憑依天龍が行く!   作:鳴神 ソラ

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ゆっくり霊夢「一応稲荷童子さんとのコラボ最終回だけど」

ゆっくり魔理沙「まだ1つ書くのがあるんだぜ;」



話:ぶつかりあい~の~ハーケンVS空 天龍側編

 

 

「クロム……ドラゴン……!」

 

「やべぇ!すげぇカッコイイ!!」

 

「名乗りもカッケェェ!!」

 

「なのです!!」

 

ポーズを取る空もといクロムドラゴンに天龍は驚き、深雪やレ級、電は目を輝かせてはしゃぐ。

 

「おいコラ空ぁっ!!!光太郎だけでなく何でおめぇまでヒーローみたいに変身してやがんだこの野郎っ!!!そんな報告全く聞いてねぇぞオラァッ!!!その変身ツール、俺に寄越せコンチクショウッ!!!」

 

そんなクロムドラゴンに戦治郎は嫉妬駄々洩れなコメントを叫び、請求するが集中しているのかクロムドラゴンは無視している。

 

「ちきしょぉぉぉぉぉぉぉ!!ぜってぇ悔しがる様な事をしてやるぅぅぅぅぅぅ!!!」

 

むきぃぃぃぃぃぃ!と悔しがる戦治郎にやれやれとマーベラスは呆れる。

 

尚、直後に本気で悔しがる戦治郎を見かねた翔が戦治郎の下へ駆け寄り、彼に対して何かを耳打ちしたところ、戦治郎は凄まじく不満そうな表情を浮かべながらも、悔しがるのをパッタリと止めるのであった

 

何言ったんだろうと天龍は疑問に思ったがあっち側の事情だろうし聞かなかった。

 

カメンライド!ディ・エンド!!

 

それから大して間も空けず、ハーケンは取り出したディエンドライバーにカードをセットしてディエンドに変身。

 

その直後にディエンドとクロム・ドラゴンは特に示し合わせた訳でも無いにも関わらず、まるでディエンドの変身を合図にしたかの様に同時に飛び出し、即座に戦闘を開始するのであった。

 

こうしてディエンドとクロム・ドラゴンの戦いが始まった訳なのだが、先ずはディエンドが先手必勝とばかりにディエンドライバーから銃弾を放って攻撃を仕掛けるのだが、対するクロムドラゴンは瞬時に銃弾の弾道を予測し、半身をズラすと言う最低限の動きで銃弾を回避して見せる。

 

そのまま、その姿勢のまま即座にディエンドに突撃を仕掛け、一気に間合いを詰めると共に、驚くべき速度で腰の捻りを加えた正拳突きを繰り出す。

 

それは信じられない様な体制から、半身をズラして拳の位置と腕の長さを身体で隠す事で、有効射程と狙いを正確に把握し難くした突きを放つクロム・ドラゴンに一瞬驚くディエンドの腹部を見事に捉え、正拳突きの直撃を受けたディエンドを豪快に吹き飛ばして見せる。

 

「おいおい、あんな体勢でも行けるのか!?」

 

「しかも威力つえぇ!?」

 

クロム・ドラゴンの放った正拳突きに深雪と涼風は驚きの声をあげる。

 

アタックライド!ブラスト!!

 

クロム・ドラゴンの正拳突きをモロに受けたディエンドは、リング上をしばらく転がるとすかさず体勢を立て直しディエンドライバーにカードをセットすると、クロム・ドラゴン目掛けて複数の追尾弾を放つ。

 

対するクロムドラゴンは、銀色に輝く光を右腕に纏わせるとすぐさま勢いよく右腕を突き出し、ディエンドが放った追尾弾の数よりも若干多めの光弾を発射する。

 

「なんだありゃあ!?」

 

「あれは【アル・ブラスター】って言う、ヒーロー技に分類される体術技っぽい!因みにヒーローっぽい姿のシャイニング・セイヴァーに変身出来る光太郎さんも、空さんに教えられているから使えるっぽい!」

 

「技なんですか!?」

 

