友を訪ねに行きましょう。   作:HIGU.V

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結-1

玉座の間。絶対なる支配者が君臨するのにふさわしい場所で、アルベドは玉座の横に控えて静かに思考の海に沈んでいた。

 

「アインズ様から貸し出していただいた遠隔視の鏡(ミラー・オブ・リモート・ビューイング)で見た姿からして、くけこさしす様ではなさそうですね」

 

「人間か亜人だよね。外套にフードでみえないけどさ、あの混沌としたお姿じゃない」

 

「で、でも魔法やマジックアイテムで姿を変えているだけかも……」

 

「ダガ、コノ鏡カラハ、至高ノ御方ガ纏ッテオラレル絶対者ノ気配ヲ感ジ取ル事ガデキテイナイ」

 

「それなのだよ、アインズ様をこの鏡で見たとしたならば、確実に気配を感じ取れている。だが彼からはそれが無い」

 

「偽物でありんすか。ならば覚悟を決めておく必要がありんしょうね」

 

 

周りの守護者たちはあと数分でここに着くであろう、自称くけこさしすについてしきりに鏡越しの姿の感想を言い合っているが、彼女からすれば真贋などどうでも良かった。

 

偽物だとしたら、形として本物の位置を聞き出せばよい。その際に『不幸な事故』があって、人質に取られているくけこさしす様が害されることはないであろう。なにせ『その場合最初から存在していない』のだから。

 

本物だとしたら。まず湧くのは、どうしてそんな姿なのかなどではなく、なぜ今更、何をしに来たのか? 飾りなく言えば『どの面さげて来たのか』である。絶対者であり、唯一愛する御方であるアインズ様を迷わせる存在がこの世界に存在しているという事が狂おしいほどに憎い。

 

かつて、彼女は何よりも自分の居場所を創造してくださった、自分の支配者たちを愛していた、全てを等しくこのナザリックという素晴らしい場所を作られた最高の至高の方々だと、そう強く盲信していた。

だが、支配者たちが一人、また一人と去っていった。長い時間の中何度も何度も考えた、自分にどのような落ち度があったのか、愚かなる自分では到底理解できない事情があったのか。

彼女は自身を取り巻くすべての事象への好悪を明確に線引きし、厳密な順序を付けられるタイプであった。敵対する愚か者は最下層に存在し、ナザリックの守護者統括と言う地位を与えてくれた存在を至高と仰ぐ。そして愚かな存在達へ絶望を与える事こそが彼女の快楽であると同時に、その真逆で、至高の存在から注がれる慈悲や愛というものも彼女の快楽であった。

だからこそ、その存在がついにはただ御一人、至高の存在の取りまとめ役であるモモンガ様だけになってしまった時、絶対にこの御方がいなくなることを何よりも恐れた。そしてある時、この異変の起こる少し前に、モモンガ様は慈悲深くも彼女を許して下さったのだ。

自分が満足いくだけ奔放に享楽的に愛を求めずとも、自らの愛を好きなだけ示すがよいと、そういった天啓を彼の傍にいる時に彼女は覚えたのだ。

 

重ねて述べよう、彼女は物事に厳密な優先度を付ける。不可侵にして第一にモモンガという男を彼女はおいている。それは越えられない壁だ。不動の地位なのだ。その下にナザリックそのもの、そしてそれに属する存在がいて、後はほぼ同列に価値が無い。

 

モモンガの役に立つものならば、価値のない存在から救い上げる。害するものならばナザリックであろうと排除する。

 

なにせ、彼女のデザインには、ナザリックに敵対する者への絶対なる悪意こそあるが、その反対は記されていないのだから。

 

 

「そう、問題ないのよ」

 

「どうしたのかね? アルベド」

 

「いえ、何でもないわ、デミウルゴス。打ち合わせの通りに動くだけよ」

 

 

これからくるものが何であろうと、アインズの害になるならば排除し、害にならないのならば適当に処理し、有益であるが自身の妨げになるのならば秘密裏に処理し、有益でかつ自分に無害ならば献上する。悪魔らしくアインズとの契約は絶対に守るが、それ以外は好きにするように言われているのだから。

 

