風紀委員長一誠くんと幼馴染み朱乃ちゃん   作:超人類DX

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全然話が進まねぇ……けど次回から多分進む


会談

 人間とは感情の動物だ。

 それが例え間違っていようとも、一度抱いてしまった感情がそれを認めさせようとしない。

 

 だからこそ一誠はアザゼルを見た時、途方も無い憎悪と怒りに危うく言彦に乗っ取られ掛けた。

 

 人間とは感情の動物だ。

 いくら悪魔に転生しようともそれは変わらない。

 

 

 

 

 

「さて、話は脱線したけど、気を取り直して会談の方を始めようか」

 

「「……」」

 

 

 一誠の言葉遣いにより、微妙な空気となってしまったままサーゼクスが場を取り持つ形で始まる会談。

 堕天使は元々嫌い。天使は別に嫌いでも無いが、逆に好きでもない。しかし役立たずにしか思えない。

 

 高々ガキの戯言と言えばアザゼルもミカエルも気にする必要なんて無いが、それをおくびも無く言いきった相手は異常な手段で悪魔に転生を果たした人間であり、更に言えば悪魔なのに聖剣を完全に破壊した者だ。

 

 魔王ですらへし折るのが限界だった事を考えたら、この世から完全に消しただけでも異常なのだ。

 

 

「では早速だけど、先日の事件について話して貰いたい。リアス、ソーナ」

 

「「はっ……!」」

 

 

 だからこそ、ミカエルとアザゼルは先程仲間達にビンタされた影響で、両頬に見事な紅葉を付けてちょっと涙目になって椅子に座って斜め下を向いてる少年から色々と探りたかった訳だけど、結果としてはのっけから少年に嫌われてしまっていたというオチに加え、堕天使であるアザゼルに至っては明確な殺意まで向けられるレベルだった。

 

 アザゼルとしては当初、バラキエルの家族の下で生きていた少年で、そのバラキエルと戦友であるという理由でもっと簡単に探りを入れられると思っていたのだが、とんでも無い……実際はバラキエルというストッパーが無ければ本気で殺しに来る程に憎まれている。

 

 

「これが先日起きた事件の、我々が把握している全容でございます」

 

「…………」

 

 

 コカビエルを回収させる為に送り込んだ白龍皇のヴァーリですら戻ってきた時の半死状態さを見れば、敵と判断した相手に対する殺しの躊躇も一切無い。

 

 リアスとソーナの事件全貌の説明を聞き流しつつ、俯き加減に座る一誠に視線を向けるアザゼルは、今更になってかつて戦友の家族を襲った……今はこの世に存在しないバカ共に内心悪態を付くのであった。

 

 

「二人ともご苦労。座りなさい」

 

「ありがとう、ソーナちゃんとリアスちゃん☆」

 

 

 そうこうしてる内に、コカビエルの件について自分達が知る範囲の説明を終えたリアスとソーナがサーゼクスとセラフォルーによって再び席に戻ると、当たり前だが早速話は堕天使であるアザゼルへと向けられる。

 

 

「さてアザゼルこの報告を受けて、堕天使総督の意見を聞きたいな」

 

 

 サーゼクスに問われたアザゼルは一旦一誠へと向けていた視線を戻すと、先程一誠にメタクソに言われたのもあってか、飄々とした態度はそこそこに口を開く。

 

「先日の事件は我が堕天使中枢組織『神の子を見張る者(グリゴリ)』の幹部コカビエルが単独で行ったものだ。

奴の処理は『白龍皇』が行う予定だったんだが、知っての通り処理は……いや、消したのはそこの転生悪魔だ。

その辺りの説明はこの間転送した資料にすべて書いてあったろう? それで全部だ」

 

 

 そう言って再び一誠へと視線を戻すアザゼルに、天使の代表であるミカエルが呆れた表情を見せる。

 

 

