風紀委員長一誠くんと幼馴染み朱乃ちゃん   作:超人類DX

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後日談です。

解決したけど、解決してない的な… 


風紀委員長兼悪魔なイッセー

 そう、これは気分の問題なだけだ。

 ただ単純にその時はそう思ったから、ああいう行動を何故かしちゃった訳だけど、結局の所は只の気紛れだってだけだ。

 

 ……。まあ、捨てられて腹空かせた野良犬みたいな背中でトボトボと椿姫ちゃんと帰ろうとしたのを見たら、何かもう色々とアレに思えてしまったというかさ……。

 

 

幻実逃否(リアリティーエスケープ)が乱用不可能。

つまりスキルを自覚して師匠に修行を付けて貰い始めた頃辺りまで落ちてるっぽいぜ」

 

「それはつまり、私と最初に出会った時くらい?」

 

「よりちょい下かも。

否定したら結構な時間のインターバルが必要だから……うん、こりゃ相当に弱体化したわ。まあ、鍛え直せば良いのだけど」

 

 

 俺って何時から他人に気を向ける性格になったんだろうね……。

 

 

 

 

 兵士・騎士・戦車・僧侶。

 本来なら一人一役。特殊ケースでも一役に対して複数個で転生する事で悪魔となる悪魔の駒。

 しかしこの兵藤一誠は悪魔の常識を真っ向から捻り潰すが如く、上記の駒全てを使用して転生した。

 

 

「呼び出す人間の前に現れて対価を貰って願いを叶えるのが仕事ね……。しょっぱい事してんのな」

 

 

 リアスの婚約騒動の一件から、『居ても居なくてもぶっちゃけどっちでも良い』から『立場が圧倒的に低い転生悪魔の言い分は全く聞きやしないだけに加えて、長がやられたら真っ先に命ほしさで逃げる腰抜け共』というマイナスイメージを持ち、言ってしまえば好ましくは無いという感情を持っていた兵藤一誠が、ソーナ・シトリーとの一件を終わらせた際に回収した駒を全て使用し、更には自らに枷を付けて弱体化した状態で悪魔に転生した。

 

 別に一誠がそんな真似をする必要なぞ微塵も本来なら無い筈なのだが、短気で一々言動が小物でチンピラな表面側とは裏腹に、奥底にある『お人好し』が今の状況を作り出した。

 

 

「こんな事を言いたくはありませんが、その……形式上は転生悪魔なので、前に冥界へと乗り込んだ時みたいなイケイケな態度をほんの少しだけ控えて貰えると良いかなー……なんて」

 

「え? あぁ、はいはい。わかってますよ王様。

今の俺は人間様では無くなってますからね、郷に入りては郷に従えでやりまさあ」

 

 

 その結果、かなりの弱体化に繋がってしまい、今の一誠はかつて安心院なじみから修行を付けて貰い始めたての頃の実力まで落ちてしまってる。

 比較すれば、冥界に乗り込んだ時に戦った『悪魔としての』サーゼクスにすら負けるだろう所までは落ちてる。

 

 

「魔王様と実家にはこれまでの経緯を説明した上で、アナタの転生悪魔としての登録を嘆願しましたので」

 

「二度と行くつもりも無いんですけどね俺は」

 

「と、思うのは解るけど、残念ながらそうも行かないのよ一誠くん。会長の立場上特にね」

 

「………」

 

 

 悲観してないといえば嘘にはなるが、一誠は生憎強くなる事に対しては純粋であったので、落とされたなら落ちたこの身でまた舞い戻れば良いと思っている。

 

 弱体化の影響で幻実逃否(リアリティーエスケープ)が一度使う度に数ヵ月のインターバルを必要とするレベルに戻ってしまおうが、一誠には無限の進化と新たに獲た悪魔としての力を両立させてみるという未知の領域への切符を手にしたのだから……。

 

 

「オーケー、理由不明だけど何となく偉い悪魔様には頭に珈琲ぶっかけられても頭を垂れておけば良いんだろ? 任せろ任せろ、椿姫ちゃんにゃあ恥はかかせねぇ」

 

「あと会長にもよ?」

 

「あ、はいはい……王様にもな」

 

「むぅ……」

 

 

 その未知なる進化への道は既に開かれている。

 

 

「で、案の定グレモリー先輩と朱乃ねーちゃんに朝会ったら一発で見抜かれちゃった挙げ句、御呼びだしされちゃった訳だけど……マジでフォロー頼みまっせ王様。

じゃないと俺……妙にニコニコしてたねーちゃんに電気処刑されちまう……」

 

