風紀委員長一誠くんと幼馴染み朱乃ちゃん   作:超人類DX

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問題。物理法則完全無視のプロレス技らしき何かを嗤いながら掛けまくる少年を目の前に、少女達は何を思ったか……。


答えは……。


リハビリなんで色々と酷いです。

あと閑話で誤魔化します


マッスル乙女達

 黒神ファイナル。

 これはなじみから聞いたお伽噺の主人公が使う最終フェイバリットであり、何でも一度は言彦をぶちのめしたとかなんとか。

 まあ、直ぐに慣れたって理由で返り討ちにされちまったらしいけど、それでも俺は何となく修行しまくって使える様にはなっていた。

 

 が、嘗めてた。

 あんまり好ましくないって理由で、乱神だの改神だのといった技術共々椿姫ちゃん相手に修行した時等以外じゃ使わないでいたのだが、ギャスパーを少しでも早く助けなきゃと久々に使ってかなり後悔した……。

 

 

(まずい、全身がめっちゃ痛ぇ……)

 

 

 弱体化した状況で使うべきじゃ無かったと後悔するレベルの反動が、カス共を黙らした後一気に襲い掛かり、今俺の肉体は見た目は無傷ながら中身はズタズタになっていた。

 

 

「強力な暗示が掛けられてますわね」

 

「ええ、直ぐに解除してあげましょう」

 

「椿姫……匙達を縛り付けましょう」

 

「ええ……全身の骨が砕けてますし、縛るだけで身動きも取れないでしょう」

 

 

「………」

 

 

 まずい、ヤバイ、痛い、動けない。

 筋ひとつ動かそうとするだけで身体の中を鋭い丸鋸が無差別に斬り刻むが如く痛いし、さっきからギシギシと骨が悲鳴をあげてるしで、脂汗的なのが全然止まらない。

 

 

「ふぅ、こんな所ね。……それにしても一体誰に唆されたから匙達はこんな真似を……」

 

「今回のテロ組織の誰かという線がありますが、わざわざ元転生悪魔でしか無い匙君達を唆すというのも変ですしね」

 

「一誠はどう思う? …………一誠?」

 

 

 これマジでどうしよ? ギックリ腰の経験は無いけど、多分それの五千倍は痛くて動けないし、貧乳会長に話し掛けられたけど、返事するのも億劫だ。

 

 

「いや……どう、でも……良いわ。こんなカス共」

 

「??」

 

 

 口を動かすというか、肺に空気を取り込む呼吸動作だけでも肋辺りが大変な痛みに教われてヤバイ。

 

 しかし余裕だぜって装っておかないと、あまりにもダサい訳で。

 ねーちゃんとグレモリー先輩が虚ろな瞳のギャスパーの頭に触れながらブツブツやってるのを横目に、貧乳会長からのフリになるべく顔が引き吊らない様に努めながら返す。

 

 

「物凄い辛そうな顔だけど……」

 

「辛い? 馬鹿言っちゃいけねーぜ会長さん。俺は普通だぜ」

 

 

 早速バレそうになったけど、痩せ我慢してニタニタしながら怪訝そうなツラしとる貧乳にブラフを噛ます。

 カス相手にオーバーキル噛ましたら反動でズタズタですなんて、格好が悪いにも程があるのだ。

 

 

「そん、な事より……ギャスパーは平気なん、でしょうね?」

 

「ええ、無理矢理神器の力を引き出されていたみたいだけど、命に別状は無いみたい」

 

 

 それを聞いて安心したぜ。

 でなきゃ助けた甲斐が無いってもんだしな。

 

 にしてもギャスパーは何で俺の長ランなんざ着てるのだろうか? サイズなんて合う訳も無いのに……。

 

 

「すー……すー……」

 

「おーおー、呑気にスヤスヤお眠しちゃって……。ま、良かったがね――っ……!?」

 

 

 だがまぁ、無事であるに越した事は無いし、一々考えることでもない。

 グレモリー先輩の腕の中でスヤスヤ寝てるギャスパーにはその長ランを暫く貸して置くって事にして、取り敢えずそこに転がってる馬鹿共も会長さんと椿姫ちゃんに任せて俺はもう一つ仕事を終わらせなければならんのだ。

 

 そう……今もまだ勝手にこの学園に侵入してるボケ共の始末をな。

 

 

「……。ねぇ一誠くん、ひょっとして今身体がボロボロなんじゃないの?」

 

「……」

 

 

 

