斬撃増やそうぜ!お前TSUBAMEな!   作:モブ@眼鏡

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しがないNOUMINですが何か?

 

 

天井を見上げる。なんか古臭い茅葺き屋根だった。つか煙くっさ!?

 

あ……ありのまま今起こった事を話すぜ!!

 

『オレはいつもみたいに筋トレをしていたと思ったらいつの間にか赤ん坊に成っていた』

 

な……何を言っているのか分からねーと思うがオレも何をされたのか分からなかった……。

 

頭がどうにかなりそうだった……。

 

催眠術とか超スピードだとか、そんなちゃちなもんじゃ断じてねぇ……。

 

もっと恐ろしいものの片鱗を味わったぜ……。

 

そんな経験をしてから早三十年。いまや立派なNOUMINとして自立したオレは、畑を耕す傍ら家に代々伝わるとかいう刀をブン回していた。

 

というのも、突進で山を丸々一つを消し飛ばすINOSISI。

 

何ヘクタールもありそうな大地を圧倒的な身体能力でもって岩盤ごとひっくり返すKUMA。

 

万を超える軍勢となってコンマ数秒で農作物を食い荒らすINAGO。

 

音速を超えるスピードでソニックムーブを撒き散らしながら突っ込んでくるHAYABUSAやTSUBAMEなどなど、明らかに人智を超越した連中の相手をするには武器をブン回すしかなかっただけなのだが。

 

だがしかし、それ以上にマズイ存在がオレが生まれ直したNIPPONにはあったのである。

 

そう、古来よりNIPPONに跋扈するAYAKASIの類いである。ほら、ONIとかNUEとかそういう感じのやつ。

 

いや、唐突な話であるがオレとしては大真面目なのだ。勿論そんなモンを初めて見たオレは恐れ慄いたし、実際問題奴らAYAKASIはとんでもなく強かった。

 

例えばONIは、局地的な地震を引き起こす脚力や、素手で海を割ってリアルモーゼの奇跡を起こせる程の腕力を持ち、挙げ句の果てにはKUMAの全力全霊の一撃を蚊を払う様に無傷で退けるのである。

 

全くもってインフレした世界だ。こんなの絶対おかしいよ!

 

というわけで、このインフレした世界を生き抜くことを誓ったオレは、我流ながら剣術の修行を始めた。

 

刀をたかが鉄の棒切れと侮るなかれ。このインフレ世界に於いてはその程度の物でさえ武器と成りうるのだ。

 

まあ、武器と成りうると言ってもドラ○エのゾー○にひのきのぼうで挑む様なものだが。

 

じゃ、どうするの?と問われたならば、とりあえずこう答えよう。

 

 

 

 

 

 

『塵も積もれば山となる。レベルを上げて物理で殴れ!攻撃回数が足りないならば攻撃回数を増やせばええねん!』

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

──────その男は紛うことなき強者だった。

 

身に纏う覇気、一切の無駄なく鍛え上げられた肉体。粗末な赤黒い服装から農民(小姓の類いか)と分かるが、只の百姓と言うには眼光が鋭すぎた。

 

まるで真性の鬼の如き気迫を放つ男は、少し拓けた山道にて大股二十歩程の距離を空けて身長五メートルを超える『鬼』と対峙している。

 

そう、本物の鬼である。

 

山を容易く砕く腕力、韋駄天の如き俊足、落雷すら弾き返す皮膚、多種多様な妖術、それら全てを自在に使いこなす戦闘のスペシャリスト。

 

加え、この時代に於いては人からの畏怖、或いは恐怖という信仰的感情によって、その力の最盛を迎えている。おおよそ人間が相対すべき存在ではない。

 

男は右手に刀、左手に石ころを弄びつつ、自然体でありながら油断なく鬼を眺めている。

 

対する鬼は様子がおかしかった。額には汗が流れ、瞳には恐怖が浮かび上がり、それでも鬼としての矜持か一歩も動かずどっしりと構えている。

 

単純に生命としての強度が違う人間と鬼の睨み合い。鬼がその剛力を振るえば、男がその余波ですら致命の損傷を受けるのは自明の理だ。

 

しかしそれでも、圧倒的上位の筈の鬼は、眼前のなんの変哲もない人間を恐れていた。

 

鬼が男を睨む。鬼の妖術による束縛の術が男に掛かった。

 

瞬間、一歩鬼が前へと踏み込む。倒れ込む様に姿勢を前屈みにし、一瞬で最高速に辿り着く。

 

時間にして刹那に満たぬ間に行われた淀みない動作は人というよりは獣の様だ。

 

