風紀委員長一誠くんと幼馴染み朱乃ちゃん   作:超人類DX

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怒りが無限の進化の起爆となれば、冷たき報復心は逃避となる。

かな。


報復

 腕が千切れた……だから何だ。

 足がもがれた……それがどうした。

 

 勝つ身であるなら確かに殺しておくべきなのだ。

 それを怠った時点で最早それまで……。

 

 そう、逆襲のチャンスを与えた時点でソイツは負けたのだ。

 

 

「風紀なんて関係ねぇ。これは俺個人の戦争だ」

 

 

 根に持つタイプの俺にな。

 

 

 

 

 

 その日、兵藤一誠は学園を欠席した。

 理由は解らないが、恐らくは病気の類いではない……という話がチラホラクラスで囁かれたが、セクハラ野郎が休めば平和そのものだと女子としては歓迎できる話なので、時が経つに連れて誰も一誠を気にする者は居なくなった。

 

 だが……。

 

 

「何て事をしてくれたのよ匙……! アナタはっ、自分がしたことを解ってるの!?」

 

 

 ソーナ・シトリーは今、かつて無い程の激怒の化身と化し、平手では無くマジもんのグーパンチで兵士の少年の横っ面を殴り飛ばした。

 

 

「ぐぁ! な、何でですか! 俺はあの野郎が嘘こいてたのを証明する為に……」

 

 

 ソーナに殴られ、盛大に机に背中を打ち付けながらひっくり返った匙元士郎は、殴られた頬に伝わる鈍い痛みと、殴られたショックに顔を歪めながら怒りの形相のソーナを見上げ、自分のやった事に間違いなんて無いだろうと主張しようと口を開きかけるが……。

 

 

「黙れ!」

 

 

 その言葉を待たずにソーナの一渇が生徒会室内の空気を張り詰めさせた。

 

 

「彼と戦って勝ったばかりか取り返しの付かない大怪我まで何故負わせたのですか!」

 

「だ、だってアイツは嘘言って会長の周りをチョロチョロして邪魔ばかり――」

 

「嘘で無いことは既に直接サーゼクス様から聞いているし、チョロチョロとされた覚えも無い! それによく椿姫の前でそんな台詞が吐けますね!」

 

「………」

 

 

 恐らくは初めてに近いだろう全力の激怒を見せるソーナに、眷属達は硬直して動けない。

 しかしその激怒の理由となっている匙は、それでも納得できないといった表情でソーナに言い返そうとするが、最早今のソーナにそんな言い訳を聞く耳など無く、これから起こるだろう最悪な展開に身震いが止まらなかった。

 

 

「椿姫……彼は何と?」

 

「さぁ、昨日も今日も連絡は取っていませんから何とも。

ただ……」

 

「ただ?」

 

「確実に来るでしょうね……私達の前に。

加えるなら姫島さんとの繋がりでリアス・グレモリー様が黙っているとも思えません」

 

 

 何時も以上に冷たい表情と声で淡々と答える椿姫に、ソーナも眷属達もぶるりと身を震わせる。

 今朝から妙に匙の機嫌が良く、放課後の活動時も変わらずに良かった彼から聞かされた、最悪の不義理行動。

 

 それは、兵藤一誠が嘘を言って自分達の周りを単にうろついて邪魔してるのを証明する為に起こした匙の独断行動。

 その行動こそ、親友の恩人である彼への完璧な裏切り行為に他ならず、また同情の意味で一定の信用をしているリアスは兎も角として、例の騒動以降からほぼ悪魔を信用してない彼の朱乃と椿姫を除いた悪魔(ジブンタチ)の信用を完璧に地にぶち落とす事に他ならず、更に言えば一誠と唯一深い仲の一人である椿姫の信用までも失った。

 

 

「私は敢えて何もしません。ですが一言言わせて貰うとするなら、最低ですねアナタのやったことは」

 

 

 どこまでも冷たい表情でそう吐き捨てた椿姫の態度が何よりの証拠であり、言われた本人はうっと言葉に詰まらせた。

 

 

「今すぐにでも彼に謝罪……」

 

