CINDERELLA GIRLS×GRP TOKYO Highway XTREME RACER's M@STER   作:アマネモ

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※挿絵は後日追加します


Do you know venus ? 8

 急いだ先に有ったモノは、混沌(カオス)と言う言葉に相応しいモノであった。

 

「あ、リーダー」

「待っていましたよー」

 

 「高槻亭」神田橋PA店は、チーム「GALAXY RACERS」の面々と、346プロダクションのアイドル達が占めていた。しかも、かなり騒がしい状態だ。

 

「あれがソッチのリーダーさんかにゃ?」

「ですヨー」

「ん~なんかあんましリーダーぽくはないんね」

「言ってくれるぜ」

 

 元より首都高ランナーをメインの客層にしているだけに”一般客”と呼べる者は店内におらず、店員を含めてこの雰囲気は良しとしている。しかしそれにも限度があるのではないだろうか?

 

「よっ、現部長!」

「彼がそうなの?」

「あぁそうだ。「堅実な四代目」波島貞治。

 因みにだがヤツの実家が料亭でな、そこの四代目だからそんな通り名なんだぜ」

「てっきり時々部が消滅しているのかと思ったわ」

「おいおい・・・」

 

 奥の方には直接の先輩に当たる黄間長人先代副部長と、彼が担当しているのであろうアイドル、速水 奏、そして部の創始者たる秋原賢二が席を並べていた。

 

 そして。

 

「どうも、初めまして」

「ど、どうも」

「346プロダクション第2部署、プロデューサーの新猫 晴と申します」

 

 先輩方が陣取る更に奥、この店の最奥の席に彼等は居た。猫耳を付けた少女前川みくとサイバーチックな趣を漂わせる女性高峯のあの間に席を取り、黒のスーツを着こなし、黄間先輩とは違った雰囲気を持つ”アイドルプロデューサー”と言う言葉に相応しい男が立ち上がって、名刺を差し出してきた。

 

「えと・・・波島貞治です」

 

 思わず名乗って受け取ってしまう波島。

 受け取ってから、改めて当然の疑問を新猫にぶつける事となった。

 

「・・・何故僕に?」

「・・・まぁ成り行きみたいなものです」

「は、はぁ」

「ただ彼女がSNS等のネットワークに登録していなかったので、通学する学校内で最も交友の多い人物に第3者として立ち会ってもらう必要があったのですよ。

 今回この場で会えたのは正しく偶然です」

 

 新猫の視線が動き、波島もそれに釣られる。

 

「!

 ミナミ、カレがРуководитель группы・・・チームリーダーなのですね」

「えぇそうよ。

 私が通っている大学にある、首都高サークルのリーダーさん」

 

 白銀のショートヘアーに宝石という言葉が相応しい青色の瞳、それに合わせたかのような肌の色はまるで異世界の住人。そんな女性がロシア語を含めて会話する相手は新田美波だ。

 そのツーショットは、表現するなら”天使と女神”と言えるだろう。

 

「新田ちゃん・・・」

「もしかして私・・・チームを巻き込んじゃいました?」

 

 この場に居るメンバーは、偶然とは言え彼女が居なければただの首都高のライバルであったかもしれない。しかも美波は「GALAXY RACERS」の正規部員でさえないのだが、ここまで聞いた話の限りでは波島が入店するまでに彼女が”チームのメンバーに非常に近しい人物として”認知された様だ。

 

「いや、君にそう言われる程のモノじゃないよ。

 ウチのメンバーは基本的に騒がしいの大好きだし」

「そうですか・・・でも」

「とにかく君が責任とかそういうのを感じる必要は無いよ。

 ・・・ところで・・・」

 

 波島は己の背後に人の気配を察知した。

 人数は二人、男ではない。

 

「キミ達は何?」

「にゃはにゃは、マァマァお気になさらず」

「あえて言うなら言質取った、って感じかな?」

「言質・・・!?」

「まあ聞いてほしいん。

 シューコちゃん達はみくにゃん達のグループより後に来たんやけど、その時には既に話が決まっていてな」

「よーするにバトルしちゃうのだよ。

 私達346プロと、キミがリーダーシップを執るチームでね!」

 

 突然そんな事を言われれば、内容がどういうものであれどまず理解が追い付かない。

 

「・・・えぇ!?」

 

 波島がその発言を理解するまでにはたっぷり3秒を必要とした。

 

