風紀委員長一誠くんと幼馴染み朱乃ちゃん   作:超人類DX

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やっつけ気味。

取り敢えず原作通りに、メンツが粉々だけど帰省。


二度目の冥界へ

 やっべー……行きたくねぇ。

 何か説得されちゃったからつい頷いちゃったんだけど、ぶっちゃけ正直物凄く行きたくねーよ……。

 

 だってさ、考えてみたら俺って殆どの悪魔共からめっちゃ嫌われてる筈じゃん? 特に今日行くグレモリー先輩の実家連中とか、殺したい程恨んでそうだもん……。

 イライラしまくっててめっちゃグレモリー先輩の親の事罵倒しまくった気もするし……。

 

 でも行くって言っちゃった以上は、やっぱ行かなくちゃいけないよな……。

 うぬぬ……行きたくねぇ。

 

 

 

 

 条件付きでイッセーを冥界に連れていく事に一応は成功した訳だけど、問題は冥界の同胞達がイッセーをどう見るか。

 

 勿論事前に私とソーナ、お兄様とグレイフィアとセラフォルー様でフォローはしたつもりなんだけど、やっぱりというか、冥界に乗り込んで多数の悪魔をなぎ倒し、挙げ句お兄様を下してフェニックス家とイザコザを起こしたというのがあるせいか、イッセーに対する悪魔達の評価は宜しくない。

 

 というか、誰が勝手に広めたのか、イッセーが私とソーナの二人の眷属になった事に関しても『自分の欲で』他の元眷属を蹴落としてなったというふざけた話になっている。

 

 

「へー……電車で行くんだ。前行った時は椿姫ちゃんにルートを教えて貰ってから次元を無理矢理ぶっ壊して進入したから、ある意味新鮮かもしれない」

 

 

 冥界への里帰り当日。

 私、ソーナ、朱乃、椿姫、ギャスパー……そしてイッセーの五人は、冥界へ入る為の正式ルートである列車内に居た。

 

 悪魔だけが知る秘密の地下鉄であり、入国審査をしなければならないイッセーの為のルートなのだけど、やはりというか、ライザーの件で乗り込んできた時はかなりの無茶をやらかしていた様ね。

 それも椿姫の手引き付きという……いえ、文句も咎める資格も私には無いので何も言わないけど。

 

 

「シゲ◯ックスってたまに食うとはまるよな。

あとかむかむレ◯ンも」

 

「刺激が強くて僕はちょっと苦手です……」

 

「そうか? それならひもQはどうだ? グミだぜ?」

 

「あ、それなら大丈夫です」

 

 

 そんなイッセーだけど、只今冥界を目指して走る列車内にて、ギャスパーとお菓子の交換をしながら呑気にしている。

 朱乃と椿姫は本を読み、ソーナはブツブツと『実家のクローゼットにお姉様と同じ衣装が……』と何かに燃えて、私は手持ち無沙汰な気分で、マシュマロを食べるイッセーを見つめていた。

 

 

「うーん、ド級の甘さだなマシュマロって」

 

「何個も食べられないですよね」

 

「そうそう、で、放置して湿気らせちまうんだよ」

 

 

 ギャスパーを子供と見なしているのか、イッセーの対応はかなり甘く、また朱乃は勿論の事椿姫にも甘い。

 ソーナはどちらかと言えば遊ばれてる様な気もするけど、考えようによってはある意味一番構われてるとも言えなくもない。

 

 では私はどうなのか? 実の所五人の中では割りとどっち付かずの中途半端な位置だったりする。

 

 ……いえ、正直に思うと、一番壁を感じる気がする。

 

 

「? どうしたんすかグレモリー先輩? マシュマロ食います?」

 

「あ、うん……」

 

 

 呼び名もグレモリー先輩。

 ソーナは生徒会長だからなのか、会長さんかひんぬー会長という、ある意味酷い呼ばれようなのかもしれないけど、それでも壁を一切感じさせない距離感。

 

 朱乃は言わずもながら、椿姫もそうだし、この前知り合ったばかりのギャスパーに至っては、あのギャスパーが完全に懐く程にイッセーとの距離感は近い。

 

 

「……甘い」

 

「でしょう? これって何個も食べられない食い物っすよねー?」

 

 

 その他多数と比較すれば、私の扱いなんて天国レベルにマシなのかもしれないけど……。

 何でしょうね、もう少しこう……壁を取り除いたやり取りをやってみたいなぁ……なんて。

 

 

 

 

 何やかんやでギャスパーを相手にして気分転換を済ませたまま前とは違って正式に冥界入りしたイッセーは、車掌の悪魔から受ける複雑な視線に気付かない振りをしたまま電車を降りると、リアス達の出迎えのつもりなのだろう、多数の悪魔がリアスとソーナの帰還を派手に迎え入れていた。

 

 

『リアスお嬢様、ソーナお嬢様! おかえりなさいませ!』

 

 

 ファンファーレというものなのだろうか……兎に角盛大なお迎えにリアスとソーナは特に驚くこと無く平然と手を振っている。

 

 

「ひぃ! ひ、人がいっぱいぃ……!」

 

