いや、今話の執筆がこんなに手こずるとは。
予想以上に難産でした。
特に昴にある言葉を言わせる為の場面を書くのが想像以上に難しかったです。
あの言葉をスラスラ言ったあの人はやっぱ真の○○○○だなー、と思いました。
偉大すぎるぜ! あんなコーチに私もなりたい。
というのは冗談で、冗談ですって。通報しないで!
……ごほん。いよいよ、小学生編は今話にて終了し、次話からは中学生編です。
JCです。JC。理子やメインヒロインだけど、20話以上出番がなかったあの子がようやく活躍できるそんな章になってます。多分。
まさか、メインヒロイン出すのに、こんなに話数かかるとは……恐るべしエアリアさん属性。
エアリア=空気なアリアさん。某2次作品における緋弾のアリアのメインヒロインの扱いです。
まさか、自分の作品のメインヒロインにその属性がかかるとは。
空気系ヒロインとは恐ろしい。
あれから2年の月日が流れた。
銃声が鳴り響き、銃弾が
「ねえねえ、昴見てー。今のはいい感じだよね?」
はしゃいで俺とハイタッチを交わすのは峰・理子・リュパン四世。偉大なる大怪盗の血を受け継ぐ俺の義妹だ。俺達がいるのは地下の射撃場。
そこで射撃の腕を磨いていた。
「ああ、今のはかなりよかったぞ」
理子が放った銃弾は
射撃の腕だけなら恐らく武偵ランクはA相当だろう。
「本当? やったーっ!」
しかし、わずか2年でここまで精度の高い射撃ができるようになるとは。
2年前まで、銃なんて触れたことすらなくて、戦闘力も普通の子供と変わらないくらい、か弱かったあの理子が、今や射撃の命中確率95%を誇る凄腕ガンマンになるとは。
子供って凄いなー。
この短期間でここまで射撃の精度が上げられる吸収力。
「まったく、小学生は最高だぜ!! 」
さすがは原作ヒロイン。その吸収力はまさにチート級だな。
「ねえ、すばる〜ん。アレ見せて」
「アレ?」
「いつも昴が見せてくれるあの曲芸技」
曲芸……ああ。
「
「うん、それそれ〜」
「ああ、いいぞ。なら、ほら撃てよ」
両手を大げさに広げて、カモーンといった仕草をとる。
そんな俺の態度に慣れっこな理子は手に持つ
ズギュュューンと放たれた銃弾はそのまま、真っ直ぐ俺に向かってくる。
俺はガンダールヴの反射神経を頼りに目にも映らない速さで
放たれた
「わ、わぁ、うわあああ凄い、凄い。何度見ても凄いよー昴ー!!!」
「そ、そうか?」
「うん! 凄い! ねえねえ、昴。理子もその銃弾弾く技やってみたい。教えて!」
「教えるって、
うーむ。教えるのはいいんだけどな。これは簡単に出来るもんじゃないし、こんな曲芸より今は正統な射撃技術を理子には身に付けてほしいんだよな。
「お願い、ねえ、ねえ〜いいでしょ〜」
俺の体に自身の体を密着させて腕を絡ませてくる理子。
ぎゅぅぅぅ、と抱きついてくる度に柔らかいものが当たっているんですが!
この2年で小さなりんごちゃんは、大玉サイズへと確実に成長していた。
「ま、まあ、いいけどさ。練習する時は実弾は禁止でゴムスタン弾だからな。あと、俺がいない時もやっちゃダメだぞ」
「わーい、昴ありがとう!」
むにゅん、と腕に強く当たる大玉りんご。ああ、当たってる。
ラピュ○は本当にあったんだ!
