モテ期と修羅場は同時にやって来るものである   作:藤龍

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ベタな状況は恋のスパイスである

 

 

 

 

 

 

 昼休み――今日も私は友香、愛莉、悠奈の三人と一緒に、1年B組の教室でお昼ご飯を食べていた。箸を進めながらたわいない会話を交えていると、悠奈がある話題を口にした。

 

「そういえばさ、隣のクラスの有賀さんって覚えてる?」

「有賀さん? ……ああ、中三の時、同じクラスだった。で、それがどうしたの?」

「いや、なんか彼氏が出来たんだってさ」

「へぇ、そうなんだ。……で、それが何?」

 

 そう、友香は興味無さそうな顔をしながら再度問い掛け、パクリと唐揚げを口にする。

 冷たい態度かもしれないが、友香の反応もごもっともだ。だって私達は別にその有賀さんと仲が良い訳でも無いし、友香は元クラスメイトとして覚えていたが、私にとっては名前すら覚えてないレベルの他人なのだから。

 そんな他人の交際報告を聞いたところで、「だから?」と答える以外無い。一体、悠奈は何を思いそんな事を口にしたのだろうか。

 その答えを、悠奈はパックの牛乳をストローでズズッと吸ってから、私達に告げる。

 

「いや、何でもその彼氏と付き合うまでの経緯(いきさつ)が物凄いベタだって、ちょっと噂になっててさ」

「ベタ……ですか?」

「まず、彼氏との出会い。遅刻しそうな有賀さんが走っている時に、偶然角から飛び出してきた彼とぶつかったのが始まり」

「……それは、随分とベタですね」

「そして、そんな彼が転校生として有賀さんのクラスにやってくる」

「またまたベタだね……」

 

 と、若干呆れたような目をしながら、友香は苦笑いを浮かべる。

 本当にそんな出会いというか、ラブコメみたいな事ってあるんだ……事実なのかどうか、ちょっと疑いたくなるけど。

 正直もうこの段階で結構お腹いっぱいだが、悠奈の話はまだまだ続いた。

 

「で、その二人は最初の内はとても仲が悪かった。犬猿の仲と言えるぐらいに。でもある日、彼女は恋心に目覚めるのだった」

「いや、なんでナレーションみたいになってるの。どうしたの悠奈」

「夏休みのある日……有賀さんとその彼はそれぞれの友人グループの付き合いで、同じ場所にキャンプへ行く事になった。そしてなんやかんやあって、男女でコンビを組んで肝試しを行う事に。そして有賀さんはなんやかんやあって、その彼とコンビを組む事に」

「なんやかんやって……」

「暗闇の森へ進む彼と有賀さん。怖いものが嫌いな有賀さんは当然心臓バックバク。だけど、彼女はそれを彼と一緒に居ることに緊張しているドキドキと錯覚してしまう」

「はぁ……いわゆる吊り橋効果と言うものでしょうか?」

 

 愛莉の質問に、悠奈は「その通り」と頷く。

 彼女は一体どの立場で話しているのだろう――非常にツッコミたい気持ちに駆られるが、ここまで来たら最後まで聞いてやろうと、私はツッコミ精神を抑え込んだ。

 

「で、なんやかんやあって、有賀さんは彼に恋心を抱く。そしてその彼もなんやかんやあって、有賀さんに恋をする」

「そこざっくりなんだ……というかなんで彼サイドの事情も知ってるの。それになんやかんや多用し過ぎでしょ。……はぁ、どこからツッコミ入れればいいんだか」

 

 私の代わりに、友香は連続でツッコミを放つ。が、悠奈は気にせず話を続行。

 

「しかし、そんな彼女達にある試練が襲い掛かる。その彼が、転校する事が決まったの」

「ええっ、転校ですか!?」

「当然、それを知った有賀さんはショックを受ける。私の恋はここで終わるのか……と。しかしそんな時、ある人物が彼女の背中を押した。そう、同じくその彼に恋心を抱いていた、有賀さんの親友が」

