憑依天龍が行く!   作:鳴神 ソラ

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ゆっくり霊夢「今回は稲荷童子さんにリクエストされて視点を変えてのを投稿するよ~」

ゆっくり魔理沙「まずは戦うハーケン側からのなんだぜ」


話:ぶつかりあい~の~ハーケンVS空 ハーケン側編

 

 

「(ヒュ~♪)なかなか良いなノリだぜ……」

 

クロム・ドラゴンへの変身を終え、名乗りを上げた空の姿を見たハーケンは、思わず口笛を吹きその感想を述べる。

 

ハーケンの称賛と観客席の天龍達や漣達の様子に空はフルフェイスヘルメットの下で、初変身した時の様に表情筋が死んでいるのではないかと思われるほど無表情なその顔に、ご満悦と言った様子の表情を浮かべた気分になった。

 

ちなみに、変身した空もといクロムドラゴンに戦治郎は嫉妬駄々洩れなコメントを叫んで請求をしていたが戦いに集中し始めたクロムドラゴンはそれを無視してハーケンをみつえる。

 

カメンライド!

 

「させとこっちもテンションが上がったから同じ事をやらせて貰うぜミスタードラゴンスカイ!変身!」

 

ディ・エンド!!

 

それから大して間も空けず、ハーケンはこの言葉と共に取り出したディエンドライバーにカードをセットして変身。

 

その直後にディエンドとクロム・ドラゴンは特に示し合わせた訳でも無いにも関わらず、まるでディエンドの言葉を合図にしたかの様に同時に飛び出し、即座に戦闘を開始するのであった。

 

こうしてディエンドとクロム・ドラゴンの戦いが始まった訳なのだが、先ずはディエンドが先手必勝とばかりにディエンドライバーから銃弾を放って攻撃を仕掛けるのだが、対するクロムドラゴンは瞬時に銃弾の弾道を予測し、半身をズラすと言う最低限の動きで銃弾を回避して見せる。

 

そのまま、その姿勢のまま即座にディエンドに突撃を仕掛け、一気に間合いを詰めると共に、驚くべき速度で腰の捻りを加えた正拳突きを繰り出す。

 

それは信じられない様な体制から、半身をズラして拳の位置と腕の長さを身体で隠す事で、有効射程と狙いを正確に把握し難くした突きを放つクロム・ドラゴンに一瞬驚くディエンドの腹部を見事に捉え、正拳突きの直撃を受けたディエンドを豪快に吹き飛ばして見せる。

 

「っう!なら!」

 

アタックライド!ブラスト!!

 

クロム・ドラゴンの正拳突きをモロに受けたディエンドは、リング上をしばらく転がるとすかさず体勢を立て直しディエンドライバーにカードをセットすると、クロム・ドラゴン目掛けて複数の追尾弾を放つ。

 

対するクロムドラゴンは、銀色に輝く光を右腕に纏わせるとすぐさま勢いよく右腕を突き出し、ディエンドが放った追尾弾の数よりも若干多めの光弾を発射する。

 

そうしてクロム・ドラゴンの右腕から放たれたそれは【アル・ブラスター】と呼ばれる技だ。

 

【アルブラスター】は追尾弾を追尾して次々と撃ち落としていき、追尾弾を全て撃ち落とした光弾はディエンド目掛けて殺到し、【アル・ブラスター】を喰らったディエンドは、その身に纏うアーマーから火花を散らしながら地面を転がるのであった。

 

「どうした?まだ始まったばかりだぞ」

 

「ああ、こっちもディエンドの戦い方をさせて貰うさ」

 

連続する様に2度も倒れるディエンドを見下ろしながら、クロムドラゴンがまるで彼を挑発する様に話し掛けると、ディエンドは起き上がりながらそう返した後、3枚のカードを取り出してディエンドライバーにセットする。

 

カメンライド!アギト!

 

カメンライド!龍騎!

 

カメンライド!クローズ!!

