IS~自称策士は自重しない~   作:reizen

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これはあくまで小言なんですが、実は私はISの新刊が出ることがすごく楽しみなんです。だって、新装版になってから口絵の一部に機体説明とかが出るんですよ? 私はそういうのが凄く大好きなので、新刊をすごく楽しみにしています。

………一向に出る気配がないんですけどね。一体どうなってんだ。

ま、アニメとか見る気はないし、ゲームも対戦ゲームがあるようですがやる気はないんですけどねww


みなさんはそこんところ、どうなんですかね? 新刊に求めることってあります?


最終章 自覚と未来と羨望と……
#147 しかし現状はパラダイス


 結局、奈々や簪と激しい蜜月があったかと問われればそうではない。いや、実際のところ何もなかった。

 確かにあの後、二人の部屋に半ば強制的に移動させられ、眠ることになった。それは(もう色々と諦めているし役得だから)良いが、今は別の問題に直面している。

 

「ところでユウ様、帰省はいつ頃なされます?」

 

 リビングでミアがそう言うと、その場にいる奈々、簪、朱音、ラウラが固まった。

 

「……ミア」

「そういえば、奥様が「一度ハーレムの状態見たいなぁ」とおっしゃていたことを思い出したので」

「……それって後に「可愛らしい女の子がいたら私が持って帰る」って続くよな?」

「ええ」

「………つまりミアのみと帰ることになるな」

 

 そう言うと、朱音がすぐにぶーぶー怒る。

 

「えー! 私も行ってみたい」

「……この中で奈々の次に難しいけどな」

「……足手まといにはならないもん!」

 

 似たようなことを誰かが言っていたような。………まぁ、朱音ちゃんはヤードの末代だし、一応は顔を出しておいた方が良いとは思うが。

 

「兄様、私は必ずお供します」

「……お前はそう言うと思った」

 

 問題があるとすれば、雨鋼を持ち出していいのかどうかだな。なんとかこの数日で修理で来たらしいが、また破壊されれば迷惑だろう。

 

「まぁ、私たちは出るのは難しいわね。生徒会だし」

「……私は別にサボっても大丈夫だけど」

「簪ちゃん、クラス代表はダメだと思うけど……」

「別に4組は私がいなくても動いてくれると思うけど?」

「………」

 

 いや、其処は否定しろよ。……確かに俺も、簪はいなくても大丈夫だと思っちゃったけど。

 

「ということは、行くのは俺とミア、ラウラ、朱音、簪か? 奈々、お前だって後で連れて行ってやるから」

「2人きりで?」

「良い神経しているわね」

 

 ミアと奈々が睨み始める。10年前ではありえなかった光景だからか、俺の目頭は熱くなった。

 

「まぁ、落ち着けよ。そんなことでいちいち腹を立てていたらこの先生きていけないぞ」

「それは大げさすぎますよ。大丈夫です」

「………本当か?」

「本当ですって」

「私も大丈夫と言わせてもらうわ」

 

 おそらくどちらも「いざとなれば戦うのみ」とか言いそうだな。

 ため息を吐きそうになっていると、後ろから頭を乗せられた。

 

「……何やってんだ、簪」

「あごのせ」

 

 ちょっと可愛いと思ってしまった。こういうのがあるから、一概に胸が大きい女性が好きとは言えないんだよなぁ。

 

「更識簪、そこを変わりなさい! 私もユウ様に顎乗せを―――」

「いやお前ら。今は食事中だからな」

「今の兄様が言っても説得力が皆無ですよ」

 

 朱音がラウラに便乗するように頷いた。ちょっと傷ついたのは内緒。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ■■■

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 あの後、十蔵さんに挨拶に行くと「いずれ引っ越すから」という理由があったため、朱音の随伴は許可された。だが簪は残念ながらダメだった。

 

「まさか、クラス代表同士のリレーに出ることになっていたとはな」

「………いつもなら、他の人が出るって話なのに」

「たまにクラス代表の仕事をしろって来たもんな。そんなに専用機の威厳って大事なのかねぇ」

 

 場所は変わって屋上のテラス。俺と簪は屋上のベンチにいる。

 そもそもどうして屋上にいるのかというと、実はさっきまで俺が屋上でサボっていたからだ。というか、起きてから一度として授業に出た記憶がない。

 

「授業に出なくていいの? そろそろクラスから色々と言われると思うけど」

「IS学園が基本的に授業のサボりを許さないからな。でも正直、どうでもいいんだよなぁ」

 

