CINDERELLA GIRLS×GRP TOKYO Highway XTREME RACER's M@STER   作:アマネモ

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A Moonside 00:01


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「ん・・・」

 

 あるホテルの一室に微かに聞こえた音は、男女の接吻によるものだった。

 だが、そのキスに含まれていたのはほんの僅かな怒り

 ・・・いや、嫉妬という方が正しいか・・・

 だった。

 

「プロデューサー・・・。

 貴方、今、別なコト、考えていたでしょ」

 

 唇が離れ、女性の方がそう言った。

 

「・・・すまんな、奏。

 悪気はないんだ」

「普通の女の子なら、そんなこと言ったらとっても怒るわよ」

 

 つまり実際に言われた目の前の女性、速水奏が怒っていないかといえばそうとは言い切れない。

 言い切れないが、怒っているようには見えない。

 

「そろそろ、なんじゃない?」

「あ・・・あぁ、そうだな、出るか」

 

 そうして二人、速水奏とプロデューサーはホテルをチェックアウト。

 

「ドイツ語だと、乗り物は「女性」だったわね。」

「なんだ突然」

「私には“乗らなかった”のに、クルマには“乗る”のね」

「あのなぁ・・・」

「ちょっとした意地悪よ」

 

 二人はそのまま、駐車場に止まっていた一台のクルマに乗り込む。

 この駐車場でそのクルマだけ、纏っていた空気が冷たかった。

 そのクルマの名はFC3S。

 

「せめて運転中は、止めてくれよな」

「そうね・・・。

 プロデューサーが運転を誤れば、全国3万6千人のファンを敵に回す事になるわ。

 だから、しない」

「ほっ・・・」

「安全運転でね」

 

 FCのエンジンに火が入り、特徴的なロータリーサラウンドミュージックが駐車場に奏でられる。

 

「私のクルマなんだから」

 

 そして、あまり静かとは言えないエキゾーストを残してFCはホテルの駐車場から夜の街へ消えていった。

 

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【挿絵表示】

 

 

「んー、今日はこれでかな?」

 

 ガレージで一人、女性が自分の仕事に納得していた。

 その仕事とは、自らの愛車の整備である。

 名前をBCNR33と言い、そのクルマもまた、やはり纏っている空気が独特なものだった。

 

「R、今日の感じはどう?いい?」

 

 ツナギに染み付いた機械油の臭いは、お世辞にも女性の香りではない。

 

「じゃ・・・行くとしますか・・・!」

 

 だが彼女、原田美世にとってはどんな香水よりもそれがお気に入りなのだ。

 決して香水を知らない訳では無い。

 

「水温・・・ok」

 

 自慢の愛車、そのドライバーズシートで各種計器を確認する彼女の姿には一切の迷いがない。

 

「油温・・・ok」

 

 目を瞑ってても同じことが出来る。

 それだけの自信と、このクルマに対する信頼が彼女の仕草から伝わってくる。

 

「ok、R・・・!」

 

 そうして、美世が操るR33はガレージを出る。

 スグにでも飛び出したいのだがグッと押さえて、時代遅れな手動式シャッターを下げ施錠する。

 

「今夜は・・・逢えそう、かな?」

 

 シートに座り直した彼女はそう一言口にして、クラッチペダルからジワリと力を抜いた。

 

 R33はそのまま、法定速度でまだ始まったばかりの夜に溶けていった。

 

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 原田美世の駆るR33と速水奏を乗せ、プロデューサーがドライブするFC。

 

 二台は違う場所、違う時間に動き出した。

 

 だが、この二台はまるで示し合わせたかの如く、同じ場所を目指していた。

 

 ・・・何故?

 

 此処日本には、美世のR33や奏のFCの様な空気を纏うクルマの楽園があるのだ。

 

 その楽園は、かつてこう呼ばれていた。

 

 

「首都高速道路」。

 

 

 

 略して、「首都高」と。

 




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オープニングの後、少々待つことで流れ始めるデモムービー。
これまでのシリーズとは異なり、ストーリーモードのプロローグを思わせる構成となっている。
その為、デモムービーとしては若干長め。

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