@

 

「チーム戦の時間だッ!」

「わーい!」

「まぁっていましたぁぁっ!」

 

 神田橋PAに場所を移した面々は、既にチームごとの陣営に別れて出走車両の準備に取りかかっていた。暇な面々は、早々チャンスの無いであろうアイドル達との交流を楽しんでいる。

 

「どうしてこうなったんだ・・・」

「いや、まぁな・・・はは・・・」

 

 波島と黄間は丁度各陣営の中間の場所で、各々の行動を見ながらその経緯に呆れていた。

 

「最初に入店したのが新田ちゃんで、そのほぼ直後にチームの面々が、波島が電話したのがここでこの後に2部署が入ってきた。秋原先輩が入った時には結構険悪なムードだったらしくて、そこに俺らが入ったら・・・なんだな」

「もういいですよ。

 なってしまった以上は、全力でやります。

 ところで・・・」

「ん?」

 

 波島は話題を変える事にした。主に、後方の騒音(エンジン音)に対しての話である。

 

「秋原社長はどうしたんですか?

 エンジン温めていますけど・・・」

 

 そう、どちらのチームでもない秋原賢二が、自慢の愛車であるJZA80RZの暖気を行っているのだ。正確には暖気は既に終えており、今行っているのは徐々に集まりつつあるギャラリーへのパフォーマンスだ。

 

「社長はウチの美世とタイマンだとよ。

 チューナー同士気が合ったんだろうさ」

「あの女の人・・・33Rなんですね」

「スペック的には社長といい勝負のハズだぜ」

 

 美世もBCNR33のエンジン暖気に余念がない。

 BCNR33とJZA80RZ、共に直列6気筒ツインターボエンジンを搭載する同時期のライバル同士。そんな因果を持つ2台がバトルを行うというのならギャラリーが集まる理由としては十二分であろう。

 

@

 

「むむむっ、こっちのチーム戦がメインのハズなのにこのままだと前座扱いにゃ!」

「じゃあこっちもナニかパフォーマンスして盛り上げちゃうかにゃ~?」

「志希チャングッドアイディア」

「で何するん?」

「「「あ・・・・・・」」」

 

@

 

「なんというか・・・ごめんなさいね、完全に巻き込んじゃったカタチで」

「いえ、全然。

 いいですよ、私も賑やかなのは好きですから」

「かなで~と美波サン?」

 

 賑やか組を一歩置いた距離から眺めていた奏と美波の元にやってきたのは加蓮だった。この間のバトルでは最後まで美波と走り、デバイス上ではあるが会話したこともある加蓮だが、先のファミレスでは事情が重なって対面とは至っていなかった。

 因みに奏と美波はこれが初対面であるが、あまりにもそのツーショットが自然としている。

 

「美波サンとはこれで2度目かな?1度目はナビ越しだったけれど。

 あの時の、憶えています?」

「最後まで残っていた人ですよね?ZZT231の」

「そうですそれでーす!

 あの時言い忘れちゃったけど私、北条加蓮て言いますんで!

 ヨロシクね美波サン!」

「よろしくお願いしますね、加蓮・・・」

「ちゃんでいいですよ~、私美波サンより年下だから。

 それと奏も私の1コ上だから美波サンより年下だね」

「えぇっ!?そうだったんですか・・・!」

「私のコト、オトナとして見てくれるのね。

 ・・・なんてね?」

 

 加蓮との自己紹介や(美波にとっては)衝撃の事実の暴露が行われているところに、1台のクルマが爆音を掻き鳴らして近付いて来た。色は薄めの水色、リトラクタブルのヘッドライトは所謂”半目”になっており、かなり攻撃的な印象を漂わせている。更に車が近付くとそのシルエットはRPS13系統と判別出来る程鮮明になった。そしてドライバーは左側、つまり左ハンドル車のRPS13と言う事は

 

「トゥーフォーティエスエックス!」

 

 240SX。

 それを駆る者は「GALAXY RACERS」には居ない。

 そして、346プロダクションには一人だけ居る。240SXを愛車とするのは白銀のショートヘアーに青色の瞳を持ち、異世界から迷い込んだ”天使”とも表現出来る様な少女。

 

「アーニャちゃんのクルマだったんだ・・・!」

「そうです、ミナミ。

 これが私のпартнер・・・相棒です!」

 