「雑な説明ですが、私も二名の悪魔祓いからその様な説明があったと聞いてますから、一応は信じましょう。

アナタも再び戦争を起こすつもりは無いらしいですしね?」

 

「あぁ、今回の事件をコカビエルが起こしたのだって俺達が戦争をするつもりが無いことに不満を爆発させた上での暴走だからな」

 

 

 アザゼルの視線の先に気付き、釣られる様にしてミカエルも一誠を見つめつつ話す。

 どうやら揃って余程一誠という存在の実態を把握したいらしい。

 

 

「アザゼル、ひとつ聞いておきたいのだけど、どうしてここ数十年神器の所有者をかき集めている?

最初は人間たちを集めて戦力増強を図っているのかと思ったし、天界か我々に戦争を仕掛けるのではないかと予想していたのだけど」

 

 

 そんな二名の視線にサーゼクスも気がつくも、敢えて触れずにアザゼルに対してここ数年の行動の真意を訊ねる。

 

 

「そう。いつまで経ってもあなたは戦争を仕掛けてこなかった。『白い龍』を手に入れたと聞いた時には強い警戒心を抱いたものです」

 

 

 それはミカエルも聞きたかった事なのか、一足早く一誠からアザゼルへと視線を移しながら目を細めると、アザゼルは少々のため息を交えながら苦笑いした。

 

 

「神器研究の為だ。

なんなら、一部研究資料もお前たちに送ろうか? そもそも研究していたとしても、それで戦争なんざしかけるつもりなんか無いしな。

俺は今の世界に十分満足してるし、部下に『人間界の政治にまで手を出すな』と強く言い渡してるくらいだぜ? 宗教にも介入するつもりはねえし、悪魔の業界にも影響を及ぼすつもりは無い。

ったく、俺の信用は三すくみの中でも最低かよ」

 

「うん」

 

「無いね」

 

「当たり前だね☆」

 

 

 段々と愚痴混じりにも聞こえる言葉に、残りのトップ達はかなりの即答だ。

 

 

「チッ、先代もそうだがお前等もお前等でめんどくせぇな。大体俺の神器研究を警戒したいのもわかるが、俺からすりゃあ、この前の騒動でコカビエルを殺して聖剣まで完全にこの世から消したそこの転生悪魔を抱えてるお前等の方が警戒に値すると思うぞ?」

 

 

 そんなトップ達に舌打ち混じりでアザゼルはサーゼクスとセラフォルーに対して、そこの転生悪魔……つまり一誠の事について触れ始める。

 

「コカビエルだって決して弱くない……いや寧ろ強さで言ったら俺達と変わらない。

俺の情報によれば、コカビエルを殺した時も奴が一人で殺したって話らしいが?」

 

「それは私も同じく問いたい。転生悪魔でありながら聖剣をこの世から完全に破壊したその理由と共にね」

 

 

 アザゼルとミカエルが再び一誠を鋭く見据える。

 ボロクソになじられたとはいえ、それとこれは話は別だ……といった気概が二人から伺える。

 

 

「んー……聞きたければ本人に聞けば良いんじゃないの? まぁ、本人が言いたくないと言えば諦めて貰うしか無いけどね」

 

 

 そんな二人にサーゼクスは惚けた態度を崩さない。

 然り気無くセラフォルーも気になるって表情だが、こればかりは一誠本人から語らなければ意味も説得力も無いのだ。

 

 

「……………。先程の状況で答えて頂けるとは思えませんが、どうでしょう? 答えられる範囲で良いのでどうか私達にも教えて貰えませんでしょうか?」

 

「神器を持たない男が、白龍皇すら半殺しにしたその理由をよ……バラキエルの嫁と娘の件で俺達を恨んでるのはわかるが……頼む」

 

 

 何かを知ってるような言い方をしつつも語るつもりは無い言い切るサーゼクスに対して諦めたのか、二名のトップは高々転生悪魔のガキ一人にかなり下手に出て教えてくれと頭まで下げる。

