ガンダムビルドファイターズ アテナ   作:狐草つきみ

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さてさて今回もまたコラボが始まっていきますよ~!

二回目は(一部キャラは出てきてましたがスポット参戦的なので省くとして)孤高のスナイパーさんが執筆する「ガンダムビルドファイターズ EXTREME VS ~アーケードしかやったことのない俺が、ガンプラバトルに挑む~」です!







番外章:「再構成された極限」の使い手
Collaboration EPISODE-8:えっ! 練習試合!?


 全国大会へ向けて(?)のんびりと過ごしていた私達聖蘭学園模型部は、今日も今日とて部室で自由に何かしらやっていた。

 私はノートパソコンを開いてブラウザゲーを、ヤヤちゃんはその隣で紅茶を楽しみ、アイカちゃんは私を後ろから抱き込みつつヤヤちゃんの持ってきたスコーンに舌鼓して、ツクモ先輩は久々に見た気がするアストレアを弄っており、ミナツ先輩はソファーですやすやと就寝中。……残るユー君は水野先生に呼ばれて保健室だとか。

 

「そう言えばユー君、先生に呼ばれてからもう三十分も経ってますね」

「あー、もうそんな時間経ってるのね。時間って早いわ~」

「随分呑気ですね……」

 

 まぁ、私が言えた義理でもないから言い返せないのだが。それでもやっぱり遅いと感じる。いつもなら十分そこらで「戻ったぞー」とプライバシーもへったくれもない感じで戻ってくるのに。おかしい。

 

「これは、きっと何かありますね」

「無いわよ、あの生徒会長がまた文句垂れてんじゃないの?」

「だと良いんですけど」

 

 するとガラガラと部室の戸を開けて誰かが入ってくる。私は椅子越しに振り向こうとすると、アイカちゃんの胸に顔が埋まってしまった。

 

「お、マサキちゃんから抱き着いてきた!」

「っぷは。いや、別に抱き着こうとしたわけじゃ!」

 そんな私達の様子に男子の声が掛けられる。

「おうおう、部室で不純同姓交遊はやめろよな」

「ゆ、ユー君まで! 違うんだってば!」

 

 心底からかわれてるようにしか感じない私は大人しく引き下がるものの、それをアイカちゃんが「偉い偉い」と子供をあやすみたいに撫で回す。うぅ、してやられた気分……。

 パソコンを閉じて机に突っ伏す私を放置して、ユー君が黒板に紙を張り付けた。当然、ミナツ先輩以外の皆がそれに注目する。

 

「なにそれ?」

 

 開口一番そう聞いたツクモ先輩に、その紙を持ってきた張本人であるユー君が答える。

 

「練習試合の紙だ。生徒会の奴らが持ってきたんだとよ」

「またあの生徒会? ……ったく、私達を何だと思って……」

「まぁまぁ、落ち着けって先輩。相手は俺達が出場出来なかった新人戦で、準優勝を果たした学校だ。一歩違えば優勝できていたぐらいの、な」

 

 ユー君がそこまで言うと、ツクモ先輩は納得したように引き下がる。新人戦を準優勝した学校――どんな所なんだろう。私、気になります!

 ……と言うか、そもそも新人戦って何だろう。ガンプラバトルにもそんなのがあるんだね。

 

「ユー君、新人戦って?」

「ん? あぁ、マサキは知らねぇか。ガンプラバトルの新人戦はPPSE社主催公式戦の内の一つで、主に中高生がメインになる。建前上、新人戦はある種のパフォーマンスの場ではあるんだが……」

 ユー君が区切った所で私は気になった部分を口にする。

「建前上?」

「ああ。本音はその年の全国大会に出場するであろうその地区の学校の下見だな。勿論、俺達もそうしたかったが……例によって生徒会の所為で出れなかったんだ。その前に出場最低人数もあったから実質無理だったんだが」

 

 ユー君のその解説を聞いて私とヤヤちゃんが白けた目で見る。それに気付いたユー君は「仕方ねぇだろ!」と弁解してきた。一応初期メンバーである私は結局何も言えないんだけども。それに、こうしてアイカちゃんやミナツ先輩に、ホノカちゃんとリリカちゃん、色んな人に出会えたから悔いはないかな。

 

「んで、その学校の名前は?」

 するとツクモ先輩が、タイミングを見計らったようにユー君に尋ねた。

「……天城(あましろ)学園。今はどうだか知らんが、前は随分猛威を奮っていた学校らしい」

「そんな学校と儂らが対峙して大丈夫なのか?」

「いんや、大丈夫だろう。あの生徒会長でも酷なことは言わねぇよ。あの人だって場所は選ぶ。

 さて、確認だ。明日の午前十時から午後二時、近場の公共体育館の一室を借りて練習試合を行う。荷物はガンプラとGPベース、水筒に昼食だ」

 

 ユー君のその言葉に、その場の皆は何も言わず頷いた。すると下校時間を告げるチャイムの音が鳴り、私達は慌てて仕度を整えて玄関ホールからダッシュで校門を飛び出た。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 その日の帰り、私は暇を持て余しながらゲームセンターに寄った。流石に私にナンパするような人は居ないので、すんなり行ける。まず私に手を上げようなら、警察が動きかねないのだけれど。

 

「あ、バトルシステム空いてない。どうしよう…………うん?」

 

 私はどうしようかと迷っていると、付近に見慣れぬ筐体を見つける。何々、機動戦士ガンダムEXTREME VS.MAXIBOOST ON?

