風紀委員長一誠くんと幼馴染み朱乃ちゃん   作:超人類DX

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タイトル通りというか……。
最早一誠が疫病神になってるぜ……


情念故の崩壊

 最初は只の風紀委員の新入りだと思っていた。

 

 

『ケケ、コイツは俺達風紀委員の後継者よ』

 

 

 親友の眷属よりもさらに小柄……というかどう見ても小学生にしか見えなかった先輩が直接指名した一年生。

 それが後の最後にて最大の迷惑風紀委員の長となる……当時はその程度の認識しか無かった。

 

 それがどうだ、月日は過ぎて、後継者となった彼以外の風紀委員は皆卒業して行った後に発覚した様々な事実。

 

 親友の女王である姫島朱乃と長馴染み。

 同じく兵士である赤龍帝の双子の弟。

 

 そして……。

 

 

「許してやるよ、今日の俺は非常に心が広い気分だからねぇ……ククク」

 

 

 我等を半笑いで捻り潰せる程の強さを持っている。

 それを知ったのはつい最近であり……二日前。

 

 

「二日後辺りに『テメーが転生悪魔且つ神器使いという現実が否定され、只の口だけのボンクラ人間野郎という幻想へと強制的に逃避される』というささやかな出来事が起こる」

 

 

 私の眷属がとんでも無い真似をやらかし、その報復へと現れた彼から聞かされた馬鹿馬鹿しいとすら思ってしまう荒唐無稽な力。

 それは、私達が今生きる現実と呼べるもの全てを否定し、思い描く夢想へと強制的に書き換えるというあり得ない力。

 

 その力は、私の兵士である男に執行され、そして向けられた言葉は余りにも無慈悲で、私達を虫けら扱いするかの様だった。

 けれど、今回の事ばかりは完全に我々に非がある訳で……。

 

 

「そう、二日前に彼が言っていった事は本当だったのね」

 

「は、はい。でも駒はあるからまた――」

 

「……………。いえ、良い機会です。

匙、アナタはこのまま人として生きなさい。私にはアナタは荷が重すぎる」

 

「なぁ!?」

 

 

 私は私なりにその責任を果たす。

 匙を二度とこちら側に関わらせない為にね。

 

 

 

 

 幻実逃否(リアリティーエスケープ)

 現実を否定し、己が描く都合の良い幻想に書き換えて逃げるという、俺の最初のスキルにて拭いきれない俺の弱さ(マイナス)

 久々にマジになって使ってみたんだが……コイツもまた平行して退化してやがるというか……。

 

 

「よ、なじみちゃんのご帰還だぜ」

 

「随分遅いご帰還というか、散々踊らせてくれたな」

 

 

 師匠のお帰りに俺は色々と聞きたいことだらけだっつーか。

 転生悪魔と神器使いという現実を否定したやった腰巾着の後の人生なんてどうでも良いよな。所詮はその程度だし。

 

 

「サーゼクス・ルシファーとグレイフィアってのその間のガキか何かがアンタの手の者なんざ知らなかったぜ」

 

「うん、まあ言わなかったしな」

 

 

 そんな事よりも重要なのが、ご帰還してきた師匠に一言で二言文句を垂れてやる事であり、何食わぬ顔して家に帰って来た師匠に、俺は例の魔王について聞いてみる。

 

 

「あの二人は実際お前より付き合いが永くてね。

ポジションでいえば僕の写し鏡というか、有事の際は僕となる位置程の人外だな」

 

「ふーん」

 

 

 なじみ曰く、写し鏡であり。本当の意味で三人合わせて悪平等らしい。

 つまりあの時の魔王は予想通り完全にやられたフリだったらしい。

 

 

「元の種族としてのスペックも悪魔の中でも取り分け人外に加えて能力保持者。

だからこそ朱乃ちゃんで燻ってるお前の修行相手になって貰った訳だけど……随分気に食わないみたいだね?」

 

「別に」

 

 

 何と無くスーパーで買い物中に目に止まってつい買ったミカンの皮を剥きながら話を聞くが、此方の心境を見透かしてくる言葉につい素っ気なく返してしまう。

 

 一応俺も分かってるつもりだ。

 あの時の妙な力のみなぎりは、師匠のお膳立てがあるから掴めたものである事も。

 だけど、朱乃ねーちゃんが人柱にされたのと何ら変わらない訳で……。

 だから俺はいくら師であろうとも、あの時の事は気に食わないのだ………結局勝った気にもなれなかったし。

 

 