 これこそある種異常な光景であり、一誠の傍に居るリアス、ソーナはごくりと固唾を思わず飲むのだが……。

 

 

「………………ぐー」

 

 

 

「…………」

 

「…………」

 

 

 その問われた本人は気持ち良さそうに居眠りこいていた。

 俯いていたのも、先程のやり取りで居心地が悪くなったとかでは無く、ただ単に居眠りしていたからでしかなかったのだ。

 

 

「い、イッセー……!」

 

「お、起きなさい……!」

 

「はぁ、やけに大人しいと思ったら……」

 

「まったく、仕方の無い人ねぇ……ほら一誠くん?」

 

「むにゃむにゃ……うへへへ」

 

 

 これでもかと苦虫を噛み潰した顔で閉口してしまうミカエルとアザゼルを見て流石にマズイと悟ったのか、ソーナとリアスが慌てて起こそうとする中、女王である椿姫と朱乃は寧ろその逆の……呆れつつもどこかのほほんとした表情でゆさゆさと寝言までほざいてる一誠を揺さぶり起こす。

 

 

「……むにゃ?」

 

「起きた?」

 

「ほら、天使と堕天使のトップが一誠くんにお話があるんですって?」

 

「ぇ……? ここどこ? レヴィアたんは?」

 

 

 そして眠たそうな目で起きた一誠なのだが、キョロキョロと辺りを見渡しながら、またしてもレヴィアたんがどうのと言い出す。

 どうやら夢でも見ていたらしく、それを聞いた四人は若干不機嫌になってしまう。

 

 

「な、なに寝惚けてるのよ……! と、というかまた姉の……!?」

 

「会議室で今は会談中よっ……!」

 

「ぇ? まだ終わってなかったんすか? なんだよ……アレ夢だったのかよぉ……。

折角レヴィアたんと悪い魔法使いぶちのめす夢だったのに……」

 

「………。そろそろ本気で怒るわよ?」

 

「セラフォルー様を見てからレヴィアたんばっかりで面白くないわ」

 

 

 最近妙に多すぎるレヴィアたん関連の話に、椿姫までもがムッとしながらユサユサと強めに一誠を揺さぶって意識をたたき起こそうとする。

 

 

「レヴィアタン? セラフォルーの夢でも見てたのかな?」

 

「もしかしてセラフォルー様が普通すぎるお召し物を着ているのと何か関係があるとか?」

 

「そうなの? どうなんだいセラフォルー? 彼と一悶着あったみたいだけど――――」

 

「やっぱりギルバちゃん……………あは☆」

 

「うん、聞いてねー……」

 

「すっごい嬉しそうにしてますね……一体彼と何が?」

 

 

 『も、もう起きたから揺さぶるのやめれ! き、気持ち悪くなる……!』と顔色が青くなる一誠に対して、やけにキラキラと嬉しそうな眼差しを送りつけるセラフォルーを見て、サーゼクスとグレイフィアは、安心院なじみ繋がりでもある一誠が何かやったのか? と変に勘ぐってしまうのだが、実際の話は只のファンとアイドルのちょっと拗れた話というだけの事である。

 

 

「お、おい……お眠りの所悪いが、質問していいのか?」

 

「………あ?」

 

 

 ここまで来るとおちょくられてる様にしか思えないアザゼルとミカエルも、少々カチンと来てしまう訳だが。

 

 

「ですから、聖剣をどうやって破壊したのか。そして神器を持たないアナタの持つその力の源をですね……」

 

「聖剣? あぁ、あのガラクタね。

ありゃあ……誰だっけ? あのはぐれエクソシストだかなんだかが俺をぶった斬った時に勝手にへし折れて剣の方が勝手に粉々になっただけっすけど?」

 

 

 あくまでも自分達に対して不遜きわまりない態度を崩さない一誠の話も我慢して耳を傾ける。

 しかし内容は正直荒唐無稽だ。

 

