CINDERELLA GIRLS×GRP TOKYO Highway XTREME RACER's M@STER   作:アマネモ

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前川みく1:ExCHANGE MY (working) CAR


(し、しまったにゃぁ・・・)

 

 前川みく。

 自らを「猫キャラアイドル」として売っている彼女は、プライベートでは一切「猫キャラ」では無い事で一部には有名だ。

 そしてまだ無名の時代に「首都高サーキット」で「猫キャラ」を走り屋達に広めていった事も、知る人は知っている事実だ。

 今、霞が関PAに現れた前川みくは私服姿で、眼鏡まで掛けている。

 「猫キャラアイドルみくにゃん」しか知らない人であれば、ちょっと似ているかもしれない別人とさえ判断するだろう姿だ。

 

(迂闊だったにゃ。

 よりによって猫耳はPチャンに預けちゃったし・・・)

 

 首都高は「仕事」と割り切っていたみくの愛車、FC3Sはド派手なエアロを纏い、真紅に染め上げられたC1アタッカー。とても今の格好で乗るクルマではない。

 救いとしては、普段PAに保管している為乗っている所を見られた訳では無いという事だ。

 

(みくのプライドとしてはこのまま乗り込むのはノー・グッド!

 だけどこのままだと家にも帰れないにゃ・・・)

 

「あらみくちゃん。

 ここで会うのは珍しいわね」

 

 

【挿絵表示】

 

 

 悩んでいるみくの後ろにやって来たのは奏だった。

 組み合わせとしてはかなり珍しい、と言うより普段や仕事を考えれば接点は無いに等しい。

 肩書は同じアイドルだとしても、片や猫キャラを前面に押し出して雛壇を賑わせるみくと、片や年不相応の雰囲気で人気上昇中の奏ではまず組み合わせる要素が無い。

 だが、そんな二人でさえ組み合わせる接点が発生するのが首都高なのだ。

 

「奏チャン!?

 どうしてって此処に?」

「今日の仕事、同じ現場の違う場所でやってたのよ」

「・・・あっ」

「レギュラー番組の収録後、そして土曜日の22時なら首都高に上がって来ると思ってね。

 でも・・・その気はもしかして無かったのかしら?」

 

 奏はみくに起こっている状態を察知し、尋ねる。

 

「せっかくのFC乗り同士だから、ちょっとデュエットしてみたかったんだけど・・・」

「奏チャンお願い!

 みくを寮まで乗せてほしいの!!」

 

 みくが住んでいる寮には木場PAが近い。此処からだとC1外回りから新環状右回りのルートだ。

 だが、より刺激的な提案が奏から挙がる。

 

「それならクルマ、交換して乗ってみる?」

「えっ!?」

「みくちゃんのクルマが此処に有るままじゃ、寮まで送ってハイさようならよ。

 どうせだから猫耳を付けて戻って来て欲しい、かな?」

 

 確かに、みくのFCは霞が関PA、今目の前にあるのだ。

 寮に帰ってしまえば取りに来る方法は奏にもう一度乗せて送って貰う事位だが、遠まわしに奏はそれを拒否している。

 

「でもみくのクルマだと奏チャンのキャラに合わないよ」

「あら。

 気にしてくれるのは有難いけど、私案外こういうのも好きよ?

 前から乗ってみたかった位には、ね?」

「えぇ・・・」

「それに、偶には仕事じゃない感じで、首都高(ココ)を走ってみるのもいいんじゃないかしら?」

 

 この一言で、みくの心は揺らいだ。

 

「む・・・ぅ。

 わかった、その誘い乗るにゃ。

 でもみくも奏チャンのクルマは運転した事ないよ?

 普通のFCと違うって聞いた事あるけど・・・」

「心配しないで大丈夫よ。

 このクルマ、私以外の人に乗られ馴れているから」

 

@

 

「RSバトルを選択。

 霞が関から木場までのC1外回り~新環状右回りをルート設定っと」

 

 みくのFCに乗り込んだ奏は、その場でコンソールの設定を済ますと内装を見回す。

 ・・・どうやら「仕事用」として造られているのはエクステリアだけの様だ。濃い目のスモークウインドーで隠された、みくのFCのインテリアはシンプル。

 

(堅実って言った方が正しいかしら。

 私のより軽量化しているし、ロールケージもしっかり入っていて・・・)

 

「あら、面白いモノ詰んでいるじゃない」

 

 奏が後ろを覗くと、そこにあったのは後部座席では無くN₂Oシステムだった。

 しかも2本。

 

(・・・使っても文句は無いでしょう・・・)

 

@

 

「所属なし、車種、FC3S。

 通り名は「チャーミングキス」・・・。

 まぁ奏チャンのクルマだから、表示されるのは奏チャンの通り名だよね」

 

 みくも奏のFCの運転席を調節し、奏が乗る自分のFCから送信されたバトルを確認する。

 

