「…………参ったな……」
ある日の放課後。多くの生徒が下校、部活に向かう中、私は一人、女子トイレで鏡と向き合っていた。当然鏡に映っているのは私の顔――のはずなのだが、視界がぼやけていて上手く識別出来ない。
「やはり……どうしても視界がぼやけてしまうな……」
ぼやきながら、グッと目を凝らしてみる。先よりは多少マシになったが、それでも鏡に映るのが私の顔であると、どうにか認識出来る程度だった。
ここまで視力が下がっていたか……昔はもう少しまともだった気がするんだがな……近々眼科にでも行った方がいいかもな。
私は小学生の頃から視力が悪い。多分、アニメや漫画などをずっと見ていたのが原因だろう。ただコンタクトレンズを付ければ普通に見えるし、日常生活で特に不自由は無い。
だが、今の私はとある事情からコンタクトレンズを付けていない裸眼で、視力が著しく低下している状態なのだ。なので視界に映るものはほとんどぼやけていて、遠くにあるものに至っては見えないに等しい。
そんな不便で仕方無い状況になった訳は、至極単純だ。つい先ほど、教室から下駄箱へ向かう途中の階段で、躓いた拍子にうっかりコンタクトレンズを落としてしまい、さらに探している最中にそのコンタクトを踏み潰してしまったのだ。
普段なら鞄の中に有事に備えて予備のコンタクトや眼鏡を入れているのだが、運の悪い事に今日は持ち歩いていなかった。
なので、今の私には瞬時にこの視力を元に戻す方法が無い。つまりこの視界がぼやけた状態のまま、家まで帰らなくてはならないのだ。
ぼやけるとは言っても、何も見えないという訳では無い。目の前に何があるか、それぐらいは判断出来る。困難ではあるだろうが、帰れない事は無い。
だが外が暗くなってしまったら、さらに視界が悪くなるかもしれない。今日から12月だし、最近は日が落ちるのも早い。帰るなら出来るだけ早めに動いた方がいいかもしれない。
「自分の不注意が招いた結果だ……甘んじるしかないか」
こうなってしまったものは仕方無いと、自分のミスに落ち込むのは止め、鞄を持って足早に女子トイレを出た。
次の瞬間――出てすぐの踊り場で、通りすがりの男子生徒にぶつかってしまった。
「ご、ごめんなさい!」
慌てて一歩下がり、頭を下げる。
視界がぼやけて距離感が掴めなかった……学校の中でこんななのに、家に辿り着けるのか?
「いや、こっちこそごめ……って、海子じゃないか」
無事に帰宅出来るのか不安に思っていると、ぶつかった男子生徒のそんな声が聞こえ、私は慌てて顔を上げる。しかし、やはり視界がぼやけて顔がよく見えない。だが、声だけで目の前に居るのが誰なのかは分かった。
「その声……と、友希か……?」
「そうだけど……目の前に居るのに、なんで疑問系なんだよ」
「い、色々あってな……」
苦笑しながら、私は目を細める。次第に視界が定まり、友希の(恐らく)不思議そうにした顔が見え始める。
彼の顔を見て、ほんの少しばかりホッとした気持ちになりながら、私は改めて友希に謝罪の言葉を掛けた。
「わ、悪いな、ぶつかってしまって」
「こっちこそ、悪かったな。にしても……なんだか様子が変だぞ?」
「あ、ああ……実は――」
一旦壁際へ移動してから、私は事情を説明した。全てを聞き終えると、友希は納得したように頷く。
「なるほど……そういえば、海子はコンタクト付けてたんだったな。それで今は丸っきり、何も見えないのか?」
「いや、そこまででは無い。お前の顔も、目を凝らして距離が近ければなんとなくだが見える。ただ……」
視線を隣に立つ友希から、数十メートルほど離れた一階の下駄箱の方へ向ける。
「あそこに集まる人は、なんというか……黒い影が集まったようにしか見えないな……」
「結構酷いんじゃないかそれ……海子、これ何本?」
と、友希が右手を自身の顔の横まで上げる。
「…………二本か?」
「……結構酷いなこりゃ……」
と呟きながら、手を下げる。どうやら不正解だったようだ。
「本当に大丈夫かよ? 水樹さんに迎えに来てもらったらどうだ?」
「こ、高校生にもなって、そんな理由で迎えに来てもらえるか! それに今日は母さんは家を空けているから、どうせ呼べない」
「そうか……」
「……心配してくれるのは嬉しいが、私は大丈夫だ。帰るだけなら問題は無い」
「さっき俺とぶつかった人に言われてもなぁ……きっと距離感掴めないんだろう?」
「うっ……」
図星を指され、思わず言葉が詰まる。