「……って、いかん、いかん。こんなことやってたらまたお仕置きされる」
いつものパターンと化しているのが、理子やヒルダとのラッキースケべ時に妹に見つかり、お仕置きという流れ。ここ最近は気をつけているから回数は減っているとはいえ、見つかったら三途の河を渡ることになる。
あれは嫌だ。ここ2年で桜も橘花も超能力の腕、かなり上げたからな。全力で使われたらさすがに俺も死ぬ。
お仕置きといやぁ……2年前も凄かったな。
俺は2年前のあの修羅場を思い出す。
〜回想〜
2年前。
「だ、誰が獣臭いですって!」
俺の影から飛び出してきた、ヒルダが怒りの叫び声を上げる。
そんなヒルダを挑発するかのように桜はクスッと笑い、手で口元を隠すようにしながら告げる。
「自覚はあるのですね。ヤモリ女さん」
「誰がヤモリよ! 私は偉大なる
あんな蜥蜴のなりそこないと同じにしないでもらえるかしら?」
「それは失礼しました。そうですよね。失礼ですよね、蜥蜴に」
「コンノォォォ糞ガキィィィ!!!」
桜の言葉に切れたヒルダが桜に飛びかかる。
俺は
あの目……マジ切れした時の目だ。
鋭い眼光をしたまま、桜はヒルダに向けて何かを投げた。
あれは……折り鶴?
「我らを悪しき魔から守り給え、
「あぅ……」
桜が術の詠唱をした途端、折り鶴は大きく膨らむ。そして、その両翼を広げてすぐにその姿を消失させた。
消えた折り鶴のことは眼中にないのかヒルダはそのまま、突き進み、そして見えない壁に激突して動きを止める。ガンと、おデコを見えない壁にぶつけて涙目になるヒルダを見て一瞬可愛い、と思ってしまった俺に鋭い視線が突き刺さる。
いや、なんでそこで睨むんだ。妹と理子は。
足元をふらつかせながら起き上がったヒルダは目の前に展開された見えない壁を手で叩く。
しかし、壁はそのくらいではビクともしない。
それもそのはず。
桜が唱えた術式は一種の絶対防御。
有効範囲は10メートル程と短く、また未熟な桜は前面にしか展開出来ない為、術としては未完成だが、初見の相手には充分有効な術式だ。
その強度は絶対的。
完全な術式なら通常の戦車の砲弾はもちろん、APFSDS 劣化ウラン弾やレーザービームにも耐えられる……と父さんは言っていた。本当かどうか疑わしいが実際父さんは桜と同じ術式で母さんが防いだのを目撃したらしい。
APFSDS 劣化ウラン弾って……世界最強の対戦車砲弾と呼ばれるものなんだが……それを防いじゃうとか、人間辞めてんな本当。
その絶対的な防御結界に激突したヒルダは足元をふらつかせながらも、その目からは戦意は消えていなかった。
「今のは
「はい、私は大陰陽師の血を受け継ぐもの。人に仇なす魔を退治するのは私の役目。 ですから、大切な兄さんに近く貴女のような物の怪を退治するのも私の役目なのですよ? というわけですので死んでください! 兄さんに近く女は____犬も猫も、蝙蝠もみんな纏めて消えちゃえー!!!」
明らかに私怨が混じった言葉を吐いた桜は冷たい眼差しをヒルダに向けたまま、リビングの窓を開けて、庭へと飛び出した。桜が外に出ると、逃げ出した、と勘違いしたのか。「逃がさないわよ」とヒルダもそれに続いて外に出た。
二人を追いかけて庭に出るとそこで、桜とヒルダは超能力戦を始めていた。
桜の掌から放たれる放電をヒルダは余裕の表情を浮かべて受け入れ、耐え抜き、そして高笑いをした。
「おっ、ほほほほほほ! 残念ね。兄から何も聞いていないのかしら? 私に電撃は効かないわ。わざわざ私に電気をくれるなんて、随分と親切なお嬢ちゃんなのね。それとも兄同様に間抜けなのかしら?
まあ、私達
貴女がこの庭に生える雑草だとしたら、私は庭園に咲き誇る薔薇。
貴女と私とじゃ、生まれ育った環境も、立場も違う。そう、違うのよ! 人間の子供風情が私達吸血鬼の前に立ち塞がるんじゃないッ!
子供は子供らしく惨たらしく死になさい!」
ヒルダは相変わらずヒルダだった。
おい、ヒルダ。お前忘れてないか?
そんなこと言って前にズタボロにされたのはどこの吸血鬼(笑)だよ?
お前の前にいるのは俺の妹なんだぞ?