 

 さて、そんなこんなで元眷属達への報復を全てを終わらせ、ソーナ自身が新たな眷属を獲るまで代行する事になった一誠なのだが、それではい終わりという事は当然無く、あの無理矢理転生から一夜開けた今日……早速初見で見抜かれたリアスと朱乃に経緯を説明しなければならないという最後の仕事――そして近々始まる球技大会についてのお話をしなければならないという、一誠にしてみれば最大の難問が待ち構えていた。

 

 

「俺ァ、朱乃ねーちゃんに癇癪起こされたら勝てる気がしねぇぜ……」

 

「どれだけ姫島さんに弱いのよ」

 

「出来るだけのフォローはしますから……」

 

 

 壁。究極の最難関。朱乃を納得させるという、一誠にしてみれば安心院なじみとタイマン張るレベルに難しい難問に対し、既に何時ものソーナ曰く『イケイケモード』とは正反対のビクビクさに、椿姫は呆れ、ソーナはフォロー出来るか内心不安だった。

 

 現在放課後。

 つまり部活や委員活動開始の時刻であり、風紀委員室に終結していた三人は、いよいよ始まる最後にて最大の難問を片付ける為に、ソーナを先頭に旧校舎へと足を運ぶ。

 

 

「ニコニコと無言で笑顔の時はヤバイんだ。何がヤバイって、素で泣かれる可能性があるんだよ」

 

「素? ……あぁ」

 

「そうなったら罪悪感が一気に俺のハートを潰しに掛かって……うぐぐ、想像するだけでヤバイぜ」

 

「冥界に単身で殴り込みに行った話を聞いた時から思ってましたけど、余程姫島さんが大切なんですね……」

 

「え? あ……まぁアンタや椿姫ちゃんに嘘言ってもしょうがねぇから言うけど、一応約束してるからな……ハァ」

 

 

 その道中、何度もため息を吐く一誠に二人は何処と無く微妙な表情だったが、それに気付く者は居なかった。

 

 

「コホン、失礼しますよリアス」

 

「………」

 

 

 さて、そんなこんなで補強工事の下地のつもりか、全体に足場となる骨組みに囲まれている旧校舎内のオカルト研究部の部室へとやって来たソーナ達。

 部室に近付くに連れて足取りが重かったのか、一切喋らなくなってしまった一誠を一番後ろに扉をノックし中に入ると、リアス、朱乃……そして。

 

 

「「「……」」」

 

「…………」

 

 

 一番後ろでコソコソとしている一誠をジーッと見てる凛、アーシア、小猫、祐斗に出迎えられる。

 

 

「いらっしゃい。取り敢えず話をする前に軽くお茶にでもしましょう? 朱乃」

 

「はい……ふふふ」

 

「っ!?」

 

 

 自分達の来訪を出迎え、微妙に良さげなソファーに案内したリアスの言葉に朱乃が頷きながらお茶の準備の為に奥へと一旦引っ込む。

 その際、意味深な微笑みを向けられた一誠は、何時もの小物なチンピラ態度の欠片も無くビクビクだった。

 

 

「さてと。話は既に聞いてるけど……まさか兵藤君が除名された彼等の代行を全て引き受けるなんて意外だったわ」

 

「ええ、私も正直まだ実感がありません」

 

「……………………」

 

 

 案内されるがままにソーナを真ん中にしてソファーに座る一誠と椿姫の三人にニコニコ現金主義宜しくにニコニコしてる朱乃がお茶を出す事で、本格的に話が始まる。

 

 

「ソーナが新しく眷属を持つまで兵藤くんが代行をするのは分かったし、実の所朱乃も分かっててくれてるわ」

 

「え?」

 

 

 出されたお茶を静かに……一誠以外が口を付ける中、リアスの切り出したその言葉に思わずと言った反応をする一誠。

 

 

「え、じゃあ何で笑ってんの?」

 

「? 笑ってて何が悪いのよ?」

 

 

 てっきりこっから素泣きに入られて罪悪感に苛まれると思ってただけに、リアスの言葉に同意するようにニコニコ笑顔のまま頷いた朱乃に、一誠は逆に不審と思ってしまう。

 

 

「まあ、唐突だったからビックリはしたけど、転生したからって一々文句なんて言わないわよ?」

 

「あ、お、おぉ……?」

 

