CINDERELLA GIRLS×GRP TOKYO Highway XTREME RACER's M@STER 作:アマネモ
北池袋PAで美世と志希は奏と合流し、第7部署を目指している。
そして、その後方にはあのデルソルも付いて来ていた。
<あれだよー>
美世と奏のコンソールに志希からメッセージが入ると、あまり目立たなそうな建物が3人の目前に現れた。
<駐車場はこっちだにゃ~>
池袋線を降りて、更に少し走った所に346プロダクションの第8部署は存在していた。
「にゃっはー久しぶりーっ」
「着いたわね」
「・・・デルソルのドライバーは出ないつもりかな?」
駐車スペースを4台が占めた。
3人は各々クルマから降りたが、デルソルのドアは開く気配さえない。
「おっと、今夜は人が多いぞ?
それに、見ない顔が居るな」
「「!!」」
そこへ一人、少女がドコからともなく現れた。あまりに突然だった為、美世と奏は露骨に驚く事となった。
「しかし、どうやら私には顧客として来たワケでは無いらしいな。FCの方は兎も角、そっちのR33は明らかに機械としてのクルマの範疇を逸脱している・・・他人の手が入る余地は無いな」
そして白衣を着こなしたその少女は、美世と奏のクルマをその場で分析した。
ただ眺めただけとも言える程の時間で、それも、かなり的確な分析だった。
「あっアキハちゃーん!おひさー」
「アキハ!?」
「彼女が?」
「あ・・・自己紹介がまだだったか、つい、クセが出てしまったな」
志希が彼女をアキハと呼んだ事で、2人はようやく彼女がお目当ての人物であると納得した。
「私は池袋晶葉。
この部署に所属するアイドル候補生だが、研究として首都高レースのクルマを造っている者だ」
@
「志希は知っているが、君達の事はよく知らないな。
情報として速水 奏の事は頭に入っているが、そちらのR33のドライバーは全くの初見だ」
晶葉は自らの”研究所”に3人を連れる最中、紹介を求めてきた。
ちなみに志希は、事務所の方へ行ってしまったらしい。
「第13部署の速水 奏。
まぁ、私はデビュー済みだから貴女の様な人なら認知済みという訳ね」
「同じく13部署、原田美世です。
私のRは誉めてくれた、と受け取って良いのかな?
(なんか・・・どっかで見たコトあるんだよな、この人・・・)」
「構わんよ。
言葉の受け取り方は人次第だからな。」
「・・・あのデルソルは、晶葉サンの製作だと私は考えたんですが」
美世の質問に晶葉は頷いた。
「ああそうだ。
尤も、前例を模倣しただけでは結果なぞたかが知れているがな。
アレの目的はむしろ、ドライバーの方に重きを置いていて・・・着いたぞ。
此処が私のラボラトリーだ」
晶葉に連れられ、着いた先にあった”研究所”は中々の規模を持っていた。
それこそ、表の事務所は仮の姿、とでも言えそうな位の規模だ。
「ククク・・・闇に飲まれよ!」
すると4人の目の前に突然、銀の髪を持ち、漆黒の装束を纏った少女が声高に参上した。
「・・・我の名は神崎蘭子。
偶像集いし美麗なる城よりその身を離し、Neuntensを掲げる処にその翼を預けている。
そして、天(アマツ)に築かれしMETROPOLIS HIGHWAYにおいての我は
「ダイ=アモン・ド・ルキフェル」を真名としている。
先刻貴女達と狂乱の宴を共にしたのは他ならぬ我そのものよ・・・。
<<私、神崎蘭子っていいます。
346プロダクションの第9部署所属です。
そして首都高では「ダイ=アモン・ド・ルキフェル」と名乗っています。
先程貴女達とバトルしたのは確かに私ですよっ>>」
蘭子の自己紹介は独特・・・というより特殊だった。
だが、それは周知の事実であった。
(・・・やっぱり解るのが逆にクるわね、私には)
(にゃはーっ!
ホンモノの蘭子ちゃんだ、すごぉーい。
この距離からでもイイ匂いが漂って来るゥ!)
(確かに、蘭子ちゃんならあのマシンを造る為の資金は用意出来るな・・・。
テレビで見た事はあったけど、本当にゲームのセリフみたいな話し方をするんだ・・・あれは”ラグーン語”だったっけ?)
神崎蘭子は現在、346プロダクションの主力とも言える程の人気を持つアイドルである。
その影響力は、彼女の代名詞「闇に飲まれよ」に代表される独特かつ特殊な言い回しを”翻訳”した「蘭(子)學事始」なる本が売上100万部を記録してなおその数字を増やし続けているのが良い例であろう。
「蘭子、一体何処から先回りした?