 

辺りに鳴り響く音声の後に、ディエンドは余裕を見せる様に腕を組んで目の前に佇むクロム・ドラゴンにディエンドライバーの銃口を向けてトリガーを引く。

 

するとその直後、ディエンドライバーから3発の光弾が放たれ、それに見覚えがあるクロム・ドラゴンがヘルメットの下で眉を顰めていると、光弾はその形を人の形に変えながら彼の周囲を飛び回り、それはやがて仮面ライダーアギト、仮面ライダー龍騎、仮面ライダークローズに完全に変化し、クロム・ドラゴンをグルリと取り囲むのであった

 

ライダーを出現させたのに戦治郎側の艦娘達は驚きの声をあげる。

 

「はっ!」

 

「しゃあ行くぜ!」

 

「おうよ!」

 

ディエンドが呼び出したライダー達がそれぞれ気合いを入れる様に声を上げる。

 

「アギト、龍騎、クローズ……見事に龍がモチーフになっているライダーばかりだな……惜しむらくは、電王のガンフォームがいない事だな……」

 

クロム・ドラゴンは周囲を見回す様にその面々の顔を確認すると誰にも聞こえない様な小さな声でそう呟きながら、ない者は仕方ないと頭を振った。

 

さて、クロム・ドラゴンがそんな事を呟いてる事を知ってか知らずか、その直後に気合いを入れ終えたライダー達3人がクロム・ドラゴンに対して攻撃を仕掛けると、クロム・ドラゴンはそれを即座に、そして冷静に分析してみせ、パンチを繰り出すクローズの腕を掴んで自分の方へと引き寄せてクローズのバランスを崩すと、一本背負いの要領で彼を地面に勢いよく叩きつけるなり、間髪入れずにその脇腹にローキックをお見舞いする。

 

その後に背後からキックを仕掛けて来るアギトに反応すると、アギトに背中を向けたまま左腕で彼の蹴り足を掴み、すぐさま彼の膝に己の右肘を、逆関節になる様に勢いよく叩きつける。

 

こうして3人掛かりで攻撃を仕掛けるも、クロム・ドラゴン1人相手に劣勢に追いやられるライダー達を目にしたディエンドが、彼等の援護目的でクロム・ドラゴンに向けて、ライダー達の攻撃の合間を縫う様にして銃弾を放つのだが、それはディエンドの思惑から外れ、かえって裏目に出てしまった。

 

クロムドラゴンがディエンドの射撃に感付くなり、クロムドラゴンに攻撃を浴びせようとしていた龍騎の腕を即座に右腕で掴み、片手で器用に龍騎の肘を極めながら背後に回り込み、残った手で龍騎の反対の腕を掴んで完全に彼を拘束し、拘束から逃れようと必死になって藻掻く龍騎の動きに合わせて、クロム・ドラゴンは龍騎と自身の身体の向きを変えてみせ、見事に龍騎をディエンドの銃弾を防ぐ為の盾にしてみせたのである。

 

これにより、龍騎はディエンドの銃弾を受ける羽目になり、これは不味いと思ったディエンドが射撃を中止したその隙に、クロム・ドラゴンは彼の一連の動きを目の当たりにした事で動揺し、硬直していたアギトとクローズの方目掛けて盾にした龍騎を蹴り飛ばし、3人まとめてぶっ飛ばしてしまうのであった。

 

こうしてクロム・ドラゴンにぶっ飛ばされたライダー達は、何とか体勢を立て直す為に起き上がり、それと同時に内心でこう呟く。

 

「「「(こいつ(この人)相手に素手は不味い……」」」

 

そう考えたライダー達は、各々に武器を手にする為に、すぐさま行動を開始するのであった。

 

ソードベント!

 

ビートクローザー!

