CINDERELLA GIRLS×GRP TOKYO Highway XTREME RACER's M@STER   作:アマネモ

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MOONSIDE AFTER 03:46

「缶コーヒーでいいわよね?」

「あ、奏サン・・・ありがとうございます!」

 

 缶コーヒーの蓋を開ける音が周囲のガヤの中に消える。

 

「んくっ・・・くっ・・・

 ・・・よしっ、オイル交換完了!」

 

 美世は、バトル後にFCから近場の台場PA:ピットエリアに誘われた。

 そこで顔合わせとなった訳だが、2名搭乗だと思っておらず少し驚いた。

 更に美世は、そのFCの同乗者である速水奏のファンだった。

 

 美世が相棒の隣に佇むFCを眺めていると、奏が話しかけてきた。

 

「どう?私のFCを見て」

「個人的にですけど、奏サンは湾岸走っているとは思っていたんですよ。

 FCか・・・、完璧・・・。

 これで湾岸を走ればそりゃ、「hotel moonside」に説得力が出ますよ」

「このクルマ、気に入ってくれたかしら?」

「久々にいいクルマに出会いました」

「ふふっ、ありがと」

 

 その話に今夜FCのドライバーだったプロデューサーが加わる。

 

「プロデューサーさんも運転、強いですね」

「まぁ、プロデュース相手の事は知っておきたいからな」

「あれ私の担当って・・・?」

「スカウトされて、正式に書類作ってから1度も事務所に来なきゃ普通はクビだぞ。

 アイドルはスカウトしたが、チューナーはスカウトしていない」

「あ、あはは・・・」

「だから、今日00:00からお前のプロデュース担当は俺だ。」

「・・・そうなんですか!

 よろしくお願いしまーすっ!」

 

 そうして原田美世の所属部署移転の話はあっさりと決まった。

 

「貴方がプロデューサーならアイドルも出来るかな?」

「ナンダそりゃ」

「クルマを速く走らせられるんなら私のアイドルプロデュースも出来るッ!」

「えらく自信満々だな。

 ・・・ひまし油と焼けた鉄のにおいが染み付いているツナギ姿が似合うアイドルか・・・」

 

 その話をプロデューサーの側で聞いていた奏はある疑問が沸く。

 

「でも、スカウトは彼じゃないわよね?」

「今さっきまで名前しか知らなかったからな」

 

 その疑問に美世は答える。

 

「ですね。

 まぁでもたいした問題じゃないでしょ」

「・・・そうかぁ?」

「そうね。

 彼が解っていないみたいだから自己紹介だけでもしておきましょうか」

 

@

 

「原田美世です!

 クルマ弄りとか大大大好きだけど、イロイロちゃんと女の子だよ!

 だから私をアイドルプロデュースするんなら、ちゃんとステアリング握っててね!」

「速水奏よ、一応あなたの先輩になるのかしら。

 この部署は先輩とか後輩とかは気にしない方針だから、仲良くしましょ」

「346プロダクション第13部署、担当プロデューサーの黄間長人(オウマ タケヒト)だ。

 改めてだが、これからよろしくな」

 

 三者三様の挨拶を済ませると、灯りがプロデューサーを照らす位置取りだった。

 

「よろしくお願いします!

 ・・・よく見るとけっこー好みの顔だな~、A70とかに合う顔だね」

 

 一応褒めていると受け取ったプロデューサーは驚きを隠して事実を伝える。

 

「ビンゴだ。

 俺は普段ナナマルに乗っているんだ」

「えっホント!?