 興味を注がれる筐体に近付くと、画面には様々なガンダムが飛び交いながら戦っていた。格ゲーとはまた違った感じのゲームみたいだ。

 少し離れた位置で見ていると、二人の少年が筐体に備え付けてある椅子に座り込んでは、早速カードを翳してコインを投入してから始めていた。片方は高校生っぽいけど、もう片方は中学生かな? 似てないけれど兄弟だろうか。世の中似ても似つかぬ兄弟姉妹は居るし。夜天嬢雅姉妹とか。

 

「フッフッフ、見せてもらおうか……新しいマキブの性能とやらを!」

「少し仕様が変わったぐらいで何も変わりゃしねーだろ。俺はいつも通りゼノンで行くぜ」

「んじゃあ俺はいつも通りエクシアな」

 

 仲良く話し合う二人はとっても仲が良さそうに見えた。私も一緒に笑ってゲームできる友達が居ればなぁ……ゲーム好きな女の子なんて今時居ないか。

 

「にしても少ねーな、ココ」

「偶々寄ってみたが、確かにな。都心だけあってガンプラバトルに夢中なのかねぇ」

 

 周囲を見渡しながら言い合う二人は、出撃シーンみたいなアニメーションを飛ばして早速やり込み始めていた。

 

 

 

 

 

 十分か、もしくはそれ以上経ったかな。それぐらいで、彼らはその場を立ち上がる。どうやら終わったらしい。アーケードにはそれなりに慣れているみたいだけれど、格ゲーとはまた違った挙動で見ていて面白かったかな。また今度やってみよう。

 

「あ、丁度バトルシステムが空いた!」

 

 私は一目散に空いたバトルシステムに近付いて、その場に鞄を降ろす。ふと息を吐いて落ち着くと、対面側に先程の少年二人がいつの間にか立っていた。

 

「おっ、可愛い子見っけ! しかも眼鏡っ子!」

「ソースケ、俺らはそんなことしに来た訳じゃないだろうが」

「大丈夫、大丈夫。流石に中学生をナンパする気はねぇよ」

「そう言いつつも身体は正直なようだが?」

「おっといけね」

 

 口先だけで体が素直へこちらへ歩み寄っていたのは見なかったことにしよう。

 それにまたしても中学生に間違われているけれど、私は何とか平静を保つようにしていた。取り敢えず落ち着こう。片方が変態なだけで、もう片方はまだ話は分かるみたいだから大丈夫っぽい。

 

「あの、ガンプラバトル……」

 

 ややくぐもった声でそう言うと、二人は気付いたらしく、こちらを見た。思わず身体を震わせて驚いてしまうと、片方の背の小さい少年がもう片方の少年を睨み付けていた。

 

「オイ、完全に怖がられてんじゃん!」

「いや、俺は何も悪くないって! 誤解だっての!」

「あの、バトルを……」

 

 いがみ合い始めた二人に私が言うと、二人ともそうだったと言わんばかりに慌てる。するとどちらがやるかと話し合い、結局じゃん拳して決めたみたいでさっきの背の低い少年――キョウヤ、と呼ばれてた人――が対面に立った。

 

「ゴメンな怖がらせちまって。それじゃあ早速やろうぜ!」

「あ、その、よろしくお願いします……」

 

 やっぱり慣れない男性が相手だからか、私はおどおどした様子で言うと同時にバトルシステムが起動した。

 

《GUNPLA BATTLE Combatmode Start up. Mode damage level set to“B”》

 

 私はきゅっとGPベースを握り締める。きっと大丈夫だ。例え片方が変態さんだったとしても大丈夫な筈。……多分。

 

《Press set your GP-Base》

 

 互いにGPベースをセットし、待機する。

 

《Beginning [Plavesky Particle] dispersal. Field9, Sky》

 

 プラフスキー粒子が散布され始め、周囲に青い粒子が撒き散ると同時に私達をホログラムが包んだ。フィールドも形成され、場所は空。しかし複数の足場となる岩が浮いており、感覚としては「重力のあるデブリ帯」と言ったところか。

 

《Press set your GUNPLA》

 

 私は台座にアテナを置いて、現れたコンソールを握る。

 

