前作のストーリーを改稿したものです。
ところどころ修正入ってます。
プロローグはこれにて終わり、次回からあらすじの内容に入っていきます。
あの日から五年が経った。
今日は7月31日。
俺、星空 昴の五度目の誕生日だ。
家族だけで、誕生日パーティーを開いた後、両親から誕生日プレゼントを貰ったのだが。
(……まさかとは思ったが、やってくれたな……父さん達)
父親から
日本刀の銘は『彗星』というらしい。
木刀は正式には『星砕』という銘らしいが、刀身には『洞爺湖』と彫られていた。
手に持ってみたら、左手にあるルーンが輝き出して身体が軽くなる感覚がある。
どうやら、きちんと『武器』として認識されてるみたいだ。
何を基準に『武器』として認識するのかはまだ解っていない。
爺ちゃんの家にある道場の竹刀ではルーンは光らなかった。
『竹刀』と『木刀』の違いはなんだろう?
ちなみにこの世界にも銃刀法はちゃんとある。
改正銃刀法だけど。
それまでの銃刀法では木刀の所持は容認されていたが、凶悪化する犯罪に対処する為に改正され、正当な理由もなく、武装許可されていない一般人が木刀など、人を傷つける凶器になるものを持って外に出たら捕まる。
車のトランクに入れてるだけでもアウトだ。
国家権力怖い。
……なーんて、思える奴らは幸せだ。
何故なら
……普通、拳銃や刀……いや、木刀ですら5歳児に持たせる物じゃないよな?
まったく、と我が両親達の行動を子供ながら呆れていると……くいっと、袖を引っ張られ、後ろを振り返ると3歳になった可愛い妹がいた。
「どうした、
星空 桜……俺の実妹。年齢は三歳。
黒髪ロングの可愛い妹だ!!
母親に似て、将来は和服が似合う大和撫子になる……と思われる。
母親(高名な陰陽師の末裔)の血を色濃く継いでいるらしく超能力の素質があるらしい。
属性は風と雷。
年齢からしたらかなり高いGだが、桜はまだ制御はできないので普段は髪に結ぶリボンで封じている。
「お兄ちゃん、お誕生日おめめぇたう……」
(おめでとうって言いたかったんだろうな)
「ありがとうな、桜」
可愛い、うちの妹、マジ天使!
桜を抱きしめて和んでるとこれまた可愛い声で呼ばれた。
「あ、にいにぃ~だ!」
声をした方を振り向くと天使が……背中まで伸ばした茶髪をツインテールに結った可愛い女の子が母親に抱かれてやって来た。
星空
彼女は父さんの親友だった人の忘形見だったようで、二年くらい前に外国から帰ってきた父さんが連れてきた。橘花の両親は
この子も超能力を生まれながら使えるみたいで……属性は水。
Gはおそらく5前後。
首にはご両親の形見のネックレス……青い石が付いた十字架をブラ下げている。
「にいにぃ、じぃじ、きたよ?」
「ん?」
「ふふ、さっきおじいちゃんが来て貴方にコレを渡してって言って帰ったわ。
______開けてみなさい」
母親に言われ、手渡された包みを開けると、そこには一本のナイフが入っていた。
真っ赤な刀身をしたバタフライナイフ。
刀身が緋色……だからだろうか?
原作の金次が持つナイフに酷依しているように見えた。
まさか……これは⁉︎
「気に入ったかしら? 今度あったらおじいちゃんにちゃんとお礼言ってね?」
「爺ちゃんは?」
「今日は帰られたわ。なんでも昔の親友とそのお孫さんに会いに東京に行くって言ってたわ」
「東京?」
「巣鴨……って、言ってもわからないわね。えーっと、おじいちゃん、おばあちゃんの楽園みたいな楽しい町よ?」
楽園かぁ。まあ、おばあちゃんの原宿って言われるくらいだから、ある意味楽園かもしれないなぁ。
しかし、巣鴨かぁ。
やはり爺ちゃんはあの家……
関わりたくないぞ、個人的には。
『普通の人間』を目指す身として、あの一族とは関わらない!