 3人の目の前でアナスタシアが左側にある運転席から降り、美波と視線を交わす。そう、美波は「GALAXY RACERS」側の5thドライバーとして346即興チームの5thドライバーとなったアナスタシアとバトルするのだ。

 

「あの時、ミナミに助けて貰った事、ミナミのクルマのместо пассажира・・・助手席に座らせてくれた事、とってもカンシャしています。

 そして私、着くときにチョットだけ思ってしまいました。「終わってほしくない」って。

 私、ミナミのドライブ、もっと見てみたい、です。

 あの時の走り、今度は私とのсоревнование・・・勝負で見せてください!」

「・・・実は私、アーニャちゃんとバトルするって決まって胸が躍ったの。

 バトル出来る事が嬉しいと思っている私なんて、普段の自分が見たらなんて思うか・・・。でもこのキモチは間違いなく本物で、もう抑え込まないって決めたから。

 いいわよ、アーニャちゃん、見せてあげる!」

「ミナミ・・・!」

 

「(すっかり二人の空間だね~)」

「(これじゃ、私達に出る幕は無いわね)」

 

 青白い”オーラ”の様なモノが見えそうな程静かにも燃え上っている二人から加蓮と奏は離れる事しか出来なかった。あの空間、触れれば間違いなく火傷してしまう。

 

@

 

 いよいよ準備が整った神田橋PAは、既に今回のチーム戦を観る為にギャラリーで埋め尽くされている。

 

「流石にヒトが多いねー!」

「まぁ私達候補生って言ってもアイドルやし、大学チームとバトるっていうなら集まるんでしょ」

「そういうモノなのかねー」

「目の前の光景を見る限りどうやらそうなんねー」

 

 志希と周子の視線の先に居るギャラリーは正に大勢。GRPによって整備される前では完全にパンク状態に陥ったであろう程の人数が集まったのだ。

 

「じゃあ「346プロダクション即席チーム」vs「GALAXY RACERS」、各代表前へ!」

 

 5台づつ2列、向かい合ってマシンが並ぶ光景はギャラリーを沸かせるには良いパフォーマンスだ。そして愛車の前に立っていた各々が奈緒と凛のコールによって歩み寄り、握手を交わす。

 

「1stドライバー!」

 

「ロータリーロキャット」前川みくFC3S

 vs

「永遠のエクラノプラン」馬平秀平(マダイラ シュウヘイ)GC35

 

「よろしくにゃ!」

「みくにゃんと握手できるなんて俺走り屋やってて良かったよ・・・!」

 

「2ndドライバー!」

 

「グレー・フォックス」塩見周子Z31ZX

 vs

「ライディングビリー」東供有人(ヒガシトモ アリヒト)SW20GT

 

「よろしく」

「こちらこそ」

 

「3rdドライバー!」

 

「ROSESareBLUE」北条加蓮ZZT231

 vs

「福部長瓦田」瓦田道人A187A

 

「この間のイベント行きましたよ!」

「あっそうなんだ!じゃあ私とは2度目って事!?」

 

「4thドライバー!」

 

「No.A」高峯のあcobra'64R

 vs

「堅実な4代目」波島貞治Z31ZR

 

「よろしくお願いします」

「・・・いい走りを・・・」

 

「5thドライバー!」

 

「ライカ・ナスターシャ」アナスタシア240SX

 vs

「レディアント・ヴィーナス」新田美波SA22C

 

「よろしくねアーニャちゃん!」

「ハイ!」

 

「そしてエキストラバトルの二人!」

 

「レッドシャイン」原田美世BCNR33

 vs

「新環状の大御所」萩原賢二JZA80RZ

 

「オウマから話は聞いているぜ、期待しているよ!」

「こちらこそ、全力でやらせていただきます!」

 

 全員の紹介と握手が終わり、1stドライバーを務める2台がPAの出口へ向かってゆく。346はみくの派手な赤いFC3S、「GALAXY RACERS」の馬平も派手さでは負けない緑のC35だ。




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「ストーリームービー」が記録されました

NEXT…

@


「ストーリーモード」第1章最後のメインエピソード

「Do you know venus ?」

このムービーの後、5対5のチーム戦となる。
次話でも説明するが、バトル形式はSPバトルであり、1stドライバーが決着すると2ndドライバーが神田橋PAを出てバトル開始、2ndドライバーが決着するとetc...という進行である。

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