《BATTLE START》

 

「ガンダムアテナ、七種真幸! 勝利を切り拓く!」

如月劫夜(キサラギ キョウヤ)、エクストリーム:Rf! GO!!」

 

 真っ青な空と白い雲に覆われた空間に、アテナとユー君の持つエクストリーム/ナハトに似た機体が飛び出す。

 

「あの機体は……確か!」

「開幕早々! 獅子咆哮ォ!!」

 

 やや離れているにも関わらずに、大きめの火球がアテナへ襲いかかる。しかしそれを何とかエイジスで防ぎきる。次の瞬間には既に目前へと迫ってきており、その拳を構えて連打を決めてきた。

 

「ハイパァァァァッ! 俺様ナッコォォォォッ!」

 

 拳と言う拳がエイジスに叩き込まれて、中々私は行動に移ることが出来ない。しかしこちらにも手はある。殴っていることに夢中になっているのなら、これでも食らって麻痺っ(スタンし)てもらおう。

 

「フラッシュ!」

「うおっ!? 目がっ!」

 

 ピカッとエイジスの中央部が強く発光し、エクストリームの動きが止まる。その内に私はエイジスで殴り付けた後に、近くの岩へと蹴り飛ばす。岩にぶつかって止まったエクストリームは、少しふらつきながらも体勢を立て直した。

 

「今のは流石に効いたぜ……でもこれならどうだッ!」

 

 両腰から大きめのブレードを取り出し、そのままアテナへと突っ込んでくる。しかし来ることが分かっているなら、

 

「切り結ぶのみ!」

 

 エイジスを投げ付けると同時に右腰からGNブレードを引き抜いて、エクストリームとぶつかりあう。パワーならこっちだって負けない。けれども相手のブレードはとてつもなく重かった。それが相まってか、直ぐに弾かれてしまう。

 

「くっ!」

「まだ終わっちゃねぇぜ! ……これで決める! 極限全力ッ!! ラァァァイジングゥゥ!! バンッカァァァァァッ!!!」

 

 弾かれた直後には若干の硬直が残ってしまう。その間に迫り来る掌は、一直線にアテナの頭を掴もうとしていた。それを頭で理解し、早速行動に移す。

 

「避ける程度ならトランザムで十分!!」

 

 当たるかと思った瞬間にアテナは赤に染まりながら僅かに後ろへずれ、ライジング・バンカーとやらをなんとか躱しきる。これを躱されたことに相手も驚いたようで、慌てて操作しようとするも、

 

「これでも食らえッ!!」

 

 エクストリームへと真っ直ぐ向けられたGNソードⅢから、砲かと見間違う程の粒子の剣が伸びる。その瞬間、辺りが光に呑まれて目の前が眩しくなった。

 

 

 

《BATTLE END》

 

 

 

 無機質に鳴り響いた機械音声でふと我に返る。相手もまた、目をまんまるく開いてぱちくりさせていた。まるで「何が起こったのか分からない」と言いたげな感じのように見えた。

 私は軽く息を調える為に、息を短く吐いてからアテナを回収。その後、相手二人にお礼を言ってから立ち去ろうとすると……。

 

「ちょ、ちょっと待ってよ!」

 

 後ろから声を掛けられて、体がビクンと過剰に反応してしまう。ナンパされるのかと内心冷や冷やしながら振り向くと、対戦してくれた少年に質問された。

 

「あ、あのさ。さっきの光、何だったの?」

「えっ? ……えっと、その、トランザム時限定ですけど、GNソードⅢによる……ライザーソード? だそうです……」

 

 声音が段々小さくなっていく私を見て、少年は笑いながら手を振って誤解を解こうとしてきた。

 

「別にナンパとかはしないよ。……あっちは気を付けた方が良いかもだけど。聞きたかったのはそれだけなんだ、また何処かでな!」

「は、はい……」

 

 私は少年にそう言われて別れを告げゲーセンを後にする。一体何だったのだろうかと、自分で疑問に思ってしまう。本当に何だったんだろう。……あ、名前忘れちゃった。

 

「けどまぁ、いっか」

 

 また会った時に聞けば良いやと前向きに考え、私は改めて帰路に付いた。さて、明日の練習試合に備えなきゃ。……今日の晩御飯、何しよう?





劫夜君を書くのは久々ですが、上手い具合に書けましたかね? ……と尋ねるのも無粋なので独り言として処理しよう。

どうもカミツです。

今回は孤高のスナイパーさんとのコラボです。スナイパーさんとは先代からコラボしているので、先代のキャラが気になる方はそちらを見てみるのも良いでしょう。さて次回はユー君の言う通り練習試合。こっちは案外サクッと終わっちゃいそうだなぁ……。

まぁそんな事言ってられる暇もなくなるんですけどね(←今年から専門学校志望の受験生
ではまた次回、ノシ

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