「誰。急に出てきたねその恋敵」

「その親友は、有賀さんにこう言った。『こんなところで、あなたの恋が終わっていいわけが無い。今からでも、彼に告白するのよ。悔しいけど……彼を幸せに出来るのは、千代だけなんだから』……と」

「……唐揚げ美味しい」

 

 とうとうツッコミを放棄し、無心で弁当を口にする友香。対して愛莉は続きが気になるのか、ドキドキワクワクした雰囲気を醸し出している。

 もう何がなんだか……というかその有賀さん、フルネーム有賀(ありが)千代(ちよ)って言うんだ……もう、どうでもいいや。

 

「親友に背中を押された有賀さんは、転校前日に勇気を出して彼に告白。そして彼もそれを受け入れ、二人はめでたく恋人になり、今は幸せな遠距離交際をしているんだとさ……おしまい」

「最後あっさりだね……ここまで来たらせめて盛り上げてよ」

「でも、素敵なお話じゃないですか。本当にそんなドラマみたいな事があるんですね」

「まあ、あくまで噂で、確証は無いんだけどね。あ、ちなみにその有賀さんは普段は地味だけど、眼鏡外すと超美人」

「そこもベタなのね……」

「あと、最近その彼と幼なじみだった事が判明したとか……」

「いや、もういいから! ベタ過ぎてお腹いっぱいだから!」

 

 と、友香は渾身のツッコミを放ち、長く息を吐いた。

 

「はぁ……なんたがそこまでベタ過ぎると、逆に呆れてくるわ。私はそんな経験したくないわ」

「そうですかね? 私はちょっとだけだけど、憧れちゃいますね。本屋で、偶然手と手が触れ合うとか……まあ、今の私じゃあすぐに逃げ出してしまうでしょうけど……出雲さんはどうですか?」

「私は……憧れはするけど……そういうのってどうなのかな?」

「ベタな展開や状況なんかは恋愛関係を進展させる良きスパイス。きっとベタな状況になれば、相手はベタ惚れ。……ベタだけに」

「……あ、この卵焼き甘い」

 

 悠奈のダジャレを見事にスルーして、弁当を食べる友香。ツッコんでほしかったのか、悠奈は若干ふてくされたような顔をして、パックの牛乳を飲む。

 

「ベタな状況ですか……でも確かにそんな状況に巻き込まれたら、恋に落ちちゃったりするかもしれませんね」

「ま、ベタな展開なんてそんな簡単に起きないでしょ」

「いや、ベタな展開はいつどこで起こるか分からない。もしかしたら今日、出雲は世名先輩とベタな状況に巻き込まれるかもしれない。特別な状況になったら、関係も進展するかもよ」

「アハハッ、流石にそう簡単には無いでしょ……特別な状況なんて」

 

 まあ、そんなベタな状況に先輩と一緒に巻き込まれたら……ちょっと嬉しいし、距離を縮めるキッカケにはなるかもしれない。

 でも、やっぱりそんな状況になる事はそうそう無いだろう。恋愛はそんなに簡単じゃない。だから、そんな状況になれたらいいな――ぐらいに考えてた方がいいだろう。

 

「はぁ……ベタな話はここまで。さっさとお昼食べちゃおう。次の授業体育で、着替えなきゃいけないんだから」

「あ、そういえばそうでしたね」

「……今日の体育って外だっけ?」

「外」

「うへぇ……外寒いのに……最悪」

「運動すれば暖まる。さ、急いだ急いだ」

「はぁ……憂鬱」

 

 

 ◆◆◆

 

 

「はぁ……寒い」

 

 体育の授業が終わり、皆が教室に戻る中、悠奈がガタガタと震えながら言った。

 

「本当……今日は寒いですね。運動したばっかりなのに、まだ体が冷えてます」

「ジャージだし、防寒も出来てるとは言い難いしね。ま、早いとこ校舎に戻ろ」

「だね」

 

 友香達と一緒に校舎へ向かって歩き出したその時、不意に靴紐がほどける。

 

