境界線上の傾奇者   作:ホワイトバス

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走れや走れ

勝ち取れ、奪い取れ

それでしか得られないものもある

配点《手柄》



疾走中の手柄者

 

 

 

 

「やあやあ、今日日も派手にやってるねぇ。それにしても武蔵さんはいいのかい? あんな派手にやってちゃあ、後片付けも大変だろ? 」

 

「ですが、現在戦闘領域なのは多摩市中、管轄は"多摩"が担ってますので。――――以上」

 

 

 中央前艦の艦首付近の展望台デッキ、そこで無数のモップやブラシが人力を使わずして一人掃除していた。

その掃除用具を指揮するのは肩に "武蔵" の腕章をつけた黒髪の自動人形。

 不動かつ無表情ともいえる頑な態度の彼女を、後ろから呼ぶ男がいた。

 

 

「こんな朝っぱらからお掃除かい。精が出るねぇ、武蔵さんは」

 

「Jud.。掃除は自動人形の基礎業務ですし、重力制御で行っているので苦労に値しません。ぶっちゃけ暇です。――――以上」

 

 

 Jud.Jud. とその横に中年の男、武蔵アリアダスト教導院学長の酒井・忠次が並んだ。

 彼は一つ大きなあくびと共に。

 

 

「そういや、次は三河だったっけかな?」

 

「Jud.。まもなく三河入港ですが……、それが何か? ――――以上」

 

「いやね。三河中央にいる仲間から『十年ぶりに顔出せ』って飲む誘いが来てね。今三河は鎖国状態ってのによくそんな呑気なこと出来るよなぁ、あいつらは」

 

「そうでしたなら、怪異には御注意を。"新名古屋城" を建設して以来、町中に怪異が多発し、不穏な状況に陥っています。――――以上」

 

「うわ、怖ぇな三河。行って大丈夫なのかよ……」

 

 

 そのまま三河方面を見る。かつて共に学籍していた仲間らのいる三河。懐かしく、大切な友人達の思い出の巣。

 しかし浮かぶのは録でもない思い出ばかりなのですぐ視線を武蔵へと移した。

 

 

「……そういえば」

 

 

 ふと思い出す。

 

 

「今年は世界が終わる年だっけよなぁ。俺、やだよ。嫁さん見つける前に死ぬなんてよ」

 

「大丈夫です、酒井様。魅力も人望も責任感も将来性もない酒井様に、妻として務まる女性などおりません。ですので、気にせずに末世を迎えられます。――――以上」

 

「……泣いていい?」

 

 

 さらっと人間否定されてはさすがの酒井も、胸を痛めてしまう。確かに昔に仲間からは責任感と魅力がないと言われたことがあったが、あれはその場の冗談だと思い今まで過ごしてきたので、本音だったことにさらに傷付いた。

 自動人形の毒舌に軽く悶える酒井だが、逃避するために一つの話題を出した。

 

 

「そういえばさ。慶次の奴、またやらかしたそうだね。何でも、武蔵野で黒衣の団体と喧嘩したとか。その団体って、朝の放送で言ってた……」

 

「Jud.。"リア充殺伐連隊" の一員かと。――――以上」

 

 

 その名には酒井も聞き覚えがあった。

 教導院内で、出来たばかりの生徒同士のカップルに祝辞ではなく脅迫文を送り付けてくる者がいるらしい。以前はクリスマスとバレンタインのみだったが、最近は過激化していき、デート中に男子生徒が突然襲われ、ロープ一本で裸ミノムシにされると教導院中に知れ渡っている。教員科では対策を打とうと思案の日々だというほどだ。

 裸ミノムシ刑を処するのは決まって黒衣の集団。その黒衣こそがリア充殺伐連隊の正装なのだ。

 

 

「モテる奴なら誰彼構わず粛清したいんだろうね、彼ら達からすれば。しっかし、青春らしくていいねぇ。俺も若い頃は仲間と一緒にモテる奴に片っ端から顔面にパイ投げしていったなぁ。……あ、いや、俺が設立した訳じゃないからね?」

 

「Jud.。知っております。しかし、利益様に不埒な暴力を行うことは許されません。もし、それが続くようであれば()()とて強硬措置をとらせていただきます。――――以上」

