IS原作にたどり着け! 『本編完結』   作:エネボル

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07 フラグとは気づけば立っている……らしい

 先ほどの(秋斗)とのやり取りで無性に汗を流したくなった一夏は、竹刀袋を持って家を飛び出した。

 鍛錬には篠ノ之の道場を使いたい所だが、流石に時間が早すぎた。

 なので一夏は家から程近い場所にある近所の公園へと向った。

 

「――――さて、と……」

 

 公園について早々に、一夏は竹刀袋から愛用の“木刀”を取り出した。

 柳韻の教える篠ノ之流剣術。その本質は戦場で生み出された実戦向きの剣だ。故に伝統なのか、普通の剣道を倣う際も、素振りなどの基本動作の殆どを木刀を使って学ばされる。

 しかしそんな理由以上に、今の一夏は竹刀よりも木刀を使いたい気分であった。

 軽く柔軟をして筋を解した後、一夏は背筋を伸ばして木刀を正眼に構えた。

 公園までの道のりを走ってきたので身体は既に十分温まっている。

 

「っ……はぁっ!」

 

 裂ぱくの気合を入れて、幾度も素振りを繰り返す――――。

 無心で幾度も繰り返す――――。

 その様は公園の散歩を日課にしている老人が、思わず振り返って顔を綻ばす程だ。

 それ程に今の一夏には、若い活力が満ちてあふれていた。

 年若い少年が特撮番組に影響される事は珍しい事ではない。何処の家庭に生まれた少年でも、一度くらいは経験がある事だ。ヒーローの背中に追いつきたい。ヒーローの生き様に感銘を受けたからこそ、その在り方を目指したい。そんな願いを、一夏はこの時純粋に強く抱いていた。

 しかしその決意の多くは成長と共に色あせていく場合が殆どである。最期の瞬間までそう在れる者はほんの一握りで、そう多くはないだろう。

 だが今日、一夏という少年の中に目覚めた『強くなって護れるようになりたい』という強い気持ちは、その後の人生を左右する程の固い決意と化していた。そしてその決意が後の一夏の生き様の根源に昇華していくと、一体この時誰が予想しただろう?

 

 ――――そんな一夏を見つめる一つの視線があった。

 

「織斑の兄……?」

 

 素振りする一夏の姿を見かけたのは、偶然にも一夏と同じ小学校に通う同級生――篠ノ之箒であった。

 箒も偶々、今日は公園で鍛錬をしようと出てきた所である。理由は()が朝から家に居るからだ。故に箒は、珍しく屋外に鍛錬場所を探している途中であった。

 たまたま足を運んだ近所の公園で箒は、篠ノ之流の素振りを繰り返す“一夏”の姿を発見し、何となくその足を止めた。

 

 

 剣の道を歩み始めたのは、織斑兄弟よりも箒の方が早かった。

 箒には、父――柳韻譲りの剣才と厳しい鍛錬に対する強い情熱が在り、故に篠ノ之道場に通う同い年の間では密かに“最強”という名の評価を受けていた。

 尊敬する父から授かった技の結晶――それがある種、形となった渾名。当然箒はその誉れに対して強い誇りを持っていた。

 しかしそんな矢先。

 箒の前に織斑兄弟が現れる。

 織斑兄弟は箒が父以外で尊敬する姉弟子――織斑千冬の弟達であり、両名とも箒と同い年であった。

 同じ小学校に通う同学年として、箒は兄弟の入門の際に2人と引き合わされた。

 

『織斑秋斗……』

『……………篠ノ之箒、です』

『俺は織斑一夏。よろしくな! 同い年だし箒って呼んで良いか?』

 