「ワンダラー「ロータリーロキャット」・・・。

 仕事じゃなきゃちょっと恥ずかしいにゃぁ・・・」

 

 受信したバトルに載っている自分の通り名を眺めるのを止め、視線を前方へ向けた。

 早々見る事の無い、バトルをする自分のクルマの後ろ姿がそこにはあった。

 

@

 

 PAを出て、いよいよバトルが始まる。

 カウントがGOを示すと、両者躊躇わずアクセルペダルを踏んだ。

 

「成程ッ・・・!」

 

 みく前ではカッコつけてみたが、奏もみくのFCを運転するのは初めての経験だ。

 その結果は、自分のFCが余程セオリーと違うチューンを施しているかを知る事となった。

 

(奏チャンのFC、凄く従順と言うか、FCっぽくないにゃ。

 なんていうか、良く爪を研がれた猫みたい)

 

 一方のみくも、自分のクルマと違う動きをする奏のFCに若干の戸惑いはあったものの、先程奏が言っていた事を理解した。

 

(「このクルマ、私以外の人に乗られ馴れているから」か・・・)

 

「でも奏チャン、みくのFCも結構乗れている・・・?」

 

@

 

「流石に「ロータリーロキャット」ね・・・!

 私のとは、勝手が、違う!」

 

 みくの想像とは違い、奏は結構ギリギリのところでみくのFCをコントロールしていた。

 しかし、初めてのクルマで慣れない挙動、更に得意でない場所でバトルと言う状況だが、その上で相手に「乗れている」とさえ思わせる奏のテクニックはかなりのものだ。

 

「・・・だいぶ慣れて来たわ」

 

 不適に笑った奏はステアリングに存在感を示すスイッチに手を伸ばす。

 N₂Oのスイッチだ。

 

「試しに一発・・・」

 

 一ツ橋、5号池袋線との合流で車線が広くなった地点で奏は一発目のN₂Oを使う。

 

 

【挿絵表示】

 

 

「来たッ!」

 

 みくのFCに搭載されているN₂Oシステム、亜酸化窒素ガスを直接インテークに噴射するドライショット方式はパワーアップの上限こそN₂Oシステムの中では低いものの、それでも5、60馬力がスイッチ一押しで追加される。

 

(確か以前みくちゃんが話してくれたこのFCの馬力は380位だったかしら。

 それに+50と考えて420オーバーは確実。

 内装から考えて私のより-40kgとすれば、一時的に私のマシンスペックを上回るのね・・・!)

 

 奏は追加された馬力に若干焦りながらもみくとのリードを広げる。

 

@

 

「に゛ゃっ!?」

 

 みくは突然加速した奏が操る自分のFCを見て察知した。

 

(奏チャンが”ナイトロ”を押したっ!)

 

 みくはアクセルペダルを踏みつけるが、奏のFCは自分のより明らかに加速が鈍い。

 

「加速じゃみくのFCに追い付けない・・・!

 ならコーナーでじわじわ詰め寄るよ!」

 

 神田橋を過ぎ、八重洲線分岐過ぎからの呉服橋に繋がる緩やかなバンク付きシケインはみくのオーバーテイクポイントだった。

 スピードを乗せたままクリアするだけで、このFCでも奏の横顔を睨む事が出来る自信がある。

 

「いけにゃあ!」

 

 八重洲線分岐前で奏が乗るFCからブレーキランプが点灯した。

 

@

 

「しまっ!?」

 

 自分としては普段より遅めのブレーキングだったが、乗っているのはみくのFCだ。

 

(もっとブレーキングポイントを遅く出来たのね)

 

 早かったレイトブレーキングによってコーナリングテンポが完全に狂ってしまった。

 そこを見逃さない相手である事は奏も十分理解している。

 

(ちょっとダーティだけど全力でブロックさせてもらうわ)

 

@

 

 奏の執拗なブロッキングにより呉服橋を通過した時点でも奏の横顔は拝めなかった。

 

(箱崎で前に出ないとそこからは奏チャンのフィールド・・・逃がさないよ!)

 

 江戸橋の新環状合流地点でみくは遂にテール・トゥ・ノーズに持ち込んだ。

 C1右回りとの合流で車線が広がる地点を見計らい、アウトから並ぶ。

 

(まずこの左コーナー!)

 

 箱崎にはPAがあるのだが、その入り口が特殊だ。

 なんと3車線の真ん中にあり、一時的に1車線が2本出来るのだ。

 その入り口の前は3車線の左コーナーになっており、広い道路幅から二股に分かれたどちらかの出口を選択する必要に迫られる為ちょっとしたカオスが発生する。

 

(目一杯アウトに振って最速でイン側を潜り抜けるにゃあ!!)