「あ、もう……ついてないなぁ……」

「大丈夫? 出雲」

「うん……ごめん、先に行ってて」

「そうさせてもらう……私、もう限界……」

 

 と、悠奈は小刻みに足を前に進め、滑るように校舎に向かう。友香と愛莉もそれに続き、私は一人その場にしゃがんで、靴紐を結び直そうとする――が、寒さで手がかじかんで、上手く結べない。

 ビュービュー吹き荒ぶ冷風に当たりながら、頑張って格闘する事、約一分。ようやく靴紐を結び直す事に成功し、私はホッと息を吐く。

 早くこの寒空の下からおさらばだと、私も校舎に戻ろうとした、その時だった。

 

「ねぇ大宮さん、ちょっといい!?」

 

 と、つい先ほどの私達の体育の授業を担当していた女性の教師が、私を呼び止める。

 

「な、何か……?」

「いや、実は今そこで何故かバレーボールを見つけてね。きっと、誰かがイタズラで体育館の倉庫から持ち出したんだと思う……だから悪いんだけど、これを体育館の倉庫に戻しに行ってくれないかしら?」

「え、な、なんで私が……!?」

「ごめん! 私、急がないといけないの! 確か他のクラスが体育館使ってたはずだけど、もう終わってるはずだからさ。お願い! 今度お礼はするから!」

「……わ、分かりました」

 

 流石に教師のお願いを断る訳にもいかないので、私は渋々そのお願いを受け入れた。

 はぁ……本当についてない……まあ、体育館の倉庫に戻してくるだけだし、すぐか。寒いし、早く済ませて教室に戻ろう。

 先生からバレーボールを受け取り、足早に体育館へ向かう。

 

「えっと……倉庫は……」

 

 体育館に到着し、靴を脱いで倉庫のある方へ直行する。倉庫の扉を開き、中に入る。

 薄暗くて視界が悪く、跳び箱やマットなどがひしめく狭苦しい内部を、奥にあるはずのバレーボール入れる籠を目指して進む。

 しかし、半分ほど進んだところで――

 

「誰だ?」

 

 と、倉庫の奥の方から声が聞こえ、突然、一つの人影が姿を表す。

 

「うひゃあ!?」

 

 不意の出来事に、私は思わず悲鳴を上げ、その場に尻餅をつく。

 

「だ、誰か居るの……!?」

「……って、その声もしかして、出雲ちゃんか?」

「へ? ……あれ、この声って……」

 

 直後、人影が私の前に移動する。薄暗くてさっきはよく見えなかったが、人影の正体は、なんとジャージ姿の友希先輩だった。

 

「せ、先輩……!? どうしてここに……!?」

「いや、ウチのクラスさっきまでここで体育の授業してたんだけど……終わった後に、偶然天井から挟まってたバスケットボールやら何やらがいくつか落ちてきてな。で、残ってた俺が先生に片付けを頼まれた……て感じでさ」

「そ、そうだったんですか……」

「ところで、出雲ちゃんはどうしてここに?」

 

 と、先輩はそう言いながら私に向かって手を伸ばす。その手を取って立ち上がってから、私はここに来た事情を説明した。

 

「なるほど……ハハッ、なんか似たような理由だな」

「で、ですね……ビックリしちゃいました」

「さて、そういう事なら早く片付けちゃおうか。俺も手伝うよ」

「え、いいですよそんな!」

「いいっていいって。というか、俺もまだ片付け途中だし。さっさと二人で片付けちまおうぜ」

「あ……はい!」

 

 まさかこんなところで先輩と二人っきりになれるなんて……ついてないって思ってたけど、超ラッキー!

 少しばかりテンションが上がってしまい、ここに来た目的を一瞬忘れ掛けたが、奥まった場所から籠を引っ張り出す音が聞こえ、慌てて先輩の下へ向かう。

 

「……ん?」

 

 一緒にボールを片付けていると、不意に先輩が入口の方へ首を回す。

 どうしたのだろうと、しゃがんだ状態から立ち上がろうとした寸前――突然、倉庫の入口が大きな音を立てて閉ざされる。そしてその直後に、ガチャン! という音が響く。

 

「…………え?」

 

 突然の事に、私は思わず呆然としてしまう。

 今の音って……鍵が閉まった音だよね? え、待って。という事は私達……閉じ込められた?