 なんというか、今の授業に出ると言う行為が無駄に感じてしょうがないのだ。

 そもそも俺はVTシステムを取り込んでいるからISを直接攻撃してもダメージを与えられるし、対等に渡り合えるほどに強い。今までは自分が生き残るために勉強をしてきたが、こうして寝ながらでも普通にダメージを与えられるほど強くなってしまった今、修行などは無駄と言えるだろう。………もっとも、修行しなければダレることは間違いないだろうが、多少弱くなったところでISでどうこうされるとは思っていない。

 

「ところで、クラス代表の今度の賞品って何?」

 

 俺に膝枕をして本を読んでいる簪に尋ねると、簪は呆れるように言った。

 

「……デザート無料パスに、織斑君と一回デート券」

「…………何でだろう。織斑が可愛そうになってきた」

 

 たぶんあれだ。俺に同じことをしろと言われたら間違いなく吐き気を催すからだ。簪とかだったらすぐに襲いたいし、今もお互いかなり我慢している状態だろう。……少なくとも俺はかなり我慢している。目の前に極上の肉があるのに、かぶりつくことができないなんて生殺しだ。

 

「―――ねぇ、更識さん。その男をちょっと貸してくれない?」

 

 唐突だった。どうやら誰かが簪に話しかけているらしい。

 

「……ダメ」

「そんなこと言わずにさ。ほら、アンタも私の方が膝枕気持ちいいわよ」

 

 誰か知らないが、随分としつけがなってないな。

 

「気持ち悪い膝を見せつけてくるな。吐き気がする」

「………にいに、それは可哀想」

「事実だろ。俺は簪の膝枕が気持ちいいと思っているし、今はお互い学生だから膝枕で遠慮しているだけだ。引っ込んでいろ、ゴミ」

 

 そう言って追い返そうと親指以外の4本の指で追い払うしぐさをすると、その女が尋ねてきた。

 

「そのビッチのどこがいいの。そいつ、最近まで「桂木悠夜」とかいう中二病のダサい奴と付き合ってたんだよ」

「そのダサい奴に手も足も出ない雑魚が何をほざいているんだか。他人を中傷する暇があるんなら、ないに等しい能力を磨き上げればどうだ。どうせお前、政府というゴミにすら選ばれない取るに足らない無能が王の俺に話しかけるな。虫唾が走る」

「……ぷぷっ。王って何を―――」

 

 やかましいゴミだったから、とりあえず屋上から玄関前にある噴水にぶち込んだ。

 

「にいに、やりすぎ」

「そうか。殺してないからセーフだろ」

 

 そう言って俺は起き上がり、簪の顔を無理やり引き寄せてキスした。

 そう言えば、俺はからキスすることはなかったな。

 

「にいにの馬鹿」

 

 一度離してそう言われた。

 しかし暇だと思っていると、俺はあることを思い出し、簪と別れて自分の寮の部屋に向かう。

 

「荷物の整理をしないと……」

 

 そう思って中に入ると、そこは当時のままの部屋の状態があった。……一部掃除されている様子から見て、定期的に室内にルームキーパーを入れてくれていたらしい。最初はミアがやるって話だったが、俺が説得して止めさせたのだった。

 

(荷物の整理って言っても、簡単なものだけどな)

 

 一応、この部屋も俺の部屋ってことにはなっているらしい。だから普通に荷物を置いて行ってもいいのだが、今度の遠征でどうなるかわからないしな。こっちで暮らすにしても、ある程度は船の方に移動させようと思っているのだ。

 

「そう言えば、今回の移動はどうするつもりだ?」

 

 普通に飛んでいくのか。それも良さそうだけど、人が飛んでいるのがばれたら色々面倒だしな。

 

(簡単な宿泊セットとかは用意しておくか)

 

 先に宿泊セットを用意して、そこから荷物の整理とかを考えるか。

 修学旅行のことを考えて持ってきていた小さ目のスーツケースを下から出すと、タイミングが良いのか悪いのかドアの鍵が開かれた。

 どういうことかとドアの方へと移動すると、まるで当たり前と言わんばかりに着替えを持った虚さんが入ってきた。

 

「……あら。もうこっちに戻ってきたんですね。てっきり向こうでもう過ごすのかと……」

「それも良いとは思いますが、記憶が戻った今でもメイドという存在は未だになれませんからね」

 

 そう漏らすと、虚さんはクスクスと笑う。そのしぐさがあまりに可愛いと思うけど、どうしてこの人は未だに彼氏がいないのだろうか謎が生まれる。

 