驚きの声をあげる天龍に対して、いつの間にか時雨が操縦するキュクロープス、更にキュクロープスに乗った霞と曙と共にやって来ていた夕立が答え、それを耳にしたM電は更に驚きの声をあげる。

 

因みに夕立達がこちらに来た理由は、戦治郎達がどのポップコーンの味が最も素晴らしいかで喧嘩を始め、その大乱闘に巻き込まれない様にする為に避難して来たのだとか……

 

尚、すこぶる下らない理由で喧嘩を始めた戦治郎達の姿を見た霞は

 

「戦いの時はまともにやるのに、どうして気が緩んでる時はこうもだらしないのよ……」

 

「そうやってしっかり分けられるのは凄いと私は思いますよ霞殿」

 

この様な事をぼやき、そのぼやきへアレディがそう返すのであった。

 

さて、そうしている内に放たれた【アルブラスター】は追尾弾を追尾して次々と撃ち落としていき、追尾弾を全て撃ち落とした光弾はディエンド目掛けて殺到し、【アル・ブラスター】を喰らったディエンドは、その身に纏うアーマーから火花を散らしながら地面を転がるのであった。

 

「凄い……ハーケン提督を圧倒しています」

 

「ええ、見事な動きをしています」

 

「空さんが凄いのは当然っぽい!なんたって夕立の師匠なんだからっ!」

 

驚く赤城の後にそう言ったアレディへと夕立は、まるで自分の事の様に胸を張って自慢する。

 

連続する様に2度も倒れるディエンドを見下ろすクロム・ドラゴンに、ディエンドは起き上がりながら3枚のカードを取り出してディエンドライバーにセットする。

 

カメンライド!アギト!

 

カメンライド!龍騎!

 

カメンライド!クローズ!!

 

辺りに鳴り響く音声の後に、ディエンドは余裕を見せる様に腕を組んで目の前に佇むクロム・ドラゴンにディエンドライバーの銃口を向けてトリガーを引く。

 

するとその直後、ディエンドライバーから3発の光弾が放たれ、それに見覚えがあるクロム・ドラゴンがヘルメットの下で眉を顰めていると、光弾はその形を人の形に変えながら彼の周囲を飛び回り、それはやがて仮面ライダーアギト、仮面ライダー龍騎、仮面ライダークローズに完全に変化し、クロム・ドラゴンをグルリと取り囲むのであった

 

「ちょ、あんなのあり!?」

 

「確か少し前、夕立と江風と一緒に特撮同好会の集まりに参加した時、丁度ディケイドのDVDが流れてたから一緒に見ていたんだけど……、その時ディエンドはあれと全く同じ事をしていたね……」

 

その様子を見ていた霞が思わず叫ぶと、何時の間にかポリ戦車の隣に来てキュクロープスに取り付けられたスピーカー越しに時雨がこの様に返す。

 

天龍的にもディエンドは支援系なライダーで戦えるけど、FFRやFARを使ってない時は他のライダーの補助の方が得意な気がすると思うのだ。

 

そんな天龍達のを知ってか知らずか、その直後に気合いを入れ終えたライダー達3人がクロム・ドラゴンに対して攻撃を仕掛けると、クロム・ドラゴンは即座にパンチを繰り出すクローズの腕を掴んで自分の方へと引き寄せてクローズのバランスを崩すと、一本背負いの要領で彼を地面に勢いよく叩きつけるなり、間髪入れずにその脇腹にローキックをお見舞いする。

 

その後に背後からキックを仕掛けて来るアギトに反応すると、アギトに背中を向けたまま左腕で彼の蹴り足を掴み、すぐさま彼の膝に己の右肘を、逆関節になる様に勢いよく叩きつける。

 

こうして3人掛かりで攻撃を仕掛けるも、クロム・ドラゴン1人相手に劣勢に追いやられるライダー達を目にしたディエンドが、彼等の援護目的でクロム・ドラゴンに向けて、ライダー達の攻撃の合間を縫う様にして銃弾を放つのだが、それはディエンドの思惑から外れ、かえって裏目に出てしまった。

 

