り過ぎない様にするッスよ~」
\了解!/「承知っ!」
両頬を赤くしたシゲが声を張り上げ、それに続く様にして護がそう言うと、出撃するメンバーも鎮守府に残る事となったメンバーも、それに呼応する様に自分達の言葉で力強く返答し、出撃するメンバーは足早に大会議室を後にするのであった
次回を待て
ゆっくり霊夢「と言う訳であとがきだよ~作者代行のゆっくり霊夢だよ~」
ゆっくり魔理沙「助手のゆっくり魔理沙だぜ☆」
ゆっくり霊夢「またも大変長らくお待たせしました!後、今回で終わるかもな嘘ついてごめんね!!」
ゆっくり魔理沙「いやホント、言い訳になるがリアルでの仕事とかやってるゲームのイベントとかで遅れに遅れちまったし、展開を考えるのが大変だったんだ;」
ゆっくり霊夢「ホント稲荷童子さんまたせてしまいすいません!!」
ゆっくり魔理沙「次回を首を長くして、待っててほしいんだぜ;」