「良かったですね一誠くん。姫島さんに怒られずに済みそうですよ?」

 

「お、おう……」

 

 

 しかし朱乃の言葉に嘘がまるで無いというのを感じ取れる一誠は、彼女が本心で言ってると理解し、変な気分のまま間抜けな顔のまま目が泳ぐ。

 しかし、どうであれ素泣きされないで済むのであればそれに越した事は無いので、取り敢えず余計な事は言わないで置こうと手を付けなかったお茶を一口飲むのだった。

 

 

「兵藤くんに安心して貰った所で話を進めさせて貰うけど、取り敢えず代行となって貰ったソーナでも流石に三人では本来の仕事に支障が出ると思うのよ」

 

「ええ、そうね……それは言えるわ。

兵藤くんには悪魔としての仕事を一通り教えたけど、性格的に合わないと思うのよ……」

 

「そうね、そっちの欲望を持つ人間の願いを聞いたら……うん」

 

「は? 何すか?」

 

 

 リアスとソーナの何か言いたげな視線に、お茶をチビチビと飲んでた一誠が眉を潜める。

 悪魔の仕事が一誠的に合わない……それはつまり、対価を元に願いを叶えるという基本的な仕事の事であり……。

 

 

「例えばよ? 例えばだから怒らないでね? 兵藤くんを呼び出した人間がもしも無茶なお願いをしてきたらどうなの?」

 

「憎い奴を代わりにぶっ殺せとかっすか?」

 

「それもありますが、例えば……呼び出した相手が三十路過ぎの喪女みたいな方で、その方が一誠くんとゴニョゴニョ……みたいな」

 

「? 別に良いっすけど? 俺、人間で言えば下は同世代、上は75まで行けますし」

 

「…………。じゃあ、もしもそれが男で、願いの対象が朱乃だった場合は?」

 

「二度と喋れねぇ程度に半殺しにしますよ? 当たり前じゃん」

 

 

 そう、基本的に一誠は全く悪魔社会に適応できるタイプじゃない。

 寧ろ少し前にその悪魔社会を本気でぶち壊そうとしてた程だ。

 つまり、悪魔らしい気質はあれど、悪魔になりきれと言われても才能が無いのだ。

 

 というか、今の例え話が既に地雷というか……。

 

 

「あ? ひょっとしてアンタ等、そんな経験がある訳? しかもそれを朱乃ねーちゃんと椿姫ちゃんにさせたのか?」

 

「な、無い無い無い無い!!! 人間に配るチラシにもそういった関連の願いは完全NGってちゃんと明記してるし!」

 

「それを無視して突っ掛かってきた人はブラックリスト入りさせ、二度と儀式をしても呼び出しに応じない事にしてますので」

 

「ほーう…………そうなの二人とも?」

 

「はい、お二人の言った事は全て本当よ」

 

「うん……まあ、一度だけもみ合いになりかけて胸を掴まれた事はあったけど」

 

 

「おい、そのクソボケの(ヤサ)を教えろよねーちゃん。

俺が今すぐにでも、二度とステーキが食えねぇような人体に改造してやるからよ」

 

 

 結果、一誠に基本的な仕事はほぼ向いてないという……悪魔としては役立たず極まりないのであった。

 

 

「お、落ち着きましょう? 今のは朱乃の冗談よ? ね、朱乃?」

 

「うん、今のは嘘だよ一誠くん」

 

「………。何故素の口調? まあ、良いや」

 

 

 しかしそれでも有り余る凶悪な戦闘力は、ボディガードという意味ではかなり有能。

 つまり一誠が出来る仕事はそういうのではなく、はぐれとなってしまった悪魔を懲らしめるのが適任。

 

 それを言いたいリアスは、取り敢えず素の口調となる朱乃や椿姫やソーナと共に宥めつつ話すのだが……。

 

 

「シトリー先輩や真羅先輩と協力することに何の異議もありませんが、果たして兵藤先輩と協力できるんでしょうか?」

 

 

 問題はそれだけじゃないのだ。

 

 

「彼は僕達を嫌いでしょうしね」

 

「その蟠りもまだ解決してませんし……」

 

「私は一誠と協力できたら良いな……寧ろしたい」

 

 

 凛はともかくとし、特に一誠と仲が終わってるレベルで悪い小猫、アーシア、祐斗はそもそも転生した事にすら納得できてないといった表情で、一誠を横目にリアスとソーナに言う。

 

 

