やはり捻くれボッチの青春は大学生活でも続いていく。   作:武田ひんげん

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第三話

「へいハチマン、授業終わったらサッカー見に行く約束覚えてるよな!」

 

廊下を歩いていると、騒がしいJPがニコニコしながら授業終わりで疲れている俺の元に小走りでよってきた。

 

「ああ、覚えてるぞ」

 

今日は以前サークルで決めていたサッカー観戦の日になっている。メンバーはいつものメンバーだ。略してイツメン。こういう意味だったんだなイツメンて。ずっとぼっちだったから知らなかったー。…悲しい。悲しいってsadだな。英語は基本中の基本だぜ。

実はこんなことを考えている間にサークルの部室まで歩いて来たんだぜ、これがオレが長年のボッチ生活で手に入れた技だ。ちなみに歩いている最中JPがなにか一人で言ってたが全く聞いてなかった。

 

部室に着くともうすでに皆準備万端だった。

 

「ようハチマンおそいぞー」

 

部室にはもうジェームズとペレイラも来ていた。さ、これから出発だな。

 

 

 

 

 

 

 

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さて赤い悪魔ことマンチェスターユナイテッドのユニフォームを身にまとい、電車を乗り継ぎマンチェスターへとやって来た俺たちはマンチェスターユナイテッドのホームスタジアムにやって来た。

 

「うわ…人多っ…」

「そりゃマンチェスターダービーだからな」

 

マンチェスターにはマンチェスターユナイテッドとマンチェスターシティという二つのビッグクラブがあって、その二つのチームが戦うことになると街中がサッカーだらけになる。それだけ白熱した試合になりそうだ。ちなみにイギリスには他にもマージーサイドダービーなどもあって、それぞれのダービーにもクラブとダービーの伝統を守った熱い戦いがある。

俺達はゴール裏のスタンドのチケットを購入していた。他にも色んなチケットがあるが、シャンパン付きだったり、ユニフォームではなくクラブ指定のスーツ着用が義務付けられている高級シートなどもあったが、そこらへんはお金の問題もあるし買えないよな。ましてやダービーなのでただでさえ通常よりもチケットが高いのに。

おれが一人で考えているあいだにもうゴール裏スタンドまで到着しているんだなこれが。見たかボッチ力!…これ誰に言ってんの?

 

 

 

 

 

 

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スタンドに座って観戦といきたいところだが、ダービーになるとスタンドのサポーターは初っ端から熱すぎて90分以上立って観戦していた。

周りには赤のユニフォームを着たファンと、スタンドの席全てが赤いのが相まってこれぞユナイテッドのホームという雰囲気で試合が進んでいった。

とくに前半18分、青いユニフォームを身にまとったシティーの7番の選手がユナイテッドの10番、キャプテンルーニーにボールを奪われると大歓声が巻き起こる。そのままカウンターが発動。ルーニーのパスを受けた9番のマルシャルがダイレクトでゴールに突き刺してユナイテッド先制。俺を含めたサポーターは総立ちになって喜び合う。

 

「やったな!点決めたぞハチマン!」

「そうだな。よっしゃ!」

「見たか今の!ルーニーがボールを奪ってゴールを演出!最高にハッピーだぜ!」

 

俺たちの中ではジェームズが一番はしゃいでした。こいつ普段は冷静なのになー。

 

 

 

 

 

 

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結果、マンチェスターユナイテッドが勝った。3-0の完勝だった。マルシャルとルーニーとマタがゴールを決めた。この名前出してもわかる人あんまりいないだろうなー。そしてジェームズは大喜びでまるで子供のようだった。

 

「ダービーにかったぜ!これで夜スッキリと寝れる!」

 

おいおいいつもの冷静さはどこに行ったんだよ。まあいいけどな。

と、ここでメールが来ていることに気づいた。それに着信も…10件ほど。すべて陽乃だった。…あ、やばいかも。ちなみに時間を見ると、電話をした後最後にメールを送ったようだ。…もう怖いよ開くの。

しかし一刻も早くメールを開かなければいけない俺は、勇気を振り絞ってメールを開くと、

 

「「八幡、何度も無視するって…わかってるよね♪」」

 

…あ、死ぬわこれ。

 

 

 

 

 

 

 

 

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寮に帰ってきた俺は真っ先に陽乃の部屋に向かった。そして着くなり真っ先に土下座をした。今はその場面だ。

 

「で、八幡なんで電話無視したのかな♪」

 

こ、怖いってこれは。その仮面のような笑顔が怖いって。なんでそんなにニコニコできるの?なんで笑顔の奥に悪魔がひそんでるの?いや魔王か?

 

「え、えーと…」

「ど・う・し・て?」

「あ…あにょでしゅね…」

 

恐怖でカミカミだよ。ふぇぇー、こわいよぉー…。

 

「どうしたの八幡、噛んでるよ?」

「あ、あの…そのだな…」

「ん?」

「…サッカーの試合見に行ってました」

「どうしてそれを言わなかったのかな?」

「いや…言う機会がなくてだな。ほら、お互いに忙しいじゃねーか」

「夜は会えてるじゃない」

「あ…その、あれだよあれだからさ」

「なーに?あれって」

 

だめだ、もうだめってだめなんだよほら悟ってよ。だから誰に行ってんだよこれ。て、もう考えがまとまらない。

 

「何か言うことは? 」

「ごめんなさい」

 

もうこれしかないよねうん。小学校の時教えられたもんうん。

 

「…ま、今回は一回目だから許してあげるわ。…次はないよ?」

「はい!」

 

力強く宣言した。いやだってもう空気がね、ほらあれじゃん、ね。

 

 

 

 

 

 

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陽乃の怖さを体験した後、陽乃は普段通りに戻って2人でくつろいでいる。といってももう10時なんだけどな。

テレビはつけずにじっと、ソファーに二人並んで座っていた。無言で。

でもこういう時間がなんか安心するんだよな。こうしてのんびりと、しかもマンチェスターダービーで周りはうるさくてはしゃいで来た後だから余計にほっと息が付けるんだよな。

もうずっとこのまま…もう、このままがいいな。平和だ。なにも問題なんて無いまま平和に過ごせたらいいな…。

 

 

 

 

続く




今回は試合がメインですね。つまらないと感じた方すみません。
さて、更新のペースが全く上がりません、すみません。最近忙しくてかけないんですよねー。しかし最大限努力したいと思います。

これからも応援よろしくお願いします。

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