CINDERELLA GIRLS×GRP TOKYO Highway XTREME RACER's M@STER 作:アマネモ
「えぇ!?
私が、アイドルに・・・!?」
「なれる素質はあると思うね。
美波ちゃん、輝いているからサ・・・。
実際うちのチームじゃ、もうアイドルみたいなものだからね」
「で、でも・・・」
「もう一度、首都高でアイドルに出会ってみるのはどうかな。
多分だけど、美波ちゃんは遇えると思うんだ・・・」
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(波長が同じ・・・とでも言いたいのかしら・・・)
今、美波が立ち寄った霞が関PAに居たのは紛れもなくアイドル・・・と思われる4人だった。
「どぉだったーシューコちゃんの走りは~?」
「イイよ~」
「うんうん」
「私としてはもうちょい抑えてほしいんだけどねー」
(あの雰囲気・・・確かに他とは違うけれど・・・本当にアイドルなの・・・?)
美波はまだ、リーダーの発言を信じ切れていなかった。
自分がアイドルになれる・・・。
「じゃ出ますか!」
「今度は何処まで~?」
「アッチまでだにゃ~」
「それじゃ解らないよー」
そうこうしていると、4人はそれぞれのマシンに乗り込んで霞が関PAを出る準備に入った。
「・・・追いかけてみましょうか」
美波もイグニッションキーを握りなおし、愛車であるSA22Cへ向かった。
「・・・にゃ~・・・」
「ドしたの志希ちゃん、早く行こうよ~」
「にゃはにゃはおっけ~おっけ~」
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「・・・寄りたい処があるって言っていたけれど、秋原さんのところじゃない」
「まぁな」
仕事を終えた奏とプロデューサー、黄間長人は「秋原スピードファクトリー」と言う看板が掲げられたガレージに立ち寄っていた。首都高に「A.S.F」というチームを持つこのショップは、ここ数年で頭角を上げてきた新興だ。メンバーには「GALAXY RACERS」出身が多く在籍し、社長である「新環状の大御所」は何を隠そう「GALAXY RACERS」の初代リーダーでもある。
「よぉ!どおしたよオウマ~?」
「どうもっす、秋原先輩」
「こんばんは、社長さん」
「お、コッチは「チャーミングキス」ちゃんじゃねぇか~」
そして長人は「GALAXY RACERS」のOBであり、秋原から見れば後輩である。
奏にとっては愛車を見て貰っているショップであり、秋原はチーフメカニックと言ってもいい。
「あっちでナナマルの整備は終わってあるからなぁ、取っていけよ~?」
「有難うございます!」
「そっちのFCは調子良さそうだな」
「ふふ、おかげさまでね」
「さてはこれからバトルでもするのか~?
”どっち”でだかぁは知らねぇけれどよぉ~~~?」
「ど、どっちでって!?」
先輩からの強襲に思わず長人はたじろぎ、あからさまな焦りを見せてしまった。
「私はどっちでもいいのよ?
アナタ、私のコトを満たしてくれるものね・・・ふふっ」
「かっ、かなっ、かなぁ~~~~~っ」
「ふふっ、セミのシーズンはもう過ぎているわ?」
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「・・・後ろから1台来たね。車種は何なんかな?」
「あれはSA22Cだね。
・・・もしかして凛ちゃんが言っていたクルマかな?」
志希とフレデリカを追う形でPAを出たZ31ZXを駆る周子と美世は、いち早くSA22Cの存在に気が付けた。夜中バックミラー越しのライトから車種を言い当てる美世は流石だ。
「そういえば来ていたね~、そんな話していたんだ」
「トライアドプリムスが3台で挑んで辛勝した相手なら・・・来たッ」
<バトル受信いたしましたにゃっは~っ!>
<フレちゃんの方にも来たよ!
これって3対1になるのかな?>
志希とフレデリカにも、後方のSA22Cからバトルが送信された様だ。
3対1のSPバトルという条件は、メンテナンス中に凛から聞いた話とほぼ同じ。
「確かめさせて頂戴・・・!」
美波はそう呟きながら、左手をシフトレバーに添える。今は3速、スタートと同時に2速へギヤを落として加速する準備が完了した。
カウントがGOを表示する。バトルスタート、その合図だ。
「いくわよっ、美波!」
美波は極めて準備通りに、カウントが終了した瞬間ギヤを2速へ落とした。そこから8500rpmまでロスなく回るロータリーエンジンは、ロケットとも言うべき加速で周子のZ31とフレデリカのFDをいとも簡単に追い抜いてゆく。
「速っ!文句なしの速さってところだね~」
「まだ慣らしだから全力に出来ないけれど、間違いなくこのZ31より加速は良いね」
「流石にいきなり壊したくも無いからね、ゆる~くいくよん」
あまりにも無抵抗に後方に下がった周子と美世だが、あくまでも今回がこのクルマにとって慣らしの段階であると言う事を美世が周子に言い聞かせていたのが要因だった。幾ら状態が良くても、中古のオンボロがいきなりバトルスピードに耐えられるという事は、ない。
「は~やいっ。流石にフレちゃんのFDだとアレは追えるかな?追えないよね!」
SA22Cの次の次の代であるFD3Sに乗るフレデリカであったが、生憎彼女のマシンは外観こそ
それらしくしているがエンジンは純正そのもの、310ps出れば十二分といった代物である。
美波のSA22Cとはチューニングの段階が違うのだ。
「ぅんにゃっはーっ!!