 

「なにか? 聖剣が勝手に自滅したとでも?」

 

「だからそうだつってんだろうがボケ……! テメーは理解力がゼロなのか? だったら羽もげて硫酸浴びてとっととくたばれ」

 

「」

 

 

 そして寝起きでも堕天使のアザゼルに対する嫌悪感は全然薄れない。

 バラキエルを無理にでも連れてくれば良かったとアザゼルは今になって大後悔だ。

 

 しかしアザゼルは大人なので、それでも頑張って下手に根気強く一誠に対して対話を求める様に努める。

 

 

「あ、あのよ……バラキエルの嫁さんと娘に関しては本当に俺の管理の甘さが招いた結果だと深く反省してる。

いずれちゃんとしたケジメもつけるつもりだ……けどよ

今はその、コカビエルがやっちまった事件の内容を深く知り、その上で堕天使、悪魔、天使の間でこれからどうするかって話し合いをしたい訳なんだ。

だからよ、出来れば協力をだな……」

 

「だから話したつってんだろ? テメェ等糞カラスはどうしてこうイライラさせるんだよ? バラキエルのおっさんがマゾで堕ちでもしなけれりゃ、ホントテメー等はカスの集まりでしかねーよ。

それとケジメだと? おいおい、じゃあ今までテメー等は朱乃ねーちゃんと朱璃さんに何をしたんだよ? あのクソカラス……コカビエルってのはあの時ねーちゃんを人質にしてバラキエルのおっさんを無理矢理言うこと聞かせるとかほざいてたぜ? 管理の甘さも変わって無い時点でケジメもクソもあんのか? 言えばそれでなぁなぁ済むと思ってんのか? ホント今すぐテメー等全員根絶やしにしてやりてぇよ……! そうすりゃバラキエルのおっさんだって家に戻ってくるしなぁっ……!!」

 

 

 が、駄目。

 サーゼクスの予想通り、全生物の中で文句無くトップに君臨する程の激しい嫌悪と憎悪を剥き出しに、一誠はアザゼルに暴言をぶつけまくる。

 

 一誠も頭の中で、『今そんな話をする事じゃないし、このアザゼルに言った所で当事者じゃないのだから、これは単なる八つ当たりでしかない』と解ってはいる。

 けどアザゼルが朱璃と朱乃の話をした瞬間、それまで冷静だった朱乃の顔つきが思い出したくない思い出を掘り起こされて苦しむ表情に一瞬だけなってしまったのを見てしまったが故に、一誠はもう自分を止められなかった。

 

 

「どうやって壊した? 壊したんじゃねーよ、勝手に壊れたんだ。

どうやってあのクソカラスを殺したかって? そんなもん毎日鍛えてるからだよ! この説明でも納得できねーのか? この役立たず共が!!」

 

「いえ、もういいです……」

 

「………」

 

 

 クソ不愉快だと嫌悪にまみれた表情でその顔を歪ませ、吐き捨てるかの様に言う一誠に、これ以上は無理だと悟ったミカエルとアザゼルはそのまま引き下がってしまう。

 

 

「けっ……! やっぱり俺なんかこんな場違いな場所に来るべきじゃなかったんだ。

要らん事ばかり言ってすぐ拗らせちまう……クソっ!」

 

「一誠くん……」

 

 

 腕を組み、天井を見上げる一誠。

 どうやら先程歪めたその表情は自己嫌悪も入っていたらしく、溢れる堕天使への嫌悪を抑えられない己の堪え性の無さに対してにも含まれていた様だ。

 

 

「……そういう事らしいよミカエルにアザゼル。

現場検証をしたけど、聖剣に関しては壊したというより本当に壊れてしまったといった方が正しいよ」

 