そして、玉座の間に続く扉が開かれた。

 

 

「懐かしい玉座の間だ。まぁ作っただけ作ってあまり来ることもなかったけど」

 

「────ッ! 君は誰の許可をもって発言しているのか。少々頭が高いのではないかね?」

 

入って来た男はフードすら取っていない、本来ならば即座にその無礼を命を持って償わせても良いのだが、この場にいる守護者たちおよび、ナザリック・オールド・ガーダーを筆頭とするナザリックを守護するしもべたちは動くことができなかった。

それは、殺すなと厳命されているからではない、目の前の男の持つ気配の異質さだった。ナザリックに属するものはその身に纏う気配で敵か味方かを判断している。それはおぼろげなものであったが、彼らが識別するには十分なものであった。そして同時に至高の方々がもつ気配と言うのは揺らめくようなそれではなく支配者の絶対なるものだった。

 

取る足らない人間、価値のない弱者であるが、本当にわずかながら、痕跡程に支配者たちの気配を持っている。この時点でデミウルゴスには4通りの事態を推測できたが、どれが正しいかは一切見当もつかなかった。

 

「ああ、確かデミウルゴスだったね。今君には用が無い」

 

男はデミウルゴスに向けてそう言うと、玉座に座るアインズ・ウール・ゴウンに向けて歩き出した。

 

「久しぶりです、モモンガさん」

 

 

その名を彼が口にした瞬間、周囲の守護者と僕たちは意識を切り替えた。

アルベドの計画の通りに事が運び始めたと理解して。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

久しぶりに玉座の間に来てみると、なんとまぁナザリックの総戦力が集結している。自分のレベルが低いからであろうからだと思うが、威圧感が尋常ではない。これは歓迎パーティーという雰囲気でもなさそうであり、いきなり守護者のデミウルゴスが話しかけてきた。

予想はしていたが、ナザリックのNPCや施設などに設定したフレーバーテキストが具現化しているのかもしれない。まぁこれは確信こそ持ってはいなかったが、そうなっていてもおかしくないと考えていた。

 

一先ずもう十分と判断して、フードを取ってモモンガさんに話しかける。

 

「お久しぶりです。モモンガさん」

 

「…………久しいな」

 

「ええ、私の感覚だと大体50年と言う所なのですが、そちらは?」

 

「忘れてしまったよ、永劫に近い時の前ではな」

 

「他の皆さんはいらっしゃらないのですか?」

 

「今この場にいるのは私と、この場にいる僕たちが殆どだ」

 

「そうですか」

 

目の前にいるのは、タブラさんか何かであろうか? それとも何か事情があって、死の支配者のロールを続けているのか。だが、この場に見知ったかつての仲間たちがいないという事は、やはりそう言う事なのであろう。このナザリックは自分と同じでサービス終了時にこちらに来たのだと思う。そうするとモモンガさんしかこの場にいないのも頷ける。

 

「というか、自分がこの姿でも驚かないんですね」

 

まぁ、来ると言っていたから驚かれないのは当たり前と言えば当たり前か。それでもこの顔を見ればモモンガさんは納得してくれると思っていた。なにせ何度かオフ会であっているのだから。

 

 

「驚いてはいるぞ。何が起こったのかぜひ聞いてみたいものだが」

 

「ああ、実はですね」

 

────ひれ伏したまえ

 

自分が口を開こうとしたその瞬間、気が付くと自分は地面に組み伏せられていた。いや自分から地面にはいつくばっていたというのが正しいか。

 

 

「よくやった、デミウルゴス。すまないな、だがこれも必要なことなのだ」

 

「いえ、現在従うべき御方は御一人しかおりませんから」

 

「さて、愚かな下等生物。自分の立場を理解したかしら?」

 

 

これはデミウルゴスのスキル支配の呪言であろう。40レベル以下の存在への音を媒介とした絶対的な支配の状態異常を与えるものだ。この世界の人間では精神支配を無効化するマジックアイテムか、耳が聞こえない人物以外防ぐ手立てはないであろう。

現に自分も口すら開くことができないでいる。

 

「一体どのような方法を使って情報を得ていたのか、その名をどのようにして知り得たのか、非常に興味があるな」

 