 だけどどうやらねーちゃんには見抜かれてしまったみたいで……。

 黒神ファイナルの反動で身体中がズタズタであることを早速突っ込まれてしまった俺は、会長さんと椿姫ちゃんの時みたいに咄嗟の強がりが言えずに思わず口ごもってしまった。

 

 

「やっぱり……さっきから一歩も動こうとせず、表情も辛いのを我慢してるって感じだったから変だとは思ったけど……」

 

「大方、カッコつけようとしてやせ我慢してるのでしょう。昔から一誠くんはそうですし」

 

「べ、別に我慢してねーし。痛くなんて――ぎっ!?」

 

 

 朱乃ねーちゃんの言葉にやっぱりといった呆れ顔をする会長さんと椿姫ちゃんに意固地な気分になって動こうとした瞬間、全身の骨が軋む感覚と共に目の奥がスパークする様な激痛が襲いかかり、思わず顔を歪めてしまう。

 

 

「イッセー、やっぱりそれって悪魔に転生して弱くなっちゃったからなの?」

 

 

 昔なじみに肉弾戦のタイマン挑んで返り討ちに遇った時のソレよりもある意味ヤバイかもしれないこの激痛を見て何を思ったのか、急にスヤスヤしとるギャスパーを抱えていたグレモリー先輩に、物凄い罰の悪そうな表情で言われてしまった。

 

 どうやら転生した結果の弱体化についてまだ罪悪感を感じてるらしい。

 

 

「修行不足なだけっすよ……イテテテ、ちぇ、こちとら無駄に大技ぶっぱなして、反動で身体がズタズタになりましたなんて……ダセェにも程があるぜ……あークソ」

 

「……」

 

「なんすかその顔? 言っときますけど、グレモリー先輩も会長さんも余計な罪悪感なんて俺に感じるなんてやめて欲しいっすね。

こちとら、悪魔の力を学習してその上で強くなる踏み台目的でアンタ等の下僕に無理矢理なったに過ぎない―――痛い痛い痛い!?!?」

 

「大人しくしなさい! まったく、そんなつもりも無かったくせに……」

 

「ちょ、ちょっとねーちゃん! もうちょっとこう……ガラス細工を扱うように優しくだね――」

 

「ちょっとくらい痛い目に遇う方が一誠くんには丁度良いの!」

 

 

 罪悪感? 知るかそんなもん。

 今ねーちゃんに無理矢理全身を指圧されまくって邪魔されたけど、結局の所元を辿ればそこで転がってる馬鹿共然り、グレモリー先輩をあっさり見捨てたクソ共然り、俺の立ち位置がアレだったせいで全部拗れてしまったからに過ぎないんだ。

 

 だから代わりが見つかるまではパシリにくらいならなってやらん事もない。

 

 どうせこれも修行……そう、修行なんだから。

 

 

 

 

 朱乃に応急処置を施された一誠は、当初と比べればゾンビと揶揄されるしぶとさと回復力も相俟ってマシに動ける程度にまでは回復を成功させた。

 

 意識を無理矢理幽閉されていたギャスパーも取り戻し、残すところは運動場で勝手やってる有象無象の処理で全ては完了する。

 だから一誠はそのまま運動場へと向かった訳だが、朱乃、椿姫、ソーナ、リアスに『戦うな』と釘を刺され、只今彼はスヤスヤと風紀委員長の長ランを着たギャスパーをおんぶしながら、運動場で派手に暴れて有象無象を吹っ飛ばしてる四人の少女達を眺めていた。

 

 

「むにゃむにゃ……」

 

「ねーちゃん達がやってるせいで退屈だな……」

 

 

 運動場の端っこからギャスパーをおんぶした体勢でそう呟く一誠の視界に映るは、然り気無く一誠に付き合わされていた影響で無駄に肉弾戦がえげつなくなってる四人の少女達。

 

 

「行くわよソーナ!」

 

「ええ!」

 

 

 例えばリアスとソーナは……。

 

 

「「マッスル・ドッキング!!」」

 

 

 某ドライバーと某バスターを肩車形式で繋ぎ合わせた合体技を繰り出し……。

 

 

「「クロス・ボンバー!!!」」

 

 

 朱乃と椿姫は一人の人物に対して二人がかりでラリアットを両サイドからかけるツープラトン技を繰り出したりと……。

 どういう訳か完全に一誠がやる物理法則完全無視の必殺プロレス技のそれと変わらない技を普通に使いこなしていた。

 

 

「ふっ、やりますね真羅さんも」

 

「姫島さんこそ……ふふふ」

 

 

 クロスボンバーをくらい、名も知らぬ魔術師らしき襲撃者の首がえぐい事になってるのを足元に、パチンとハイタッチをしながら微笑み合う朱乃と椿姫。

 そこには普段一誠に関しての子供じみたやり取りは無く、まさにタッグパートナーとしての風格があった。

 