 自己主張の薄い物静かな兄弟の弟――秋斗。それだけなら、まだ箒にとってはマシだった。

 しかし問題はその兄の一夏だ。一夏は箒の苦手な、気安く馴れ馴れしい性格の少年だった。

 箒は顔を突き合わせた瞬間から、織斑の一夏の方とは性格的に絶対“相容れない”と感じた。

 それが邂逅した際に箒が抱いた兄弟それぞれに対する感想だ。

 そして織斑兄弟が入門してから三ヶ月が経ち、その三ヶ月という短期間で、兄弟はそれぞれ才を顕にした。

 弟の秋斗は器用であるが気迫が薄く、柳韻に『剣よりも無手の方が向いている』と評され、兄の一夏は姉の千冬と同様に『爆発力に優れ、更にコツを掴んだ後の成長力は目を見張るものがある』と高く評価された。

 経験者の箒をして、特に一夏の方が内に秘めるその剣才は“異常”に思えた。

 ――――そしてそれから二ヵ月が過ぎ、道場内で門下生同士による腕試しの試合が開かれた。

 箒はその時の試合を今でも思い出す。なぜなら幼い時期から木刀を振るっていた箒が、初めて屈辱を受けた試合となったからだ。

 勝負内容は紙一重の僅差だが、剣を振るった回数と年月が箒に強い敗北感を与えた。

 無論、その相手は織斑一夏だ。

 その日以来、篠ノ之箒にとって織斑一夏の存在は、ライバルを超えて“敵”と化した。

 

『……なぁ、そんな隅っこに居ないで皆と一緒に稽古しようぜ?』

『………………』

 

 試合の後、幾度か一夏の方から、箒に話しかける事が度々あった。

 が、箒はその一切を無視した。

 馴れ合いを求めるような一夏の言葉は、箒には“強者(才能)の持つ余裕”にしか聞えなかったからだ。

 一夏の成長振りは、箒の姉である束と同じく“才能”によるものだと箒は密かに感じていた。

 そもそも箒が束を避ける様に鍛錬をする様になったのは、姉に同じ土俵に入ってきて欲しくないというある種の自衛である。束が箒と同じく剣の道に興味を抱き、それを学び始めれば、恐らく束は何時ものやり方(才能)で、箒の積み上げた努力を灰燼にしかねない。故に箒は己のアイデンティティを護る為にも束を避けた。

 そんな()と同様の在りかた(才能の力)で己を打ち砕いた織斑一夏の存在を“敵”と呼んだのも、そんな感情が根底にある故――――。

 そして箒は、一夏に勝つ為に、以前にも増して独りでの鍛錬に傾倒する様になった。

 箒が意固地になる頃。箒の性格とはまるで間逆の一夏は、いつの間にか道場の他の同い年達と、仲良くなっていた。結果として道場の輪の中心に居る一夏をいつも強く拒絶する箒は、自然と道場での孤立を深めていき、その様子を心配した父と母から「もっと周りに対して懐を広くしなさい」と、度々箒に叱責を受けるようになった。

 しかし箒はそれを頑固に聞き入れず、ひたすらに打倒織斑一夏の剣を独りで研ぎ続けた。

 ――――しかしそれから程なくして、箒の抱く織斑一夏に対する敵意が、少しだけ軟化せざるを得ない事件が起こった。

 去年の冬休みが明けてから、まだ間も無い頃。

 箒の在籍する学年で、織斑一夏の弟――秋斗の書いた作文が噂になった事が切っ掛けである。

 この時の箒は織斑家について、親から一応の事情を少し聞かされていた程度で、その内情についての深い理解は一切なかった。故に箒は、秋斗の書いた作文で織斑家の事を知る事になる。

 地元の新聞で取り上げられた秋斗の作文の全文を読み、そこで初めて織斑家の事情を知った箒は、ふと、自分のそれまでの一夏に対する態度を恥じた。

 

 

 

「――――ふぅ、これで300。っと、少し休憩……。あっ、しまった! タオルと水筒持ってくるのすっかり忘れてたぜ、ちくしょう」

 

