CINDERELLA GIRLS×GRP TOKYO Highway XTREME RACER's M@STER 作:アマネモ
「・・・」
更衣室には別にドアがあり、そこから外の廊下に出られる。
卯月が部屋を出て行く音がしても尚、弐内はそのドアを眺めていた。
弐内にはそのドアが、まるで彼女達との距離を意味している様に感じたのだった。
@
「・・・予想以上に私って仕事が速いのかな・・・?」
美世は本日最後の客を見送ると暇になってしまった。
時計は21時32分、行けば程良く首都高が始まる時間帯だ。
「未央ちゃんに出くわさないよーに、なんて」
美世はキーを指先で器用に回しながら、相棒のR33の下へ。
「あれ、今日はもしかして私だけ?
ま、いっか」
他の面子の具合を確認しつつ、美世はR33のエンジンを掛ける。
その少し後、R33は少々五月蠅めのエキゾーストでガレージから出て行った。
@
「・・・なんでかな・・・」
24時間程前、宵闇を反射し蒼を纏ったHCR32が駆け抜けた道を走るクルマが1台。
ピンクに寄せた赤が眩しい、そのクルマはST202。上位グレードには4WDとターボで武装したST205が存在するFFのスポーツクーペだ。
「誰も悪くないのに、どうして・・・」
このST202、ステアリングを握っていたのは卯月だった。
格好はあの時に着替えた制服のままで、恐らく家に帰らずにずっと走っていたのだろう。
だがその運転は明らかに平常のそれではなかった。動きはちぐはぐ、サポートカーの対処もワンテンポ遅れ、最早教科書通りとさえ言える「運転の悪循環」が彼女を取り巻いている。
「私のせい、なの?・・・私、が・・・悪かったのかな・・・?」
そのような状態でも最悪の事態に陥っていないのは、彼女の体に染みついているテクニックによるものである事は想像に難しくないだろう。
「ダメ、ダメだよぉ・・・」
@
精神的に不安定な時は運転を控えましょう。
限定的にも12歳から自動車を運転出来るこの世の中では、運転教習に一層力が入っている。
「自動車運転文化の存続、及び後世へのモータースポーツの継承」
「首都高サーキット」と「C1GP」を管理・運営する「GRP A1project」が掲げるスローガンにとって、若年層の重大事故は何としても避けたい事例なのだ。
@
その動きの異常さは、後方で距離を取って走らざるを得なかった美世も分かっていた。
(サポートカーもあれじゃ近づけないか・・・)
美世が卯月のST202に遭遇したのは4分程前、卯月は後ろに車が来た事に気が付いていない。
もっとも、美世は前方のST202を運転している人が島村卯月という事を知らない。
コンソールが反応する距離まで近付く事が出来ないのだ。
だからといって、このまま放って置く訳には行かないのが美世だった。
だったのだが、少し遅かった。
(くっ、このままもたもたしていたら、何が起こっても不思議じゃなかったか!」
目の前ではST202がグリップを失い、スピンを始めていた。
美世も思わず考えていたことが口に出てしまう。
「っと、くぅっ!」
美世は間一髪でそれを避け、左側の路肩に寄せて停止した。
既にサポートカーが対処にあたっており、通行制限が完成している。
「壁には当たっていないか、よかった・・・。
大丈夫ですかー!」
美世はST202へ駆け寄ると、ドアが開き、卯月がクルマから降りた。
そして、そこでようやく美世と卯月は出会う事となる。
「あれ、もしかして島村卯月さん?」
「は、はい。
私が島村卯月です」
@
Main EPISODE:A NEW GENERATION'S 23:59
played result:SUCCESS!
「ストーリーリプレイ」が記録されました
NEXT…
@
「ストーリーモード」第1章前半のメインエピソード
「A NEW GENERATION'S」
この回は前半に卯月のST202、後半に美世のR33を操作する。
ルートはほぼ前回と同じだが、大井までで終了する。
前半は湾岸合流~有明、後半は~大井までといったところか。
前半操作する卯月のマシンはパワーもそれ程無いので湾岸を下ると少々退屈に感じるかもしれない(最高速が270km/h前後)。
逆に後半は美世のR33で卯月を追う訳だが、追い越すと「失敗」となる。
美世と卯月のマシンはほぼ倍の出力差がある為、追い越しが容易過ぎるのが問題である。
「ストーリーリプレイ」では前半美世、後半卯月でプレイ出来る。
この場合前半では美世が卯月に追い付くまで、後半は卯月が大井付近に辿り着くまでであり、クリア条件も簡素になっている。
因みに、大井付近まで接近すると卯月のマシンは後輪のグリップ値がゼロになり、更にステアリングが左右逆に入力される様に設定されている為、プレイヤーとしても自然に「突然スピンする」という状態を演出出来る。(スピンするとムービーへ)
(当然それを逆手に取った「大井から何処まで進めるか」という縛りプレイがプレイヤー間で存在する。最長では高速湾岸線を下り切った猛者も居るらしい)