「成金趣味って奴かね……あんまり理解できないな」

 

 

 逆にギャスパーは怯えた様にイッセーの着ていた先代風紀委員専用の制服である『白虎(スノーホワイト)』の袖を掴んでいる。

 そして……。

 

 

「兵藤一誠様ですね? これから入国審査を行いますので此方へ……」

 

『………』

 

「おーおー、お祭りムードぶち壊しで申し訳ありませんなぁ?」

 

 

 一度冥界へと不法進入をした、今は転生悪魔である一誠を目にした悪魔達の目は、やはり『歓迎します』といった様子は見受けられそうも無かった。

 

 が、それでも一誠は逆にヘラヘラ笑いながら出迎えの者達に皮肉をぶつけながら大人しく入国審査の手続きを済ませると、ジロジロ見る悪魔達の視線を背にグレモリー家の本邸行きの馬車へと乗り込んだ。

 

 

「……。一応何度も言ったんだけど、やっぱりイッセーに対しての態度が露骨だったわ……ごめんなさい」

 

「寧ろアンタ達と同じ対応されたら薄気味悪く思うし、予想も出来た事なんで問題ねーっすよ」

 

「先輩……だ、大丈夫なんですか?」

 

「全然余裕だぜ」

 

 

 怪しむ様な目、敵意を隠す目、嫌悪を向ける目。

 己が以前この地に来てやった事を考えたら寧ろ妥当な対応と思っていたイッセーは、馬車内にてリアスの謝罪に対してヘラヘラ笑いながら気にしないでくださいと返す。

 

 元々イッセーもリアスやソーナといって身近な悪魔以外は信じちゃ居ないのだから。

 

 

「最初は私の実家……つまりグレモリー家に滞在してから次はソーナの実家であるシトリー家にも行くわ。

勿論イッセーは人間界での予定を優先に行動する事を予め伝えてあるから、遠慮しないで動いて良いわ」

 

「そりゃどうも……くくく」

 

 

 リアスの言葉にイッセーがニヤリと笑って頷くのと同時に馬車がグレモリー家の本邸へと到着する。

 降りてみると、多数の悪魔達がわざわざ敷いたレッドカーペットを中心に横並びに整列しており、令嬢のリアス……そして客人たるソーナに会釈し、開かれた巨大な城門を潜り道を進んでいくと……。

 

 

「やぁ、お帰りなさいリアス。

そしてようこそ、ソーナさん、椿姫さん、朱乃さん、ギャスパー君……そして一誠君」

 

「お兄様……! それにお父様もお母様も……」

 

 

 ぶっちゃけそんなに会いたくは無かった男……サーゼクス・ルシファーとその妻グレイフィア。

 そしてもっと会いたくなかったリアスの両親が五人を出迎えた。

 

 

「ご招待に感謝致します魔王様、ジオティクス様、ヴェネラナ様」

 

 

 魔王とリアスの両親を前にソーナと椿姫が膝を付きながら挨拶をするので、一応一誠も膝を付きながら頭だけは下げておく。

 

 

「うむ、固い挨拶はやめよう……その……彼にまで膝を付かれたら色々と申し訳が……」

 

 

 そんなソーナと椿姫にジオティクス・グレモリーが微妙な顔をしてその後ろでやる気無さそうに膝を付いてる一誠を見る。

 

 

「よく、おいでくださいました……本当に感謝致します」

 

 

 ヴェネラナ・グレモリーがすかさず、気を使ったつもりで一誠に冥界入りした事を感謝する言葉を送るのだが。

 

 

「いえ、主たるソーナ・シトリー様とリアス・グレモリー様がご実家に帰省される以上、下僕たる私が人間界に残る訳にはいきませんし、そもそも元は不法進入者の犯罪者である私を正式に入国させて頂けたその『慈悲』に感謝しかございませんよ……」

 

 

 ニコニコと……無垢な少年を思わせる笑顔を浮かべながら、ジオティクスとヴェネラナにしてみればド級の皮肉にしか聞こえない言葉を並べられ、思わず顔がひきつってしまう。

 

 

「おいおい、あんまり僕の両親を虐めないでくれないか一誠くん? それと別に無理してそんな畏まらなくても良いんだぜ?」

 

「……」

 

 

 そんな両親を見て心底可笑しいと含み笑いをしたサーゼクスが一誠に『素』で構わないと促す。

 

 勿論素で良いなら良いに越した事は無いと思っていた一誠だったのでリアスとソーナに『良いか悪いか』の是非を目線で問う。

 

 

(うん)

 

(サーゼクス様がそう言ってるのなら遠慮しなくて良いわよ)

 

 

 すると二人も特に異論は無く、コクンと揃って頷いて素に戻る事を許可すると……。

 

 

「っ……あぁ~」

 

『っ!?』

 

 

 怠そうに、心底かったるそうに片膝付いた体勢から立ち上がると、ゴキゴキと首の関節を鳴らしながら、早速とばかりに口を開いた。

 

 

「ギャスパーが怖がってる、だからとっとと落ち着ける部屋に案内してやって欲しいんだが」

 

「ぁ……先輩」

 

 