クロムドラゴンがディエンドの射撃に感付くなり、クロムドラゴンに攻撃を浴びせようとしていた龍騎の腕を即座に右腕で掴み、片手で器用に龍騎の肘を極めながら背後に回り込み、残った手で龍騎の反対の腕を掴んで完全に彼を拘束し、拘束から逃れようと必死になって藻掻く龍騎の動きに合わせて、クロム・ドラゴンは龍騎と自身の身体の向きを変えてみせ、見事に龍騎をディエンドの銃弾を防ぐ為の盾にしてみせたのである。

 

これにより、龍騎はディエンドの銃弾を受ける羽目になり、これは不味いと思ったディエンドが射撃を中止したその隙に、クロム・ドラゴンは彼の一連の動きを目の当たりにした事で動揺し、硬直していたアギトとクローズの方目掛けて盾にした龍騎を蹴り飛ばし、3人まとめてぶっ飛ばしてしまうのであった。

 

「4人同時に相手してるのに圧倒しちゃってます!?」

 

「しかも相手のを利用してるから熟知してるわね……」

 

「4人くらいならまだ何とかなるっぽい、夕立達の場合、1度の戦闘で1人あたり大体5~10隻くらい、まとめて深海棲艦の相手をしてるっぽい」

 

「ごめん、ちょっと何言ってるか分かんないんだけど……?」

 

「霞は昨日正式に着任したばかりだからね……、まあ、そのうち慣れるさ……」

 

驚く吹雪の隣で加賀はジュースを飲んでからそう呟き、その呟きを耳にした夕立がこの様な言葉を口にすると、それがとても信じられなかったのか霞が額を押さえながらこの様な事を言い、それに対して時雨がキュクロープスの操縦席にて、遠い目をしながらこの様に返答するのであった

 

ソードベント!

 

ビートクローザー!

 

するとアギトがオルタリングの右側を押し、それによって中央から出現したフレイムセイバーを引き抜き、右肩と右腕を変化させてグランドフォームからフレイムフォームにフォームチェンジする。

 

次に龍騎がベルトのカードデッキから取り出したカードを左腕のドラグバイザーにセットし、それと合わせて出現した龍の咆哮と共に空中から飛んで来たドラグセイバーをキャッチする。

 

そして最後にクローズが、ベルトに手を伸ばしビートクローザーを召喚、それを手にするとクロム・ドラゴンを真っ直ぐ見据えながらビートクローザーを構えるのであった。

 

「ベルトや空中から剣が……っ!?」

 

「あんな事も出来るのね……」

 

「それが仮面ライダーだし」

 

驚く霞の隣で次々と起こる現象に頭が痛いのか抑えてる曙に対して、天龍はそう返す。

 

その間に龍騎が最初に飛び出して斬りかかる。

 

クロム・ドラゴンは両腕を銀色に輝かせて受け止めた後にドラグセイバーを受け止めるとすぐさま龍騎からドラグセイバーを奪い取る。

 

それを見た時、何かを感じ取った加賀はどこからともなく取り出したヘッドホンを吹雪の耳に付けた後に目を塞ぐ。

 

次の瞬間、奪い取ったドラグセイバーで驚く龍騎を×の字を描く様に斬り付けた後、がら空きとなった彼の腹部にドラグセイバーを突き立て、何度も手首を返す様にしてその傷口を抉る。

 

「「うえ!?」」

 

「うぷ……」

 

「ひゃぁぁぁぁ!?天龍ちゃん、吐いたら駄目よ!」

 

それを見た深雪と涼風は目を見開き、天龍は口元を抑え、天龍側の龍田が慌てて摩る。

 

実はと言うと天龍はグロイのが苦手である。

 

小さき頃に父が見ていた医療関係の映像のを偶然見てしまった事で苦手になっているのだ。

 

戦闘時は気にしない様にしてるがそれ以外では全然駄目である。

 

尚……

 

「因みに、今のは【無刀取り】って言う大剣の【技】なんだけど、その動作の殆どが体術に通ずるものがある事から、大剣の【技】でも問題無く空さんは使えるみたいよ!」

 