 

「…………えぇ? マジかよ、つか、いつのまに覚えたんだ?」

 

 

 ただ、それを見せられた一誠はちょっと戸惑っていた。

 マッスル・ドッキングしかりクロスボンバーしかり、師のなじみから借りて愛読する漫画な技である事を一誠は知っているのだが、一誠は教えた事など無かった。

 

 

「ええっと、一誠が前に白龍皇に使ったのは確か……」

 

「や、やめろぉぉぉっ!?!?」

 

「そうそう……思い出したわ! アルティメット・スカー・バスター!!!」

 

 

 なのにあの四人は普通に技を完成型として繰り出しているし、そもそもこの系統の技は女子が使うのはちょっと違うのだ。

 

 今だってソーナが一誠が前に使った技を完コピしてるのだって見たくは無いのだ。

 ……三角絞めしてるせいでパンツ丸見えだし。

 

 

「む、やるわねソーナ……なら私は――」

 

「ひっ!?」

 

「これがビッグベン・エッジよ!!」

 

 

「……何で出きるんだよ。

俺が何年掛けたと思ってんだし」

 

 

 リアスも負けじと完コピ技を使うのだって見たくなかった。

 

 

「ま、こんなものかしら?」

 

「一誠のあの物理法則無視のプロレス技の事が知りたくて安心院さんに聞いた甲斐があったわね」

 

 

 そしてどうやら使える理由があった様で……。

 妙にホクホクした表情でソーナが口にした師の名前を聞いた一誠は、一気に何とも言えない表情を浮かべ、運動場に転がる無数の屍にほんのちょっぴり同情するのだった。

 

 

「なじみの仕業か……チッ、余計な事教えやがって」

 

 

 ハッキリ言って四人が自分の趣味ロマン技を体得する姿はあんまり見たくは無かった。

 普段はあーだこーだ言ってるが、仮にも女の子だし……こう、もう少し華のある戦い方を見たいというか……華奢なのにマッスル技は使うなしというか……。

 

 

「どう一誠? びっくりさせようと思って四人で秘密にしてたのだけど……」

 

「あーうん……嫉妬するくらい上手かったよ色々と」

 

 

 返り血浴びた姿でニコニコしながら近寄られても、一誠は何て返したら良いのか解らないのだ。

 

 

「ギャスパー見たら泣くぞこれ……」

 

 

 背中で眠るギャスパーが今の四人を見て怯えるのが簡単に想像できる。しかしそれ以上に自分の威厳が色々と大変な事になりそうだった。

 

 

終わり。

 

 

 

オマケ

シリアスの前触れ。

 

 

 見事なまでのマッスル技で敵戦力を絶滅させた五人。

 後片付けは三大勢力のトップ達が引き受けるという事で、取り敢えず一息つこうと思った訳だが……。

 

 

「ギャスパーの事、頼みますよ」

 

 

 一誠は眠るギャスパーをリアス達に任せ、そして誰も付いて来るなと釘を刺すと、まだ痛む己の身体のリミッターを無理矢理外して誤魔化しながら、走り去る。

 

 

「ちょっとイッセー!? な、何なのよ……」

 

「校舎に向かってましたけど……」

 

「校舎って……確か屋上でセラフォルーが戦っている筈ですが」

 

「……。認識阻害の結界が張られてるせいで状況がわかりませんね……。

まさかとは思いますが、姉に何か……」

 

 

 急にマジな顔して校舎へ走る一誠に、そういえばと何気に酷い思い出し方でセラフォルーの事を思い出す四人の少女。

 それは一誠の弱体化の深刻さを改めて知る前章……。

 

 

終わり。

 

 

 

 

 

オマケその2

 

五人仲良し。

 

 

 ギャスパーの封印云々前の話。

 最近の一誠は学園の一般生徒から更にヘイトを集めている。

 

 というのは勿論、数が減ってしまった生徒会との一時的な合併による会長・副会長との関わりが増えた。

 そして、同じく退部した者達のせいで二人だけになったオカルト研究部の部長と副部長との……発覚した姫島朱乃との繋がり故の関わり。

 

 全部美少女と最近しょっちゅう一緒だから……といはうのが余計に一誠へのヘイトが溜まりまくっていた。

 

 

「別に昼飯ぐらいわざわざ集まる事無いだろ。

つーか何で一々こっち来るんだよ……」

 

「迎えにいかないと来ないじゃない」

 