 

先ずアギトがオルタリングの右側を押し、それによって中央から出現したフレイムセイバーを引き抜き、右肩と右腕を変化させてグランドフォームからフレイムフォームにフォームチェンジする。

 

次に龍騎がベルトのカードデッキから取り出したカードを左腕のドラグバイザーにセットし、それと合わせて出現した龍の咆哮と共に空中から飛んで来たドラグセイバーをキャッチする。

 

そして最後にクローズが、ベルトに手を伸ばしビートクローザーを召喚、それを手にするとクロム・ドラゴンを真っ直ぐ見据えながらビートクローザーを構えるのであった。

 

「む、剣か…」

 

「おりゃあ!」

 

その様子を見ていたクロム・ドラゴンが呟いた直後、ドラグセイバーを手にした龍騎が振り下ろしによる斬撃を喰らわせんとばかりに、クロム・ドラゴンとの間合いを詰めて斬りかかろうとするのだが……

 

「……ふっ!」

 

クロム・ドラゴンは、気合いを入れる様に短く息を吐いた後、銀色の輝きを放つ両腕で受け止めた後に龍騎からドラグセイバーを奪い取る。

 

これは【無刀取り】、世間一般的には真剣白刃取りの名で知られている【技】で、敵の武器による攻撃をその手で掴んで防いだ後、隙を突く、若しくは力業で相手から得物を奪い取り、そのまま自分の武器として反撃に使用すると言うカウンター技なのである。

 

奪い取ったドラグセイバーで驚く龍騎を×の字を描く様に斬り付けた後、がら空きとなった彼の腹部にドラグセイバーを突き立て、何度も手首を返す様にしてその傷口を抉る。

 

「がぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!?」

 

ビクリビクリと痙攣する龍騎の姿から、彼が弱ってきている事を確認すると、クロム・ドラゴンはドラグセイバーから手を放し、その直後に彼の腹部に突き刺さったドラグセイバーの柄目掛けて蹴りを放ち、その鍔までもを彼の腹部にめり込ませながらその身体を豪快に吹き飛ばすと、トドメとばかりに地面を蹴って天高く舞い上がり、リング上で仰向けとなって倒れる龍騎の腹部から伸びるドラグセイバーの柄の上に、両腕を組みながら勢いよく着地する。

 

その直後、リングはその衝撃によって龍騎を中心に大きく陥没し、それによって発生した轟音が観戦者達の鼓膜を激しく震わせるのであった……。

 

「ガ……ッ!?ハァ……」

 

クロム・ドラゴンのあまりにも強烈で、あまりにも残忍過ぎる連撃を受けた龍騎は、くぐもった断末魔を上げた後完全に消滅してしまい、その様子を見ていたアギトとクローズは、思わず立ち尽くし呆然とクロム・ドラゴンの方を見ていたのであった……。

 

(おいおいおい……、ミスタードラゴンスカイの奴、見た目とは裏腹にとんでもねぇ戦い方しやがるな……)

 

遠巻きにクロム・ドラゴンの戦い方を目の当たりにし、思わず動揺するディエンドはギャラリーの方へチラリと視線を向けると、そこには突然の出来事に唖然とする天龍達と一部の戦治郎達のところの艦娘達があった。

 

ただ、そんなメンバーとは別にバター醤油だのうす塩だのコーンポタージュだのと言いながら取っ組み合いの喧嘩をする戦治郎達、そしてそんな戦治郎達の姿を見て苦笑する、戦治郎達とは付き合いが長いと言われている艦娘達の姿があったのであった……

 

鎧は天龍達と共に唖然としていて、マーベラスは戦治郎達やクロム・ドラゴンを見て呆れた顔をし、アレディは真剣な顔で見ていた。

 

「(喧嘩しているミスター達は兎も角、あれを見て動揺していない艦娘達は、ミスター達と付き合いが長い艦娘達だったか……これは肝が据わってると言うより、あの戦い方を見慣れてると言った感じだな……って事は、この世界の戦い方ってのはミスタードラゴンスカイの様な戦い方が普通……或いはここまでしないと生きていけない程、戦況が過酷なものになってるって事なんだろうな……ったく、なんてクレイジーワールドだな此処は……)」

 

ギャラリーの様子を見て、ディエンドが内心で舌打ちしながらこの様な事を呟いていると……

 

「ウオオオォォォーーー!!!……」

 