……と思っていたんだが。
誕生日から5日程たったある日。
俺は青森にいる。
何でも父の知り合いの息子達が来ているようだ。
待ち合わせ場所は普通の喫茶店。
俺は、チョコレートパフェを(本当はコーヒーがよかったが父親が勝手に注文したから)食べながら、父に会う人の事を聴いている。
「ねぇ、父さん、これから会う人達って武偵なの?」
「ああ、一人は見習いだよ……。年はお前に近いけどね」
「へぇー」
どんな人なのかなー?
父さんの知り合いで青森に住んでいる人で武偵ってことはやっぱ人間辞めてんだろうなー。
……いや、待てよ? 父さんの知り合い。『一人は』ってことは来るのは一人じゃない。武偵で年は近い……なんだろう。や、嫌な予感しかしない)
「な、名前は何て言うの?」
「遠山「やっぱりか______⁉︎」な、なんだ? どうした、昴?」
思わず、机に伏せてしまった俺を、父さんは心配そうに覗きこむ。
……待つこと30分。
______カラン。
喫茶店のドアが開き、二人の少年が入ってきた。
「金一君、こっちだよ?」
父さんが、手を上げて金一と呼んだ男の子を席に座らせる。
「いやー、悪いね。青森では仕事なんだろう?」
「いえ、構いません。丁度星伽での用事も一段落した所ですので」
「そうか。それにしても大きくなったね~。隣にいるのは弟さんかな?」
「ええ。ほら金次、挨拶」
「はじめまして、遠山 金次です」
「こちらこそ、はじめまして。
星空 光一と息子の昴だ」
「……よろしく」
あまりよろしくしたくなかったが、挨拶はしておく。
「光一さんは、世界的に名を馳せている名武偵の一人だからいろいろ聞いておけよ。金次」
「うん、わかったよ、兄さん」
(なんか盛り上がってるけど、変に原作に介入して巻き込まれたくないな)
確か、原作だと星伽神社で白雪と会って、花火大会に行ってたんだよな……。
「______昴君。よかったら金次と一緒に花火大会に参加してみたらどうかな?」
と、考え事をしていたらそんな提案をされた。
いやいや、何を言ってるんだ、カナ……あっ、今は金一か。
小学生になったばかりの少年に言われて気付いたが。
白雪とここで出会ったら原作ぶっ壊して、ヤンデレルート突入する可能性あるんだよな……。
……犠牲になるのは金次のみでいい。
俺は普通の学園生活を送りたいんだ!
「そうだな、子供同士友好を深めるのも必要だな。よし、行って来なさい」
NOー! 断固拒否だ!
誰が好き好んで
と、思った俺の頭部に、『ガチャ』と、父さんの
父さんの顔を見ると、その表情は笑顔だが目は全然笑っていなかった。
「仲良く行ってくるんだよ?」
「……よ、よろしくな?」
俺は黙って父さんの言葉に頷くことしかできなかった。
……なぜ、こうなった?
喫茶店で遠山兄弟と邂逅したことにより半ば強制的に花火大会に参加することになってしまった。
金一と金次は一度星伽神社に向かい、俺は一人で待ち合わせ時間まで暇を潰すことになった。
因みに、父さんは青森武偵局の要請により仕事に行ってしまった。
用心の為、木刀を棒状の黒い袋に入れて持ち歩く。
もう一度言う。なぜ、こうなった?
原作に介入するのは極力避けたかった。
まぁ、桃まん大好きなピンクツインテール武偵にはどのみち目をつけられるだろうけどな……。
ずーんと落ち込みながら歩いていると路地裏から少女の叫び声が聞こえた。
「だ、誰かー!?」
『っ⁉︎』
路地に入ると50メートルくらい先で和服を着た黒髪の少女を男達が取り囲んでいた。
ど、どうする?
今の状況(1対10)で戦う? 見知らぬ女の子を助けに?
確かに俺なら出来るかもしれない。
両親や祖父から戦いのやり方は教わっているからな。武器だってある。
だが、
力はただ力だ。無闇やたらと見せるものじゃない!