「……。ウチの白龍皇が少しばかり様子を見てたらしく、報告を受ける限りじゃ言った通りらしいのは聞いてたから知ってはいた。

はは、ここまで嫌われてるとはな……バラキエルの奴が一切喋らなかった理由がよくわかったぜ」

 

「聖剣自体に拘りはありませんからね……」

 

 

 ミカエルもアザゼルも……特にアザゼルは罰の悪そうな表情で頷く。

 しかしアザゼルは知らない。バラキエルが如何に一誠少年に慕われ、そのストッパーになってくれていた事をバラキエル本来の実力を含めて知らなかった。

 

 

「っ!?」

 

「こ、この感覚……!?」

 

「っ!? ギャスパー……!?」

 

 

 一誠という少年の地雷を踏めばどうなるのか……。

 

 

「襲撃者かな……まったく、最低なタイミングで来てくれたもんだね。しかもよりにもよって……」

 

「ギャスパーの奴の力だろこれ!? つーかこんな強力に発動するなんて……何かあったに違いない……!」

 

「落ち着いて! 発動しているという事はギャスパーは死んではいない……だから落ち着くのよ……!」

 

「くっ……テメーの状況を呪ったのは朱乃ねーちゃんの時以来だ…」

 

 

 それに比べたら暴言吐かれるだけまだマシな部類だったとアザゼルが知るまで、残り数分。

 

 

続く。

 

 

 

 

 

 それはテロ組織の仕業だった。

 

 

「カテレア・レヴィアタン。なるほど、テロ組織と組んでこんな真似をした訳か」

 

「お察しの通りよサーゼクス。我々旧魔王派は無限の龍神がトップを勤める禍の団(カオスブリケード)へ移ります」

 

「何の為に……なんてのは聞かないよ、理由なんか大体わかるし、セラフォルーを睨んでる辺り、レヴィアタンを取られた嫉妬って所かな?」

 

「……。よくご存じで。という訳でセラフォルー……アナタを殺してレヴィアタンを取り戻させて貰うわ」

 

「……。悪いけどカテレアちゃん、その話には応じれないよ? だって私は――」

 

 

 前回の似非予告を参考。

 

 

 

 始まる旧レヴィアタンと現レヴィアタンの戦い。

 

 だがそれとは別に一誠達は……。

 

 

「どけ、ゴミ共がぁぁぁっ!!!!」

 

 

 無理矢理力を引き出されて暴走させられたギャスパーを助ける為、後悔の自念に苛まれながらも目の前のテロメンバーをなぎ倒しながら進む。

 

 

「ぐっ!?」

 

 

 だが弱体化の影響か、上手く身体動かせず徐々に攻撃を受けて傷だらけになっていく。

 

 

「一誠くん!」

 

「ハァッ!!!」

 

 

 勿論椿姫と朱乃達の援護もあり、致命傷だけは避けながらもギャスパーの元へと辿り着いた一誠達が目にしたのは……。

 

 

「こ、交換条件だ。会長……今すぐ兵藤を殺して俺達を元に戻してくださいよぉ……!」

 

「なっ、あ、アナタは……」

 

 

 一誠を恨む者達の堕ちた姿。

 

 

「アナタ達まで……どうして……!!」

 

「……。言われたんですよあの人達に、弟さんを始末すれば、洗脳も何も消えるって」

 

「勿論殺しはしませんよ、兵藤さんが悲しむから。

けど、動けなくさえすれば洗脳を解除させられる事はできる」

 

 

 勝手な思い込みにより暴走する元下僕。

 

 

 そして……。

 

 

「くっくっくっ、役立たずって言ったのは訂正してやる。

テメー等は天才だぜ……俺の邪魔をする事に関してはなぁぁぁぁっ!!!」

 

 

 ギャスパーを楯にする連中に遂に本気でキレた一誠は、もう容赦せずに目の前の有象無象をぶちのめそうと殺意を剥き出しにする。

 

 

「弱体化したといって、テメー等ごときに劣る俺では無いわぁっ!!!」

 