 

「おお、怖いねぇ……」

 

 

 辛辣な表情に闇が加わったようにより辛辣な顔付きの武蔵に、酒井は軽くビビる。

 

 

「ですが、事実を申し上げれば利益様も些か女癖が悪いかと。女生徒を所構わず褒めちぎり、特定の部位を凝視する辺りは利益様の非です。褒めるのは宜しいですが、胸や腰を見るなど、セクハラです。――――以上」

 

「『恋は誠実かつ大胆に』。これがあいつの口癖だもんぁ。親父そっくりだな」

 

「親父? 利益様のお父様もあのような性分で? ――――以上」

 

 

 Jud.と確かに肯定した。

 

 

()()()の女癖はホント天下一だよ。一歩外出りゃ、どこぞの女引っ提げて帰ってきてな。在学中なんて手を悪さを生徒会から目つけられてたもんだ。まっ、俺があいつの監視役だけどね」

 

「まさしくお父様譲りのモテ男ですね。――――以上」

 

「そうさ。それで、とやかく言い積めてみれば、『女を怒らせても泣かせたことはない!』って豪語したんだよ。あれ、喧嘩売ってたよね。俺なんか誰からもコクられずに学校生活終わったんだぜ」

 

 

 するとだ。"多摩"市内から断続的な破裂音に続いて大きな爆発音がした。

 

 凝視して見てみれば、どうやら金と黒の飛行物体が幾つもの光の弾丸の速射射撃を用いったようだ。さらにその直後、金色の物体が宙へ放り蹴られ、飛んでいった。

 

 

「武蔵さん、今のは……」

 

「Jud.。オリオトライ様かと。さすが梅組を担任を任されているだけあります。――――以上」

 

「真喜子君も生徒相手に容赦ないねぇ。あれ、大丈夫かい?」

 

 

 そう酒井が顎で示す先、先程の爆発で黒煙が立ち込める街角。そこより二度、三度と爆発が続く合間に武蔵は言う。

 

 

「あれほどで音を上げるような方達ではありません。何せ、教導院創設以来の変人揃いですので。――――以上」

 

 

 期待を寄せるように、武蔵は爆音の絶えない市街を見つめ続けた。

 

 

 

 

☆★☆

 

 

 

 

「何をしている! 折角の射撃術式を無駄にするとは……。貴様ら、金を何だと思ってる!」

 

「ひぇぇー!? ご免なさーーい!!」

 

「あんな守銭奴に謝んなくていいのよマルゴット。それより先生の方が厄介だわ……」

 

 

 所変わって、多摩を上下に貫く商店街の瓦屋根伝いに走るのは梅組一同だ。

 

 先程のマルゴットとナルゼの非加護射撃はものの見事に躱され、無駄弾となってしまった。

 それに加え、長槍を携え突進してきたアデーレも蹴りで飛ばされた。

 

 

「少しでも速度を抑えるんだ! ハッサン君!」

 

 

 アデーレに代わり、颯爽と登場したのは褐色肌にターバンを頭に巻き、カレーを常時持っているハッサンだ。

 武器……なのかどうかわからない大皿のカレーと共に、オリオトライとの距離を縮めていく。

 

 

「カレー、カレーはどうですカ?」

 

 

 単なる売り込みだった

 

 

「今はいらないけど! お昼時にもらう……わっ!

 

 

蹴りがハッサンの腹部にぶち当たり、あっけなくリタイア。一体何しに来たのやら。

 

 

「ほら! アデーレとハッサンがリタイアしたわよ! お次は誰!?」

 

 

 余裕のある挑発に誰もがムカッと頭にきたが、すぐさま行動に移る者はいなかった。

 冷静さを失った時点で負け。そう二年の頃に散々叩き込まれた成果だ。

 

 故に、彼らを指揮する眼鏡の少年、トゥーサン・ネシンバラが吠えた。

 

 

「イトケン君とネンジ君は二人の救護を! 他の皆は先生を追うんだ!」

 

 

「やあやあ、市民の皆様、おはようございます! 決して怪しい者ではありません。淫靡な精霊 インキュバスの伊藤・健治と申します。朝から少々騒がしいかと思いますが、何卒、理解をお願いいたします!」