 素振りを終えた一夏は頭を抱えた。

 どうやら竹刀袋“しか”持たずに家を出てしまったらしい。その事に一夏は今更気づいた。

 一夏は仕方ないと頭を振り、公園の水呑み場で水分補給を行う。

 その際。一夏は初めて箒が見ている事に気づいた。

 

「あれ? ……篠ノ之じゃん。なにしてんだ、こんなとこで?」

「っ!?」

 

 箒の存在に気づいた一夏は、声を掛けるべきかを一瞬だけ悩んだ。

 今まで散々無視されてきた経験が脳裏を過ぎったからだ。しかし直ぐに他の同門に対するモノと同じ調子で、一夏は言葉を投げた。

 そして声を掛けられた箒は、一夏に見つかった事で、動揺を顔に浮かべていた。

 そんな箒の様子に一夏は首を傾げる。

 

「いいかげん、返事ぐらい返せよな。で、お前も鍛錬しに来たんだろ?」

「……あ、あぁ。そうだ」

「なら丁度良いや。折角だから一緒にどうだ?」

 

 箒の下げている手提げと竹刀袋と見て一夏はそう提案をした。

 

『…………………』

 

 箒は一夏の提案に一瞬悩んだ。

 しかし家に帰っても“姉”が家に要る事を思いだして、箒は初めて、一夏の提案に乗る事に決めた

 そんな気まぐれが働いた理由は、間違いなく織斑の家庭事情を知った所為だ。

 勝負の場は除くとしても、流石にこれまでの様に常に邪険な態度を貫けるほど、箒は冷淡ではなかったのだ。

 

「…………おい、あまり肩を冷やすな」

 

 箒は仏頂面で、手提げに入れていたタオルを一枚取り出し、一夏に差し出した。

 箒の行動に一夏は目を見開いた。

 道場で幾ら話しかけても無視される相手に突然施しを受ければ、誰だって驚きで固まる。

 一夏はぎこちない様子で箒からタオルを受け取ると、戸惑いつつ礼を言った。

 

「……ありがとう、それと悪い。今度、洗濯して返すよ」

「……別にいい」

 

 箒は素っ気無く返した。

 一夏は軽く苦笑いを浮かべた。

 

「いや、ちゃんと洗って返すよ。と、言うか、篠ノ之って俺の事嫌いじゃなかったっけ?」

「……馴れ馴れしい奴は誰だって嫌いだ。だから勘違いするな。別に私は、お前と馴れ合う気はない。……でも、タオルぐらいは貸してやる」

「お、おう。そうか。よくわかんねーけど、ありがとな」

「………………」

 

 タオルも買えない程に貧乏なら、流石にそれくらいは貸す――――。

 箒の台詞はそんな同情の気持ちに満ちていた。しかし面と向って他所の家庭の“貧乏”を指摘する程恥知らずでも無い。箒の人見知りと口下手が作用して、その言葉は主語を欠いた妙な言い回しになった。

 もしも一夏が箒の内心を知る機会が在れば「流石にそこまで貧乏じゃねーよ!」と返すところ。だが一夏にそんな察しの良さ等あるはずが無く、一夏は箒の言い回しに疑問を浮かべ、素直にもう一度礼を言った。

 

 

 

 

 特撮を見て奮起した一夏が勇み足で修行に赴いた後。秋斗は二回目の『マスクドライダーB・B』の視聴を終えると、今年の“夏休み”に始める計画の準備を進めた。

 今年の夏休みは、秋斗にとって今後を左右する重要な勝負の季節となる。

 まずネットオークションで安いジャンクフィギュアのパーツを数百円単位で競り落とした秋斗は、ホームセンターの通販サイトでポリエステルパテや紙やすり、デザインナイフ等を買いこんだ。

 夏に行なう資金策は、これまでのような小銭を稼ぎとはわけが違う。秋斗が自身の前世で培った“腕前”が、盛大に試される大掛かりな代物だ。加えて計画に投入する資金も、今回の為に懸賞品を売って作った秋斗の個人資産の約8割を投入する程。