この間のは封鎖した筈だが・・・」
「このアタシが居るってのに、あれ以上秘密通路が増えないって考えたのはおバカだったわね!
アァーハッハッハァ!」
「ピィッ!?」
すると蘭子の背後から高笑いと共に少女がもう一人現れ、蘭子はその身を「ビクンッ!」という擬音が付きそうな程仰け反って驚いた。
「アンタ達も!
このレイナ様に出会った限り、タダで帰れるとは思わない事ね!」
「ああっ!!
もしかしてっ、「エクスキューションライダー」の!?」
「!!
・・・ふふんっ」
美世の反応に自らを「レイナ様」と名乗った少女は興が乗って来た様だ。
「このレイナ様を知っているなら、アンタも「Full BOKKO」へ入団する事を勧m」
「ぽちっと」
「!!!!」
その瞬間、「レイナ様」は下へとその姿を消した。
要するに落ちたのである。足元に用意されていた落とし穴に。
「蘭子を落とすのはマズイからな。
手動制御にしておいた私はエライぞ」
「夜に突然足元が無くなったら怖すぎるわよっ博士ッ!!」
「真のワルを目指している奴がこの程度で怖がってどうする?」
「悪の帝王でも怖い事位あるわッ!!!」
「私が自分のラボの現在の状態も判らないと思っていたのが運の尽きだったな。
他の所のはセンサー式だから、精々落ちぬ事だな」
「えぇ分かったわ!
分かったから、蘭子も博士もさっさと出しなさいよ!!」
「ひっ、ひゃい!」
@
「美世・・・いったいどういう状態なの?」
少なくとも、奏は完全にこの場で状況から取り残されていた。
何かわかっているらしい美世に訊いてみる。
「えと・・・。
さっき落とし穴に落ちたのは多分、小関麗奈って名前の子。
私が見ているドラマに「エクスキューションライダー」って役名で出演しているの。」
すると美世は少し申し訳なさそうな表情になった。
「で晶葉サン・・・はそのドラマで「池袋博士」って名前だったな。
なんか見た事あると思っていたんだけどすっかり忘れちゃっていたよ。
あれはなんだっけ・・・「MAD COP/28」は早苗さんのだし・・・」
「もしかして・・・「レーシングナイトRX」?」
「それだ!
そーいえばあれって製作346プロだったな~って、今更だね」
「にゃはにゃは。
あの子たちも変わって無くて安心安心」
いつの間にか隣に志希が戻っていたが、二人はあまり気にしなかった。
志希の行動に逐一疑問を持っていては身が持たない。
「で、晶葉ちゃんと麗奈ちゃんがココに居るってコトは、光ちゃんも居るって事だよね?」
「「え?」」
「その通りだッ!」
「「「!!!」」」
志希がその名を口にした瞬間、研究所の奥から叫び声と共にクルマのライトが光る。
「<<ヒカル、変身するのですか?>>」
「ああ!」
姿を現したそれはリトラクタブルヘッドライトを持ち、低いボンネットの真ん中では赤いラインが点滅していた。
「私はレーシングナイト・・・」
「<<Mode Change -RACING KNIGHT- >>」
「アァールッ、エーッックス!!!!」
Main EPISODE story movie
「ストーリームービー」が記録されました
NEXT…
@
「ストーリーモード」第1章中盤のメインエピソード
「She met a ...」
この回のストーリームービーでは多くのキャラクターが初登場となる。
前回登場したデルソルを運転していたのは神崎蘭子。
そのデルソル含め、346のアイドルのクルマを弄っている池袋晶葉。
晶葉と同じ部署に所属し、ドラマで共演する悪役の小関麗奈。
そしてドラマ、プライベート共に麗奈の宿敵(友)である南条 光。
特に蘭子と晶葉は重要なキャラクターであり、後々まで登場する。
会話で登場したドラマ「レーシングナイトRX」と「MAD COP/28」は共に346プロダクションが製作しており、どちらも人気からシリーズ化している。
「レーシングナイトRX」は光と麗奈が主役のアクション特撮。
「MAD COP/28」は片桐早苗が主役の刑事アクションとなっている。
「蘭(子)學事始」は元々ゲーム内のオリジナルだったが、ゲームが完成する前に全く同じ名前で出版され、同じような売り上げを記録している。因みに現在では英語、ロシア語、中国語、ポルトガル語に翻訳された外国版も存在し、世界累計で400万部を突破した。
更にドイツ語とイタリア語翻訳版が新たに製作されている。
実は、このエピソードを含め第1章は製作された時点でノンチャプターエピソードと区別されていなかった(というよりノンチャプターからメインになったエピソード達である)為、エピソード間の時系列的繋がりが他より薄くなっている。