 

「このネンジ、友の救出に参る!」

 

 

 救護を命じられたのは全裸のインキュバスの伊藤・健治、通称 イトケンと、謎の生命体ことスライムのネンジだ。

 彼らは元気よく飛び出し、屋根に倒れる二人に近づきながら。

 

 

「やあネンジ君。今日もねばねばしくてカッコいいね!」

 

「うむ。今回は人助けだな。ならば――――」

 

 

 ぶちゃ、と踏まれ、飛び散った。

 

 

「ネンジく―――ん!?」

 

「悪ぃなネンジ! また後で謝るわ!」

 

 

 踏んだのは一歩一歩の歩幅が大きい派手物の塊。

 軽率な謝罪をしたのは遅れて走っていた慶次だった。速く、大きく、そして力強い一歩でネンジもろとも屋根を走破していく。

 

 

「あらら……、君の出番はもうちっと後でいいんだけどなぁ」

 

「悪ぃな先生。俺ぁ、手柄のことしか考えてないんでね」

 

「ふーん、それは残念だわ。だったら全力で逃げてやるわよ!!」

 

 

 高らかと宣誓したオリオトライに、慶次はまず踏み切った。屋根の瓦にヒビが入るのを構わず、強く強く踏み込んだ。

 『走るの』ではなく、『跳躍』として。

 

 

「げぇっ、ウソ―――!?」

 

 

 予想だにしなかったようなのか、顔に焦りが表れる。

 対し、慶次は一軒につき一歩の跳躍で距離を縮めていき、太刀の柄に手をかけ、間合いに入った瞬間。

 

 

「観念しな、先せ―――いッ!?」

 

 

 直後、オリオトライが進路を変えた。

 直角上に右折し、また直角上に左折と角張った動きでステップを踏んで加速する。

 翻弄させるようなジグザグ走行は猛進タイプの慶次には有効法だ。速く走ることが得意であるが故、方向転換に体の制止が掛からない。

 

そのまま流れに従い、市中の家屋へと突っ込んだ。

 

 

「こら――! 何をしてるかぁ!!」

 

「痛つつ……、あ、悪ぃ悪ぃおっちゃん。弁償するからこの場は見逃してくれねぇか?」

 

「あっ、誰かと思いきや、慶次じゃなぇか! テメェ、この前、うちの鰻まとめてかっさらいやがって! その時総長も一緒だっただろ! 二人して何に使いやがった!」

 

「じゃ、そういうことで」

 

「おいこら! 話はまだ終わってな―――、逃げんなごるぁ!!」

 

 

 魚売りの主人と口喧嘩、そして戦線へと復帰した。

 『総長』『鰻』と謎の単語が聞こえたが、それは後の話でわかるだろう。

 

 さて、それよりオリオトライだ。慶次の無鉄砲さを利用した回避術で梅組の戦力を遅らせたので、さらに加速していく。

 伽を失い解き放たれた獣の如く、まもなく 多摩と品川を繋ぐ連結縄へと向かっていった。

 

仕掛けるなら今だ。 

 

 

「さぁて、お次は誰!?」

 

「自分が行くで御座るよ……」

 

 

 帽子とマフラーと御座る口調。キャラが濃いのか薄いのかよく分からない点蔵が前へと出てきた。

 

 足音がほとんどない。当然だ。点蔵の家は由緒正しい忍者の一系である。無音で走ることはもちろん、壁走りや忍術などを得意としている。

 

 ここからは構造物や張り出し、瓦造りの屋根が連々(れんれん)続く悪路だ。銃撃や剣戟(けんげき)が障害物に邪魔され、こちらが一気に不利となる。

 

だからこそ、自分が前へ出た。ここが正念場であると。

 

 

戦種(スタイル)近接忍術師(ニンジャフォーサー)が点蔵……」

 

「おいおい忍者が叫んでどうすんの? 忍ばないの?」

 

 

気にするな、すでに一戦は始まっている。

 

そう言い聞かせ、低く低く身を下げ、彼女(オリオトライ)の道筋を辿る。

 

行って、近づいた。

 

 

