CINDERELLA GIRLS×GRP TOKYO Highway XTREME RACER's M@STER 作:アマネモ
「主人公役が」
「まだ決まって」
「いない・・・のですか?」
「はい・・・」
後日、「女神症候群-ヴィーナスシンドローム-」の製作陣営によって招集された3人のプロデューサー、黄間長人、弐内雄輔、そして北条真理乃は、衝撃の事実を言い渡された。
―――主人公役が決まっていない―――
「トライアドプリムスの3人は続投、但し敵側のエース部隊」
「速水、塩見、宮本もトライアドプリムスとは別の敵陣営エース」
「一ノ瀬は流浪の天才科学者、主要勢力から追われていて主人公に助けられる」
「原田は主人公が所属する事になる勢力のチーフメカニック」
「作中でのヒロインは第2部署のアナスタシアさんですか」
「主人公の上司になるのはあの高垣 楓・・・」
「他の敵陣営役には4部署や9部署も採用されている、橘、神崎、二宮か。
10部署からは鷺澤も採用決定、と・・・」
其々が確認していくが、確かに3人が担当しているアイドル達は配役が決まってしまっていた。346が制作する映像作品は、アイドルに合ったキャラクター作りで演技を自然にさせる事が売りの一つ、決定した配役からずらす行為は、モロに作品へ影響が出てしまう。
「100人以上アイドルが所属していると言うのに・・・」
「キャラクターの設定変更は可能なのでしょうか?」
「脚本とストーリーが粗方出来上がっておりまして、今からキャラクターを変えると言うのも難しい話です・・・。何しろ主人公ですから・・・」
「それもそうだな・・・そうだよなぁ・・・」
346直属とはいえ、アニメの制作陣もまた作品に対する熱意がある。たとえ100人以上アイドルが所属していようと、キャラクターに合わなければ配役欄は埋まらない。
となれば、やる事は決まってくる。
「と、言う事は・・・」
「スカウト・・・でしょうか?」
「だな」
―――近年のアイドル業界においては、プロデューサーが直々に街へ出てコレと思った人をスカウトするのが常識となっていた。これは、”伝説のアイドル「日高 舞」”がプロデューサーによるスカウトで芸能界入りを果たした事に由来する―――
しかし、集まっていた3人はスカウトが苦手だった。
「俺はどっちかっていうと他部署からの拾い物ばっかりで」
「俺は入って早々奈緒のプロデュースが始まったわけだし、加蓮は確かにスカウトだけどさ・・・あれは特殊と言うかナ・・・」
「それは奏も同じだ。他にもいたっけな・・・諸星ンとこのとか」
「私は・・・一応経験はあるのですが・・・」
「スカウト中警察に3度も捕まる人じゃあちょっと、なぁ・・・」
「「「う~~~ん」」」
@
346のプロデューサー3人が頭を悩ませているその頃。
「それで、首都高は楽しめる様になったと」
「チームに入れない事は謝ります」
「その必要は無いよ。
この学校、自動車部(ウチら)じゃなくてもライセンスを持っている奴は、何人もいるからね」
「し、知りませんでした・・・」
美波は自動車サークルの部長、「堅実な4代目」波島と談笑していた。
午前中に今日の講義は終わっており、そしてラクロスサークルは休みである。
「それに、アイドルに逢えたんでしょ?やっぱり美波ちゃんには素質があるんだよ」
「そう・・・なんでしょうか?」
「だから、ウチのチームの事は大丈夫だよ!