突然クローズの悲鳴が上がるのだが、それはまるで天高く昇って行くロケットのエンジン噴射音の如く、天に向かって掻き消えていく感じであった。

 

何事かと思いディエンドがそちらに視線を向けると、そこには赤、青、紫の3匹の龍に、それぞれ頭、腹部、両脚を噛まれたまま、螺旋を描きながら天に昇っていくクローズの姿があり……

 

「ぐぶ……っ!」

 

ディエンドが天高く昇っていくクローズの姿を視認した直後、今度は前方からアギトの呻き声が聞こえ、ディエンドがそちらに視線を向けると、そこには身体の至る所をベコベコに陥没させて倒れ伏せ、蓄積したダメージが原因で消滅し始めているアギトの姿と、何らかの【技】によって出現したのだろうと思わしき数十体にものぼるクロム・ドラゴンの残像と、クロム・ドラゴン本体の姿があった。

 

「ふむ、やはり剣より拳だな」

 

瞬く間の内に3人のライダーを仕留めたクロム・ドラゴンは、両腕を組みウンウンと頷きながらこの様な事を平然とした様子で呟いており、そんなクロム・ドラゴンの姿を目の当たりにしたディエンドは軽く言ってくれるねとぼやきながらも冷たい汗を垂らす。

 

「さて……」

 

その直後、クロム・ドラゴンがそう呟きながら、徐にディエンドの方へと向き直り……

 

「お前が召喚したライダー達は、この通り全員この場から退場したが……、どうする?まだ続けるか?」

 

大胆にもディエイドに向かってこの様な事を……事実上の降伏勧告を言い放つのだが……

 

「生憎、ここまで好き勝手やられておいて、ハイ分かりましたと素直に引き下がれる性質じゃないんでね……っ!」

 

ディエンドはそう言ってクロム・ドラゴンの降伏勧告を突っぱね、十中八九勝てそうにないと分かっていながらも、己の意地を貫き通す為にクロム・ドラゴンにディエンドライバーの銃口を向けるのであった

 

「そうか……、まだ俺と戦う意志があると言うのだな……。ならば先ほどのアレディ同様、お前に手加減するのは失礼にあたるな……。そう言う訳で、そんなお前に対しての餞として、全力……はこちらの都合で出す訳にはいかないが、俺のとっておきでお前を打ち倒すとしよう……」

 

そう言ってクロムドラゴンはブレスレットを付けた腕を掲げるとその中に格納していた物、アイアン・シンタリンガーを出現させて、それを手に取ると腰のベルトのバックル部分に取り付けた。

 

ほうと興味深そうに見ながらディエンドは警戒して見据えている中でクロムドラゴンは徐にブレスレットからUSBメモリーの様な物を抜き出し、それを先程腰に取り付けたデバイスにあるスロットに上から差し込んだ。

 

≪クロム!≫

 

するとその直後にベルトのバックル部に取り付けられたソレから、合成音声の様な女性の声が鳴り響き、観客席でその音声を耳にした瑞鶴が思わず驚き、その隣でクロム・ドラゴンの戦いを心配そうに見守っていた翔鶴は、途端にその美しい顔を真っ赤に染め上げながら、恥ずかしそうに視線を右往左往させ始めるのであった。

 

そんな中、クロムドラゴンは今度は右脚のふくらはぎ辺りから先程と似たUSBメモリーの様な物を抜き出して、同じ様にバックル部のソレに先程のメモリーと隣り合う様に差し込む。

 

≪ニッケル!≫

 

その刹那、それから今度はこの様な音声が鳴り、何が起きているかを把握する為に、誰もがその様子を見逃さない様に目を見開いて見ていると、クロムドラゴンは腰のベルトから燃え滾るマグマの様に真っ赤なシリンダーを取り出し、それをデバイスの右側部に空いた穴に勢いよく差し込んで見せるのであった

 

≪アイアン!クロム!ニッケル!シンタリング……スタートッ!!≫

 