 

「……えぇ!?」

 

 ようやく理解が追い付き、私は慌てて入口の方まで走って、扉を叩く。

 

「すみませーん! まだ中に居るんですけどー!」

 

 思いっきり叫ぶ。が、返事は無い。

 

「……もう、誰も居ないっぽいね」

「そ、そんな……私達、まだここに居たのに……!」

「まあ、こんな暗がりだし、俺達奥の方に居たからね……気付かないのも仕方無いよ」

 

 確かに、私も最初は先輩の事には気付かなかったし……物陰に隠れるような状態になってたから、気付く方が難しいだろう。

 

「とはいえ、困ったな……これってつまり……閉じ込められたって事だよな」

「で、ですよね……ど、どうするんですか……!?」

「うーん……まあ、今の俺達がどうにかする事は出来ないし、大人しく待ってようか。次の授業に俺達が参加して無かったら、流石に誰か気付くだろうしな」

「そ、そうかもしれませんけど……先輩、なんか冷静ですね……?」

 

 正直、私は不安が大きい。閉じ込められるなんて、普段は絶対経験しないよう出来事なのだから。先輩が普段からこういうのに慣れてるとも考えられない。

 

「ふ、不安じゃないんですか……?」

「いや、正直めちゃくちゃ不安だよ。でも、俺がテンパってたら、出雲ちゃんはさらに不安になるだろ? だからここは先輩として、ドンと構えようかなぁ……なんて」

 

 と、先輩は照れ臭そうに頭を掻く。

 先輩、私を気遣ってそんな事考えてくれてたんだ……なんか、キュンときちゃった。

 こういう普段は無いシチュエーションだからだろうか、なんとなくいつもより数倍ドキドキする。これも、昼休みに話していた吊り橋効果というやつなのだろうか。まあ、私の場合は先輩にもう惚れてる訳だし、少し違うのかもしれないが。

 

「……ん?」

 

 と、吊り橋効果の事を思い出すと同時に、昼休みに話していた事が思い返される。そう、ベタな状況についての話。

 体育倉庫に男女が閉じ込められる……よく考えてみると、これって凄いベタな状況じゃない? アニメとか漫画でよく見るし。ベタな状況ってやつの定番とも言えるよね。

 まさか、悠奈が言っていた事が現実になるとは……本当に先輩とベタな状況に巻き込まれてしまった。

 

「……あれ?」

 

 待てよ……よく考えると今、私って先輩と……密室で二人っきり……? しかも視界が悪い薄暗い場所で、体育倉庫っていう、ちょっといけない空気がある場所で……?

 と、私達の現状を理解した瞬間――変な汗が滲み出て、全身がお風呂上がりのように熱くなった。

 せせ、先輩と密室で二人っきり……! い、意識し始めたら、なんだか急激に緊張してきたんだけど……! どどど、どうしよ……何したらいいのかな? というか何かするべきなの? というか何かされちゃうの!?

 テンパっているせいか、自分でも何を考えているかがさっぱり分からなくなる。とりあえず落ち着こうと、深呼吸をしようとした瞬間に、先輩が声を掛けてくる。

 

「出雲ちゃん?」

「ふぁい!?」

「その……さっきからブツブツ呟いてるけど、大丈夫?」

「だ、大丈夫です! わ、私、なんでも大丈夫ですから! なんでもどうぞ! せ、先輩の事なら、なんでも受け入れますから!」

「……どういう事?」

「へ……? ……あ、いや、今のは違っ……!」

 

 動揺して変な事口走っちゃった……! 落ち着け私!