「私も立場上はメイドなんですけどね」

「虚さんのメイド姿ですか。盗撮はしょっちゅうされるんじゃないですか?」

「どこかの誰かさんの涙で服が汚れたことはありますけどね」

 

 と言いながら俺を見る辺り、かなりいい根性をしている。

 確かにあの時は泣いてしまったけど、それはもう許して欲しい。

 

「冗談ですよ。あの時は本当に楽しかったですね」

「その言い方じゃまるで今は楽しくないって言っている風に聞こえますが?」

「楽しくないですよ」

 

 そう言って虚さんは俺に近付いてくる。

 

「あの時は私に唯一甘えてくれるユウ君が、今では一国を任されるかもしれない王様だなんて、一介の従者でしかない私にとっては遠い存在になったなぁって」

「ハハハ。ご冗談を。虚さんの相手だったら喜んでしますよ」

「本当にですか?」

「……え?」

 

 少し冗談気味に言ったつもりだったが、何故か結構マジに取られた。

 いや、今すぐ求められたら流石に断るよ。……でも、虚さんはもう18で高校3年。そして今は11月。時期的に子供ができても問題ないと思う。

 

「流石に冗談ですけどね。私なんて相手にしないでしょうし」

「嫌だなぁ。そんなことないじゃないですか」

 

 好きか嫌いかで言えば、今すぐ押し倒したいと言うのが本音だ。

 大体、彼女のような人のどこを嫌いになる要素があるというのだろう。

 

「……それよりも、虚さんはどうしてこの部屋に?」

 

 話を逸らしにかかる。このままだと、割と本気で俺の理性が飛びかねない。

 

「実はここだけなのよね、寮で風呂がある場所って」

「……まさか、たまに入りに来ているとか?」

「そういうことよ」

 

 ……もしかして、俺の部屋が妙に綺麗だったのはそれが原因なのか?

 意外なことを聞いた俺は思わず…少しばかり興奮してしまった。

 

「ところで、久々に一緒に入らない?」

「……はい?」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 これはあくまでも個人的見解だが、俺にとって虚さんは雲の上の人というイメージが強い。実のところ、俺たちが一緒に会話すること自体、数が限られている。

 そもそも出会いは最悪だったし、後から知ったが10年前の彼女は少し思い上がるほど強く、同時に奈々の従者であることに誇りと責任を感じてらしいのだ。それに全く気づいていなかった俺は平然と彼女の領域を踏み荒らし、挙句にはその場で侵入者をボコっていたからな。今考えると、10年前の俺を痛めつけたいくらいだわ。

 

(………まぁ、しばらくした後に親父にボコられたけどな)

 

 今でも忘れもしない。あれが初めての屈辱的な敗北だったからな。

 神樹人でもないのに変な技を使っていた女を殺そうとしたら、急に割って入った親父が無言で俺をフルボッコにした。あの時の俺は本当に為すすべもなくやられてた。

 

(……そろそろ、現実を見ようか)

 

 自分にそう言い聞かせる。さっき簪とキスしたばかりだというのに、今度は虚さんと一緒に入ることになっているとは。数か月前の俺に言い聞かせたいね。しばらくしたらウハウハな人生が待っているから、とりあえずきた敵を遠慮なく再起不能にしておけって。……ハハハ、ハハハハ。

 

 問題は、今の状態が凄く悪いことだ。

 

「……あの、どうして虚さんはバスタオル姿なんですか?」

「やっぱりマナー違反ですよね?」

「いえ、そういうことじゃないんです」

 

 奈々という前科があるからあまり大きな声で言えないが、俺がこれまでそう言った雰囲気になってもキス程度で済ましてきたのは、彼女らの人生を考えてのことだ。

 例えば簪はラウラは、後2年学園に通わなければ卒業できない。退学という方法はあるが、その場合は学歴に傷がついてしまう。それだけは流石に避けなければならないと思って我慢していた。抱き心地がいいっていうのはあるが。だが、虚さんはもう卒業だ。もう、数か月で卒業なんだ。

 その虚さんが、ある意味雲の上の存在となっている彼女が、俺の背中を洗ってくれている。感動で言えば、共学になる女子校にテスト生として通っていた主人公のとある先輩ルートに歩んだ場合の一イベントでの感動を味わえる。たぶん、割と本気で号泣したイベントの一つだ。幸か不幸か耐性が付いていたか、他ではあまり泣かなかった記憶がある。

 まぁ、それはともかく、何故彼女にバスタオル姿に関して口出ししたかと言うと、バスタオルによって彼女の豊満の胸がより強固に強調されているのだ。これ、下手すれば山田先生を超えているんじゃないだろうか。流石隠れ巨乳の本音の姉だ。大きさが半端ない。もしこれで背中をこすられてみろ。一発で理性が崩壊して彼女を本能のままにむさぼりつくすだろう。

 

(って、落ち着けよ。いくら卒業だとしても彼女にだって人生があるんだぞ!?)