だけど……絡まれてる女の子を見捨てることは正しいのか?
武偵憲章にはこうある、『強くあれ。但し、その前に正しくあれ。』
……仕方ねえかぁ。
本当は目立ちたくないけど、ここで見ぬふりしたら寝覚めが悪い。
だから助けてやるよ!
なーんて、カッコつけて前に踏み出したが……。
______カラン。
……カラン?
ヤバッ、転がっていた缶を蹴ってしまった⁉︎
「あん?なんだ、糞餓鬼⁉︎」
「何、ガン垂れてるんだ⁉︎」
……なぜ、こうなった?
男達の興味は、少女から俺に移る。
いや、5歳児相手にナイフやら鉄パイプを持ってにじりよってくるか、普通?
「ちょっと、道に迷ってあははは……」
「チッ、餓鬼がガンタレてんじゃねえぞ!
殺す?
その言葉にスイッチが入る。
「殺したことなんかないくせに……」
「あん?」
「死ぬかと思うくらいの戦いなんかしたことなんかないくせに……殺すなんて言ってんじゃねえぞ、ハゲ!」
「なっ、俺はまだ二十代だ!」
いかん、言っちまった。
普段、修業と言う名目であの超人達に殺気をぶつけられてみろ、殺す、殺されるとはどんな感じか嫌でも解るからさ。
それにしても二十代? いや、その歳で幼女誘拐とか立派なロリコンじゃねえか。
「殺すとはどんなことか、その身に教えてやるよ。かかってきな、ハゲ野郎共」
「この……糞餓鬼ィィィィィィ‼︎ やっちまえ!」
不良達は鉄パイプを手に全員一斉にかかってきた。
俺は手に持つ木刀を構え、不良達に向かって走り出す。
木刀を握り締めた途端、左手甲のルーンが光輝き、身体は軽くなる。
羽が生えたように軽く、まるで風になったかのような感覚で駆け抜ける!
突っ込んできた不良の一人を木刀で思いっきり殴り、次に飛び込んできた不良の腹を木刀の柄で突く。
振り下ろされた鉄パイプは木刀の刀身で滑らすようにして弾き、刀身を横にして不良の頭を軽く叩いて気絶させる。
十人いた不良はたった1分足らずで数を1/3に減らした。
まだまだ余裕で戦えるが……。
「よし、とりあえず……逃げるよ、君‼︎」
少女の手を取り、全速力で逃げる!
不良達を全員戦闘不能にするのは簡単だ。
だが武偵ではない俺が武器を普段から持っていることが周りにバレたら絶対ややこしいことになる。バレたら逮捕(補導)もんだよな……。
とりあえず、逃げる、逃げる、逃げる。
……んで、気がつけば待ち合わせ場所まで来てしまっていた。
「ハァハァ、大丈夫?」
「あ、ありがとう……」
「多分、もう大丈夫だと思うから気をつけてね?」
「ありがとう、私の名前は
『俺の名前は……昴。星空 昴』
「昴君かぁ、君が
そう言い、彼女は去っていった。
しかし、風斬かぁ。昔あった総理大臣と同じ名字だなー、なんて思っていると。
「おーい、昴君」
「お、金次が来たか」
金次が息を切らせながら走ってきて、その後ろには隠れるように巫女装束を着た白雪がいた。
俺は白雪に話しかける。
「初めまして。星空 昴だ。よろしくな」
「星伽 白雪です。よろしくお願いします」
遠山と星伽。
星空と遠山。
星伽と星空。
風斬と星空。
様々な出会いがこの日あり、この日があったからこそ俺の物語は始まることになったのだが、この時の俺は知らなかった。
全ては運命によって導かれているということに。
この作品の設定。
遠山金一……小学生にて武偵見習い。
飛び級ではなく、土日を使って武偵の訓練を受けている。
武装許可はされてるが、ナイフや威力が低いハンドガンのみ。
青森には金次と共に金叉の仕事の手伝いと星伽に用事でやってきた。