良いねソノ匂いッ、車内からでもハッキリと判るキミの匂いだっ」
必然的に、このバトルは志希と美波の一騎打ちの様相を呈する事となった。
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「こんに時間に・・・はい、もしもし、お疲れ様です・・・」
長人の端末に通信が入った。どうやら346プロダクションから直々の連絡らしい。
「・・・本当ですかっ!有難うございます!・・・ええ!」
「仕事、決まったみたいだなァ、嬢ちゃんよ?」
「そう、みたいね。今度は何かしら・・・?」
通信が終わった長人は、奏に笑顔を見せて振り返った。
「奏、13部署全員での仕事が決まったぞ!」
「そう・・・!
・・・それってもしかして、アニメのお話?」
「そうだ、今度の346が制作するアニメへの出演が決まったんだ。
さっそく周子達にも連絡を」
「待って、まだよ」
登録していた番号から、周子へ連絡を入れようと画面をタッチしていた長人を奏は静止した。
「何故?」
「恐らくね・・・」
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(巧い・・・今までとは全然違う!)
SPが50%を切ってもなお、美波は志希の前に出られずにいた。
後ろにはZ31が少し距離を開けて追ってきているが、すでにZ31のSPは尽きている。恐らくこのバトルの行く末が見たいだけだろう。
(この間の3人も確かに速くて、そして強かった・・・。
でも前のエボは違う・・・マシンそのものの出来もいいのね)
「でもっ」
「おっ来た来た―――ッ!」
志希がアザーカーを避ける時、わずか一瞬の隙を美波は捉えた。空間にマシンを滑り込ませる。
「並んだ!」
「加速はどっちだっ」
志希のEVOⅣが搭載する2L直列4気筒ターボと美波のSA22Cに搭載された1.3L REターボ、共に加速性能には自信があるエンジン同士の加速勝負。
制したのは美波のロータリーだった。
「けっこー自信あったんだけどにゃ!」
「前には出られた・・・ここからよ、ミナミ!」
美波は前に出られたものの、すぐ後ろに志希のEVOⅣが迫る。ミラー越しにハイビームが右へ左へ、この間AW11にやった事を今度は自分がされる形となった。
「やるわね・・・でも、簡単には抜かせないよ!」
美波は、この状況を楽しむ自分に気付いていた。学校で授業をフイにしてまで悩んでいたのがウソの様に、この状況を楽しむ事に素直になっていた。
(今度は右から、でもアザーカーが居るから・・・!)
相手はまだ8割以上SPを残している。こっちは4割と言ったところか。
アザーカーに沿う様に相手の走行ラインを潰し、一旦引き離すことに成功した。
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「やるね、前のSA」
「志希ちゃんは・・・まだやる気あるね」
すこし後方から絶賛観戦中の周子と美世は志希を心配していた。
が、どうやら杞憂に終わりそうだ。
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「にゃは―――ッ!
志希チャン楽しいよ、こんなにイイ匂いの相手はそう居ないって!自信あるね!」
志希にとって、前を走るSA22C―を運転する美波―の”匂い”は自らを満足させるのに十分以上だったらしく、何時もより数段ハイになっている彼女の運転は更に冴えわたる。
「そりゃっ!」
「ほっ!」
「にゃ~~~~~~~~~~」
ほんの数台アザーカーを捌いただけで美波との距離を帳消しにし、さらに並びかかる。この先のコーナーで志希はイン側のラインを取った。
(アウトにはアザーカーまでっ)
美波は志希の後ろに付かざるを得ない。最小限の減速でEVOⅣのリアバンパーに擦る様に後ろへ付き、トレイン状態でコーナーをクリアする。そこから並び直して再度加速勝負。
「今度はそうウマく行くの、かにゃ?」
志希はここで攻めた。エンジンへの高負荷を顧みない、レッドゾーンを超えたミッション固定。
普段より500、いや300回転多くエンジンを回せられればいい。その時は来る、確実に。
(・・・ッッ!)