「仕方ないだろ? 朱乃ちゃんが成長の阻害になってるのであれば、その朱乃ちゃんを利用すれば良いんだから。

あ、ひとふさちょーだい?」

 

「………」

 

 

 だけど、そんな真似しなくても強くなってやるよ……とは言えないのもまた事実であり。

 どこまでも弱い自分を情けなく思いながら、あーんと口を開けてるなじみに剥いたみかんをひとふさ放り込むのであった。

 ……あ、すっぺ。

 

 

 

 明くる日の昼休み。

 匙元士郎は殺意に溢れた形相で隣のクラスに赴き、びびる男子生徒の一人に言った。

 

 

「兵藤は何処だ……!」

 

「え、あ、アイツなら安心院さんと昼飯に――」

 

「何処で……!」

 

「た、多分屋上……?」

 

 

 元々生徒会役員である匙なので、問われた生徒も顔は知っていた。

 しかるに一誠の行方を聞いてきた今の彼からは明確な殺意が滲み出ており、思わずといった様子で一誠の行き先を予想混じりに教えた男子達は、その様子を見ていた女子達と共に殺意剥き出しのまま去っていったその背に、一体あの十日坊主だった一誠が何をやらかしたのか……割りとちょっとだけ心配になるのであったとか。

 

 

「え、えぐい殺気立ってたけど、アイツは何をしたんだ?」

 

「ちょっとした悪戯には見えないけど……」

 

 

 まあ、実際は心配するのが逆になる訳だが……。

 

 

「兵藤ォッ!!」

 

 

 そんな匙はというと、恐らくは不意打ちの時よりも更に爆発させた憎悪を剥き出しに、一誠のクラスメートから獲た情報を基に屋上に行き、遂にその姿を捉えた。

 

 

「んぁ?」

 

「おや」

 

「匙君、でしたわね」

 

「………」

 

 

 憎悪剥き出しの声で名字を叫ぶ匙に対し、一誠はと云えば呑気にお昼ご飯を……なじみ、朱乃、椿姫と共に食べている最中であり、目を血走らせる匙に対してどうでも良さそうな反応だった。

 

 

「誰かと思えば腰巾着か……何の用だよ?」

 

「何の、用……だぁ?」

 

 

 惚けた様な態度の一誠に益々憎悪を増加させた匙が、大股で近付きながら手摺に背を預けて座ってた一誠の胸ぐらを掴んで無理矢理たたせようと、なじみ、朱乃、椿姫の弁当をひっくり返してしまいつつ躍起になる。

 

 

「くっ、てめ、立てよコラ!」

 

「おいおい、人様のご飯をメチャクチャにして起きながら随分な態度だな?」

 

 

 しかし立たせる事が出来ない。

 昨日……いや数時間前までなら悪魔として転生した基礎の腕力で締め上げられる事も可能なのに、今の匙にはそれが出来ない。

 

 

「うるせぇ! よくも……よくもやりやがったな!!?」

 

 

 何故か? それは、匙の中にあった悪魔とした転生した現実も、神器使いとしての何もかもが否定され、只の人間としての現実に無理矢理書き換えられてしまったからであり、その現実が匙をブラフでは無い真実として絶望に叩き落とし、更には……。

 

 

「あぁ、人間に戻れたんだ。おめでとさん」

 

「ふざけんな! 今すぐ俺を元に戻せ!!」

 

「おいおい、俺に頼らずとも例の生徒会長にまた転生させてとでも頼めば良いじゃないか? 少し考えればわかるじゃないか」

 

「ぐっ、う、うるせぇ!! こんな事で会長の――」

 

「いえ、会長はもう、彼を二度と眷属にはしないと朝直接言ってましたよ。

だから一誠くんの下へ来たわけです」

 

「う……ぐ、副会長ォ……!」

 

 

 ソーナ自身から実質クビと言い渡された。

 故に匙は元凶となった一誠にこのふざけた力を解除しろと詰め寄りに来たのだが……。

 

 

「戻せ? あ、ごめん。戻し方なんて忘れちゃったわ」

 

 

 胸ぐらを掴まれたままの一誠はヘラヘラ嗤いながらアッサリと匙の言葉を切り捨てた。

 

 

「ぐ……ざけんな! そんな言い訳――」

 

「別に悪魔じゃなくても生徒会のままなら、これからも腰巾着でいれんじゃん。少なくとも約半年くらいは。

まあ、その後の事は知らねーがな」

 

「だ、黙れぇぇっ!!」

 