お前が絶望したあの
そう呆れた目でヒルダを見ていると、桜は次の術式を展開した。
桜が掌を頭上に上げるとバリバリと桜の掌から電撃が放たれる。
放たれた電撃は上空に浮かぶ大きな白雲に直撃した。
そして、白雲はすぐに雷雲に変わり、放電を始めた。
「土御門流決戦奥義『
桜は一言告げると、再度、上空の雷雲に向けて放電を放つ。
桜の掌から放たれた電撃は雷雲に吸い込まれるように消えていき、そして。
ピシャッ! ゴロゴロ!!!
雷雲は激しい雷光を迸る。
桜が掌をヒルダに向けて振り下ろすと、その雷雲からは巨大な雷撃が落ちた。
ガガァ____ンッッッッッ……!!!
激しい落雷の音と共に、周囲を閃光が包み込み。
「「きゃあああぁぁぁっ!」」
橘花と理子の悲鳴が聞こえた。
「____!」
とっさに両腕で顔を覆った俺が、眩む目を開くと……前方には雷撃を纏ったヒルダの姿が見えた。
全身に青白い雷光を纏い、帯電性があるのか、下着、ハイヒール、蜘蛛の巣柄のハイヒールは残っているが、胸元に付けていたリボンは燃えて胸元が露わに……ひぃッ!
ヒルダの胸元に目を向けていると俺の第六感が警鐘を鳴らした。
いけない。それ以上見ていたら死ぬ。殺される。
誰にかって? 決まってんだろ!
「……兄、さん?」
「兄、にぃ?」
「……すばる」
ひぃぃぃぃ!
なんで三人とも睨んでくるんだよ。
「______生まれて2度目だわ。この
「それが本当の貴女なんですね」
「ええ、第1態が人、態2態が鬼なら__この第3態は、神。帯電能力と無限回復力を以て為す、ドラキュラ一族の奇跡。そう、稲妻とは奇跡的にも、私が受電しやすい電圧の自然現象なのよ。それはこの現象を作った神が、私を神の近親として作った証拠……」
確かに凄い力だけどさ、ヒルダよ。別に
「神? 貴女が?
面白い冗談を言うんですね。ふふっ」
ヒルダの言葉にツボを刺激されたのか、桜はクスクス笑い始めた。
「な、何がおかしいのよ!」
「ご、ごめんなさい。貴女が自分は特別だって思ってるから」
「特別よ! 私は下等な人間より優れた吸血鬼なのだから!」
「そうですか。井の中の蛙なんですね。なら……大海を知らぬまま、焼け死になさい! 土御門流決戦奥義、『
そう桜は呟き、再び掌を頭上に掲げ、電撃を放つ。
「何度やっても無駄よ! 私には電撃は効かないわ!」
ヒルダの言葉をスルーした桜は……手を振り下ろした。
そして、落雷を落とす。
「……え?」
唖然とするヒルダ。
だから言っただろう。目の前にいるのは俺の妹なんだって。
俺と同じ体質を先祖代々受け継ぐ桜が使えないわけないだろう。
『雷神モード』を。
「さて、これで条件は同じですね?」
にっこりと笑った桜の笑顔はなんだかとっても怖かった。
『雷神モード』になった桜は誰にも止められなかった。速さはヒルダより、上回っていて、様々な陰陽術を使用し、ヒルダを翻弄し、風の式でヒルダの体に確実にダメージを与えていく。
『魔臓』による『無限回復力』に頼りきっているヒルダは桜の猛攻から逃れる術はもたなかった。
ショットガンのように無数に散乱する風の矢を受けたヒルダはついに、全ての『魔臓』を破壊されてしまったのだ。
「そんな……夢……これは悪夢だわ。ここにいるのは人間なんかじゃない。……そうよ、悪魔。悪魔の一族なんだわ」
吸血鬼に悪魔呼ばわりされるのはなんか凄く嫌な気分だな。
俺は悪魔じゃない。ただの普通の人間だ。
そんな内心のツッコミをしていると、ヒルダがフラフラしながら、まだ何かをやろうとしていた。
おいおい、もう勝負はついただろう。
桜は警戒をしたまま、ヒルダの周りに風の矢を展開している。
勝負はついた。これ以上戦わせる必要はないな。
「ヒルダ。桜。遊びはもう終わりだ」
威圧するように、そう言ってヒルダに近いた俺だが、おっとっと……小石に躓いてよろけてしまった。
幸い倒れることなく、なんだか柔らかいものに捕まることで、転倒はしなかったんだが……ん? この柔らかいものは一体なんだ?