そんな中、この光景を見慣れている夕立は、先程空が繰り出した【技】の解説を行い……

 

「夕立……向こうは多分それどころじゃないと思うよ……?」

 

それを聞いた時雨が、夕立に対してこの様なツッコミを入れるのであった……

 

 

閑話休題

 

 

ビクリビクリと痙攣する龍騎の姿にクロム・ドラゴンはドラグセイバーから手を放し、その直後に彼の腹部に突き刺さったドラグセイバーの柄目掛けて蹴りを放ち、その鍔までもを彼の腹部にめり込ませながらその身体を豪快に吹き飛ばすと、トドメとばかりに地面を蹴って天高く舞い上がり、リング上で仰向けとなって倒れる龍騎の腹部から伸びるドラグセイバーの柄の上に、両腕を組みながら勢いよく着地する。

 

その直後、リングはその衝撃によって龍騎を中心に大きく陥没し、それによって発生した轟音が観戦者達の鼓膜を激しく震わせるのであった。

 

「よ、容赦ないわね……」

 

「え?え?何が起きてるの!?」

 

「ふ、吹雪ちゃんは見ない方が良いよ;」

 

クロム・ドラゴンのあまりにも強烈で、残忍過ぎる連撃を受けた龍騎は完全に消滅していくのを見ながら顔を青ざめて呟く叢雲の隣で白雪は今だに加賀に目と耳を塞がれて戸惑ってる吹雪に聞こえてないだろうがそう言う。

 

ただ、そんなメンバーとは別に離れた場所でバター醤油だのうす塩だのコーンポタージュだのと言いながら、戦治郎達は取っ組み合いの喧嘩を続行していた。

 

そしてそんな戦治郎達の姿を見て苦笑している戦治郎達とは付き合いが長いと言われている艦娘達の姿があった。

 

ちなみに取っ組み合いしている面々ので主張は、以下の通りである

 

戦治郎&通……醤油バター

 

輝……明太子マヨネーズ

 

光太郎&護……キャラメル

 

シゲ&司……うす塩

 

鎧は天龍達と共に唖然としていて、マーベラスは何してるんだが……と言い争っている戦治郎達を見て呆れた顔をし、アレディはクロム・ドラゴンを真剣な顔で見ていた。

 

その間、クロム・ドラゴンは次にクローズへと狙いを定めると、クローズをしっかりと正面に見据え、そこから刹那の内に間合いを詰めて前方飛び回し蹴りを繰り出し、それを首に当てると今度は蹴り足と軸足を変更して後方飛び回し蹴りをクローズの側頭部に叩き込み、続けて浴びせ蹴りの要領でクローズの後頭部に蹴りを打ち込んで最初にいた位置に戻ると、最後にクローズに対して蹴りを放った際に残った軌跡に龍気を送り込み、それによって赤、青、紫の3匹の龍気で出来た龍が軌跡から出現し、龍達はクローズの頭、腹部、両脚をそれぞれ噛み付き、螺旋を描きながら天に昇っていく。

 

「い、今の技は?」

 

「今のは【三龍旋】って言う蹴りの【技】っぽい!本来は龍達を相手に突っ込ませたり、龍達の鱗で相手の身体を削り取ったりするみたいだけど、空さんは【技】の繋ぎとして相手を上空に打ち上げる時に使う事が多いっぽい!因みに夕立は、これが使える様になる為に頑張ってるんだけど、どうしても最後に龍を呼び出す事が出来ないっぽい……。多分まだ修行が足りないっぽい!」

 

「おお、まさに天にも昇る勢いなんだね」

 

赤城の問いに夕立が自慢げに言い、響はパルパンサーのポーズを取りながら呟く。

 

今度はアギトへと狙いを定めたクロム・ドラゴンの周囲に数十人もの同じクロム・ドラゴンが出現し、アギトを取り囲むと本物のクロム・ドラゴンがアギトへと拳打のラッシュを浴びせ始めると分身もそれに倣って対象に拳打のラッシュを浴びせ始める。

 