たったの二歩で男の目の前に肉薄する鬼。そのままの姿勢でその動作を低空タックルに移行する。

 

人型でありながら獣の動きを可能とした鬼の驚異的な肉体は、山をも打ち砕く怪力をもって眼前の人間を粉砕せんと放たれた。

 

と、同時に男が踏み込む。否、その前に石ころを投擲していた。

 

石ころが鬼の妖術の要たる魔眼を粉砕し、戒めから解放された男が神速で踏み込み右手の刀で心臓を貫き抉る。

 

心臓の破壊を確認した男は刀を引き抜き、鬼の首をはねた。

 

が、首をはねた鬼の肉体が霞のように消え去る。気付けば男の周囲は濃霧に覆われていた。

 

死んだかと思われた鬼は、首を飛ばされる直前に妖術で幻を生み出し、その場を離脱していたのである。

 

視界が悪くなり、このまま奇襲されればなんの抵抗も出来ず鬼の豪腕に圧砕されるであろう状況。

 

最早なすすべも無いかと思われたその時、初めて男が刀を構えた。

 

上段の構え。剣術に於いて基本的な攻撃の構えである。

 

しかし、何時何処から奇襲されるか分からない今、ほぼ全身を無防備にする上段の構えは悪手であることは明白。

 

─────ならば、何故?

 

隙だらけに見える男に、それを好機と判断した鬼が右後ろから再び低空タックルを仕掛ける。

 

瞬間、男は刀を降り下ろし、鬼は真下(・・)頭上(・・)左脇(・・)から斬り裂かれていた。

 

全く同時に(・・・・・)打ち込まれた三閃は、抵抗なく鬼の鋼の肉体を切断した。

 

正に一瞬の早業。ともすれば暗殺術にも捉えられるその剣術は、もし只の人間が見れば何が起きたのか分からない程の速度で実行された。

 

巨大な巌の如き鬼の肉体がタックルの勢いのまま、バラバラとなり地面を転がる。

 

そして、鬼の死によって術が解けたのか、霧が晴れていった。

 

無傷のまま一瞬にして鬼の命を終らせた男は、何でもないかの様に死体となった鬼を放置し森の中に消えていく。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

そんな男の背中を見ていた者が一人。

 

金色の鉞を背負った少年が、顔面を喜悦に歪ませながら睨みつけている。真っ赤なオーラの様なモノがその全身から吹き出ていた。

 

「へぇ、面白そうなのが居るじゃねえかよ」

 

少年の名は坂田金時。とある雷神の系譜であり、その将来、正史に於いてかの源頼光公に仕え、騙し討ちとはいえ鬼の大将酒呑童子を討ち果たした日の本の大英雄たる侍である。

 

金時は飢えていた。神性を持ち怪力無双を誇る彼は、今の今まで張り合える存在が居なかったがために、今回ばかりはこの発見をあまり信用もしていない神に感謝した。

 

「ククッ、そうと決まりゃあ一発殴り込みでもしてやるか」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

そしてもう一つ、遠視の術でその様子を覗いていた存在がいる。

 

「あらまぁ、このお人。ふふ、うち、こんなに昂るの何時ぶりやろか………」

 

鬼の総大将、酒呑童子。日本三大大妖に数えられる伝説の鬼。

 

男が殺害した鬼は彼女の子分だったのである。

 

しかし、仲間を殺されたにしては薄い反応をしている彼女。どちらかと言えば喜んでいるような表情を見せている。

 

それも鬼の性か、己を真っ向から討ち果たす人間(・・・・・・・・・・・・・・)を彼女は求めていたのである。

 

その全身から垂れ流される妖気と昂りが、彼女達鬼の一派が根城とする大江山を震撼させた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

本来あり得る筈のなかった存在による、本来あり得ない邂逅。

 

こうして新たな因縁が生まれつつある中、件の(アホ)はというと…………。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

『やっぱ熊肉って旨いよな!鹿肉とか猪肉も良いけどやっぱ熊が一番旨いべ』

 

今日も今日とて良い天気なり。さっきは濃霧に襲われてたけどね。

 

というかやっぱりこのNIPPONおかしいわ。なんなん?あのONI。目潰しして心臓抉っても襲い掛かって来るとか、今までに類を見ない執念深さだったわー。

 

Fateのアサ次郎の真似してたら出来る様になった燕返しとか、狩りで身につけた気配察知がなかったら死んでたんだぜ。もうほんとアカンわー。

 

心地よい日差しを受けながら先日血抜きした熊肉を燻製にする。

 