むにゅむにゅ、してるこれは……一体⁉︎
「ひゃん⁉︎」
掌で感触を感じていると、そんな声が聞こえた。俺の額から大量の汗がぶわぁぁぁっと、流れ落ちる。
この両手に感じるこのパイナップルみたいな感触は……もしかして?
恐る恐る顔を上げると、涙目をしたヒルダさんと目があった。
ヒルダさんの顔は真っ赤に染まっていた。
うん。これは、あれだな。
「えっと……ご馳走様でした?」
パイナップルとってもよかったです。
そんな現実逃避をしていると。き、来た⁉︎
「兄、さん……」
「兄にぃ……」
「すばる……」
桜、橘花、理子。
そして。
「こ、この、エリマキトカゲの分際でぇぇぇぇぇぇ!!!!!」
羞恥心から怒りへとその心をシフトチェンジしたヒルダさんと妹達の怒声が響きわたった。
ああ、とっても。
「不幸だ______!!!!!」
叫びながら俺は逃走をはかった。死ぬ気で街中はしりまくった。だけど、修行で疲れ果てていた俺はついに捕まり。
そのあとメチャクチャ○○された!
〜回想終了〜
ああ、2年前よく生きてたな俺。
あの後、しばらく妹や理子、ヒルダから変態呼ばわりされたんだよな。
誤解なのに。ただのラッキースケベだったのに、どうやら俺はリトさんにはなれないみたいだ。
トラブルは頻繁に起こるのに。TO LOVEる⁉︎はないみたいだ。チキショウ!
「どう、昴? 今のはいい感じじゃない?」
昔を懐かしいんでいると、拳銃を手にした理子が話しかけてきた。
おっといけねえ。今は訓練中だった。
しっかり見てやらないと。
「あー、ダメだな。まだぶれてんぞ。というか、シングルアクションで撃てって言ったよな? 今の撃ち方、ダブルアクションでやったろう? 理子の体だとダブルアクションはまだ早い。手ぶれの原因になる。理子はまだ成長期なんだから、指先の負担が少ないシングルアクションで撃った方が狙いも安定するぞ」
ダブルアクションはトリガーを引けば撃鉄が下りて暴発も少ないっていう利点があるけど、その代りトリガーが重くなるからな。女性や子供が撃つなら指先に負担がかからないシングルアクションの方がいい。
ちなみに理子が使っているのはワルサーP38。シルバーメタリックモデル。父さんに頼んで探して貰った。理子の親父さんであるあの人が若い頃使っていた拳銃だから理子に持たせてやりたい、という理由を話したら見つけてくれた。流石に装飾は入っていないけど。理子が喜ぶ姿を見たかったから。
銃の腕前は原作理子と比べたらまだまだだが、確実に腕は上げている。といっても、すぐに調子に乗って教えてもいない撃ち方を試そうとしたり、かなりヤンチャだが。
カップ&ソーサーとか、そんな撃ち方どこで知ったんだ? 原作同様、ちょっと調子に乗りやすい困った奴だがその分、小学生から銃を撃ってるだけあり吸収力はもの凄い。
今の成長スピードでいけば原作開始時点で、キンジ印の曲芸技いくつか使えるようになってるかもしれないな。……やっちまったかな? と一瞬思ったが。
ま、大丈夫だろ。もし理子が原作通り伊・U入っても、人間辞めるキンジさんならきっとなんとかしてくれるだろう。キンジに丸投げ。後は知らん。
「えー」
俺の指摘に頬を膨らませる理子。ああ、可愛いなぁ、チキショウ。不貞腐れる姿も可愛い小学生相手なら許せる。これがむさいおっさんなら風穴開けてるところだけど。可愛いから許せる。
やっぱり小学生は最高だぜ!