それによりアギトは身体の至る所をベコベコに陥没させて倒れ伏せ、蓄積したダメージが原因で消滅し始めている

 

「今度は何!?」

 

「あれは【千手観音】と言う拳打の【技】っぽい!空さんが言うにはロマンシング・サガ2と言うゲームの【技】なんだけど、空さんなりに少々アレンジを加えていて、その【技】を発動すると発動者の分身が大量に発生して対象を取り囲んで、発動者が対象に拳打のラッシュを浴びせ始めると、分身もそれに倣って対象に拳打のラッシュを浴びせ始めると言う【技】っぽい!」

 

「確かあの【技】は【活殺破邪法】と同じ様に、弐式と参式があるんだよね?」

 

「ぽいっ!けど参式は空さん1人では出せないっぽい。だから拳闘会のメンバーが増えた時、拳闘会の合体技的な感じで出せる様にしたいって、空さんが言ってたっぽいっ!」

 

次なる空の【技】に驚くレ級に対して夕立が【技】の解説を行うと、以前夕立から話を聞いていた時雨がこの様な疑問を口にし、それを聞いた夕立は合体技とやらが心底楽しみなのか、その双眸をキラキラと輝かせながらこの様に返答するのであった

 

それはそうと、瞬く間の内に3人のライダーを仕留めたクロム・ドラゴンは、両腕を組みウンウンと頷いた後にディエンドへと降伏勧告を言い放つが、ディエンドは降伏勧告を突っぱね、十中八九勝てそうにないと分かっていながらも、己の意地を貫き通す為にクロム・ドラゴンにディエンドライバーの銃口を向けるのであった

 

それにクロムドラゴンはブレスレットを付けた腕を掲げるとその中に格納していた何かを出現させ、それを手に取ると腰のベルトのバックル部分に取り付けた。

 

「新しいのを取り出したわね……」

 

「流れ的に分かる……パワーアップ」

 

それを見て呟く天龍側の龍田の後に初雪が言う。

 

取り出されたのにディエンドも警戒してる様子で見据えている中でクロムドラゴンは徐にブレスレットからUSBメモリーの様な物を抜き出し、それを先程腰に取り付けたデバイスにあるスロットに上から差し込んだ。

 

≪クロム!≫

 

するとその直後にベルトのバックル部に取り付けられたソレから、合成音声の様な女性の声が鳴り響く。

 

「あれ?なんか聞こえた声、翔鶴ねえっぽいんだけど?」

 

「え、うそ……まさかあの時の……?もう、空さんったら……」

 

観客席でその音声を耳にした瑞鶴が思わず驚き、その隣でクロム・ドラゴンの戦いを心配そうに見守っていた翔鶴は途端にその美しい顔を真っ赤に染め上げながら、恥ずかしそうに視線を右往左往させ始めるのであった。

 

クロムドラゴンは今度は右脚のふくらはぎ辺りから先程と似たUSBメモリーの様な物を抜き出して、同じ様にそれに先程のメモリーと隣り合う様に差し込む。

 

≪ニッケル!≫

 

直後にアイアン・シンタリンガーからこの様な音声が鳴り、誰もが見逃さない様に見ていると、クロムドラゴンは腰のベルトから真っ赤なシリンダーを取り出し、それをデバイスの右側部に空いた穴に勢いよく差し込んで見せるのであった

 

≪アイアン!クロム!ニッケル!シンタリング……スタートッ!!≫

 

その直後、音声が鳴り響くと、クロムドラゴンの身体が赤熱した様に真っ赤になっていき、身体の赤熱が収まり、赤熱後のクロムドラゴンの身体はクロム鋼の様な銀色から、ステンレス鋼の様な銀色に変わっていたのであった……

 

≪コンプリート!アロイ・ドラゴン!ステンレス!≫

 

誰もが驚く中で音声はクロムドラゴンのフォームチェンジ完了を知らせる様に鳴り響く。

 

「フォームチェンジした!?」

 

「お、凄いな…」

 