 

 皮肉っぽく嗤って煽る一誠に戻すつもりが無いと言われた匙は一気にカッとなり、空いていた右手に拳を作り、そのまま振り下ろさんと思いきり振りかぶった。

 

 

「いい加減にしてください匙元士郎。

我が主であるソーナ・シトリーとの縁は本日を以て完全にキレたと言われた筈です。

それでも尚、喚くつもりであるなら、此方にも考えがあります」

 

 

 しかし、振り上げた手首を椿姫か抑揚の無い表情で掴むと同時に淡々とした他人行儀な口調で、制止したお陰でその拳が振り下ろされる事は無かった。

 

 

「ぐっ……!」

 

 

 手首を掴まれた匙が、思いきり顔を歪めて背後に横に立つ椿姫を睨む。

 

 

「な、何ですか……。アンタはコイツの事が好きだからって贔屓してるんですか!?」

 

 

 それは単純に八つ当たりだった。

 一誠の味方になる椿姫に対しての、ソーナの眷属である事を剥奪されたが故に八つ当たりの様に、椿姫に対しても憎悪の形相を向ける匙。

 

 

「贔屓も何も、アナタの自業自得でしょう?

会長の命令を無視して彼に大ケガを負わせたのも、その報復に悪魔である現実を否定されたのも、そのまま眷属をクビになったのも、アナタが勝手に先走った結果が招いた事でしょう?」

 

 

 鋭い目付きで見据えながら、自業自得だとキッパリ言い切った椿姫に、胸ぐらを掴まれたままの一誠はヘッと小さく嘲笑う。

 

 

「殺されなかっただけありがたいと思って、残りの人生が楽しめよバーカ」

 

「テメェェェッ!!」

 

 

 ケケケケと、悪魔よりも悪魔らしく嘲笑う一誠に匙は顔を真っ赤にしてキレた。

 しかし普通の人間に戻されてる今の匙に、椿姫に掴まれた腕を振りほどく力は無く……。

 

 

「戻せよぉ! 俺を元に戻せよぉ!!」

 

 

 心がへし折れたかの如く膝を付き、そのまま泣き崩れてしまった。

 

 

「人の目を抉り取ったから、それなりの仕返しをしてやった。

だから俺は全然悪くない。悪くないったら悪くねぇ」

 

 

 だがそんな無力な少年へと戻された匙に対し、一誠はどこまでも嘲笑うだけ。

 

 

「まあ、代わりにその場で自分の両目を抉り取ったら考えてやらんことも無いが? くく、その場合は会長さんは永遠に見えなくなるけどね」

 

「う、うぐ……ぅぅ……!」

 

 

 匙元士郎はまさに再起不能(リタイア)だった。

 

 

 

 そんな再起不能状態へとなった匙だが……。

 

 

「もう一度転生させてチャンスを与えるべき? アナタ達はそれを本気で言ってるの?」

 

『……』

 

 

 元・兵士の主であるソーナは、やっと消えたと思った頭痛の種が残した新たな頭痛の種に苛まれていた。

 

 

「匙君だって反省した筈です」

 

「それに元々は会長を守ろうと頑張ろうとしての行動ですから!」

 

「………………」

 

 

 本当に予言通りに匙から神器の力も己の転生させた力も何もかもが消え、また転生させろと言ってきた匙に実質的なクビ宣言を告げたソーナ。

 だが、ソーナの方針に反対だと口を揃えるのは、由良翼紗、巡巴柄等々……兵藤一誠が心底気に食わないと口を揃える且つ、匙に対して様々な想いを向ける者達だった。

 

 

「……。いや、考えてみなさいよ。匙が一体何をしたのか」

 

「それはわかってます。ですが……!」

 

「ですが――じゃないんですよ。

危害を加えても無い……寧ろリアスの恩人でもある人間に対して大ケガを負わせて、本来なら一生治る事の無い両目まで奪った……。

人間でいえば立派な犯罪であり、また『無闇に人へ危害を加えてはならない』という魔王様の方針に背いた時点で、寧ろ匙は今ごろ捕らえられてもおかしくは無い。それを彼本人が匙を人間に戻すだけで大事にしないと言ってくれただけ、我々は既に借りまで作ってしまった。

なら私が出来るのは、匙を二度と此方に関わらせない事……それだけの事なのに、それでも匙を庇い立てしますか?」

 

 

 思えば、自分の眷属はルー・ガルーを除いて妙に匙に拘る者が多かった。

 その時は仲が良いに越したことは無いと思っていた訳だが、今の状況を見てソーナは確信した。

 

