CINDERELLA GIRLS×GRP TOKYO Highway XTREME RACER's M@STER   作:アマネモ

14 / 36
Main EPISODE story movie now loading...


A NEW GENERATION'S 12:02

 京橋PAに卯月のST202、凛のHCR32、そして未央のEK9Rが入って来た。

 そして3台は横一列に駐車し、3人が今夜初めて顔を合わせた。

【挿絵表示】

 

 

「・・・」

「・・・」

「・・・」

 

 少し沈黙。

 空気が重い。

 

「本当にり、凛「未央・・・」ちゃんと未「えへへ・・・おまたせ!」央ちゃん!?」

 

 沈黙を破ろうと、今度は全員が同じタイミングで口を開けてしまった。

 

「あ、あれ?」

「卯月・・・ふふっ」

「ちょっ、しまむー・・・」

「だって!

 もしかしたら同姓同名の別人かもってーッ」

「落ち着きなよしまむー。

 それとも?しぶりんとバトってなんか不満だった?」

 

 未央の言葉に卯月は少し考えたが、躊躇いは無かった。

 

「ううん。

 不満どころかすっごく楽しかったです!

 まるでダンスみたいに前後が入れ替わったり並んでコーナーを駆け抜けたりして、このまま終わりたくない、ずっと凛ちゃんと走っていたいって想う位に・・・!」

 

 未央は卯月のそれを聞いて、凛にも感想を聞きたくなった

 

「ふむふむ・・・。

 だそうですぞ、しぶりんっ。

 どうだった?しまむーと走ってさ?」

 

 凛も、今回のバトルに語る事は少なくなかった。

 

「卯月と同じ、かな。

 楽しかったよ、首都高を走って今夜が一番って位にはね」

 

 一度振り返り、未央と卯月に背を向ける。

 その芝居がかった動作は、頭上の街路灯の灯りと相まってとてもキマっている。

 

「・・・そう、一番。

 今まで、首都高(ココ)は独りで走っていたんだ。

 誘ってきた奴は、皆ヤメちゃってさ・・・。

 独りで走るのも悪くは感じていなかったけど、今夜、卯月と走ってしまった。

 あんなに楽しいバトルを経験したら、もう、戻れないかもね・・・!」

 

 気が付くと凛の右手を卯月が握っていた。

 凛が振り返ると、卯月の顔が近かった。

 

「うづき・・・!?」

「おんなじですね、私と凛ちゃん」

「え、それって、どういう」

「私も、最初は友達に誘われたんです。

 それでライセンスを取って、チームみたいなのまで作ってやっていたけど・・・。

 気が付いたら、みんな居なくなっちゃってた。

 今でも友達だけど、憶てないって・・・」

「卯月・・・」

「よーするに「コインの表と裏」ってやつなのかな?

 しまむーとしぶりんは、さ」

 

 今まで二人を見て十分満足した未央が会話に加わる。

 

「実は実は未央ちゃんもそうなんだよねー。

 「クラスメートに誘われたけど気が付いたら残っていたのは自分だけ」

 ってやつ。

 ホントこんなに楽しいモノが分からないとは、寂しい人達を学友に持ったわけですなー」

「いや、これは楽しく感じる方が少ないと思うけど・・・」

「今はN-D-V(ノン・ドライバー・ビークル)だったっけ?

 自動車が「自分で運転する物」だったなんて、私首都高に来るまで知らなかったもん」

 

 未央は若干強めに二人の肩を掴んだ。

 

「じゃっ、コレを楽しめる者達同士、仲良くしようじゃありませんか?」

「それ以前に私達、アイドルで同じユニットでしょ?」

「そういえばはそこも一緒ですね♪」

「どう?再結成しちゃう?」

「そう言えば・・・何か仲悪そうな感じになっちゃっていたんだね、私達」

「でも、もうそんな感じなんてありませんねっ」

「あぁ~良かったぁーーーー!」

 

 未央は分かり易く肩を撫で下ろし、まるで今まで呼吸をしていなかったかの様な深呼吸をした。

 

「ちょっと本来の計画と違うけど、また3人でやれそうで良かったよー」

「今度は3人で走ろうね、凛ちゃん、未央ちゃん!」

「そうだね、しまむー!

 しぶりんもいいよね?」

「まぁ、バトルの邪魔にならなければ、悪くないかな?」

「あれはしぶりんがアウトにラインを取り過ぎたんだと思うけどなー?