「ここに君臨する御方は絶対なる支配者にして、至高の存在。アインズ・ウール・ゴウン様であって、モモンガと名のられてはいない」

 

 

どうやら、少々見立てが甘かったようだ。モモンガさんも自分と同じようになってしまっているのかもしれない。そしていま目の前にいるのはモモンガさんと全く同じ外見で中身が別の何かである可能性もあるかもしれない。

だがまぁ、既に問答無用で殺されないような布石としてモモンガさんの名前を出している。本当にわずかな時間であるが話す余裕があって良かった。

 

誤算だったのはNPCが自立して動いているらしいことだ。彼らが仮に自分に情報を吐かせようと精神支配をかけてきたとしよう。恐らく半分も何を言っているか理解されないのではなかろうか?

自分としてはモモンガさんか誰かがここにいるのならば、自分への接触を図り、仮に信用されなくとも、いくらでも証拠を直接見せる事は出来た。プレイヤー視点からでしか知らないユグドラシルのこと。木下太陽という人間のプロフィール。なんだってよかった。

誰もいない、しかしゲームと同じように活動をしているのならば、いくらメッセージを題しても全く意味のない行動としてとらえられるだろうが、近づいて範囲に入らない限り防衛行動をとられることはないであろう。

NPCが自分のように意思をもって行動しているのならば、ギルドの創生秘話に基づく内部の者しか知らない情報を言えば、一先ず話を聞いてはくれるであろう。

 

この3つくらいの想定でいたのだが、恐らく最後のものに近いが、モモンガさんがいないかそのような何かが起こって、アインズ・ウール・ゴウン特有の人間や亜人に対して無慈悲かつ敵対的であるというテーマに沿った行動だけをしているのかもしれない。そう考えると2つ目に近いか。

 

 

「色々と策を講じているようだが、既に貴様の裏を探らせてもらった」

 

「下等生物のあなたには理解できていないかもしれないけれど、皇帝の捨て駒にされたのよ。最もその報復は既に済んでいるから、あなたが償うのは別の事よ」

 

 

こちらが話せない事を良いことに好きかって言ってくるアルベドとデミウルゴス。というかそこまでわかっているのならば、自分の正体も知っていそうなものだが、正体を知ってもお構いなしなのか、別の確信か目的があるのか。

 

 

「我が主を煩わせる流言を流した罪、その目的を教えてもらおうと思ったのだけれど、気が変わったわ」

 

 

目の前まで歩いてきたアルベドが優し気な微笑を浮かべたままこちらにそう告げる。タブラさんの設定だとたしかこいつは弱者を甚振るのに喜びを感じるサディストだ。ナザリックだと珍しくもないタイプであるが。そしてその際にも笑顔を浮かべている外面完璧な淑女だけどビッチとかそんな感じだった。

つまり悪いビッチの方だ。ではなくて、つまり笑顔が信用できない。悪魔らしい設定だ。

 

「貴方の信じている全てを書き換えてあげる。ただ私たちの主をたたえる曲を作るだけの肉塊にしてあげるわ」

 

それは、案外今と変わらない気もする。彼女の崇拝する主がアインズ・ウール・ゴウンのギルドメンバーならば。だが、そんな冷静なことを言ってられないような事態なのは確かだ。

 

さてどうしたものか。モモンガさんやギルドメンバーがいないのならば、別段もう死んでも問題がある訳ではないのだが、諦めるのも性には合わない。打開策をただ頭の中で探してみるのであった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「(アルベド予定と違っています。やりすぎです)」

 

デミウルゴスはアルベドの最初に計画した対処プランに関して、特に問題が無い物なので一切口を挟まないでいた。アインズ様が闘技場を去った後、即急に彼女が出した指示は粗削りではあったが、大きな問題はないと判断したからだ。

 

計画は凡そ3段階に分けられていた。まずはワーカーたちの裏を探る。不可視の使えるものを転移で帝国に送り込み、まずは伯爵とやらをそこから芋づる式に情報を引き出す。魔法を使って秘密裏に行っていき、ナザリックへこの時代の人間の移動速度から逆算し、満月に到達が不可能である関係者から処分していく。これによってこちらに向かっている者をあぶりだすのだ。