 もしかして気が合っちゃう感じなの?運命的なヤツ?解体屋のS30?」

「俺は悪魔かよ!」

 

 そんなやり取りを見ていた奏はプロデューサーの腕に寄り添った。

 

「まぁ、かなり悪魔かもね。

 幼馴染の恋人をアイドルとしてプロデュースしているんだから・・・ね」

「お・・・おぉう。

 何時かのラジオで聞いていたけど、プロデューサーとだったんだ・・・」

「奪ってみる?」

「映画とかでありそうだけど性別逆転してますよねこの状態・・・。

 それにそういうのはまだいいって思っているから・・・」

 

@

 

「所属移転の書類とか書かなきゃいけないから、午前9時には事務所に来てくれ。

 住所はこれに書いてある」

 

 渡された地図を見て、美世は脳内で距離を計算する。

 

「んと、ちょっと距離あるかな。

 クルマで行けます?」

「ガレージ完備だ。

 機材もちょっとしたモンだが一式揃っている」

「・・・じゃそっちに移ろうかな・・・。

 寝泊まり出来ます?」

 

 プロデューサーは嫌な予感がしていた。

 現在担当しているアイドルと候補生にはある共通点があったからだ。

 

「・・・家はどうしているんだ?」

「実家が石川なんですけど、こっちに来た時にガレージしか借りませんでした!」

「で、そこでRと一緒に寝泊まりしていると」

「浮いたお金はガレージの維持費と首都高のキャッシュになりました」

 

 うなだれるプロデューサーに、奏はその肩に手を置くしか出来なかった。

 

「・・・また一人追加ね」

「あぁー、そうなるなー。

 まったく、俺の家は無料のホテルじゃねぇんだぞ・・・。

 いっそ宿泊料徴収してやろうか・・・?」

 

 その発言には美世も疑問を抱かざるを得ない。

 

「他にも居るんですか?」

「というよりこの部署に所属している全員ね。

 彼はホームレス女をプロデュースするのが趣味なの」

「他の部署から流れてきた奴が軒並み家無しなのは偶然じゃないな!?」

「なかなかアットホームな部署なんですね!

 決めましたっ、今からその事務所に移って良いですか?

 ガレージの荷物は追々搬入するんで!」

 

 少し考えて、結局プロデューサーが折れる形となった。

 

「・・・その方が良いな。

 今の時間だと丁度朝飯・・・か・・・」

「周子辺りは起きてそうだけど、ね。

 私、コンビニの弁当も好きよ。

 貴方と一緒なら・・・ね、ふふっ」

 

 そうと決まれば、と各々車に乗り込む。

 FCの運転席には奏が座った。

 

「じゃ、クルマについて来て」

「いいよーっ」

 

「ところで奏さんも家無しなんです?」

「私の住所、彼と同じよ」

「・・・あぁ!」

 

@

 

 346プロダクション第13部署事務所の朝は適度に早い。

 だが、起床の速さと朝食の用意は比例しない方程式が成り立っている様だ。

 

「ん~帰って来たね~」

「すんすん・・・そうみたいだねー」

 

 朝の情報番組のオープニングを其々ソファーに寝そべりながら見る少女が二人。

 片や京都の実家を追い出され、行く当てが無かった所をスカウトされたアイドル。

 片や海外の超有名大学を飛び級し、勝手に帰国してスカウトされたアイドル候補生。

 共通点は、家が無い事と、アイドルである事位だが、仲は良かった。

 名前は、前方に陣取る銀髪が京都から来た塩見周子。後方が帰国子女の一ノ瀬志希。

 

「すん・・・この匂いは初めてだにゃー。

 新しい娘?が来たみたい!」

「よく解るね~。

 しゅーこちゃん窓から確認しないと判んないよ~?」

 

 志希はその、犬より利く嗅覚をフルに使って来客を予測しようとする。

 が、難しかったようだ。

 

「・・・ナニこの匂い!?

 女の子の匂いじゃにゃいのにバッチリシッカリ女の子だー!?」

「判らないん?」

「にゃっはーっ!