 それに、複数で走るのが即バトルになるのはあれですぞ?」

「むぅ・・・」

「あーでもほんっと良かった良かった・・・。

 ・・・ちょっとお花摘みに行って来るけど、ついでに飲み物でも買って来るよ」

「言ってる暇あったら行って来なよ、ほら120円」

「私の分もお願いしますね、はいっ」

「おけおけ~」

 

@

 

「ふぃー危ないトコだった~。

 いくら緊張が解けたからってイキナリ来るのはーって」

 

 未央はPAにやって来た1台のクルマに憶えがあった。

 

「あのR33って・・・ダチャーン!?

 あれ、今日は走らないって言っていたハズ・・・」

 

 次に未央がしていた表情は、イタズラを思いついた少年の顔だった。

 

@

 

「んー、どうやら仲直り成功って感じだね♪」

「ハイ!

 美世さんが言っていた通りでした!」

「で、渋谷 凛さんだよね?」

「凛でいいよ」

「じゃ凛ちゃんて呼ぶね。私は原田美世。

 で、早速だけどアレでしょ、黒のHCR32。

 凛ちゃんの愛車と睨んだんだけど・・・!?」

 

 卯月と凛に合流した美世は凛のR32を指差し、その隣に未央のEK9Rを確認した。

 

(やば・・・未央ちゃん近くに居るの・・・!)

 

「うん、正解。

 会って20秒も経っていないのになんで判ったの?」

「だって卯月ちゃんと未央ちゃんがアレに乗るとは到底思えないもの。

 それに、雰囲気って言うか佇まいっていうのが同じだったからねっ。

 いやー、いいクルマだよーアレ。

 なんで未央ちゃん教えてくれなかったんだろう。

 32乗りが居るって教えてくれたらマッハで探し当ててたのにー」

 

 凛は卯月に耳打ちする。

 

「(なんというか、凄いねこの人)」

「(実は私もよく知らないんですけど、凄いのは事実です。

  一応346のアイドルだそうで・・・)」

「(ふーん・・・)」

 

 凛が美世を見ていると、後ろから未央が迫っていた。

 口に人差し指を当て、「しーっ」というジェスチャーをしながら、だ。

 だが、凛はそういう事に察せても、卯月がそうとは限らない。

 

「あ、未央ちゃ」

「えっ!?」

「っえぃやぁ!」

 

 焦った未央は美世にアタックし、両手で目を覆った。

 

「わわっ!?」

「このーっ、ダチャーン!

 「んー今日は後2人予約があるからダメかな。」

 って言っていたのは何処のどいつだーッ!!」

「ご、ごめんなさーい。

 謝るから放してぇ!」

 

 未央はすっかりギブアップした美世を離し、つい先程思いついた「妙案」を提示した。

 

「よし!

 じゃあダチャーンは今から私達「ニュージェネ」とSPバトルしよう!」

「まさか・・・3対1で!?」

「その通り!

 ルートはここからC1外回りでね♪」

 

 それを傍から聞いていた凛が口を挿む。

 

「え、ちょっと聞いてないんだけど」

「ん?

 いいじゃん首都高で私達3人のチーム新しく作ろうよ。

 ユニットと同じ「ニュージェネレーションズ」でさ!」

 

 困惑する凛の隣で、卯月は未央に同調した。

 

「わぁそれイイですね!

 凄く面白くなりそうです!

 どう、凛ちゃん?

 首都高(ココ)でも3人で活動出来るなんて、私、凄く素敵だと思うんだけど?」

「いや、ダメとは言っていないし。

 でもチームの申請って今夜はもう・・・」

「良いの良いのそんな固いことはさ!

 まずは結成前祝いにダチャーンを生贄にするって感じで」

「生贄とは失礼な!

 わかった!

 受けて立ってやろうじゃあないの!!!」

(え!?あんな煽りでイイの?)

(4人で走れるなんて、私、頑張らなくちゃ!)

 

@

 

「・・・てね」

「原田さん、この度は有り難う御座いました。」

 

 数日後、13部署のガレージで美世は12部署のプロデューサー、弐内のクルマを任されていた。

【挿絵表示】

 

 

「一度、キチンと礼を言っておきたかったのですが、時間の調整が難しく遅れてしまいました。」

「いやいや、そんなお礼されるような事はしてないよ。

 それに!

 私としてはコイツを整備してくれと言われたのが、何よりのご褒美だね!」

 

 弐内のクルマは凛の32、美世の33のベースモデルに続く、ER34のセダンモデルだった。

 美世の中では特に力が入る車種の一つである。

 

「ところで、原田さん」

「ん、何でしょか?」

「先程の話の通りでしたら、あの後3人と勝負をしたという事ですが・・・」

「ええ、まあ、やりましたよ」

「どのような結果になったのか、少し関心がありまして」

「いや、別、そんな語る様な・・・あ!