出来上がった肉をかじりながらグータラするのは至福の時間である。良いねこういう生活。うまうま。

 

強いて言うなら塩が欲しいところ。胡椒は山の山椒で代用出来るしね。村醤油もあるし、本当に惜しい。

 

しかしまあ、こんな生活も三十年続いてくると感慨深くなるものである。

 

朝起きて、水汲んで、薪割りして、飯食って、畑耕して、飯食って、鍛練して、狩りをして、水浴びして、寝る。

 

日によってはコレに洗濯やら掃除やらが混ざるがそれはそれで良いものだ。

 

思えばこの家にも随分と世話になっている。三年前に亡くなった今生の両親曰く、もう築八十年を超えるそうだ。

 

なんだかんだ世話になってきたこの家、オレも二十年も暮らせば愛着も湧く。

 

今度増築でもするかなー、と考えていた矢先。事態は唐突に発生した。

 

「ぶっ潰れろォッッ!!!」

 

「喰らいはったらよろしゅおす」

 

ドゴーンチュドーンとギャグの様な効果音と共に現れたクソガキ共がマイハウスを破壊したのである。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ハハッ、様々なDOUBUTUに鍛えられたオレに喧嘩を売るとはね。よろしい、ならば戦争だ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

─────これが始まり。

 

これは、正史に於いて佐々木小次郎の皮を被っていた名無しの亡霊。ソレに憑依、或いは転生した『彼』の、本来あり得ないifのお話。

 

 







聖杯戦争風ステータス

アサシンの場合

クラス:アサシン

真名:無し(佐々木小次郎)

属性:混沌・中庸

筋力:A

耐久:B-

俊敏:EX

魔力:C

幸運:A++

宝具:―

保有スキル

宗和の心得:EX
卓越した足運びにより、その間合いを計らせないスキル。EXクラスともなれば、それは距離・間合いの操作その物に等しい。

不屈の意志:EX
あらゆる精神干渉を無効化し、どの様な状況でも己の意志を貫く事が出来る。アサシンが、神殺しに成功した理由となったスキル。

剣術(魔法):EX
ただ純粋な技術によって魔法という世界最高の神秘に到達した剣術。アサシンが放つ斬撃は、全てEXランクに匹敵する神秘を纏う。宝具の無いアサシンにとって、これが宝具に当たる。なお、正確には魔法に極限まで近い技術・別事象である。

気配感知:A
気配を感じとる事で、スキル効果範囲内の状況・環境を認識する。また、近距離ならば同ランクまでの気配遮断を無効化する。

気配遮断:―
後述のスキルに統合。

圏境:EX
自らの存在を自然と同化させるスキル。EXランクともなれば、それは単なる技術ではなく仙術その物である。なお、気配遮断はこのスキルに統合されている。

縮地:EX
瞬時に相手との間合いを詰める技術。多くの武術、武道が追い求める歩法の極み。EXランクともなると、最早次元跳躍すら超え、世界そのものの境目すら踏破仕切る。仙術の範疇に当たる。

心眼(偽):EX
所謂「第六感」「虫の知らせ」と呼ばれる天性の才能による危険察知。視覚妨害による補正への耐性も併せ持つ。EXランクにもなると、それは自分に対するあらゆる危険を正確に察知する程の危機感知を発揮する。

獣殺し:B
中位の幻想種に匹敵する動物を、数多く殺害した証明となるスキル。動物に対し、致命の一撃を与えやすくする。

魔物殺し:A
上位の幻想種を数多く殺害した証明となるスキル。幻想種に対し、致命の一撃を与えやすくする。

神殺し:A
本物の神霊の抹殺に成功した証明となるスキル。Aランクでは上位の神霊にすら致命の一撃を与える事が可能となる。

仕切り直し:A+++
神霊の軍勢から逃げ切った事が由来となったスキル。例えどの様な状況であろうと、戦闘から離脱することが出来、不利になった戦況を初期状態に戻すことが出来る。

戦闘続行:A
決定的な致命傷を受けない限り生存し、瀕死の重症となっても戦闘続行が可能となるスキル。「往生際の悪さ」或いは「生還能力」とも表現される。

無窮の武練:A+++
一つの時代に於いて無双を誇るまでに到達した武芸の手練。心技体の完全な合一により如何なる精神的制約下であっても十全の戦闘能力を発揮出来る。




流石NOUMIN(白目)

あ、それはともかく酒呑ちゃんの口調がちゃんと出来てるかよく分かってないんですよね。一応FGOで実装されましたが、私は引けてないので。なんか違和感がありましたら、教えて頂けると嬉しいです。

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