 

「で、でも……匙君は仲間です!」

 

 

 ……。これは只の仲間内の馴れ合いでしか無いんだと。

 悪いことは悪いと注意して道を示す事もしなければ、やる事は甘やかすだけ。

 今更ながらにそれに気付いたソーナは、それでも仲間だからと訴えてくる眷属達に対して頭を押さえながら言った。

 

 

「…………。何を言われようとも、私は匙を兵士として再び迎えるつもりは無いわ。

だけど、匙はただ人間に戻っただけだから、これからも友人個人として付き合える筈でしょう? その事について私はとやかく言うつもりは無い」

 

 

 本来なら皆殺しにされても文句も言えない事態をこの程度で済ませて貰った。

 しかしそれでもケジメはつけなければならない訳で……。

 

 

「……私は所詮この程度の器。

だから、私に従いたくなければ遠慮せず去りなさい。

悪ささえしなければ、はぐれ悪魔の認定はしないから」

 

 

 ソーナは一度最初から自分を見つめ直す事に決めた。

 眷属を御せない、巨大な力の前にオロオロするしか出来ない情けない自分を叩き直す為に……。

 

 

『………』

 

 

 その結果……。

 

 

 

 

「は? アンタの部下が全員腰巾着を庇う為に生徒会を辞めた?」

 

「…………。大学部に居るルー・ガルーという者と、この椿姫以外はアッサリと去っていったわ。

あ、あはははは……………とことん自分が情けありませんし、是非笑ってくださいよ」

 

 

 本気と書いてマジで二人を残して全員が匙の下へと去っていった。

 その事を昼休みを邪魔されたんだけどと文句を言いに来た一誠に対して、投げ遣りに笑って告げたソーナはどこまでも小さく見えたという。

 

 

「えっと……これ、俺のせいなの?」

 

 

 ある意味でリアスより短期間で悲惨な事になってるソーナを前に、自分のせいを疑い始めた一誠が、流石に罰の悪そうな顔をするが、そんな一誠にソーナは自嘲しながら首を横に振る。

 

 

「そうは思いませんよ。単純に自分の器の無さが招いただけですから……」

 

「あ、あぁそう……。うわ、まだ張りぼてとはいえ割れては無いグレモリー先輩より悲惨というか……。

おいなじみ、これ……最近なんなんだよ?」

 

「僕に聞かれても、こればかりは本当にわからんよ。

情念ってのはそういうものだろ……としかね」

 

 

 疲れた中年リーマンみたいに両手で顔を覆いながら椅子に座るソーナと、そんな彼女を心配して肩を抱く椿姫を見ながらひょっこりと付いてきてたなじみとヒソヒソと話す一誠は、ひょっとして自分は疫病神か何かなのでは無いかと本気で思い始めてしまう。

 

 

「あのすいません……取り敢えずねーちゃんとグレモリー先輩呼んで、喫茶店にでも行きます? 奢る程度しかできませんけど……」

 

「え? ぁ……ええ……そう、ね。リアスにこの事を言っておかないと……」

 

 

 流石にこうまでなると、自分のせいでは無いとは言い切れない。

 変な所で罪悪感を持つ一誠は、物凄いソーナな不憫に思えて仕方なかったのだという。

 

 

 

 

 

 

「ソ、ソーナの眷属が?」

 

「はい……私と大学部に居る戦車を除いて……」

 

「それは……また……」

 

「あは、笑ってよリアス。私は所詮この程度よ」

 

 

 そんなこんなで、精神ダメージが半端じゃないソーナを抱え、喫茶店――では無くて、なじみの提案で一誠宅へとリアスと朱乃も加えて帰宅し、現状の崩壊しきった両眷属について割りと本気で話し合う事になった。

 

 

「最近私も兵藤くんから受けた恩について、小猫とアーシアと祐斗に注意すると、そんな反応を露骨にされるようになったけど……」

 

「まさか本気で人間にもどった匙君へ行くとは……」

 

「いえ、あの子達が匙を大事にしてたのは何と無くわかってました。

けど、今回匙がやった事は本来なら許されない事……だからケジメとして人間として生きるべきだと言ったのに――こ、こんな事に」

 

「ソーナ……」

 

 

 あはあはと力無く笑って自嘲するソーナは実に痛々しい――と、リアスは思わず目を逸らしてしまいそうになる。

 すると、そんな様子を苺に練乳を掛けて黙々とリアスやソーナから見ても美少女であるなじみと食べてた一誠が、彼らしからぬ遠慮がちな声を出す。

 