友希の言う通り、今の私はまともに距離感も掴めない。さっきまでは行けると思ったが、正直不安が大きい。目の前にある階段も無事に降りられるか不安になってきた。
普段、コンタクトを外すのは狭い風呂場や自室ぐらいだからな……ここからどうなるかは私にも分からない。視界が広いと余計にぼやけるだろうし、校舎から外に出たら、きっとさらに視界が悪くなるに違いない。
どうしたものかと頭を悩ませていると、私の不安に気が付いたのか友希が、優しい声色で言葉を掛けてきた。
「しょうがない、俺が家まで送ってやるよ。それなら少しは安全だろ?」
「送るって……そ、そんな事してもらうのは申し訳無い! それに、お前の家は私の家と反対方向だろう!」
「気にしなくていいよ。というか俺としてはこんな状態のお前を無視して帰るなんて、心配でならないよ。お前だって、立場が逆なら同じ事するだろう?」
「そ、それは……」
「だからさ、気にしなくていいよ。俺はお前の助けになりたいからこう言ってる訳。だから、素直に受け取ってくれる方が嬉しいんだが……どうだ?」
「…………」
そうだ……こんな状態の私を、お人好しなこいつが放っておける訳が無いに決まってる。私はそれをよく知っているではないか。私は友希のそういうところに憧れ、好きになったのだから。
「……ならその好意、有り難く受け取っておこう。頼めるか?」
「おうよ。そんじゃ、暗くなる前に行こうぜ」
そう言って、友希は私の方へ左手を差し出す。
「な、なんだ……?」
「一人じゃ歩くのもおぼつかないだろ? 俺が引っ張ってやるよ」
「引っ張って……って!? そそそ、それはつまり……てて、手を繋ぐという事か……!?」
「ま、まあそうだな……そうじゃないと危ないだろう?」
「た、確かにそうだろうが……」
「恥ずかしいのは分かるけど、この方が安全だろ? ……嫌なら、止めるけどさ」
「い、嫌では無い! 嫌な訳があるか!」
恥ずかしくはあるが、目が不自由な私を、友希が手を引いてエスコートしてくれる――そんな一度は憧れを抱くようなシチュエーションを、みすみす逃す訳にはいかない!
こ、これはチャンスだぞ海子……こんな状況、距離を一気に縮める良い機会だ! 災い転じて福となすとは、まさにこの事だ! それにもし距離を縮める事が出来なかったとしても……絶対幸せだし、損は無い!
このビッグイベントを見逃す訳にはいかないと、私は恥ずかしさをどうにか抑え込んで、差し出された友希の左手に、自分の右手をそっと乗せた。直後、友希がキュッと私の手を軽く握った。
「ヒウッ!?」
「わ、悪い、痛かったか?」
「ななななな、何でも無い! 気にしなくていい!」
「そ、そうか……じゃあ、行くぞ」
ゆっくりと、友希が私を優しく引っ張りながら歩み始める。
心臓が信じられないぐらい高鳴ってる。息苦しいし、真冬だというのに顔がとてつもなく熱い。だが、とても幸せだ。自然と口角が上がってしまうし、今すぐぴょんぴょん飛び跳ねてしまいたいぐらい興奮してる。
だが、それと同時に物凄く恥ずかしい。きっと他の生徒達の視線を集めているだろうし、やっぱりいくら経験しても手を繋ぐのは恥ずかしくて堪らない。
……友希は、どう思っているのだろうか? 同じように恥ずかしがっているのだろうか? それとも……幸せだと思ってくれているのだろうか? 表情を確認出来ないのが残念で仕方無い。
どう思ってるのか聞いてみようか……そう思ったが、そんな勇気が私にあるはずも無く、開きかけた口をそっと閉ざした。
てもまあ……私はとても幸せだし、今はそれでいいか。
友希の力を借りながら階段を降り、下駄箱から靴を取り出し、どうにか校舎を出て、そのまま校門を抜ける。
「こっから自転車とかも通るし、気を付けろよ?」
「そ、それぐらい分かっている」
母親みたいな注意にそう返すと、友希は「それじゃあ行くぞ」と言ってから、私の手を引く。その力に身を委ね、足を前に進める。
案の定、視野が広がった事で視界がさらにぼやけたが、友希の手から伝わってくる暖かさ、正面にうっすらと見える彼の背中のお陰で、不安などは一切抱く事は無かった。
とても安心する……出来る事なら、ずっとこうしていたい……もしまた同じような事になったら、友希はこうして私をエスコートしてくれるのだろうか? って、いくら何でもそれは駄目だな。友希にそう何度も迷惑を掛ける訳にはいかない。
今日はあくまで特別だ。意図的に助けを乞うなど、言語道断。二度と同じようなミスを犯さぬよう、注意しなければ。……ただ、もう一度ぐらいはこうしてもらいたいかも……って、何を考えてるんだ私は!