「無理ですね。謝罪した程度で済む事では最早無い」

 

「ぐっ……ですよね」

 

 

 黙り込む匙を横目に、ソーナが震えながらどうしようかと右腕の椿姫に相談するが、椿姫は何処までも淡々とした口調だ。

 

 

「私も殺されるかもしれませんね……」

 

「な、何故……」

 

「だって私は、アナタの女王ですから」

 

 

 それは最早覚悟をしている様であり、されどソーナを裏切るつもりは無いと言い切った椿姫にソーナは嬉しいような泣きたくなる様な気持ちで一杯だった。

 

 

「リ、リアスや姫島さんはこの事を知ってると思う?」

 

「恐らくは既に。

そしてその上で何も言ってこないという事は、一誠くんに手出しをするなと言われてるから……でしょうね」

 

「それはやっぱり……」

 

「ええ、個人的に報復する為」

 

 

 悪魔の多くを半殺しにし、魔王の城を単騎で更地に変えたばかりかサーゼクスすらをも倒した。

 荒唐無稽な話だとしても事実に変わりは無く、またその事実が自分達を容易に殺せるという絶望だった。

 

 故にソーナは再三に渡って普段のいい加減でチャランポランな性格を嫌悪している眷属達――特にリアスの一件が終わってから益々嫌悪していた匙には『余計な事だけは彼にするな』と念を押したつもりだった。

 

 それがどうだ、命じた筈の言葉すらちゃんと守れずに『アイツやっぱ嘘言ってましたよ!』と一誠を倒したと嘯き、更には取り返しのつかない大怪我までさせたという一切笑えないオチ。

 

 そうで無くても、力の強い悪魔がどうであれ普通の人間を襲ったというだけでも御法度なのに、今ですら納得できない顔してる兵士の少年はその自覚すら持ってない。

 

 

「だ、大丈夫っすよ。アイツ俺より弱いって解ったし、何か言われても黙らせれば――がっ!?」

 

「黙れ。それ以上喋らないでください」

 

 

 まさにソーナは詰んでいた。

 

 

「今すぐにでも彼の下へと行って、無駄かもしれませんが謝罪をしましょう。…………匙の腕の二本で許してくれるか。足りなければ私の眼を……!」

 

 

 出来ることと云えばこれくらいしかない。

 最早五体満足で事が収まるとは思ってないソーナは、両目の光すら失った一誠に自分の眼すらを犠牲にして自分と匙以外の仲間を許して貰おうと考えていた……その時だった。

 

 

「よう、元気にしてるかよゴミ共?」

 

『っ!?』

 

 

 ガチャリと逆に恐怖を覚えてしまう程に静かに生徒会室の扉が開けられ、今最も聞きたいけど聞きたく無い少年の、明らかに自分達を殺しに来たとわかる言葉と共に、両目を包帯で覆った彼が入ってきた。

 

 

「ひょ、兵藤……くん……」

 

 

 その出で立ちは、外傷こそ無いものの……包帯に覆われた両目を見れば匙が本当にやらかしたのだと否が応にも理解させられてしまう。

 

 

「一誠……くん」

 

 

 特に椿姫はそんな一誠の姿に悲痛な面持ちであり、恐らく修行で体力の殆どを無くしていた時にこの匙に襲撃されたのだと察し、声を掛けるにも言葉が見つからなかった。

 

 

「ん、この匂いは椿姫ちゃんか。

いやーちょっと目がおしゃかになっちまって、可愛い椿姫ちゃんのお顔が見れずに実に残念だぜ」

 

 

 だが一誠はそんな椿姫にだけは、口許を緩ませながら何時もの調子で応える。

 その時点で椿姫だけは信じてるという意味でもあるのだが、それがある意味他の面子に絶望を叩き付ける。

 

 

「て、テメェ……堕天使とこそこそしやがって! 何しに来やがった!」

 

 

 重症を負わせた本人である匙が、ヘラヘラと椿姫に対して話し掛けるのを見て吠える。

 どうやら昨日の事で自信を付けた様であり、更に言えば自分達と敵対している堕天使とこそこそ親しそうに密会していたのを……ちょうど『別れ際の時』の光景を目にしていた様で、その事を盾に立ち回ろうとしているつもりらしい。

