CINDERELLA GIRLS×GRP TOKYO Highway XTREME RACER's M@STER   作:アマネモ

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A NEW GENERATION'S 24:01

「本田さん、新しい部署とプロジェクトが完成しました」

「お!」

「部署番号は12、名前は「シンデレラ・プロジェクト」です」

「ふっふっふ・・・遂に始まるのですな?

 この本田未央のシンデレラストーリーが・・・!

 でもその部署って私だけ?」

「・・・これから集めていく中で、本田さんが一人目の決定となりました」

「やっぱそうだよね。

 「一人目」と「一人だけ」なら、私は一人目の方が断然好きだからね」

「そうですか」

「早く他のメンバーの顔を拝ませてよっ、プロデューサー!」

「・・・善処します」

 

@

 

「卯月ちゃん、これ・・・」

「あ、先生どうしたんですか・・・って、えぇ!?」

「貴女、遂に受かったわよ!」

「本当、ですね・・・!」

「やったわね!」

「は、はい!

 島村卯月、これからも頑張ります!」

 

「卯月ちゃんのシンデレラストーリーも、これから始まるのね・・・」

 

@

 

「せめて、名刺だけでも・・・」

「ハァ・・・、アンタも懲りないね、いい加減にさ。

 このままじゃ、また警察に連れてかれるよ」

「・・・」

 

「いいよ、やってあげる、アンタには負けたよ」

「本当、ですか?」

「そうじゃなかったら言わないよ。

 アンタが私のプロデューサーなら、まぁ、悪くないかなって」

 

@

 

(後ろから1台来た・・・)

 

 無事にC1外回りに合流した卯月は、後方から迫るクルマを察知した。

 まだよく見えないが、比較的シャープなフォルムをしている。

 

(なんだろう、この感じ・・・)

 

 速度差はあるが、何故か、譲りたくなかった。

 更に近付いてくるとようやくクルマの判別がついた。

 黒いHCR32だ。

 

「本当に、凛ちゃん、なの・・・?」

 

 その時、向こうからSPバトルを受信した。

 画面に映されていた”通り名”は、ワンダラー「アイオライト・ブルー」。

 

「ドライバー、渋谷、凛・・・!」

 

@

【挿絵表示】

 

 

「車種、ST202。

 ネーム「スマイルイング」。

 ドライバー、島村卯月・・・!?」

 

 受信した前のクルマの車両データを、凛はもう一度確認していた。

 

(そういえば、未央が言っていたっけ。

 卯月も此処を走っているって・・・)

 

 だが、バトルを下げる気は起きなかった。

 むしろ、より一層目の前のクルマ、卯月と勝負がしたくなっていた。

 

「・・・」

 

 カウントダウンが始まる。

 だが、GO二文字までの5カウントさえ今の凛にはもどかしく感じた。

 

(卯月は・・・私と走りたいの・・・?)

 

 逸る気持ちを抑えられない。

 残りカウント1でさえ凛にとっては永遠に感じた。

 戦闘態勢、既に完了済。

 

(答えてよ・・・!!)

 

 遂に、カウントがGOを示した。

 

@

 

「ん・・・何だろ!?」

 

 有明から湾岸を東に爆走していた未央は、体験した事の無い何かを感じ取っていた。

 

(今のはなんかあるな~。

 もしかしてっ、しまむーとしぶりんがどっかでバトっちゃってたりする!?!?)

 

 未央にとっては単なる想像の一つ。

 それもどちらかと言うと、”IF”に位置付けされる様な”願望”とも言える考え。

 だが時として、まるで予知した様に実際に起こっている事もある。

 

(無いって言えないよね・・・。

 むしろダチャーン的には逢う方が確率高そうに言っていたし・・・)

 

「こうしちゃいられないっ!」

 

 未央は愛機のEK9を加速させ、深川線を上ってゆく。

 

@

 

「初めましてっ!

 島村卯月です。よろしくお願いしますっ!!」

「おー!

 遂に来たよメンバー二号が!

 私、本田未央っていうんだ!

 待ってたんだよー!」

「ひゃっ、はっ、はいぃ~」

「名前、シマムラ ウヅキだっけ?

 ”しまむー”って呼んでいい?」

「はい、いいですよ」

「これからよろしくね、しまむー!」

「よろしくお願いしますね、未央ちゃん!」

 

@

 

(互角・・・)

 

 凛と卯月のバトルは拮抗していた。

 短期戦になり易い筈のSP(スピリットポイント)バトルだが、時にRS(ロードスプリント)バトルより遥かに長期戦になる場合もある。

 そして、このバトルは必要条件を十分に満たしていた。

 

(マシンスペックは間違い無くこっちが上だけど、卯月の方が加速が鋭い!)

