CINDERELLA GIRLS×GRP TOKYO Highway XTREME RACER's M@STER   作:アマネモ

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A NEW GENERATION'S 23:58


 新環状右回りの湾岸線ストレート区間を疾走する、蒼い影が一つ。

 

(・・・)

 

 そのクルマのカラーリングは黒だが、真夜中を反射させ丁度蒼く見える。

 クルマの正体はHCR32。上位モデルにはあのBNR32が居るFRのスポーツクーペだ。

 

(むぅ・・・)

 

 

【挿絵表示】

 

 

 ドライバーは不満の様だが、サポートカーを巧くすり抜けている。

 有明のレインボーブリッジへ向かう分岐を過ぎ、更に湾岸を下る。

 

(・・・なんだろう・・・)

 

 5速、メーター読みで278km/h。既にタコメーターはレッドゾーンを指している。

 どうやら湾岸系の最高速マシンでは無いらしい。

 

(ダメだ)

 

 流石にエンジンブローは避けたいのか、R32は徐々に減速してゆく。

 

(やっぱり、今日もダメ・・・)

 

 クルージングの状態で大井をUターン、今度はC1へ向けて羽田線を上る。

 

(走っても、後を引いて残るんだ・・・。

 この、もやもやとした・・・)

 

「感じ・・・!」

 

 アフターファイヤを瞬かせ、もう一度加速するR32は宵闇に消えていった。

 

@

 

 本田未央は美世がガレージ事業を始めた時の最初の客で、以降常連になっていた。

 

「聞いてよダチャーン。

 またしぶりんはひとりで走っているんだよー」

「ほうほう」

「今の時代アイドルが首都高走っていても何の問題も無いんだよ。

 みかねぇだって「ステータスだよ☆」って言っているのにさー」

「まぁ・・・おおっぴらに言うのもアレな気はするけどね。」

 

 未央の愛車であるEK9に不調は無く、弄る所は見受けられなかった。

 

【挿絵表示】

 

 美世としてはこれまで弄る機会の無かったクルマである為、悪い気はしていない。

 

「よし、おっけーだよ」

「ありがとっ。

 今日はダチャーン首都高行く?」

「んー今日は後2人予約があるからダメかな。

 ・・・そう言えば島村さんとは?」

「・・・そうなんだよ、しまむーもだよ。

 もー、みんなして恥ずかしがり屋なんだからー」

 

 茶化しているが、未央の顔はそこまで明るくしていなかった。

 

「また調子悪くなったら来るからね、ダチャーンっ」

「それ以外の時に来ても、私は文句は言わないから」

 

 13部署のガレージを後にするEK9の後ろ姿に、美世は軽く手を振った。

 

「・・・さて、次は・・・」

 

@

 

「島村さん、ここのフレーズですが・・・」

「え、あっ」

 

 346プロダクション第12部署、「シンデレラ・プロジェクト」の事務所。

 そこに隣接するレッスンスタジオで、島村卯月は練習をしていた。

 

「私も専門ではないので、説明は難しいかもしれません」

「いえっ、そんな事無いです。

 私もちょっと間違えたっていうか・・・」

 

 その近くで彼女を見守り、指示しているのは12部署の担当プロデューサー。

 かなり強面だが、彼女達の成長を誰よりも願い、全力で手助けする生真面目な男だ。

 名前を弐内雄輔(ニナイ ユウスケ)という。

 

「私からは島村さんが、無理矢理に練習している様に見えます」

「・・・判りますよね・・・」

「今日はもう止めた方が宜しいと思います。

 このまま続けても、身体に好くない負担が掛かってしまうだけでしょう」

「でも、私・・・私は・・・」

 

 なにか言葉を出そうとしたが、卯月は顔を下げた。

 弐内は、彼女が何故このような状態になっているか、ある程度の見当が付いていた。

 

「・・・本田さんと、渋谷さんとの事は、正直、私一人ではどうする事も出来ません」

「・・・」

「何か、切っ掛けが有ればいいのですが・・・」

「・・・じゃあ、もう着替えますね」

「はい」

「切っ掛けも、探してみます・・・。

 卯月、もうちょっと頑張ります・・・!」

「無理の無い程度にお願いします。

 無理や無茶をしていては良い事は起こりませんから」

「はい、プロデューサーさん。

 では、今日の練習お疲れ様でした!」

 

 卯月は隣の更衣室へ消えた。

 その振る舞いはいつもとほぼ変わらないものだった。

 だが、弐内の眼に映るその後ろ姿には、重く暗い、影が見えた。




Main EPISODE:A NEW GENERATION'S 23:58

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「ストーリーリプレイ」が記録されました

NEXT…

@

「ストーリーモード」第1章前半のメインエピソード

「A NEW GENERATION'S」

最初のストーリープレイは渋谷 凛のHCR32を駆る。
新環状右回りの湾岸合流からスタートし、大井でUターン。
羽田線を上り、C1内回りに合流してフィニッシュとなる。
特に難しいことは無いのだが、湾岸線下り区画で280km/h以上出そうとするとエンジンブローしてしまうので注意が必要。

このゲームの世界では2001年に首都遷都と「新都市循環高速道路」の開通によって首都高が
「首都高サーキット」として生まれ変わっている為、通称”大井Uターン”が存在している。

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