 玄関を開けてるー、来るーっ!」

 

 その瞬間リビングのドアが開いた。

 

「おはよう志希、朝から元気ね」

 

 まず入って来たのは奏だった。手にはレジ袋を提げている。

 

「おはよ~ん。

 それが朝飯な~ん?」

「そうよ、周子が作らなかったからね」

「待ってたよん♪」

 

 志希は奏にすり寄ると、匂いを嗅ぎ始める。

 

「ふんふん、奏のクルマは調子良さそうだねっ。

 ペンシルバニアのいい匂いがする~」

「オイルの匂いなんて余り付きたくないわ」

「大丈夫大丈夫、ワタシにしか判んないよ。

 それよりもっ!」

「帰ったぞ~って、ぬぉっ!」

 

 志希は奏の後ろを確認、回り込むとプロデューサーと正面衝突をする。

 

「もふっ!・・・ん~いい匂いだにゃー。

 じゃにゃくてっ!」

「そうだ、新人が仲間入りする事になったんだがー・・・てドコ行った?」

「そうそれっ。

 気になる匂いの子っ」

 

 更に志希はプロデューサーの後ろを確認したが、いない。

 プロデューサーと奏は大体見当が付いていたが、彼女はまだ人間が出来ていた。

 

「おっ、遅れましたー!

 いやーこの人が「ちょっとしたモンが一式」なんて言っていたのに・・・て!?」

「にゃっはーっ!

 んーっ、新鮮なひまし油の匂いがするー」

「わーっ!

 ツナギに抱き付いたら汚れるよ!」

 

 結局、美世のツナギに抱き付いた志希を引き剥がすには二分の時間を要した。

 

「ふ~ん、貴女が新入りさんー?」

「名前は原田美世ですっ。

 塩見周子さんですよね?

 奏さんから聞いておきました」

「しゅーこでええよ~、そんなの堅苦しいん」

「で、そっちが一ノ瀬志希さん」

「こっちも志希でいいよ!

 これからよろしくっ!」

 

 挨拶を交わしていると、2階からもう一人現れる。

 

「フンフンフフ~ン、ん?」

「初めまして、宮本フレデリカさん!」

「ん!見た事ない人がいる!」

「原田美世です、これからよろしくお願いします!」

「んーおっけ~☆

 フレちゃんの事はフレちゃんでいいからね、しるぶぷれ~」

 

 美世が13部署の全員と面識を持ったところで、プロデューサーがこの場を締めた。

 

「よし、じゃあ朝飯にするぞ~」

「やった!」

「準備準備ーフンフフ~」

「ダチャーンも手伝って~ん」

「私ダチャーンですか!?」

「・・・ふふっ」

 

 これからこの事務所は、一層賑やかになるのだった。




START EPISODE complete

unlock:STORY MODE EPISODES

Welcome to this TOKYO highway xtreme racing idol`s story.

Enjoy!

「ストーリームービー」が記録されました

NEXT...

@

このムービーの後、「ストーリーモード」が本格的に開始される。
前作までは1日1キャラクターのストーリープレイだったが、今作では昼、夕・夜、朝の2ターンで各キャラクターのストーリーをプレイする。
「ストーリーモード」に明確な物語の順番は無いが、章で分けられている他に、ほぼ通常の首都高バトルである「クエストモード」では若干ネタバレが発生してしまう。

346プロダクション第13部署の担当Pと所属アイドル(候補生)
詳しい紹介は「キャラクター&マシン」で行う。

速水 奏:この部署のリーダー格。Pとは幼馴染で恋人同士。愛車はFC3S。
黄間長人:この部署のP。幼馴染をスカウトした罪深い男。愛車はA70 3.0L。
一ノ瀬志希:アヤシイ研究で前部署から追い出された。愛車はEVOⅣのクーペ。
塩見周子:寝床欲しさにこの部署に来た。首都高のライセンスは獲得している。
宮本フレデリカ:現実よりフランス語を喋る事になった。愛車はFD3S typeRS。
原田美世:首都高に入り浸っていた為前部署から追い出された。愛車はR33。

この作品ではPに名前が付く為、以降13部署のPは「黄間」「長人」と表記する。

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