 現段階ではまだ実行段階に程遠いが、秋斗はその為の準備を進めるのに余念はなかった。

 

「――――とりあえず、夏の前には準備を終えたいところだな。それと後は、博士がどう動くか、か……」

 

 祈る事は山ほどあった。計画の成功はもちろんだが、それ以前に秋斗がノートPCを手に入れた時と同様、“天災様”の気まぐれが起こる事を秋斗は祈っていた。

 既に千冬を通じて布石を打っている。しかし今の世界情勢を見るに束はかなり多忙だ。故に秋斗の祈りが通じる可能性は、贔屓目に見ても50%と言ったところだろう。

 一応だが、秋斗は最悪束の協力が無くとも計画が成り立つ様にと今回のプランを組んだ。故に束の協力が成否に大きな影響を与える事はないが、その場合単純に、計画の実行自体が大幅に遅れてしまう事になる。

 秋斗は座椅子に背を預け、祈る様に腕を組んで天井を睨んだ。

 

(……『人事を尽くす為に天災を待つ』ってか?)

 

 秋斗は思いついた下らない諺を内心で呟き、大きく溜息を吐いた。

 去年と同様、秋斗は一夏と協力して、今年も篠ノ之神社の年始の手伝いを行なった。無論、いくらかの御駄賃と懸賞はがき用のお年玉切手シートを手に入れる為だ。そしてPCと電子口座の入手した後は、懸賞品を街の質屋ではなくネットオークションを流す方向にシフトした。景品の売却によって得た資金の一部を家に収めつつ、同時にコツコツと口座に貯めていくらかの個人資産も作った。それを使い、ホビー雑誌に掲載された限定受注生産のフィギュアを購入して、時間を置いてからの転売活動も行なった。

 数千数百円の儲けを求めて毎日オークションサイトで市場価格を繰り返し確認する日々。当然、ブログ『オリムラ日記』の更新も同時進行――――。

 普通ならば十分すぎる対策の数々を秋斗は行なった。

 しかしそれでも織斑家を立て直すには、もっと大掛かりな“治療”が必要だった。

 

「まぁ、以前に比べると幾分かマシになったけど……」

 

 秋斗はチラリと、千冬の眠る隣の部屋の襖に視線を移した。

 最近の千冬は以前に比べて、身体に配慮したペースで仕事をする様になった。

 それを秋斗は喜ばしいと思うと同時に、その弊害に眼を瞑る事が許されない現実に顔をしかめた。

 『白騎士事件』を境に千冬の夕方のバイトの稼ぎが目に見えて減少したのだ。それは単純に労働時間が短くなったという意味でなく、時給そのものがごっそり減ったとしか考えられない状態になっていたのだ。秋斗はその理由を、バイト先が潰れたのだと考える。

 

(――――幸いなのはいくらか貯金がある事か)

 

 秋斗は通帳を眺め、現状に対して可能な限りに早く手を打ちたいと焦った。

 秋斗が『前世の記憶』に目覚める以前に比べると、確かに現在の生活には、幾分かの“ゆとり”がある。

 焼け石に水でもめげずに続けた金策と、他ならぬ千冬自身の頑張りのお陰だ。

 その“ゆとり期間”に千冬が休息するのは多いにアリだ。だがその“ゆとり”は、貯金を切り崩して得た一時的な小休止に過ぎない。

 つまり、何れ“終わり”が確実に来る。

 

「――――ん、秋斗だけか……一夏はどうした?」

「さっき、竹刀もって出かけてったぜ?」

「……そうか」

 

 隣の部屋の襖が開いた。

 眼を覚ました千冬が起きたのだ。

 千冬は寝起き眼を擦りながら、のそりとした獣のような動きで秋斗の前に立った。

 秋斗はその様子に小さく笑った。

 

(……一応女なんだから、もうちっと恥らえよ。どこの誰に貰われるかは知らねぇけど?)