「空あああぁぁぁーーーっ!!!お前ぇぇぇぇぇぇぇーーーっ!!俺を差し置いて強化形態とか出してんじゃねぇぞおおおぉぉぉーーーっ!!!ふざけんなてめえええぇぇぇーーーっ!!!」

 

感嘆の声をあげる深雪と涼風の後に取っ組み合いに参加していたがフォームチェンジした事で未だに基本形態のままの光太郎が魂の叫びを発する。

 

が、その直後、それを隙だと判断したシゲの稲妻レッグラリアットが光太郎に炸裂し、それの直撃を受けた光太郎は勢いよく海面に倒れ込んでしまうのであった。

 

因みにこの時、戦治郎と通はタッグパートナーがいない輝に対して、ツープラトンパワーボムをお見舞いしていた

 

場外乱闘だな……とマーベラスはジュースを飲みながら呆れた顔で見ている。

 

その間にクロム・ドラゴン……いや、アロイ・ドラゴン・ステンレスは、地面にヒビが入る程の勢いで駆け出してディエンドとの間合いを一瞬の内に詰める。

 

驚くディエンドへとアッパーを浴びせてから頭上に打ち上げ、続けざまにアッパーによって上を向いたディエンドの顔面に肘を打ち下ろし、これによって前屈みになったディエンドの頭部を両手で抱え込むと、そのまま勢いよく両手を振り下ろし、それと同時に繰り出した右膝をディエンドの顔面に突き立てる。

 

「え、えげつねぇ……」

 

「相手を確実に仕留めようとする戦い……そうしないとこの世界は厳しいと言う事ですか……」

 

「そうだね……、最初に提督が話したと思うけど、この世界には提督達の様な強力な転生個体が沢山いて、それは大小様々な組織を組んでいたり、野良としてその辺りの海を漂っていたりするからね……」

 

「実際、夕立達がいたショートランド泊地は、野良の転生個体のヌ級の襲撃を受けてボロボロになっちゃったっぽい……。もしあの時空さんと出会っていなかったら、多分夕立達も翔鶴さんも……」

 

呟いた深雪のに加賀は厳しい顔をして呟いたところ、時雨と夕立が当時の事を思い出しながらこの様な事を口にし、それをキュクロープスの上で聞いていた曙は、何かを思い出したのか無言でギリリッと歯を食いしばりながら、それはそれは忌々し気な表情をその顔に貼り付けるのであった。

 

その最中、シゲの攻撃を受けた光太郎を護が助け起こし、そのついでに護が光太郎の艤装に取り付けられた双腕重機アームに電気を流し込んで帯電させ、光太郎と護は帯電した双腕重機アームと、昨日の戦いのせいで失われた右腕の代わりとして取り付けた義手を使って、戦治郎と通を感電させていた。

 

お前等、ポップコーンの味でどこの乱闘ゲームな事してんだよとマーベラスはホットドッグを食べながら呆れる。

 

その間も連続攻撃で身動きの取れないディエンドへとアロイ・ドラゴン・ステンレスはそれはもう幾度となくディエンドに対して先程のを繰り返し、ディエンドが弱って来た事をその手に伝わる感触から感じ取ると、これまで以上の力を込めてディエンドの頭部に膝蹴りを叩き込んでディエンドの身体を上方へ飛ばす。

 

そうしてディエンドが宙を待っている間に、アロイ・ドラゴン・ステンレスは己の艤装及び兵装であるライトニングⅡとテキサスを呼び出し、それらを変形させて両腕に装着すると共にアロイ・ドラゴン・ステンレスの気合の咆哮を発する。

 

それに呼応するかの様に、ライトニングⅡとテキサスは銀色の光を纏い始め、それはやがて五本爪の龍の腕の形へと変化していく。

 

そして銀光の変化が終了したところで、アロイ・ドラゴン・ステンレスの目の前に先程彼が打ち上げたディエンドが落下して来る。

 