 

「あの……やっぱり聞いてると俺絡みで崩壊してるんですけど……」

 

 

 ビックリするほど下手な態度の一誠の言葉に、リアスとソーナは首を横に振る。

 

 

「さっきも言いましたけど、アナタは関係ないです。

寧ろこの程度で済ませて貰ってるだけ、感謝すらしてます。

本来ならあの時全員アナタに殺されても仕方ない話でしたし」

「私はアナタにとっては結果的にだけど、私にとっては恩人だから……」

 

「は、はぁ……」

 

 

 パクパクとイチゴを食べつつ二人の言葉を受けた一誠だが、どう考えても自分の存在でこんな事になってる感が否めない。

 

 

「珍しいね、お前が他人にそこまで罪悪感を抱くなんてさ?」

 

「いやだってよ、流石に此処まで出来すぎた話になると俺のせいだと思うじゃん。実際はそうだし。見ろよあの生徒会長を? 二ヶ月くらい前までは俺のやり方にめっちゃ文句言いまくってた程の堂々とした出で立ちが見る影もねぇ……」

 

「うーん、僕が思うに『何処ぞの誰かが』お前を諸悪の元凶にしてるように仕組んでる気がするんだどな」

 

 

 まるで、どう動いても一誠のせいで……という逆補正が働いてるかの様に。

 

 

終わり。

 

 

オマケ

一誠くんなりの慰め。

 

 

「あの……折角だし四人とも泊まります? 女の子同士で励まし合う的な意味で。あ、当然俺は外で野宿しますけど」

 

「………? あれ、アナタ本当に兵藤くん?」

 

「は? なんすかそれ?」

 

「いえ、普段の女好きなアナタなら『当然俺と寝てもらうがな!』とでも言いそうなのに…と思いまして」

 

「いや、流石にこの状況じゃ言わね――」

 

「あぁ、一誠は根はヘタレだからしょうがないんだよソーナちゃん」

 

「ヘタレ?」

 

「そ、朱乃ちゃんや椿姫ちゃんは知っての通りだが、コイツ、逆に迫られると結局何にもしないタイプ――」

「ちげーし! 別にそんなんじゃねーし! そんな気分じゃねーだけだし! その気になれば即ル○ンダイブ噛ませるしー! てーか別にそんな気分になる相手じゃねーし!」

 

「…………………。あ、なるほど」

 

「そういえば、あの時もセクハラはしたけど、それ以降はしてこなかったわ」

 

「スケベな本が一杯と言いながら一冊もありませんし……」

 

「押し倒しても逃げるし……」

 

「だからちげーし! そもそもそこの貧乳にそんな気分になったことねーよ!」

 

「ひ、貧乳!? ちょっとアナタ、今のは――」

 

「貧乳に貧乳と言って何が悪い! やーい貧乳ー!!」

 

 

 と、いう言い争いに発展した結果、そのまま一誠宅に泊まったリアス、ソーナ、椿姫、朱乃……と、ついでに元から押し掛けてるなじみはその夜ガールズトークで盛り上がったとの事。

 

そして……

 

 

「…………。家主の俺がなんでこんな追い込まれてるんだよ」

 

 

 一誠はこの日、押し入れどころか天井裏で寝ながらブツブツと文句を言うのだった。

 別に誰も天井裏で寝ろとは言っておらず、勝手に『いや、今日はストイックな気分だし』と自分でやった事だったりするのは、暗黙の了解である。

 

 




補足

完全に逆補正というか、まるで仕組まれたの如く一誠が行動しちゃうとなにかが崩壊して、その元凶となる。

単純にマイナス補正では片付けられない程に。

その2
クビにしたらスト起こされた挙げ句、クビにした社員の下へと去られてしまったソーナさん。
彼女もまた物凄い不憫というか、流石に一誠もこれには同情以上に『俺のせいだよな?』と気にしてしまう。

ただ、不意打ちされて目玉も抉られたその報復故なので、一概には言えませんね。


その3
然り気無くなじみちゃんが加わってるガールズトーク。
ちなみに、一誠愛用の掛け布団を朱乃ちゃんと椿姫ちゃんが取り合ってる横で一誠愛用の抱き枕をなじみさんが使い、更に知らずに一誠のスエットを着て寝るリアスさんとソーナさん――


の、上の天井裏でねず公相手にブツブツ愚痴りながら寝てる一誠。

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