その直後、音声が鳴り響くと、クロムドラゴンの身体が赤熱した様に真っ赤になっていき、身体の赤熱が収まり、赤熱後のクロムドラゴンの身体はクロム鋼の様なギラ付いた銀色から、ステンレス鋼の様な少々くすんだ銀色に変化していたのであった……

 

≪コンプリート!アロイ・ドラゴン!ステンレス!≫

 

観客席で誰もが驚く中、件のデバイスはクロムドラゴンのフォームチェンジ完了を知らせる様に、辺りにその音声を鳴り響かせる。

 

ちなみに今度は取っ組み合いに参加していたが未だにシャイニングセイヴァーが基本形態のままの光太郎が取っ組み合いから外れて魂の叫びを発していたが戦治郎の時の様に無視された。

 

その後に悔しさでうぉぉぉぉぉ!!と再び取っ組み合いに加わる。

 

「では……行くぞ……っ!」

 

「っ!がは!!!?」

 

その言葉と共にクロム・ドラゴン……いや、アロイ・ドラゴン・ステンレスは、地面にヒビが入る程の勢いで駆け出してディエンドとの間合いを一瞬の内に詰める。

 

驚くディエンドへとアッパーを浴びせてから頭上に打ち上げ、続けざまにアッパーによって上を向いたディエンドの顔面に肘を打ち下ろし、これによって前屈みになったディエンドの頭部を両手で抱え込むと、そのまま勢いよく両手を振り下ろし、それと同時に繰り出した右膝をディエンドの顔面に突き立てる。

 

連続攻撃で身動きの取れないディエンドへとアロイ・ドラゴン・ステンレスはそれはもう幾度となくディエンドに対して先程のを繰り返し、ディエンドが弱って来た事をその手に伝わる感触から感じ取ると、これまで以上の力を込めてディエンドの頭部に膝蹴りを叩き込んでディエンドの身体を上方へ飛ばす。

 

そうしてディエンドが宙を待っている間に、アロイ・ドラゴン・ステンレスは己の艤装及び兵装であるライトニングⅡとテキサスを呼び出し、それらを変形させて両腕に装着すると……

 

「疾っ!!」

 

アロイ・ドラゴン・ステンレスのこの声に呼応するかの様に、ライトニングⅡとテキサスは銀色の光を纏い始め、それはやがて五本爪の龍の腕の形へと変化していく。

 

そして銀光の変化が終了したところで、アロイ・ドラゴン・ステンレスの目の前に先程彼が打ち上げたディエンドが落下して来る。

 

その次の瞬間、アロイ・ドラゴン・ステンレスは途轍もない数の残像を発生させる程の、驚異的な速度でその両腕をディエンドに叩き込み始める。何百、何千、何万と、最早数えきれない程その拳をディエンドに叩きつけたところで……

 

「制っ!!!」

 

アロイ・ドラゴン・ステンレスは掛け声と共に、先程までアロイ・ドラゴン・ステンレスの両腕にあった五本爪の龍の腕を、1度銀色の光に戻した後自身の右腕へ集め、右腕に集まった銀光はやがて巨大な白銀の龍へと姿を変える。

 

そしてトドメとばかりにアロイ・ドラゴン・ステンレスが打ち上げる様な軌道で銀龍を纏った右拳を繰り出し、それがディエンドの肋骨の内側にめり込む様にディエンドの身体に叩きつけられると、アロイ・ドラゴン・ステンレスはその拳を天に向ける様に振り上げる。

 

するとディエンドの身体と共に銀龍もアロイ・ドラゴン・ステンレスの右腕から撃ち出され、ディエンドは銀龍の鼻先に引っかかった状態で、それはもう尋常では無い速度で真っ直ぐ後方に飛んで行き、遂には埠頭に停泊していたゴーカイガレオンに勢いそのままに激突、辺りに耳を劈く様な轟音を響かせるのであった。

 

さて、普通ならこれで終わりだと思うところだが、残念ながらそうはいかない。

 

何故なら先程アロイ・ドラゴン・ステンレスが繰り出した【技】、それは彼のとっておきである【龍神烈火拳】と呼ばれるとあるゲームに登場する体術技の1つで、今回は使用していない【タイガーブレイク】と並ぶ最強体術技の1つと数えられている【技】であり、それは過去に空がショートランド泊地がとある転生個体に襲撃された時に使用した際、ショートランド泊地のすぐ近くにあるブイン基地付近の地図を書き替えざるを得なくなる様な事態を発生させた事があるのである!!