 

 

「あ? あぁ、その声は腰巾着か。

昨日はどうも世話になったな……ったく、調度疲弊してたタイミングで出てきやがってよ。お陰様で久々に大怪我だぜクソッタレ」

 

 

 だが一誠はそんな匙に対して皮肉気味な台詞を返すと、目を覆っていた包帯を外し始める。

 

 

「お陰で目ん玉無しだよ、ばか野郎」

 

「うっ!?」

 

 

 そして顕になった一誠の閉じられた目がパカリと開けられ、眼球が丸ごと無くなってリ有り様にソーナ達は口を押さえながら吐き気を堪える。

 それは追い討ちを掛けた際、『偶然』に目に神器のラインが当たって抉り取ってしまった匙もであり、眼球の無い目を開けてヘラヘラ笑ってる一誠に今更ながら恐怖を抱き出す。

 

 

「こ、こんな……酷い」

 

「も、申し訳ありません! こ、この度は私の眷属がアナタに……!」

 

 

 直ぐ様謝罪しようとするソーナ。

 しかし。

 

 

「いや、そんなの要りませんわ」

 

 

 一誠はソーナにピシャリと謝罪なんて糞食らえとばかりに断ると、右手で自らの顔全体を隠すかの様に覆いながら言った。

 

 

「俺を邪魔に思って再起不能にでもさせようと思ってアンタがそこの腰巾着に命令したのか、それともこの腰巾着の独断かなんて聞いた所で意味なんて無い。

重要なのは、俺はどうであれテメー等にぶちのめされたって事だ。

おっさんとの修行で能力(スキル)を疑似封印されてボコボコにされて弱ってたから負けましましたなんて言い訳はしない。負けは負けだからな」

 

『………』

 

「っ……スキル?」

 

「だ、だから匙くんに良いようにされたの? おっさんって、誰なの?」

 

 

 聞きなれない言葉に内心首を傾げつつ顔色悪くするソーナに、匙に遅れを取った理由を今やっと理解しつつも一誠が口にした『おっさん』なる人物が何者なのか疑問に思う椿姫。

 

 だが一誠はそれに答える事は無く、くつくつと手で顔を覆ったまま口を歪めて嗤いながら言葉を続ける。

 

 

「だが誤算だったな悪魔共。重症を負わせたのならそのままトドメを刺すべきだぜ? どうであれ昨日の時点なら俺を完璧にぶっ殺せたチャンスだったんだから。

くく、だけどもう遅い……疑似封印された俺の個性は復活し、そこの腰巾着が得意にでもなってそうな目についても――」

 

 

 肩を震わせながら言葉を紡いでいた一誠が、顔を覆っていた手をスッと下にスライドさせ、再び閉じていた目をゆっくりと開けた。

 

 

「なっ!?」

 

「め、目が……!」

 

「これは……」

 

 

 眷属達は、ソーナは、匙は……そして椿姫すらも驚愕した。

 確かに今しがた失っていた一誠の目。ぽっかりと眼球の失っていたその目が。

 

 

「逃げる機会を与えた時点で、テメー等は間抜けなんだよクソボケ共が」

 

 

 獲物を食い殺さんと上空から狙う鷹の様に瞳孔が開ききった瞳をこれでもかと見せつけながら一誠は嗤っていた。

 

 

「な、何でだ!? て、テメーもまさか神器(セイクリッドギア)を……!?」

 

 

 まるで魔法みたいな現象に匙か動揺しながら吠える。

 

 

「あ? そんなもん俺にはねーよ。くく、本来は持ってたらしいがな」

 

「……?」

 

 

 嘲笑うような顔で匙をチラリと見ながら神器の有無を否定する一誠の意味深な言葉にソーナと椿姫が何の事だと目を細める。

 

 

「じゃあ、何で今テメーは目を……!」

 

「アホかテメーは? 素直に教えるわけねーだろ」

 

 