 

次にこちらへ向かっている者が判明した場合、その者の安全を確保して確実に到達させる。万が一第三勢力ないし外部の存在に害されてしまい、その者が本物であった事態や、感知できなかった黒幕に人質の価値が無いと思わせないために秘密裏に行う。

 

そして最後に、玉座の間まで誘導し話を聞き出す。仮に致命的なスキルやワールドアイテムを所持している可能性も考慮して、防御系魔法やアイテムワールドアイテムを所持するなどのいくつかの保険を講じる。そしてその際にアインズ・ウール・ゴウンを『探って』でる情報以外を持っていた場合、一切の連絡を絶たせ無効化する。

そうでない場合は裏を取ったのち処分する。本物であるかどうかの判断はアルベドかアインズ様が行うというものだ。

 

だが、アルベドは最後のタイミングで周囲にはただ脅しているかのように見せかけた尋問で、本当に精神支配を行おうとしている。手に持っているのはそれを可能とするマジックアイテムだ。

 

「最後に言い残すことはあるかね?」

 

「デミウルゴス」

 

名前を呼ばれただけで、ここまで底冷えとする感覚が湧くとは思わなかった。彼女の邪魔をするなと言う意図もはっきりと感じ取れた。だが、万が一の可能性をデミウルゴスは考慮していた。ここまで来てアインズ様が止めないのならば、十中八九目の前の男は至高の御方ではないのであろう。

それでも、彼は口を動かすことを許すという判断をした。それはこの前のアルベドに対する意趣返しなどではなく、単純に必要であり、その程度ならば問題ないと判断したからである。

 

「………………」

 

「何も言い残すことはないそうよ、デミウルゴス」

 

 

だが、目の前の男は何も言わなかった。ただ顔を上げて、玉座に座る彼らの主を見ると薄く笑った。

 

 

「アインズ様、余りにも不敬なこの男のもはや見る価値もありません。この私が処理させていただきます」

 

 

アルベドがそう言い、マジックアイテムに手を駆けた時、ようやっと彼の唇が動いた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「Wenn es meines Gottes Wille」

 

「……は?」

 

「Wenn es meines Gottes Wille」

 

デミウルゴスもアルベドも彼が何を言っているかを理解できなかった。だが、その言葉を発した時、彼からは確かな怒りを感じた。そう非常に不服であると、心の底からその言葉に対して文句があるかのように。

 

「世迷言かね?」

 

 

デミウルゴスは自身の行動が無駄に終わったことに少々落胆した。そしてアルベドに小さく謝罪して、一歩下がった。アルベドも少々混乱していたようだが、我に返ったようだ。しかし男の言葉は止まらなかった。

 

「これでわかった。目の前のモモンガさんは、モモンガさんじゃない」

 

「命乞いかしら? 無駄なことを」

 

彼女が手元のアイテムに手を駆けようとしたその刹那

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

────遊びは終わりだ。アルベド、デミウルゴス

 

偉大なる存在の言葉が響き渡った。そして、その言葉同時に光が現れた。光が発した方向から聞こえた言葉を発したのは、彼らの敬愛すべき主アインズ・ウール・ゴウンであった。

 

 

「やっぱり、パンドラズ・アクターじゃないか」

 

「正解だ。アルベドの案でな。万が一を考えての事だが」

 

 

そう、そもそもこの場にアインズ・ウール・ゴウンは存在していなかった。それはアルベドの発案であり彼は離れた場所からこの場の様子を千里眼/クレアボヤンスによって見ていたのである。

 

「さて、守護者各員よ、私はこの者からの悪意が無い事を確認した。皆の働きに深い感謝とこの言葉を送ろう、ご苦労であった」

 

「勿体なきお言葉です」

 

「特にアルベド、お前の素晴らしい策は非常に有用であった。今後追って褒美を取らせることにする」

 

「有難き幸せに存じますが、私はアインズ様がそこにおられて我々を支配し愛してくださっているだけで十分でございます」

 

「謙虚なことだ。それでは私とこの者は二人で極秘裏に話すことがある。今後私が許可するまで何人たりとも私の私室に近づくことを禁ずる。よいな」

 