「今のうちに基礎をしっかり身に付けて、変な癖があったら直しといた方がいいんだよ。基本が身に付けば応用技やるときも失敗するリスクが減るからな。
俺の言葉にやや不服そうにしながらも、理子は頷いて訓練を再開し始めた。
そんな理子を見ながら俺は来月から始まる新しい生活に胸を高まらせていた。
あのルーマニアでの冒険から2年。俺、星空 昴は小学六年生になっていた。来月から、神奈川武偵高付属中学に進学することになっている。
むろん、理子も一緒だ。
あの後、正式に家の家族となった理子は、養子として、星空性へと変わり、今や俺の妹と名乗っている。
峰の苗字が無くなることに理子は『母様は私のここにいる。だから、大丈夫。昴もいるし』と自身の胸に手を当てて、星空の一員になることに決めたみたいだ。
俺としては新しい妹が増えることは別にいいのだが……原作開始前にぶっ壊した影響がどう出るか、それが心配だ。
「兄さーん、ご飯出来ましたよ?」
部屋に設置されている内線から桜の声が聞こえた。
おっ、もうそんな時間か。今日はこのくらいにしとくか。
「おい、理子。夕飯だってさ」
「はあはぁ……うん、わかった」
息を切らせながら、理子は駆け寄ってきた。
額や首筋から汗を掻いていて、どこからか甘い匂いが漂ってくる。
うぐ、ここ2年で慣れたとはいえ、女の子から漂ってくるこの匂いに耐えるのは健康な男子には拷問にも等しい。だが、変な目で見ることなんてできない。
理子は大切な妹なんだから!
「あーもーお腹ペコペコ! 今日の夕飯何だろうね?」
「さあ、な。何でもいいさ。桜が作ったんならどんな料理でも美味いからな」
「……まったく、そんなこと桜ちゃんに言ったらまた怒られるよ(料理作れなくてわるかったね……昴のバカ!)」
「え? なんで?」
「『何でもいいが一番困るんです! 』って言われちゃうよ?」
「あー……確かになー」
でも、実際桜の作る飯はどれも美味いからな。
「桜が作る料理だから何でもいいんだけどな……」
「……昴の女たらし」
「何で⁉︎」
「昴なんて刺されちゃえ!」
「止めて! それ、シャレになってないから!」
転生してから今まで何度撃たれたり、刺されたりしてきたか。
言っとくが、俺は刺されて喜ぶ特殊な性癖ない、ただの人間だからな。
一般人だから。何処にでもいるちょっと筋肉あるただの小学生だから!
理子と漫才のような掛け合いをしながら地上へと通じる階段を上っていき、夕食を取るリビングに行くと、そこには桜、橘花、ヒルダ、父さん、母さん、そして、爺ちゃんの姿があった。爺ちゃんの顔は真っ赤になってる。床に酒瓶転がってるし、さては宴会やってたな。婆ちゃんはいないとはいえ……
まさに星空家オールスターズ大集合! って感じだ。
「「「昴、理子ちゃん進学おめでとう!」」」
俺達がリビングに入ると、クラッカーを鳴らして、桜、橘花、母さんがそう言ってくれた。
「え? え?」
「何だよ、これ。こんなことやるなんて聞いてないんだけど」
「うん、今言ったからね。二人とも武偵中学に無事合格したから、そのお祝いも兼ねてのサプライズだよ。
それに昴君には話さないといけないことがあるからね」
「話さないといけないこと?」
「うん。実は……」
父さんは何かを言いかけて。
「がっははは! 元気か、孫よ! 筋肉鍛えとるかー? 筋肉あれば、敵なし! 筋肉最強! 筋肉は生涯の友! 筋肉は友達! しっかり鍛えるんじゃぞ! ひっく……」
「あらあら、お父様ったらもうこんなに酔っ払って……仕方ない人ね。あなた、手、貸してもらえます?」
母さんの要請にあっさり頷いて母さんの方へ向かおうとしていた。
いやいや、まだ話し途中でしょ!
「あ、うん。実は昴君には婚約者がいてね。同じ中学に入学するんだけど……まあ、入学すれば分かるからいっか」
そして、軽〜〜ーい感じで爆弾を投下していった。
「いや、良くねえよ⁉︎」
そんなの初耳なんですけど!
俺何も聞いてないんだけど。
しかし、そんなの関係ねえ! とばかしに。
父さんが落とした爆弾は。
「……兄、さん」
「……兄にぃ」
「……昴」
「……ロドリゲス」
見事炸裂し、妹達+αのお怒りを買うこととなった。
「「「「婚約者って、どういうこと⁉︎」」」」
いや、そんなの……こっちが聞きてえよ!