 そういえば、今日3人はどうしているの?」

「え、あ、今日の今の時間では、チームの申請に出掛けている筈です」

 

@

 

「えへへ、お待たせ!」

「遅いよ、未央」

「これで揃いましたね♪」

 

 首都高でのチームを申請する為、建物を移動していると未央が懐かしさを覚えていた。

 

「何かこれ思い出すなー」

「ん?

 なにを?」

「ほら、ユニットの名前決めた時さ、こんな感じだったかなーって」

「そうだっけ?」

「しぶりん「プリンセス・ブルー」って付けようとしたんだよねー」

「そういう未央は「フライドチキン」でしょ」

「あれ?

 じゃあ「ニュージェネレーションズ」て誰が付けたんでしたっけ?」

 

 卯月の素朴な疑問は、凛と未央を閉口させるのには十分だった。

 

「そういえば・・・」

「だれだっけ・・・」

 

「「「うーん・・・」」」

 

「今更いいか!」

「まあ、私達が気に入っている訳だし、気にする必要は無いんじゃないかな?」

「それもそうですね!」

 

 「チーム課」と名が付けられた場所が見えてきた。

 

「あ、でも名前同じままだとややこしくなっちゃうかも」

「じゃあちょっと付け足そうか」

「いいよいいよー。

 じゃ提案、クルマを英語にして「AUTOMOBILE」のAを付ける!」

「じゃあ私は名前ごと英字化するかな」

「なら私はちょっとカッコつけて最後を「’S」にする」

「ええと「A NEW GENERATION`S」ね・・・。

 それっぽくていいじゃん!」

「あ、見えてきましたよー」

 

 3人は「チーム課」と付けられた部屋に入っていった。

 

@

 

「フライドチキン・・・」

「プリンセス・ブルー・・・」

 

「あ、あの!」

「ん?何、卯月?」

「3人で単語を出して、それをくっ付けてみませんか?

 私は3人のユニットなので複数形の「ズ」を付けたいんだけど」

「お、しまむーナイス!

 じゃ私新しいの「ニュー」!」

「なら私は・・・「ジェネレーション」、世代って意味」

 

「ニュー・・・」

「ジェネレーション・・・」

「ズ・・・」

 

「「「新世代達・・・!」」」

 

「これスッゴクかっこいいよ!」

「うん、悪くないね」

「この名前なら頑張れそうです!」

「しまむーグッジョブ!」

「えへへ・・・ブイ!」




Main EPISODE complete

「ストーリームービー」が記録されました

NEXT…

@

「ストーリーモード」第1章前半のメインエピソード

「A NEW GENERATION'S」

このムービーでエピソード終了となる。
ムービーの最後は卯月、凛、未央3人の首都高チーム「A NEW GENERATION'S」の結成と、回想でアイドルユニット「ニュージェネレーションズ」の結成が映される。

このエピソード以降、3人はチームとして首都高で活動する。
ほぼ通常の首都高バトルである「クエストモード」では第2章からチームとしての彼女達とバトルが可能になる。
(これが実は厄介で、凛がワンダラーである為「クエストモード」を完全クリアする為には第1章時点の、ワンダラーである凛を倒さなくてはならない。)
チームを結成する際、3人のプロフィールが通り名を含めて一新される。
(旧プロフィールも保存はされる)
卯月は所属なしの「スマイルイング」から「SmileING・pink」、
凛はワンダラー「アイオライト・ブルー」から「IOLITE・BLUE」、
未央は所属なしの「オレンジスター」から「#STER・ORANGE」に通り名が変わる。
(未央の「#STER・ORANGE」だが、本来は「3STER・ORANGE」の予定だったが打ち間違えたのを未央が逆に気に入ったという裏話がある。)

@

「ノン・ドライバー・ビークル」通称N-D-Vは、この世界では2000年に雛型が完成し、2004年から一般に販売されている「完全自動運転自動車」の事。
政府が普及を支持・支援した事で、販売開始から5年を待たずして旧来の「自分で運転する自動車」から一般公道での役割を勝ち取った。
(旧来の自動車は
 「自動車運転文化の存続、及び後世へのモータースポーツの継承」
 を提唱する「GRP A1project」によって、活躍の場を「C1GP」や「首都高サーキット」に移す事となった。)
現在では卯月の台詞にもある通り、自動車が「自分で運転する物」だった事を知らない世代も増えてきている。
もしくは、「C1GP」に代表される「レース用のクルマ」と言う人もいるかもしれない。

これ以上の詳しい説明は「用語集」で行う。

@

02/02、挿絵と「N-D-V」の説明を追加。

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。