 

 その怒りが、転生による無数の駒によって押さえつけられていた進化の扉を再び開け放つ。

 

 

 

 

 そして……。

 

 

「こ、これでも足りねぇか……ご、ゴミ処理には最適だったが」

 

「貴様……」

 

「な、なんで……!?」

 

 

 中途半端のまま進化した少年は、偶々見てしまったピンチの魔王に向かって走り、思わずといった調子で楯になる。

 

 

「し、知らねーよ……くそ、勝手に動いちゃったんだから……ぐふっ」

 

 

 腹部にポッカリと空いた孔。

 どうみても致命傷、どう見ても絶命寸前。

 

 しかし一誠はそれでも……偽者と思いたい魔王に向かって息も絶え絶えに言った。

 

 

「レヴィアタンはそこのケバい女より、アンタの方がマシだぜ。

クソ……今度、生きてたら握手してくれよな……レヴィアたんよぉ……!!」

 

「あ―…」

 

 

 けけけけ、と嗤いながら確かにセラフォルーに対してそう言った一誠は……。

 

 

「どてっ腹に風穴あけた程度で……勝ったと思ってんじゃ……ねぇぇぇぇっ!!!!」

 

「っ!? 死に損ないの転生悪魔風情が! そのままセラフォルー共々死になさい!!」

 

 

 誰かの蛇というドーピングでパワーアップした旧レヴィアタンに、ぼろ雑巾にされながらも何度も立ち上がり、そして向かっていく。

 

 

「も、もう良いから! 何で君がそこまで……!」

 

「うるせぇ! ごほっ!? れ、レヴィアたんが負けるなんて見たくねーんだよ! つーか、げほっ! こんなケバいババァとレヴィアたんが戦うまでもねぇ!」

 

「ば、ババァ……? こ、このガキ、死ねっ!!」

 

「ぐばっ!?」

 

 

 深刻な弱体化が枷になり、ボロボロにされていく。

 しかしそれでもレヴィアたんだ何だとムキになって立ち上がる姿はまるでゾンビのごとく。

 

 

「な、なんなんだ貴様は……とっくに死んでる筈なのにどうして立ち上がれるのですか……!」

 

「へ、へへ……そ、そんなもん……幼馴染みとの約束を守るのと、レヴィアたんと握手するまで死にたかねーからだよ……!」

 

 

 恐怖すら覚え始めた頃、遂に一誠は……。

 

 

「うぉぉぉっ!! 消えて無くなれぃ!!!」

 

「がっ!? あがっ!?」

 

 

 

 

 

「これが俺の必殺技だーーっ!!!!!」

 

「な、ななっ!? こ、この私になんて格好を――」

 

「へっ、そのまま地面に叩きつける技に変もなにも無いだろ?」

 

「ま、待ってください! わ、私は無限の龍神であるオーフィスに唆されて……!」

 

「いけないなァ? 龍神様のことを悪く言っては?」

 

 

 

「マッスル・リベンジャー!!!!!」

 

 

 

似非予告……ルートその2 セラフォルーちゃんとギャーきゅんルート半々。

 

 

以上、嘘でした




補足

頭の中では今言ったってしょうがないとは理解してる。

けれど、やはり言ってしまう。


その2
最近セラフォルーさんと会ってしまってから、レヴィアたんと楽しく何かやってる夢を頻繁に見るようになったとか。

曰く『偽者の五万倍レヴィアたんはかわいい』……と、セラフォルーさんから目を逸らしながら供述。


その3

マッスル・リベンジャーが卑猥? んな訳ねーだろ、アレほぼ殺人技だぜ? 三大奥義やで?

ちなみに、『いけないなァ~』と『アナタは天才です、邪魔をする事に関してのねぇぇ!!』をパロってるのは知ってる方は知っている。






最後
……あれ、セラフォルーさんヒロインなのこれ?

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