 

 北の丸トンネルの出口でふらついた卯月の隙を見逃さない凛だったが、素早くリカバリーされ逆に加速するスペースを失い若干後退、SPを消費する。

 

(インを閉めれば何とか凛ちゃんを抑えられたけど、この先は厳しいかな?)

 

 神田橋前で前後が入れ替わるが、凛のクルマは卯月の予想より離れない。

 

「卯月っ」

 

 C1という首都高の中でもテクニカルなコースは、マシンスペックをある程度まで補える。

 更に凛のHCR32はFR(後輪駆動)のターボエンジン。

 卯月のST202はFF(前輪駆動)のノンターボエンジンと、クルマの特性がまるで異なる。

 特性が違えば走り方もまた違う。最適な走行ラインは幾度もクロスする。

 

「凛ちゃん・・・!」

 

 呉服橋に向けての緩いシケインでポジションが綺麗に3度も入れ替わった。

 この攻防で壁等への接触でSPを消費し、残りは両者とも50%を下回っている。

 

(この感じ、今までで初めて・・・!)

 

(まるで凛ちゃんとダンスでもしているみたい・・・!)

 

 2台が火花を散らし、全力で首都高を駆ける様は美しい。

 だが、その美しさは勝負と言うより、円舞の美しさだ。

 あれ程合わなかった二人の息は、今、この瞬間にピタリとリンクした。

 

(楽しい・・・。

 卯月と走っていると、もしかしたら、何処までも行けるかもしれない。

 ・・・だからっ)

 

 凛が江戸橋で卯月の前に出る。

 間髪入れず卯月が後ろに付き、ブレーキポイントを遅らせ刺し返す。

 

 旧江戸橋JCT、新環状左回りと合流する角度の深い右コーナーが迫る。

 両者のSPは既に点滅しており、僅かである事を知らせている。

 

(凛ちゃん、勝負だよ!!)

 

(卯月、私は負けない!!)

 

 卯月がインから、凛が並んでアウトからコーナーへ侵入する。

 きっちり減速し、タイヤのグリップを生かして曲がる卯月はアウトへラインを描く。

 それを予感していた凛はクラッチを”蹴り”、ドリフトに持ち込んでインへ動く。

 

 

【挿絵表示】

 

 

((・・・・・・!!!))

 

 アウトから”く”の字にコーナーを攻略した卯月と、合流で増える車線にクルマを振った凛は再度ラインをクロスさせる。

 

(あっちまで行ったらブロック出来ない・・・!)

 

 卯月は敗北を覚悟したが、悔しさはなかった。

 だが、凛が加速体制に入ろうとしたその瞬間、”最後の主演”が合流した。

 

@

 

「渋谷 凛、15歳です。

 ・・・よろしく」

「島村卯月っていいます。

 よろしくね、凛ちゃん」

「私、本田未央っていうの!

 これからよろしくっ、しぶりん!」

「え、あ、・・・うん」

 

「これでやっとアイドル活動が出来るーっ!」

「そうみたいだね。

 ところで未央、わたしたちのユニット名って何?」

「そう言えば・・・決めてませんでしたね」

「じゃあ、決めますか!」

 

@

 

「C1合流って、うぉッ!?」

 

 未央の視点から状況を説明すれば

 「C1外回りに合流した瞬間、猛烈な勢いで黒いクルマが自分目掛けて突っ込んで来た」

 という事になる。

 未央は頭で考えるより先にブレーキを踏み、ステアリングをしっかり握って左へ回した。

 

(しまッ!!!)

 

 凛はライン上のクルマを避けようとする焦りから、インド人を右への勢いでステアリング操作をしてしまった。マシンはトラクションを失い失速、SPが消費し尽された。

 

 

【挿絵表示】

 

 

 凛のHCR32が前にも左にも居ない事に卯月が気付いたのは、画面に《you win》の文字と、電子音声の乾いた一言が車内に響いてからだった。




Main EPISODE:A NEW GENERATION'S 24:01

played result:SUCCESS!

「ストーリーリプレイ」が記録されました

NEXT…

@

「ストーリーモード」第1章前半のメインエピソード

「A NEW GENERATION'S」

メインイベントは卯月VS凛のC1外回りバトル。
卯月か凛のどちらかを選択し、バトルに勝利するのが目標である。
(小説内では卯月側を採用している)
難易度はまだ低めだが、マシンスペックがほぼ互角の為必然的に長期戦となる。
(最低でも谷町から江戸橋まで。)
SPバトルに慣れていないと少し厳しいかもしれない。

因みに、相手を壁やアザーカーに故意に押し当てるという首都高バトルシリーズ禁断の裏ワザを行うとバトルに勝っても失敗(FAILURE)扱いとなるので御注意を。

「ストーリーリプレイ」では逆側でのプレイが可能。

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