「失礼ながら、シトリー先輩が何故今までの眷属の皆さんを解雇したのかは部長により聞いてますから、仕方ないと思ってます。

ですけど、変と思うんですよ」

 

「……。何がですか?」

 

「いえね、まるで兵藤君が邪魔と思った今までの眷属の皆さんを消して入り込んだ様に思うんです」

 

「あ?」

 

 

 話が出来すぎてる。そもそも転生悪魔の駒を抜き取って元の種族に戻すという力すら不気味な上に仲まで悪い一誠とは上手く行く気がしない。

 

 等々、一誠がソーナの下僕になりたいから邪魔に思った今までの眷属を消したとまで言い出す、またはそう言いたげな顔の三人に、本来の理由を一番知ってるソーナの顔つきが一気に冷たいものへと変化する。

 

 

「つまりアナタ方は、彼が私の眷属になりたいと思い、その為に彼が元眷属達を追い出したと?」

 

 

 いくら何でも失礼だろう……そう言外に主張する目をしながら三人を見据えるソーナは、今ほんの少しだけ怒りを孕んでいた。

 

 

「はは、ほーらやっぱりな。こんな事を言われたり思われたりすると踏んでたが、見事にそのまんまんだぜ」

 

 

 しかしそんなソーナよりも先に、ケタケタと嗤い始めた一誠が三人に向かって言った。

 

 

「勝手にどう思ってくれようが結構。悪魔に転生して力を獲たいから、先んじて転生してた邪魔共消して転生したと思うも良し。

黒髪の女の子が好みで、いっそお近づきになりたいから転生したと思ってもよし……どうぞ勝手に思うが良いぜ」

 

「「「………」」」

 

 

 まるで自分が悪いですけど? と開き直った言い方で煽る一誠にリアス、ソーナ、朱乃、椿姫の表情がピシリと固まる。

 

 

「滅茶苦茶疲れて帰ってる所を後ろから思いきり頭カチ割られて目玉も抉られたから報復し、そのせいでこの王様の仲間関係がボロクズになっちまったのは事実だから否定も出来ねーしな」

 

 

 くつくつと嗤いながら話す一誠に誰も口を挟めない。

 

 

「だから好きに思え。

くく、テメー等ごときにどう思われようが、俺はどうとも思わないしな」

 

「ま、待って。私はそんな事――」

 

「おおっと、赤龍帝の兵藤凛さん。

こんな新入りのご心配をしてくだすって有り難くて屋上から飛び降り自殺でもしたくなるぜ」

 

 

 それでも凛が自分だってそんな事思ってないと言おうとするが、最早姉貴様とすら呼ばなくなった一誠の痛烈な皮肉が凛のハートをザックリと切り裂く。

 

 

「うぅ…」

 

「……。キミは兵藤さんに何の恨みがあるんだ。弟なんだろう?」

 

「いくら何でも今のは酷すぎますよ貴方……」

 

「どうして何時も……!」

 

 

 その言葉、そして受けた凛の傷つきまくりな顔を見た三人が一気に抑えていた敵意を剥き出しに一誠を睨み付ける。

 そうなればさぁ大変だ。

 

 

「三人とも! 最初に余計な事を言って吹っ掛けておきながら止めなさい!」

 

「部長も遂に隠すこと無く彼の味方になるんですね。

この人に何かされてました?」

 

「例えば催眠術とか」

 

 

 水と油どころか、ロケット燃料にバーナーレベルの爆発。

 とうとう一誠が洗脳をしたとまで言い始める三人だが、言われた本人はヘラヘラしている。

 

 

「クハハ! 洗脳だってよオイ! 俺ってドンドンゲス野郎になってくなぁ? 次は何だ? 無理矢理犯したゴミ野郎とでも呼ぶかい?」

 

「ありえない話でも無いでしょう? 普段からそんな態度ですしね貴方は」

 

 

 溝はやはり、溝のまま……。

 埋ることの無い溝は、悪魔に転生しようが変わることは無かった。

 

 

 

 しかし忘れてはならない。

 

 

「家を勝手に出て、朱乃先輩に取り入ったのに味を占めたんですか?」

 

「やめなさい! いい加減にしないと――」

 

「今の言葉だけは許さないわよ。一誠くんは――」

 

 

 

 

 

 

「……………………………………。取り入った、ね」

 

 

 いくら逆上せても、地雷だけは決して踏んではならないという事を。

 

 

「クククッ」

 

 