 

 ここでみくが選択したのはイン側のルートだった。

 どうやら両車線共にアザーカーは無しの様だ。

 1車線区間でアザーカーの尻に釘付けになる、最悪の敗北パターンは消滅した。

 

(奏チャンはインを回ってアウトへ行ったにゃ!)

 

 一つの車線の取り合いは流石に危険な為避ける事が出来たのは幸運。

 そして奏が向かった車線はこのコーナーをインから回った以上、みくより進入速度が遅い状態で抜ける事となる。更に合流が右コーナーである為、みくが言っている通りアウト側となる。

 

(このままインから前に出ればゴールまで押さえられる!

 このバトルもらったにゃ!!)

 

 みくは不覚にも、この時勝利を確信していた。

 奏が運転する自らのFCには、”一発逆転の裏ワザ”が搭載されている事も忘れて。

 

@

 

「・・・ここがいよいよ使い所ね」

 

 奏での右親指がN₂Oのスイッチに振れる。

 

(問題はタイミング。

 下手にコーナリング中に押してしまえばホイルスピンで制御不能。

 かといって出口で押しても私のFCにキスするだけ・・・!)

 

「ベストタイミングは・・・ここよっ!」

 

 

【挿絵表示】

 

 

@

 

(・・・しまった・・・ァ)

 

 両車線の合流で2台が並んだ瞬間、みくは思い出した。

 

(みくのFCには”ナイトロ”があったにゃぁ・・・。

 自分のクルマなのになんで忘れてたの!?)

 

 更に”みくのFC”は加速し、”みく”の前に出る。

 結局そのままの順位でゴール地点を過ぎ、みくは敗北する結果となった。

 

@

 

 木場の出口を過ぎ、みくが住む寮の駐車場に二人はクルマを停めた。

 時間は22時40分、寮の住人でクルマを持っている346のアイドルはほぼ出払った後の様だ。

 

「さ、着いたわよ。

 ありがとね、クルマ貸してくれて」

 

 奏はみくにキーを返すと、自分のFCを確認し始める。

 

「あ、今更だけどちょっと使っちゃったわ、あのN₂O。

 もしかしてダメだった?」

 

 奏が少し困った顔をしてみくに言って来た。

 N₂Oシステムの再充填はPAで無料で行えるものの、勝手に使用した事実は変わらない。

 

「・・・気にしなくていいよ」

「そう?」

「みくも、あの場面でナイトロの事、すっかり忘れちゃっていたから・・・」

「・・・」

 

 少しの間だが、二人の会話が途切れる。

 そして、みくは決意する。

 

「・・・猫耳付ければ忘れないよ!

 このクルマは、「猫キャラアイドルみくにゃん」のクルマだから・・・!」

「・・・ふふっ。

 ”クルマ付き合いは人それぞれだ。

 俺はそれに何も言う事は無い”

 うちのプロデューサーの言葉よ。」

「奏チャン・・・」

「ほら、夜は短いのだから、早く「みくにゃん」になって頂戴。

 私達のデュエット、始まったばかりでしょ?」

「・・・それもそうだねっ!

 取って来るにゃ!」

 

@

 

「これならこのクルマにも乗れるにゃ!」

 

 猫耳を付け、戻ってきた「みくにゃん」に奏が言う。

 

「あ、それとね」

「ん

 まだ何かあるの?」

「さっきの続きだけど、

 ”ただし、アイドルが故意にぶつけたりする様な運転をするのは俺は許さん”

 ってさ、当たり前よね?」

「いや、奏チャンそれ案外重要にゃ」

「そう?」

「みくの体験だけど・・・」

 

 そして二人はそれぞれ自分のクルマに乗り込み、首都高ヘ戻って行った。




Non chapter EPISODE complete

played result:SUCCESS!

「ストーリーリプレイ」が記録されました

NEXT…

@

「ストーリーモード」において、直接章の前後に関係していないエピソードは総じて「ノンチャプターエピソード」と呼ばれる。
「メインエピソード」をアンロックする為に、幾つかのノンチャプターエピソードをクリアする必要がある。
ノンチャプターエピソードはアイドルごとに用意されており、そのアイドルにとってのエピソードの順番はあるが、時系列上の順番はあまり関係が無い。

そんなノンチャプターエピソードの中でも、ほぼ最初にプレイする事になるのは前川みくの1つ目のエピソード「ExCHANGE MY (working) CAR」
プレイ内容はみくVS奏のFC同士のバトル。
操作はみく側だが、奏のFCをドライブする。
因みにプレイ出来るのは箱崎付近までであり、所謂「負けイベント」である。

「ストーリーリプレイ」では奏側のプレイが可能。
みくのFCに搭載されたN₂Oはプレイ中に2回まで噴射可能。

346プロダクション所属アイドル。
詳しい紹介は「キャラクター&マシン」で行う。

前川みく:仕事として首都高に来たがすっかりハマってしまった。愛車はFC3S。
     所属している部署は第2部署。

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