 

 キスならまだいい。奴らに聞かれれば間違いなく殺される可能性があるが、まだキス程度なら子供はできない。

 

『構わねえじゃないか』

 

 ポンッと、アニメとかでマジックとかすると聞こえてくる効果音が耳を通る。視線を一瞬だけずらすと、悪魔のコスプレをした俺がいた。

 

『今は女尊男卑だというのに、向こうはバスタオル一枚しか装備していないんだぜ? ここは相手の意思を汲み取って反応を鈍らせるまで一緒に風呂に入って、犯しまくればいい。相手だって、お前にされたいと思ってあんな格好をしている。襲われたって自己責任さ』

 

 悪魔かこいつは!? いや、悪魔か。

 

『何を言ってるんだ、このクソ悪魔! 虚さんは本体を信頼してあんな格好をしているんだ! ここは我慢して丁寧に対応することが正しいよ!』

『馬鹿が。据え膳食わぬは男の恥ということわざを知らないのか? 今はそんな状態なんだよ。相手だって本体が自分の手に負えないことは十分知っている。その上であんな格好だ。ここは行く以外の選択肢はありえない』

『あり得るさ。さぁ、本体。ここはどうするかわかっているね? 『ぴとっ』すぐだ。すぐに押し倒せ。据え膳食わぬは男の恥だ!』

 

 虚さぁあああんっ?!?

 ちょっ、何を考えているんだこの人は!? 俺に抱き着いてきたりするから、俺の中の天使が呆気なくひっくり返るオセロの駒のように白から黒へと早変わりだ。

 

「ねぇ、ユウ君」

「な、何でしょう、虚さん」

「ありがとう。私で凄く興奮しているのね」

 

 よく見ると、虚さんの視線の先は俺の………肥大化した股間へと注がれていた。

 肥大化、なんてもしかしたら生易しいものじゃないかもしれない。巻いているタオルを取れば、狂器と化した物が虚さんに襲い掛かることは間違いないだろう。

 

「違います。これは―――」

「隠さなくていいですよ。女性がこうすると男の人が興奮するって知っていたから」

 

 確信犯でした。

 いや、落ち着け。虚さんに対して興奮していたのは本気だ。というか、今だからはっきりとわかる。……この人、普段は眼鏡をかけているからお堅いイメージが付きやすいが、本当はとても可愛いのだ。モデル? あれが普通に霞むレベルだ。

 

「あの、虚さん?」

「何かしら?」

「できればそろそろ解放してくださるとありがたいんですが………」

 

 すると、彼女らしくない行動に出始める。

 虚さんは俺の耳に息を吹きかけてきた。ちょっと……いや、物凄く気持ちいい。

 

「そんなこと言わないでください。わざとですから」

「わざと何ですか?!」

 

 っていうか、あなたってそんなキャラなんですか!? 今までそんな風に思ったことがないんだけど。

 ……いや、そう思わせないようにしていたのか。もしかして、好きな人には弱みを見せるタイプなんだろうか?

 

「ユウ君」

 

 不意に名前を呼ばれた俺はそっちを向くと、虚さんとの唇が重なった。

 

(………本当、なんて日だよ)

 

 今確信した。俺は織斑を馬鹿にすることはできないかもしれな……いや、できない。

 勝手に相手を落として、そのままずっと放置して。そしてたまにはその気にさせて勘違いさせる。違うとすれば、周りは非暴力的で、その代わりとても積極的だということだ。

 今ならわかる。俺も、かなり罪な男だ。

 一度離して、俺は立ってからもう一度彼女を引き寄せてキスをした。

 

 でも、キスだけだ。まだ、それなら俺を忘れることはできるかもしれない。彼女らにとってはどうかわからないが、それは最後の優しさだと思う。

 本音に勝るとも劣らない双丘を自分に押し付けるようにして、俺はただ、本能のままに彼女を求め続けた。




今ですら十分パラダイスなのに、今度は異国でパラダイス!?

ということで、次回からはなんと帰省編です。……果たして帰省と言ってもいいのか微妙なんですが。

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