「参る!」

 

 

 地を蹴り、一歩で距離をつめ、突っ走った。対し、オリオトライは長剣で応戦してくる。鞘付きの長剣は刃がなくとも強力だ。下手すれば屋根藁に埋まる。

 

 だからこそ、点蔵は身を低くした。長剣はその長さ故に立ち回りが悪く、しかも後ろ走りなので、低姿勢が有効となる。

 

 この一手貰った、と言いたい所だが。

 

 

「やはり……」

 

 

 読まれていた。こちらに対する合わせが出来上がっていた。

 このまま行っても無駄。だから叫んだ。

 

 

「行くで御座るよウッキー殿!」

 

「応よ!」

 

 

 近くの家屋の屋根から跳躍したウルキアガが頭上にいた。短時間だが制空権を確保され、尚且つオリオトライにとって頭上も無視できない驚異となった。

 

日頃の暴力や私怨を加味し、倍返しの攻撃法は打撃で。

 

 

「拙僧、発進!」

 

 

 空からのパワーダイブ。さすがのオリオトライもウルキアガほどの巨体をセーブする力はない。おまけに今まさに点蔵へ攻撃している最中、修正は不可能だ。

 

だが。

 

 

「……!?」

 

 

 顔面に打撃が来て吹き飛ばされた。見れば、長剣の鞘を外しリーチを伸ばしていた。伸びた鞘は延長化しヒット、さらに鞘のベルトを口にくわえることで剣と鞘が抜け離れることなく。

 

 

「甘いわよ、二人とも!」

 

 

 納刀出来る。ウルキアガの敗けが決まった瞬間だ。だが点蔵は叫ぶ。さらに腰を落として叫び続けた。

 

 

「ノリ殿! 今で御座る!」

 

 

 気配が来た。突然沸き出したように一つの気配が生まれた。

 

 

「ノリキが本命ね!?」

 

 

 点蔵のすぐ背後。彼の優れた忍術より影に隠れていた篷髪の青年が両手を構え、攻撃態勢に移行した。

 

 その拳には武器はない。―――いや、その『拳』自体が武器なのだ。

 

 

「解ってるなら、言わなくていい……!」

 

 

 いける。この一手で決まる。我ながらいい作戦だと自負する。直後、彼の拳を一発喰らった音がした。

 

 

―――堅いものに、当たったような鈍い音だ。

 

 

「……ぐ」

 

 

 ノリキの息をのむ声がする。さらにウルキアガが声を次いだ。

 

 

「まさか、長剣を!?」

 

「そうよ、予想外だった?」

 

 

 長剣を手放す。そうすることでノリキへの囮として惑わせ拳を無効化、そして同時に殴らせることで飛ばさせる、彼女の進行方向へだ。

 

今、オリオトライの走りを邪魔する長剣という伽は無くなった。これが意味するのは。

 

 

「さあ、体育はここからよ! ついてらっしゃい!」

 

 

 彼女の速度を上げたことになる。だが、まだ終わらない。再び点蔵は叫んだ。

 

 

「浅間殿――――!!」

 

 

 

「――――Jud!」

 

 

叫びに答えたのは弓を引き、緑の義眼で狙う浅間だった。そして彼女の足場となるのはバケツ型ヘルメットを被った大柄の少年 ペルソナ君だ。その左肩には向井・鈴という華奢な少女が座っていた。

 

赤と白の長弓 "片梅 " の側にはのんびりとした二頭身の巫女型走狗(マウス)のハナミがいる。使うは神奏術式だ。

 

 

「浅間による遠距離狙撃ってわけね! 当たるかしら!?」

 

「当てますとも!」

 

「いやね先生! 浅間のズドン砲撃舐めたら痛い目にあうのよ? あの慶次だって一年の頃はズドンされまくってじゃない」

 

「俺のことはどーでもいいんだよ。てんめぇ、腹減った腹減ったってうるせぇから人がパンやったお礼忘れたのか?」

 

「ふふ、愚問ね。そんなの忘れるわけないじゃない。お礼だけは言っておくからまた今度もよろしくッ!」

 

「ちょっと喜美! 貴女、助けてもらってるというのに何ですその言い草は! 大体貴女という人はもう少し感謝ということに――――」

 