 神器でなければ何なんだと、恐怖を圧し殺すかの様に吠える匙だが、一誠はまともに取り合おうとせず適当にいなすと、スッと復活したその目でソーナを見据える。

 

 

「椿姫ちゃんの上司だからと、グレモリー先輩共々黙ってやってたが……今回ばかりは黙ってられねぇな?」

 

「……。今更言い訳はしませんよ。私の統率力の無さが招いた結果ですから」

 

「ま、待って一誠くん! 会長は何も……!」

 

 

 明らかに殺意が一誠から膨れ上がるのを肌で感じながらソーナは、観念したかの様に言い訳もせず俯くと、それを庇うように椿姫がソーナの前に立ち、一誠に訴えかける。

 

 

「ん、まあ流石に俺も解ってるよ。そこの腰巾着が勝手に何か勘違いして暴走したんだろ? そーいやこの腰巾着、そこの会長さんに思ってる事があるっぽいしな」

 

 

 椿姫の懇願に一誠は『信用してる者』にだけしか見せない笑みを浮かべながら頷き、分かってるからと言いつつ匙へと視線を移す。

 

 

「っ!? だ、だから何だよ。

言っとくが、テメーが魔王様を倒したなんて話は嘘だってわかってんだぞ此方は」

 

 

 その視線に対して匙は、得体の知れない力を見せられたせいか妙な恐怖を覚えつつも、それを必死に抑えながら虚勢を張るかの様に威嚇するも、一誠はそれを思いきり見下した様に嘲笑う。

 

 

「またその下らねー話か。

ったく、信じる信じないなんて勝手にしてろ。俺はあんなしょうもない事実を自慢したくもねぇ」

 

「っ……そ、それと堕天使とこそこそしてたのも……!」

 

「実の親以上に親として慕ってる『人間』が居て、テメー等悪魔に何の関係があるんだ? おいおい、何時から悪魔様は人間の交遊関係に口出し出来るほどお偉くなりましたのやら」

 

 

 匙から言われた言葉の全てを嘲笑いながら言い返した一誠に、ソーナはハッとする。

 

 

「まさか、その堕天使はバラキエルという名では……?」

 

「ん? 流石におっさんは有名だな。その通り、俺が昨日釣りして修行相手になって貰ったのは紛れもなくバラキエルのおっさんだが」

 

 

 確認するかの様に問い掛けたソーナにシレッと答えた一誠。

 するとソーナは……そして椿姫はやっと納得したかの様な表情を浮かべる。

 

 

「そうでしたか。重々、本当に申し訳ありませんでした」

 

「今解った。

何で一誠くんが疲弊していたのかを……そういう事だったのね?」

 

『……え? え?』

 

「な、何ですか会長も副会長も! コイツは俺達の天敵と繋がってるかもしれなくて、会ってたのだって俺達の情報をその堕天使に流していたのかもしれないんですよ!?」

 

 

 親友から前に聞いた。

 一誠の師から聞いた。

 故に理解したソーナと椿姫の態度に眷属や匙は困惑する。

 

 

「情報を流すなんてありえません。そういう事よ匙。アナタは何処まで私に恥をかかせるつもり? いえ、もう愛想が尽きたわ」

 

「なっ!?」

 

「か、会長……そんな」

 

「匙くんだって良かれと思ってやったのに」

 

 

 ほとほと愛想が尽きたと言い切るソーナにショックで固まってしまう匙を見た、彼寄りの眷属仲間達――というか、椿姫とソーナ以外のメンバーが庇う様な言動をする。

 

 

「……。なるほど、リアスがぼやいてた疎外感とはこういう事だったのね。最近はどうも兵藤くんをフォローしようとすると感じてたけど」

 

「匙君が大切なのは解るけど、今回の事ばかりは弁護のしようが無い事を解りなさい」

 

「そ、そんなの! それでも仲間じゃないですか!」

 

「そうですよ! 匙君だってこんな……こんな訳の解らない人に……!」

 

 

 気づけばソーナと椿姫、匙とそれを庇う眷属達で割れてしまった。

 それはまさに分裂なのだが、それを遠巻きに引き起こした一誠は、アホらしいとばかりに眺めており……。

 

 