 

 高校2年生となった千冬は現在、華の17歳。家族として贔屓目に見ても十二分に美少女だ。

 しかしスタイルが幾ら魅力的でも、パンツ一枚、ノーブラTシャツで堂々と部屋を歩き、寝癖頭で盛大に口を開けて欠伸をしている様では台無しだ。

 もしも一夏が居たら、真っ先にその格好に声を荒げる所である。

 あまり普段の格好に頓着しない秋斗は、そんな千冬の様子に対して特には言わなかったが、内心では忠告と小さく苦笑を漏らしていた。

 

「ふぁ~あ……で、秋斗は行かなかったのか?」

「まぁ、俺はそれほど剣道好きじゃないしね。てか、それよりも風呂入ってきたら? ……顔、ヤバイぜ?」

「……失礼な事を言う。まぁ、いい。そうする」

「飯は?」

「食べりゅ」

 

 半分程寝ぼけている様子の千冬は、ノロノロとした足取りで風呂場に向った。

 普段の凛とした姿とは大違いである。そしてそんな姉の朝飯(エサ)を用意する為に、秋斗も席を立った。

 飯の準備と言ってもゼロから作るわけではなく、今朝の時点で作ったサンドイッチの余りを器に盛るだけである。付け合せに一夏の作ったのコンソメの野菜スープを暖め、最後にコーヒーを煎れたら完成だ。

 秋斗は換気扇のスイッチを入れて、薬缶に水を入れて火に掛けた。

 ――――その時、玄関先でチャイムが鳴った。何故か“三三七拍子”のリズムで。

 秋斗は来客の仕掛けた悪戯に思わず吹いた。

 

「…………誰だよ?」

 

 千冬が風呂に入っているので対応は秋斗が行なうしかない。

 明らかに配達や、集金とは違うタイプの来客だと判り、秋斗は一端火を止めて溜息交じりに玄関先へと向う。

 その間も三三七拍子のリズムで、玄関のチャイムが鳴らされ続けた。

 一度だけならまだしも連続して続けられると腹が立ち、秋斗は玄関を開けると同時に怒鳴った。

 

「うるせェな、この野郎!」 

「ちーちゃん! 遊びに来たよぉぉおお! ひっさしぶりぃ!」

 

 扉を開いた瞬間。

 大きくて柔らかいモノに顔を包まれた。

 それどころか全身を抱きすくめる様に拘束された。

 

「……あり? ちーちゃんの感触じゃない」

 

 来客は篠ノ之束であった。

 束は抱きついた相手が千冬でない事に気づき、首をかしげながら抱擁を解く。

 そして千冬と間違えて抱きついた“秋斗”を確認し、右腕を振り上げて挨拶した。

 

「おぉ! あっくん! 久しぶりだね♪」

「……博士か」

 

 幾ら豊満な女子高生の胸とはいえ、不意打ちで顔面を叩きつけられてはそれなりに痛い。

 幾らおっぱいが柔らかいとはいえ、人間の顔面とは急所の塊なのだ。

 それが結果としてラッキースケベであっても、強かに鼻を打ち付けられたら誰だって呻く。秋斗もその例に漏れなかった。

 

「痛ってェ――――」

 

 秋斗は強かに打った鼻の痛みで、思わず顔を押さえた。

 ――――人事尽くして天命を待つ。

 先ほど秋斗はそれを少しアレンジした言葉で天災(篠ノ之束)の登場を祈った。

 しかし実際に天災が目の前に訪れると、秋斗はその行動を早まったかもと、少しだけ後悔した。

 

「ちーちゃんは?」

「風呂、入ってる」

「ほほぅ、それなら束さんのやる事は一つしかないぜ! 止めてくれるなよ、少年!」

 

 言うが早いか、束は秋斗の脇をすり抜けて千冬の居る織斑家の風呂場に突入した。

 ――――そして程なくして、千冬の怒号が部屋中に響いた。


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