次の瞬間、アロイ・ドラゴン・ステンレスは途轍もない数の残像を発生させる程の、驚異的な速度でその両腕をディエンドに叩き込み始める。何百、何千、何万と、最早数えきれない程その拳をディエンドに叩きつけた所で先程までアロイ・ドラゴン・ステンレスの両腕にあった五本爪の龍の腕を1度銀色の光に戻した後自身の右腕へ集め、右腕に集まった銀光はやがて巨大な白銀の龍へと姿を変える。

 

そしてトドメとばかりにアロイ・ドラゴン・ステンレスが打ち上げる様な軌道で右拳を繰り出し、それがディエンドの肋骨の内側にめり込む様にディエンドの身体に叩きつけられると、アロイ・ドラゴン・ステンレスはその拳を天に向ける様に振り上げる。

 

するとディエンドの身体と共に銀龍もアロイ・ドラゴン・ステンレスの右腕から撃ち出され、ディエンドは銀龍の鼻先に引っかかった状態で、それはもう尋常では無い速度で真っ直ぐ後方に飛んで行き、遂には埠頭に停泊していたゴーカイガレオンに勢いそのままに激突、辺りに耳を劈く様な轟音を響かせるのであった。

 

「何あれ!?」

 

「あれは【龍神烈火拳】っぽい!空さんの代名詞にして、とっておき中のとっておきの【技】っぽい!」

 

「うわぁ……名前からしてめっちゃヤバいのだわ……」

 

「それは間違いないっぽい、現にこの世界のブーゲンビル島の一部は、この技の影響で形が変わっちゃったっぽい!その射線上にあったラハラ湖に至っては、周囲の陸地が削り取られて完全に海になっちゃったっぽい!」

 

「ちょっとっ!?それは使っていい【技】なのっ?!あの人無事で済むのっ?!?」

 

驚く叢雲の隣でアロイ・ドラゴン・ステンレスが放った【技】の名前を叫ぶ夕立の発言に北上はうへぇと漏らし、続けてこの様な事を夕立が口にすると、霞は驚愕しながら夕立に向かってこの様に問い掛けるのであった

 

最後にテキサスの杭打機によるアッパーを叩き込むと同時に出て来た空自身が使う気、龍気で出来た銀色の龍の鼻先にディエンドを引っかけて飛んで行く。

 

「あの……マーベラスさん……このままだとガレオンに……」

 

「ああ、激突するな」

 

向かう先を見て不安げに聞く鎧の隣でホットドッグを食べ終えたマーベラスはあっけらかんに肯定する。

 

直後に勢いを一切殺さずにディエンドをひっかけていた銀龍はガレオンに激突する。

 

そのまま艦の側部にディエンドをめり込ませたガレオンを20mほど吹き飛ばした後、銀龍がディエンドがめり込んでいる部分を中心に捉えてガレオンに噛み付く。

 

「大丈夫か!?これ普通にさっきの剛さんみたいにハーケン提督大丈夫か!?」

 

「うーん……ドドン引きね」

 

「ビスマルク義姉さま……その表現は変かと;」

 

「え?何?怒首領蜂?」

 

「瑞鶴……今はゲームの事は忘れておきなさい……?」

 

絶叫する天龍の隣で呟いたビスマルクのにツッコミを入れるプリンツの隣で何やら反応した瑞鶴に翔鶴がそう言う。

 

天龍が叫んでる間も噛み付いた銀龍はディエンドごと噛み付いたガレオンと共に、天に向かって上昇し始める。

 

「あれどこまで行くんですか!?」

 

「ちょっと前に計測した時は、地上から10kmの所まで行ったみたいっぽい」

 

「それ、どれ位ですか?」

 

「標高が約8850mあるエベレストよりも高い位置だね……あのあたりまで行くと、相当酸素が薄いと思うんだけど……」

 

「つまり、もの凄く高い場所まで飛ばされたって事か!?」

 

吹雪の叫びに対して夕立はこの様に答え、五月雨の疑問に時雨がこの様に答えると、傍で話を聞いていた涼風や他数名は、愕然としながら天を見上げるのであった。

 

誰だってそんな高い所まで飛ばされたら驚くのは仕方ない。

 

その間、銀龍は自身の身体を捻りながら螺旋を描く様にグルグルと回転しながら急降下を開始する。

 

それから大して間も空けずして……

 

ドカーーーーーーーン!!!!