「そろそろ良い?」

 

 

 そろそろ此処に来た理由を果たそうと、何処から取り出したのか不明な程の巨大な釘と杭を手に目の前の集団に向かって小さく呟いた。

 

 

「う……てめ、そんなもん何処から……!?」

 

 

 刺さったら人たまりもなさそうな程の巨大な釘と杭を見た匙が身構える。

 

 

「何処からでもねーよ」

 

 

 そんな匙の問いを一言で切り捨てた一誠はというと……。

 

 

「がっ!?」

 

 

 椿姫以外の面々が目で追えない程の速度で匙に向かって投げつけ、胸と腹部に釘と杭を突き刺した。

 

 

「さ、匙くん!」

 

 

 その速さに戦慄を覚えた一人の眷属が慌てて目を見開いたまま膝を付いた匙に駆け寄る。

 すると刺した本人である一誠は、石像の様な表情で匙を見下ろしながら言う。

 

 

「見た目はグロいが痛みも傷も出来ねぇから安心しろよ」

 

「な、何を――あ、あれ?」

 

「さ、匙君の身体に刺さってた釘も杭も……な、ない?」

 

 

 一誠の言葉なんて信じられるかと睨む眷属達だが、その中の一人がその匙の身体に刺さってた筈の釘と杭が綺麗サッパリ消えてる事に気付き、困惑する。

 

 

「……。何をしたの?」

 

 

 匙自身も確かに身を貫いた二本の釘と杭が消えてる事に困惑しながら刺さった箇所を確かめるかの様に触るのを見下ろす一誠に椿姫とソーナが小声で問う。

 

 

「俺なりの仕返し。殺すだけじゃ芸が無いからな……」

 

 

 そんな二人に悪童宜しくに嗤うと、一誠は困惑する眷属達と……そして匙に向かって言った。

 

 

「俺の目が何で元通りなのか知りたがってたな? くく、まあ折角だし教えてやるよ」

 

「!?」

 

 

 ニタァと嗤って話す一誠に嫌悪感を覚えつつも聞くしか無い匙達は黙って耳を傾ける。

 

 

「仕掛けは簡単な事だ。

ただ単に『起こった現実を否定して自分の描いていた夢へと書き換えてやった』だけ。

つまり、テメーが俺の眼を潰したって現実を否定して無事な幻想へと書き換えれば俺の目は潰されてなかった事になるのだが……」

 

『……』

 

 

 だが聞いてみた一誠の話は余りにも馬鹿馬鹿しくて、余りにも荒唐無稽な話だった。

 しかし……。

 

 

「折角だからテメーにも体験して貰おうと思ってよ? そうすれば多少は信じるだろ?」

 

「っ!? お、俺に何をしたんだよ……!」

 

 

 一誠の放つ無慈悲で嘲笑う様な言葉が……。

 

 

「簡単だぜ。二日後辺りに『テメーが転生悪魔且つ神器使いという現実が否定され、只の口だけのボンクラ人間野郎という幻想へと強制的に逃避される』というささやかな出来事が起こるだけだぜ」

 

 

 

 

 

 

 

「おめでとう、キミは何を勘違いしてたのか知らんが、散々見下した人間様に無事戻って人間らしい生活が送れる様になれるぜ?」

 

「……!?」

 

 

 殺されるより更に深い絶望へとぶち落とされた。

 

 

「う、嘘言ってんじゃねーよ……どうせ虚勢だろ? て、テメーの!」

 

「さぁ? 信じる信じないはテメーの勝手だぜ。

まあでも良かったじゃん? 遅かれ早かれオメーの大好きな主は許すつもりなかったようだし? 人間に戻れば処刑されずに済むじゃん?

うんうん……いやー……『良いことしたなぁ。』」

 

 

 悪魔を越えた、人間の持つ過負荷(マイナス)により……。




補足

会長とデキ婚したがってた事を考えると、ぶちのめされるより、強制的に人間に戻される方がヤバイかもしれない。

しかもさりげにウリドラパワーすら消されるという……。


まあ、こんな真似すれば匙LOVEな面子から更に恨まれますけどね。

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