その意図を理解した美波だったが、”ソレ”をやれるほど自分の心は屈強ではないし、第一、REと言うエンジンにはその戦法は危険過ぎる。堪らずギヤを上げれば、志希のEVOⅣが前に出た。
そして美波のSPは遂に底をつき、勝敗は決した―――――
@
「にゃはにゃは。
今回はちゃんとカオ、見せてくれるんだねぇ~。
志希ちゃんの人徳カナ?」
「志希ちゃんに人徳があるんならこの世は聖人だらけやん?
いや~にしても、こんなべっぴんさんが運転していたんだねー」
「フレちゃんよりフランス語話せそうだね!」
「いえ、そ、そんなことはありませんよ・・・?」
バトルが決着し、美波はEVOⅣとZ31に挟まれる形でPAに連れて来られる事となった。そしてそのPAには、黄色のFD3Sとそのドライバーであろう金髪の女性が先回りしていた。
「ふぃー。
とりあえずエンジンに問題は無さそうだね」
「キミの日頃の整備のオカゲ♪」
「ホント、無茶な事したもんだよ。確かにこのエンジンは鋳鉄ブロックだし、結構ムリは出来る。
でもオーバーレブを意図的にやって、シフトポイントを相手からズラすなんてさ・・・。
壊れても私は直さないからね?これっきりにしてよ?」
「ダイジョウブダイジョウブ、美世チャンご存知の通りなら志希ちゃんは学習する子だからね!」
「ホントにこれっきりにしてよ!?」
先程までバトルしていたEVOⅣのドライバーと、Z31の助手席から現れては真っ先にEVOⅣのエンジンフードを開けた女性が話し合っているのを見ていた美波に、今度はZ31のドライバーである銀髪の女性が話しかけてきた。
「ねぇべっぴんさん?
あたし塩見周子っていうんやけど、どこかの事務所に所属していたりするん?」
事務所に、所属?突然の事に美波は戸惑った。
「え!?い、いえ、私はまだそういうのじゃ」
「ふーん・・・、てっきりどっかのアイドル事務所にでも入っていると思っていたけど違うんか~。
まぁあたし達も研究生だから、正式にデビューしている訳じゃないけどね」
「そ、そうなんですか・・・」
「いやー本当にこんなべっぴん・・・ちょい失礼、もしもし?しゅーこだよ~」
話の途中で女性には通信が入ったらしいので、美波は金髪の女性に声を掛けた。
「ん!?」
「私、用事を思い出してしまいましたので、帰ってもよろしいでしょうか?」
「あ、良いとは思うよー?
シューコちゃんにはフレちゃんから言っておくから、うん、もう帰っちゃっていーよ」
「では今夜は失礼しますね」
そして帰ろうとSA22Cへ足を向けた瞬間、女性から引き留められた。
「ちょい待って、ナマエ!聞いていない!」
「え・・・あっ、私はミナミと言います」
「おっけ♪、あたし宮本フレデリカ、フレちゃんって呼んでよ!」
「そ、そうですか、それでは」
「オーレヴォアー!(Au revoir:さようなら)」
「ホント!?うん、おけ、わかった~ん、じゃ」
美波がPAから姿を消して数秒後、周子は通信を終えた。
掛けてきた相手は奏だった。
「あの人帰っちゃったん?」
「うん。なんか名前はミナミって言っていたよ」
「ミナミね・・・。
ねぇそれよりもさ、あたしたちの仕事が決まったよ!」
「マジ!?」
「にゃ!!!」
「おぉ―――っ」
「ほれこれ、「女神症候群-ヴィーナスシンドローム-」ってSFアニメらしいんよ」
周子は端末の画面を他の面々に見せた。送られてきた情報にはアニメのタイトルと、各々の配役が記されていた。どうやら第13部署から主人公は選ばれなかったらしい。
「じゃあ主人公役って誰なのかな?」
Main EPISODE:Do you know venus ? 4
played result:SUCCESS!
「ストーリーリプレイ」が記録されました
NEXT…
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「ストーリーモード」第1章最後のメインエピソード
「Do you know venus ?」
最初に周子のZ31、フレデリカのFD、志希のEVOⅣASTIのどれかを操作して霞が関PAまで向かう。特に失敗するような要素は無い。
そしてまた3対1・・・と見せかけて志希vs美波のSPバトル。
(奏の「恐らくね・・・」まではムービー)
志希を操作してこのバトルに勝利するのがクリア条件となる。
志希のEVOⅣASTIはマシンバランスが良好である為、かなり素直に操作に応えてくれる。そして今回、AT操作の場合には美波のSPが残り2%を切るとレブ上限が+400rpm増える様に設定されている。MTではオーバーレブ時のエンジンへの負担が通常より若干軽減されている。
「ストーリーリプレイ」では美波側でのプレイが可能。ただし勝つ事は出来ない。
(志希の「にゃは―――ッ!」からはムービーとなる)