 ポンと多数の悪魔を前にビクビクしていたギャスパーの頭を優しく撫でながら、とっとと落ち着ける場所に連れていけとタメ口を聞く一誠に、周囲の悪魔達の目付きが変わる。

 

 無論、良い意味などでは無い。

 

 

「俺みたいに無理矢理二人の駒奪って転生したのとは違って、この子は純粋にグレモリー先輩の眷属なんだぜ?」

 

「む……それは確かに配慮が足りなかったね……すまない」

 

「では早速グレイフィアにお部屋への案内を……」

 

 

 だが一誠は元々好かれようなんて微塵も思ってないし、気に食わない相手には気に食わない対応しかしないと決めている。

 だからこそ無遠慮にとっとと部屋に連れていけと促す一誠の立場は一瞬にしてネガティブとなる。

 

 

「ではお部屋に案内致しましょう」

 

「うーん、アザゼル達と比べたらマシなんだろうけど、やっぱり悪魔は好きじゃない?」

 

「赤の他人の悪魔をわざわざ好きだって公言する方がおかしいだろう? つーかなじみは?」

 

「多分その内ひょっこり来るんじゃないかい? あの人は何時でも自由だからね」

 

「それは違いないな」

 

 

 まあ、それでもリアス、ソーナ、セラフォルー、グレイフィア、サーゼクスのお陰で嫌な奴を見る目に留められている訳だが。

 

 

「はぁ……やっぱり悪魔は嫌いな方なのね……」

 

「わかっては居たけど、ちょっと傷ついたわ……」

 

「いや、アンタ等二人はそうでも無いっすよ。

他人じゃねーし」

 

「ふーん? じゃあセラフォルー様は?」

 

「……。アレは別にどっちでもない」

 

 

 冥界合宿は始まったばかりである。

 

 

 

 

 

 

 

 冥界合宿の始まり。

 しかし一誠は当然冥界にずっと居るつもりなんて無く、夜になればサーゼクスから与えられた特殊な方法で人間界と冥界を行ったり来たりだ。

 

 

「ミリキャス……あぁ、あの二人の……」

 

「はい! イッセーさんの事は安心院さんから聞いてました!」

 

 

 その際出会うは、サーゼクスとグレイフィアの子であるミリキャス・グレモリー

 

 最初はどうでも良さげにしていた一誠なのだったが……。

 

 

「よーしギャスパーにミリキャス! 風呂行こうぜ風呂!」

 

「はい!」

 

「はい……!」

 

 

 数時間で普通に仲良くなっていた。

 勿論理由は子供だったから。

 

 

「冥界文字? 冗談じゃない、俺は代理と言いましたよね? つーかアンタなんかに教えられたくもねぇ」

 

「そ、そこをなんとか……ダメかしら?」

 

「妻もこう言ってるしここはひとつ……」

 

「嫌ですね。だったらひんぬー会長かグレモリー先輩、椿姫ちゃんや朱乃ねーちゃんに教えて貰えば即解決っすわ」

 

 

 逆にリアスの両親に対しての風当たりはかなり強い。

 人妻属性なのに朱璃との差が文字通り次元の違うレベルだ。

 そんな折……。

 

 

「は? フェニックス家が来いだって?」

 

「みたいなんだよねー? 何でも転生悪魔になったキミに言いたい事があるんだってさ。

大体お察しだけど、フェニックス家の方々はキミの事恨んでるみたいだし」

 

 

 一誠を特に恨む悪魔達からのご招待。

 

 

「キン肉族三大奥義の一つ! マッスル・インフェルノ!!(天)」

 

「がばぁ!?」

 

「鯱が白鷺をくわえるその瞬間を……よーく見ろやぁ!!」

 

 

【鯱が白鷺をくわえたーっ!!!】

 

 

 取り敢えず売られた喧嘩を買い、マッスル・インフェルノに自作を加えた自作の完璧版マッスル・インフェルノで捻り潰す。

 

 

「やっほーギルバちゃん! 元気だった?☆」

 

 

 レヴィアたんに絡まれたり……。

 

 

「え、ギルバちゃんとの関係? うん、カテレアちゃんから私を楯になって助けてくれた、リアスちゃんとソーたんの大切な眷属さんにて、私を応援してくれる大切なファンだよ☆」

 

 

 関係バラされたり……。

 

 

「さて、ねーちゃんの尻を勝手に触ったそこのボケ……今すぐに死ね」

 

 

 朱乃ねーちゃんにセクハラした何処かのバカに怒り狂ってしまって……。

 

 

「完璧零式奥義―――千兵殲滅落としィィィッ!!!」

 

 

 ヤバイ方の奥義を繰り出したり……。

 

 

「へー? 兵藤凛と役立たず共はテロ組織で楽しくやってると……くくく、不慮の事故で死んでもしょーがねぇよなぁ~?」

 

 

 取り敢えず夏休みをそれなりに満喫していた。




補足

それでもやはり、目上に対しての口調じゃないので周囲の皆さんの一誠くんを見る目は厳しい。


その2
関係ないけど、ミリキャスきゅんなのかミリキャスたんなのか……それは永久に謎。

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