「チパーイワンコったら五月蝿いわね。ワンコのくせしてこの賢姉様に向かって歯向かうなんて、心もチパーイなのね可哀想に!」

 

「だ、誰が犬ですか!?」

 

 

 外野がとやかく五月蝿いが、浅間は無視した。

 

 それより己の役割は狙撃だ。オリオトライは今だ走ることはやめない。だが、絶好のチャンスでもある。彼女の背中は丸出しだ。

 

ここが好機。みすみす逃すはずがない。

 

 

「ハナミ、いきますよ!」

 

【 うんうん おーけー 頑張ってねー ―――拍手! 】

 

 

 パンと軽い音、直後に光を纏った矢はオリオトライ目掛け、飛んでいく。ただ直線上に飛行するだけでなく、障害物を避け払い、追尾する術式の効果が添付されている。

 

 オリオトライが長剣で切り捨てようとしたのも考えての術式添付だ。

 

 

 そして爆発。音が響き、光が爆ぜ、衝撃が伝わった。

 爆風と煙幕が立ち込む中。

 

 

「やったか!?」

 

「……いえ、ダメです! 手応えが違います! 当たってません!」

 

 

 当たってない。それほど落胆させる凶報はないだろう。避けた訳でもなく、術式で無効した訳でもなく、ただ当たっていない、と。

 

 皆がなぜだと思い考える中で、ネシンバラがただ一人、その答えに気づいた。

 

 

「髪だ! 長剣を僅かに抜いて髪を切り、矢の軌道上にばら蒔いたんだよ! 髪に当たった矢が先生に当たったと判断して術の力を失った。なんて荒業だ……」

 

「さすがはリアルアマゾネスだな。考えることも野生染みてやがる……」

 

 

 オリオトライのすぐ後ろに、慶次が張り付いた。

 先程と比べてイラついたように激昂に満ち、頭髪には木片や埃が付着し、制服も少し汚れている。さっき商店へ突っ込んだ時の名残だろう。あの怒りも自身をこんな目に遭わせたオリオトライへの怒りだ。

 

彼女とほぼ同等の速度で寄り、笑みを浮かべたまま。

 

 

「よぉ、先生。さっきは目覚めの悪いドッキリをありがとよ。ちと悪ぃが欲しいモンが出来ちまってな」

 

「……あらあら、ほとんど無欲な君に欲しいものってなにかしら?」

 

 

 その問いに太刀を抜刀。約三尺ほどの太刀は朱色の鞘から抜かれ、刀身を輝かせる。

 そして一答。

 

 

「オリオトライ・真喜子、その首級(くび)、貰い受けるッ!!」

 

「面白いわねッ!!」

 

 

 お互い抜き身の剣と刀、それをその拳に握る。

 追走していた慶次はいつの間にかオリオトライの横へと並び、並走する形で刀を構える。一方オリオトライも前など見ちゃいない。眼前の強敵を睨み、口元を歪めるだけだ。

 

周りの生徒らが二人を見て危険信号を感知した。

 

 

「つ、ついに始まるで御座るか……! 魔の殺り合いが!」

 

「皆の衆、逃げるがいい! 捲き込まれるぞ!」

 

 

 

「さぁ~て、君、覚悟はいいかしら? 怪我しても体罰だなんて言わないでよね」

 

「……あぁ、もちろん。これはただの死合いぞ」

 

 

二人して息を揃え、告げた。

 

 

「「 いざ、尋常に勝負ッ!!! 」」

 

 

 




読了ありがとうございます!
感想や意見をお待ちしています

くだらないと思いつつも、作中にあった『リア充殺伐連隊』なんですが……、梅組の外道面子によって結成された静粛団体でして、元ネタは『バカとテストと召喚獣』の『FFF団』をモチーフにしてます。

モテない男達がモテる男らに粛清という名の八つ当たりをするという、迷惑極まりない一同です。エロゲーで性欲を発散し、粛清で妬みと怒りを発散するのが日課です。

ちなみに幹部に点蔵、ウルキアガ、御広敷が在位しています。(トーリはいません。裸ミノムシ刑を提案しましたが)

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