「来てってアナタに言うのもちょっと違うしね。それに朱乃が……」

 

「もうバレてるし、今更取り繕っても無駄よ一誠くん?」

 

「一応皆で一誠君の分も作ってきたし……味見もして欲しいから……」

 

『………』

 

「へーへー、わかりましたよ……まったく、お陰で無意味に睨まれまくってるんだぜ俺は……」

 

 

 例えば昼休みなんか、四人の美少女にお迎えに来てもらう。

 この時点で一誠のクラスメートどころか学年全体からヘイトポイントがカンストする。

 

 オマケに本人は結構嫌そうな顔だからぶっ飛ばしてやりたいとすら思われる。

 

 とはいえ、四人の前なのでそんな事を本当にする連中は皆無で睨むしかできないのだが。

 

 

その2・放課後の活動記録。

 

 

「あのさ、何時から風紀委員室はアンタ等の溜まり場になったんだよ……」

 

 

 そんな五人の放課後は最近風紀委員室にてが常になっている。

 現状唯一の風紀委員である一誠だけが許される風紀委員室。

 しかし生徒会との合併、オカルト研究部の同好会降格…………………そしてその両長との繋がりのせいで最近はめっきり風紀委員室が溜まり場になってしまっており、一誠はちょっとげんなり気味だった。

 

 

「椿姫ちゃんは別に良いけどさぁ……………あ、いや朱乃ねーちゃんもね? けどお二人まで来られると余計に自称ファン共から恨まれるんだよねー……」

 

「元から疎まれてたじゃないの……それに独りで生徒会室は……」

 

「私も部室に独りは寂しい……」

 

「う……。あ、いや……わかりましたよ。別に良いっすよ、どうせ広いし……」

 

 

 が、事情を知ってるせいで本気で追い出せない一誠は結局来ても良いことを了承してしまう。

 ソーナとリアスが呆気なく元手下共に裏切られたのを見てしまってるのもあるが、一誠自身のツンツン気味の気遣いがそうさせるのだ。

 

 

「ま、まぁ確かに独りで居たってしょうがないしね……うん、良いよ別に……あ、茶入れるわ」

 

「それなら私が――」

「あー良いって良いって! ねーちゃんも椿姫ちゃんも座ってなよ。

茶入れだけは冥ちゃん先輩時代の時に鍛えられたから結構自信あるんだぜ」

 

 

 だから四人をこうして風紀委員室に居ることを認め、仕事を手伝わせ、暇になったらゲームでもして気を紛らわせる。

 二人の悪魔の下僕の代わりが見つかるその日まで、一誠は自分の意思で二人の力になるのだ。

 

 

「あ、私が王様ね? そうねぇ……三番が一番と5分間抱き合う」

 

「三番は誰でしょうか? 私は二番でしたけど……」

 

「私は四番でしたわ――!? い、一誠くんは!?」

 

「え? あー……一番だけど、えぇ? まさか三番って」

 

「あ、私ですね」

 

「ソーナとイッセーね。残念だったわね朱乃」

 

「くっ……!」

 

 

 

 

「チッ、微妙な抱き心地で萎える」

 

「失礼ね、ほら、貧乳って言ってるけどちゃんとありやでしょ? ほら、ほら!」

 

「あの三人のインパクトがデカいから何も感じねー」

 

 

 多分、一般生徒に見られたら暴動必至だが……。

 

 

「ふふふ、私が王様ですわ。

名前の最初にイが付く方は私を抱き枕にしながらゲーム続行です」

 

「最初から俺って言えば良いじゃん……。まぁ、ねーちゃんなら慣れてるから良いけど、最近変に緊張するからな……」

 

「ぁ……うふふ♪」

 

「くそ……やっぱ昔と違う。

けど……眠くなる匂いは変わってねーや。ごめん、俺ちょっと寝るから後は皆でやっとくれ」

 

 

 

 

 

 

「くーくー……」

 

「本当に朱乃の腰辺りをがっちり抱きながら寝ちゃった……」

 

「流石と言いますか、昔からそうなんですか?」

 

「ええ、最近一誠くんの事を良いと思う女性が増えた気がしますが、ふふふ、これだけは私の強みですわ」

 

「流石幼なじみ……ですか」

 

「ええ……安心院さんには負けられませんよ……」

 

 

終わり




補足

キン肉マンレディーあるし……ねぇ?

やったねイッセーくん、これでタッグ技にも手が出せるよ!

…………女の子同士で成立してるけど。


その2

これ別に関係ないけど、ギャーきゅんまで覚えた場合……なんだろ、チーム名でも考えるべきかな。

超人血盟軍的な。

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