 

「えっと……とりあえず、大人しく座ってようよ。変に体力消耗したら、危ないだろうしさ」

「は、は、はい……!」

 

 改めて深呼吸をしてから、先輩が座る積み重なったマットの上に、私も腰を下ろす。

 

「…………」

「…………」

 

 それからお互い、少し距離を離して、無言のまま助けが来るのを待つ。

 ど、どうしよう……凄く気まずい。で、でもこれって……絶好のチャンスだよね? 悠奈も言ってたけど、こういう機会は、恋愛関係を進展させるかもしれない。きっと先輩だって、こんな状況でドキドキしてくれてる……はず。

 で、でも何をすれば……? やっぱりこういう場所だし……い、色仕掛けとか? 先輩だって男性なんだし……って、無理無理! そんなの恥ずかしすぎてどうにかなっちゃうし、不健全だし! でも、他に何も思い浮かばないし……

 この機会に少しでも先輩との距離を縮める為に、必死に頭を捻るが、緊張のせいもあり、なかなか良いアイデアが思い浮かばない。

 はぁ……駄目だな、私……いつもは積極的に行けるのに、こういう特別な状況になった途端に、緊張して何も出来なくなっちゃう。

 自分の不甲斐無さに落胆していると、どこからか吹いた隙間風が私の全身を撫でる。

 

「ハ……クシュン!」

「だ、大丈夫?」

「は、はい……」

「今日寒いもんね……カイロとかあればよかったんだけど……」

 

 そう呟き、先輩は一瞬考えるように顎に手を添えると、突然上着を脱ぎ出す。

 

「せ、先輩……!?」

「ほら、これ羽織りなよ。少しは暖かくなると思うよ?」

「え、でも……それじゃあ先輩が……」

「俺なら平気だよ。男の子だしな」

 

 と、先輩は笑顔を作る。そんな事を言っているが、先輩は上着を脱いだら上は半袖一枚だ。そんなの、寒くて仕方無いはずだ。それでも、先輩は私の為に寒さを我慢してくれているんだ。

 こんな事されたら……もっと好きになっちゃうよ。……まあ、もうこれでもかってぐらい好きになってるんだけどね、私は。

 私は、そんな大好きな先輩ともっと親しい仲になりたい。もっともっと近くに行って、もっともっと先輩の魅力を知って、もっともっと先輩を好きになりたい。

 そしてその為には、先輩に私の事をもっともっと好きになってもらわなくちゃいけないならない。その為に――もっともっと頑張らなきゃ、私!

 

「……ねぇ、先輩」

「ん?」

「あの、ね……その、まだ少し寒いからさ……先輩にくっ付いても……いい?」

「えっ…………ま、まあ、いいけど……」

「……ありがとうございます」

 

 小さくお礼を言い、私は先輩の腕に抱き付いた。彼の冷えた腕を暖めるように包み込み、そっと身を寄せる。先輩の感触に私の体温が、胸の奥からグングン上がっていくのが分かる。

 いつもと変わらない。先輩に抱き付いて、思う存分甘えるという行為。けれど不思議といつもより、心のドキドキや喜びが、大きかった。これも、こんな特別な状況だからだろうか? 先輩も、いつもよりドキドキしてくれてるのだろうか?

 そんな事を考えながら、私は無言のまま密かに笑みを浮かべて、ずっと先輩に寄り添った。

 

 しばらくすると、私達が居ない事に気付いた先生達がやって来て、倉庫の扉を開けてくれた。助かったという安心と、ほんの少しの残念という気持ちを抱きながら、私は先輩と一緒に外へ出た。

 この短い時間で、先輩との関係が進展したかどうかは、正直分からない。けど、今はそれでいい。少しずつでいいから、先輩に寄り添っていこう。先輩だって、少しはドキッとしてくれるはずだから。

 小さなドキドキが、やがて大きな恋心に変わる――それもある意味ベタな展開……だよね?

 

 

 

 

 

 




 今回は出雲視点。ラブコメの定番中の定番なお話。
 なんだか、ヒロイン視点だと友希が無駄にイケメンな感じになってる気がする。恋する乙女フィルターかかってるし、仕方無いね。





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