 弱体化しても、緩やかになろうとも進化は進化である事を。

 

 

 それが近い将来……全力の後悔となる。

 

 

 

 何で何時もこうなるのよ。

 言い合いならまだ良い。

 けれど、何の根拠も無いのにどうして朱乃や私が彼に洗脳されたなんて言葉がでるのよ。

 

 

「四人には帰って貰ったけど、この指示も洗脳されたからなんて思われたとしたらと思うと……」

 

「別に良いっすよどーでも。元々善人ぶるつもりなんて無いし」

 

 

 言われた本人は気にしてませんな顔だけど、小猫に言われた時に一瞬見せた殺意は、気にしてないなんて嘘だとわかる。

 だからこそ、私としても謝らないといけないと思って残ったのよ。

 

 

「いっそ、皆に今此処でダボダボの裸Yシャツ姿にでもなって、俺に傅いてる写真でも撮ります? そしたら俺はまごうことなきゲス野郎となれるし! あははは!」

 

「「「「……」」」」

 

 

 寧ろ色々と投げ槍な感じが痛々しいというか……。

 

 

「写真は別にして、その裸Yシャツという状態にはなっても良いですよ?」

 

「は?」

 

「いやほら、この前の約束がまだでしたし」

 

 

 皆もそれをわかってるのか、ソーナにしてもその裸Yシャツ状態になるとまで言って元気付けようとしてる。

 そうね……ライザーの件のお礼も儘ならないままだったし、朱乃と真羅さんは多分普通にやる気あるでしょうし、一つ本当に着てみましょうか……裸にYシャツを。

 

 

「え……いや、物の例えにマジになられても困るんで結構っすよ」

 

「でも私もソーナも兵藤くんには借りがある訳だし……。まあ、この程度で返せるものじゃないけど」

 

「ええ、そうですね……恥ずかしいけど」

 

「いや別に恥いの押してまでやって貰わなくても結構ですっての」

 

 

 でも何故か兵藤くんは頑なに要らないと言って憚らない。

 ? スケベな性格だから少しは喜んでくれるのかと思ったけど、やっぱり純粋に悪魔な私とソーナは受けが無いのかしら……。

 それとも……。

 

 

「ひょっとしてだけど、ヘタレ?」

 

「あぁん!?」

 

 

 今否定する理由があるとするなら……と思って何となく呟いてみた結果、面白いくらいに露骨な反応をした兵藤くんに私は何となく察した。

 

 

「テメ今なんつったゴラ? 百戦錬磨の俺様がヘタレだと?」

 

 

 血走った目で睨んできたけど、何ででしょう……あんまり怖くない。

 

 

「いえだって……ねぇ?」

 

「安心院さんが言った通りというか……」

 

「昔からそうだから、今更思う事でも無いわ」

 

「言うだけ番長」

 

 

 ソーナや真羅さん、そして朱乃に同意を求めるつもりで視線を寄越してみると、やはり同じ意見だったのか、ちょっと笑いつつ頷いている。

 

 

「ヘタレじゃねーよ! ふざけんな、もう帰る!!」

 

 

 それに怒った兵藤くんが顔を真っ赤にして帰ろうとする訳だけど……。

 

 

「中身を知ってみると、結構可愛いわね」

 

「私は昨日知りましたけど、ほぼアナタに同意見よ」

 

「む……やめてくださいよお二人とも。一誠くんはダメですからね?」

 

「姫島さんの言いたいことはわかりますが……どうでしょうね」

 

 

 うーん、凛についてどんどん険悪になるのに連れて兵藤くんが微妙に怖くなくなってる……。

 何というか……皮肉よね。

 

 

「Yシャツなら胸も関係ない……実は胸もそんなに拘って無いんでしょう?」

 

「んな訳あるかこの喪女予備軍が! まな板に人権なんざねーよ貧乳めが!」

 

「ま、周りの子が大きすぎるだけで私は普通よ……!」

 

「ヒャハハ! それこそ負け犬の遠吠えだな。ド貧乳はどう足掻いてもド貧乳だぜ!」

 

 




補足

マイナススキルにインターバルの制約が弱体化に伴いな復活。

そして進化の速度も緩やかになる。

現状・前に戦った悪魔としてのサーゼクスさんに勝てないレベルまで落ちました。


その2
裸エプロンは見飽きたという先代により微妙にお勉強したイッセーの趣味は袖ブカブカなダボダボ裸Yシャツ……らしい。

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