むしろそうだね、こんな美人に心配されたらお釣りが来ちゃうね!」
「あ、あはは・・・」
波島は談笑しながらも、自らの愛車、Z31ZRを整備し続けていた。
オーバーレブからは立ち直ったものの、どうにも調子が完全に回復したワケではないらしい。
「よし、今夜はこれで行こうじゃないの」
「サークルの方、頑張ってくださいね。
では私、そろそろ失礼しますね?」
「おうよ!」
@
「困ったものですね・・・主人公が決まっていないとは・・・」
346プロダクション第2部署、通称「バステト・プロジェクト」事務所では、担当プロデューサーである神猫 晴(シンビョウ ハレル)もアニメの件で困っていた。
「みくなんて直談判した末にバッサリ落とされたにゃあ・・・当たり障りのない役を作って貰えたからマシかもしれにゃいけど」
「・・・みくの行動力には呆れる・・・私には出来ないわ・・・」
「のあにゃんは敵幹部の役貰っていたからいいでしょ。
はぁ~、アーニャチャンが羨ましいにゃあ~」
事務所で猫の様に丸くなっていた前川みくと高峯のあも、このアニメに参加する。そして、彼女達のユニット「にゃんにゃんにゃん」を構成するもう一人のアイドル、アナスタシアに至ってはメインヒロインの座を獲得しているのだ。
「しかし主人公が決まっていないとなると、アナスタシアにも負担が掛かる可能性がありますね・・・。初のメインヒロインですし、気心の知れた相手であると尚良いのですが・・・」
「そういえばアーニャチャン何処行ったの?」
「今日は撮影の仕事・・・」
「場所は・・・○○スタジオって書いてあるにゃ、銀座PAのすぐ近く」
「時間的にはそろそろね」
みくが起き上がって時計とスケジュールを見てみると、確かにアナスタシアの仕事が始まる時間帯だった。因みにだがアナスタシアの240SXは事務所の駐車場に確認できる。
「最近はアレで現場へ行く時が多かったから忘れていたにゃ」
「まぁでもあのクルマは過激に過ぎますからね」
「・・・でも大丈夫かしら・・・彼女、公共交通機関は得意じゃないわ」
「そうだっけ?」
@
「ニ、ニェーット・・・」
ここは外苑PA。だがここにアナスタシアは居た。
乗り過ごした。よりにもよってこんな時にやらかしてしまうとは痛恨極まりない。
(自分で運転して向かえば良かった・・・!)
次のバスで向かっていては、撮影の時間には間に合わない。
「Мертвая батарея・・・電池切れで端末が・・・」
更に、そこへ端末の電池切れというおまけ付きだ。これでは連絡も入れられない!
「”ドタキャン”は絶対にダメ・・・でもっ」
しかしこの状況では既に万事休すか、アナスタシアの脳内がマイナスのイメージで埋め尽くされようとしていた。顔を下げ、瞳には涙が貯まり始める。
だが、その時。
「あの、どうかされましたか?」
アナスタシアの目の前には、女神が現れた。
@
―――天使が泣いている―――
そんな表現が似合うような光景に、美波は足を止めてなどいられなかった。
考えるより先に目の前の少女に声を掛けていた。白銀の髪の毛、それに見合う透き通った白い肌、美波にはそれが現実とは思えなかった。
「も、もしかして外国の方ですか?
English? French? Spanish?」
「アー、私、とりあえず日本人です。そんなに焦らないでクダサイ」
「え、えぇ!?」
なんと天使は自らを日本人と言った。
美波の脳内は益々混沌としていくが、先に困っていたのは間違いなく向こうだ。
「それより、何か困り事があるんですよね?
私が解決出来ればお手伝いしますよ」
「Ты по-настоящему・・・アー、本当、ですか?」
(ロシア語・・・!)
「銀座PAの近くにある、○○ストジオまで送ってくれますか?」
「銀座・・・分かったわ、お姉さんに任せて!」
外苑→銀座か、美波は彼女を愛車のSA22C、その助手席に乗せながらルートを整理する。
(撮影の開始時間は14:40と言った、今は31分・・・間に合わせるわよ、美波!)
イグニッションキーを捻り、エンジンに火が入る。
「念のためだけどシートベルトはキツくしておいて頂戴」
「ダー。
あっ、そういえば・・・」
「ん、何かしら?」
助手席の天使はバックルに手を当てながら、美波に問うた。
「私、アナスタシアと言います・・・Как Вас зовут?」
「えっ、あっ」
「――アナタの、名前は?――」
・・・今度はロシア語も学んでおこうかな。
そう思いながら、美波は名乗った。
「美波、私の名前は新田美波(ニッタ ミナミ)。
短い間だけどよろしくね、アナスタシアちゃん」
「・・・アーニャ」
「えっ・・・」
「アーニャ、と呼んでクダサイ」
「そう、分かったわ。
じゃあ行くわよ、アーニャちゃん!」
「ダー!!!」
Main EPISODE story movie
「ストーリームービー」が記録されました
NEXT…
@
「ストーリーモード」第1章最後のメインエピソード
「Do you know venus ?」
運命的な出会いを果たす事になったアナスタシアと美波。
このムービーの後、アナスタシアの仕事に間に合わせるべく外苑PAから銀座PAまでのタイムアタックとなる。
第2部署のPがストーリーではここで登場する。名前は神猫 晴(シンビョウ ハレル)