 

そんな【技】が、この程度で終わる訳がないのである。

 

ゴーカイガレオンの側部にめり込んだディエンドは、ゴーカイガレオンごと20mほど吹き飛び、ゴーカイガレオンが横倒しになりながら海面に叩きつけられたところで、銀龍が追撃とばかりにディエンドがめり込んでいる部分を中心に捉えてガレオンに噛み付き、銀龍はゴーカイガレオンごとディエンドと共に天高く上昇し始める。

 

そして大気圏の中にある対流圏の中頃あたり、地上10km程の高さまで昇ったところで、銀龍は自身の身体を捻りながら螺旋を描く様にグルグルと回転しながら、今度は急降下を開始する。

 

(くう……っ!流石にこいつぁヤバすぎだぜ……っ!)

 

高度による酸素の薄さから来る酸欠と、急降下によるGと回転によって平衡感覚を狂わされる様な感覚を味わう事で、気絶寸前に陥ったディエンドは内心でこの様な事を呟く。

 

それから大して間も空けずして……

 

ドカーーーーーーーン!!!!

 

銀龍はゴーカイガレオンを咥えたままリングに激突、周囲に心臓が圧迫感を覚える程の爆音を撒き散らした。

 

銀龍の激突によって発生した土煙によってリング周辺が碌に見えなくなった中、この事態を引き起こした元凶である銀龍は、天に向かって咆哮を上げた後、その咆哮によって霧散する土煙と共にその姿を消滅させる。

 

「ハーケン・ブロウニング……もしもまた俺と戦う様な事になった時……その時はファントムも連れてくるといい……例えお前が俺が知るハーケン・ブロウニングでなくても、ファントムの存在を知らなかったとしても、きっとその名前が……言霊の力が奇跡を起こしてくれるかもしれんからな……」

 

銀龍の着弾点に背を向けたアロイ・ドラゴン・ステンレス……否、既に変身を解いた空は、この様な事を呟くのであった。

 

その後、唖然とする天龍達に変わってアレディが急いで落下地点に向かったところ、そこにはボロボロになったガレオンと、変身が解除されたハーケンの姿があり、アレディがボロボロになったハーケンを背負い、悟の下へ向かう中……

 

「ああ、戦治郎、お前はそのうち海軍の英雄になれるんだ、それで我慢しろ。後、光太郎……これが自力で開発出来る者と出来ない者の差だ……それと……」

 

戦ってる時に自分のを見て叫んでいた2人へとそう言い……

 

「翔っ!!!ミルクチョコレート味のポップコーンを頼むっ!!!

 

空は銀龍の着弾点に背を向けた姿勢のまま翔に向かってそう叫び、出て来た言葉に天龍達はずっこけ、それを聞いた途端、先程からずっとポップコーンの味はどれが最も素晴らしいかで喧嘩していた戦治郎達がボロボロになったリングに殺到し、空はハーケンとの一戦を終わらせた直後であるにも関わらず、そのまま戦治郎達と大乱闘を開始するのであった……

 

ちなみにそれをマーベラスは呆れた顔でポテトを齧りながら見ていたのであった。

 

 

 

 

 

次回を待て

 

 




ゆっくり霊夢「と言う訳であとがきだよ~作者代行のゆっくり霊夢だよ~」

ゆっくり魔理沙「助手のゆっくり魔理沙だぜ☆」

ゆっくり霊夢「はい、今回は視点を変えた感じのでお送りしました」

ゆっくり魔理沙「観客の主な反応のは次回になるんだぜ」

ゆっくり霊夢「いやーホント初の試みでした」

ゆっくり魔理沙「あんまりこう言うのはやった事ないもんな……」

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