流れるような支配者としてのアインズの言葉に、この場にいたすべての者が平伏した。玉座に座していたパンドラズ・アクターも、いつの間にか本来の姿に戻っていた。アインズは彼を立たせるとついて来るように告げてこの場を後にし私室へと向かう。

 

 

 

幾つかの通路を抜けて、アインズが使用している私室へと二人がたどり着き、アインズが周囲に誰もいない事と施錠を確認しようやっと口を開いた。

 

 

「さて、貴様は何者だくけこさしすさんを騙る者よ」

 

「まだその口調ですか? モモンガさん」

 

 

案内された彼は安堵したかのように砕けた口調で、未だに支配者たるままのアインズに話しかけた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「恍けるな!!」

 

 

 

 

だが、帰ってきた言葉は激昂と共に発せられる否定の言葉だった。すぐさま青緑色の光に包まれるアインズ。そして彼は納得した様子でアインズむけて口を開いた。

 

 

「くけこさしすですよ。モモンガさん。この顔で分かるでしょう?」

 

「ええ、面影が俺の知っているくけこさしすさんの顔ですよ。会った時そのままの顔です。だからこそおかしいんだ」

 

 

アインズの目の前に立つ彼はくすんだ金髪でどこにでもいそうな風体での

『20歳ほどの若者』である。

 

「クゥケコ・サーシェスの歌を一通り聞きました。貴方の弟子という人物をちょうどいい事にデミウルゴスの配下の悪魔が捕まえてきましたからね」

 

にこにことした微笑を浮かべて、その若者は巨大な骸骨であるアインズに体を向けて話を聞いている。

 

「わが師は何時からか顔を隠される様になった。そう言って来たのは老人ですよ。腰の曲がったね。それだけじゃない」

 

アインズは別に老けない人間の外見を持つ存在を怪しんでいる訳ではなかった。なにせそんなものこのギルドにいくらでもいる。

 

「ユグドラシルにない魔法がこの世界にはあった。生活系の魔法はその筆頭だ。スキルだってそうだ、俺の知らないものもあった。武技は調査中だけどきっと同じだ。それでもやっぱり無いものもあった」

 

アインズは不思議と冷静だった。目の前にいる何者かもわからないそれに対して、警戒すべきであろうという判断をしていたからだ。だが、同時に彼は警戒していない自分も自覚していた。

 

「クゥケコ・サーシェスはMPを回復する歌を歌えるそうですね。そんなものあるはずがない。いや、もしかしたら、ワールドアイテムや超位魔法ならあるかもしれない。だけど、いくらアプデの詳細まで覗かなくなっても、そこまで大きな仕様変更を俺が知らないはずがない」

 

「そして、なによりも。俺はパンドラズ・アクターを中二病のキャラクターとして設定したことまでは何人かに話したし、外装を設定する際に説明したけれど、あんな恥ずかしいセリフを言う奴だなんて教えていない」

 

事実であった。当時は格好良いと思って作った、伊達男のような言動をする、とぼけたような気障ったらしい動作で周囲を困惑させるが、その頭脳はナザリック有数のものである。なんて設定は恥ずかしくて言えたはずが無かった。仲の良かったペロロンチーノさんにさえ、スキルを使用するために演技臭い言動をするキャラみたいな感じです。としか言ってないのだから。見られたら何人ものメンバーに大笑いされるであろうから。

 

「重ねて聞きます。貴方は何者ですか?」

 

 

若者は静かにその言葉を聞いていた。それはまるで今まで心に秘めていた罪を懺悔する機会を与えられたような、いやむしろその罪を糾弾され捌かれる時が来たかのような澄んだ表情であった。

 

 




よく読むとアルベドの設定に
ナザリック守護者統括が誇りであるみたいなことはあるけど
ナザリックが大事とか書いて無くて

ナザリックの外で残虐な行動が行わるであろうが。ってだけ。
ただ敵に容赦はないってあるだけなんですよねぇ……

詰め込み過ぎた設定が奇跡的なバランスを保っていたのを
アインズ様が書き換えて崩れた結果が
あのヒドイン具合なんじゃないかと予想してたりします。

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