 

銀龍はゴーカイガレオンを咥えたままリングに激突、周囲に心臓が圧迫感を覚える程の爆音を撒き散らした。

 

銀龍の激突によって発生した土煙によってリング周辺が碌に見えなくなった中、この事態を引き起こした元凶である銀龍は、天に向かって咆哮を上げた後、その咆哮によって霧散する土煙と共にその姿を消滅させる。

 

それを見届けて銀龍の着弾点に背を向けながらアロイ・ドラゴン・ステンレスは変身を解く。

 

「ハーケン殿!」

 

その後、唖然とする天龍達に変わってアレディが急いで落下地点に向かった所、そこにはボロボロになったガレオンと、変身が解除されたハーケンの姿があった。

 

「悟殿!治療をお願いします!」

 

アレディがボロボロになったハーケンを背負い、悟の下へ向かう中……

 

「戦治郎、お前はそのうち海軍の英雄になれるんだ、それで我慢しろ。それと光太郎、これが自力で開発出来る者と出来ない者の差だ……。さて、それはそうと……」

 

戦ってる時に自分のを見て叫んでいた2人へと空はそう言い……

 

「翔っ!!!ミルクチョコレート味のポップコーンを頼むっ!!!

 

直後に銀龍の着弾点に背を向けた姿勢のまま翔に向かってそう叫び、出て来た言葉に天龍達はずっこける。

 

「空ぅぅぅぅぅ!!てめぇ、醤油バターだろそこはぁぁぁぁ!!」戦治郎

 

「先輩の言う通りですよ」通

 

「いやいや!明太子マヨネーズっしょ!!」輝

 

「王道のキャラメルは譲れない!」光太郎

 

「その通りッス!キャラメルが一番ッス!」護

 

「戦治郎さんと言えぞ!定番のうす塩は譲れねえ!!」シゲ

 

「そそそ、ポップコーンと言えばうす塩っしょ!」司

 

そんな空の注文を聞いた途端、先程からずっとポップコーンの味はどれが最も素晴らしいかで喧嘩していた戦治郎達が各々にそう言いながらボロボロになったリングに殺到し、空はハーケンとの一戦を終わらせた直後であるにも関わらず、そのまま戦治郎達と大乱闘を開始するのであった……

 

「バカ騒ぎに好きな奴らだな……」

 

そんな戦治郎達にマーベラスはポテトをポリポリ食べながら最後まで呆れる。

 

「(いや、提督達も大概だけど……)」

 

「(見ていながら終わるまで色々と食べていたマーベラスさんも大概だね;)」

 

空とハーケンの戦いが始まってから終わるまで他のメンバーが食べてなかったのに食べていたマーベラスに内心ツッコミを入れる曙と時雨であった。

 

 

 

 

 

 

 

 

次回を待て




ゆっくり霊夢「と言う訳であとがきだよ~作者代行のゆっくり霊夢だよ~」

ゆっくり魔理沙「助手のゆっくり魔理沙だぜ☆」

ゆっくり霊夢「天龍達側視点ので、遅れてしまい誠に申し訳ありませんでした!!」

ゆっくり魔理沙「稲荷童子さんからの要望の天龍の心象をどう書こうと悩んでいたのでこの話の掲載が遅れました!!」

ゆっくり霊夢「ホント迷惑をかけまくってる作者ですいません!」

ゆっくり魔理沙「言われた奴は完成したら投稿しますので首を長くしてお待ちください!!」

ゆっくり霊夢「凄くへっぽこなこちらとコラボしてくださりありがとうございました!!!!」

ゆっくり魔理沙「本当にそちらの予定を潰したりした者ですが小説完結頑張ってください!!!!」


2019年10月1日追記

ゆっくり霊夢「あちら側からのお願いで終わる部分を変えて修正しました」

ゆっくり魔理沙「消した分と合わせて稲荷童子さんからお願いされたシーンを追加して書き上げたら投稿するんだぜ」








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