同じような迷惑を掛けてはならないという感情と、またこうしてもらいたいという感情が心の内で葛藤を繰り広げる。一向に定まる気配の無い気持ちに、思わず溜め息がこぼれる。
「はぁ……」
「溜め息なんかついて……どうした?」
「い、いや、何でも無い……気にしないでくれ」
「そっか……あ、海子。正面から自転車来てるから、こっちに」
「むっ、分かった……」
友希の警告に、私は道の端へ移動する。友希も同じように端へ移動。そのまま自転車が通り過ぎるのを待つ。
「……よし、もういいぞ」
「ああ……本当に悪いな。こんな面倒な事に付き合わせてしまって」
「だからいいって言ってるだろ? そう思うんだったら、早く帰っちまおうぜ」
ぼやけてよく見えないが、友希は暖かな笑顔を浮かべて、再び私の手を引っ張る。
友希の奴、本当にお人好しだな……こんな面倒事に付き合わされても、文句一つ言うどころか一生懸命、私の為に動いてくれている。
きっと彼は誰に対してもこう優しく、全力で助けになろうとするだろう。だがそれでも、私は嬉しい。私の為にここまでしてくれる事が……とても嬉しい。
少し言い過ぎかもしれないが……私はきっと今この瞬間、世界で一番の幸せ者だ。大好きな人に、ここまで優しくしてもらえるのだから。
「……どうしたんだよ、ニヤニヤしてさ」
「えっ!? な、何でも無い!」
「なんかそればっかり聞いてる気がするな……まあいいや。そろそろ着くぞ」
「も、もうそんなところまで来たのか……」
慌てて辺りを見回す。相変わらずぼやけてはいるが、確かに周囲には見覚えがある光景が――自宅周辺の景色が広がっていた。私が幸せに浸っている間に、随分時間が経ったらしい。
あっという間だったな……幸福な時間とは、一瞬で過ぎ去ってしまうものだな。
もうすぐ、この時間が終わってしまう。家に着けば予備の眼鏡があるし、もう友希にエスコートしてもらう理由も無い。
もっとこの時間を味わっていたい――そんな願いも虚しく、ピタリと友希が足を止めた。顔を上げると、そこには私の家があった。
「なんとか無事に着いたな」
「そ、そうだな……ありがとうな、友希」
「どう致しまして。流石に家の中なら大丈夫だよな?」
「あ、ああ……そうだな」
「これで一安心だな。一応、玄関まで付き添うよ」
友希は私を引っ張って玄関前まで移動し、そこで背後の私と位置を入れ替える。扉の正面に立った私は、手探りで家の鍵を探し出し、それを鍵穴に差し込む。
この玄関を抜ければ、終わってしまうんだな……短い幸せだったが、いい思い出になったな。
時間にすれば三十分も無いが、決して忘れられない記憶となった先の事を思い返しながら、鍵を開けて扉を開く――寸前、私は手を止めた。
幸せだった……本当にそれだけでいいのか? ……そうだ、折角の機会なんだ。それだけで終わるなんて駄目だ。この機会に、もっと距離を縮めなくては。
ただでさえ私は恥ずかしがり屋で、積極的にアピール出来ないんだ。ならばこういう機会にこそ……攻めなくてはならない!
「……海子?」
「……と、友希! その、なんだ……お、お礼と言ってはなんだが……お茶でも飲んでいかないか……?」
「えっ……」
「と、というか……お、お茶を飲んでいけ! お礼ぐらいしないと気が済まんからな!」
「……そういう事なら、お言葉に甘えて。一杯貰うとするよ」
と、友希はうっすらとした笑みを浮かべた。きっと、私の考えを悟ったのだろう。
それは少し恥ずかしかったが、気にしてもキリが無いと吹っ切り、扉を開けて友希を招き入れる。
「私は予備の眼鏡を取りに上へ行くから、お前はリビングで待っていてくれ」
「一人で大丈夫か?」
「流石に家なら平気だ。ゆっくりしててくれ」
まだ裸眼なのでぼやける事に変わりは無いが、見えない訳でも無いし、上り慣れた我が家の階段なら平気だろう。
友希がリビングに向かうのを見送ってから、階段を上って二階の自室に向かう。部屋に入ってすぐに、予備の眼鏡がある机の引き出しを探る。
「あった……これで、よし……」
見つけたケースから取り出した眼鏡を掛けて、ゆっくりと目を開ける。次第に、ぼやけていた視界がクリアになっていく。
「ようやくだな……ふぅ、目が渋くて堪らんな……」
全てがぼやけた世界から、いつも見ている世界に戻ってこれた事に安堵し、一息つく。
さて……ゆっくりしたいところだが、友希を待たせる訳にはいかないし、リビングに向かわないとな。一人で待たせて、退屈してるだろうしな。
扉を開けて部屋を出ようとした、寸前。私はピタリと動きを止めた。
待てよ……確か母さんは今、出掛けて居ない……つまり、今この家には私と友希しか居ない……私達は今、二人っきり……という事か……?
その事実に気が付いた瞬間――全身が直射日光を受けたように熱くなり、私はその場に頭を抱えてうずくまった。
「ふふふふ、二人、二人っきり……!」
い、今まで気付かなかったが……私はとんでも無い事をしてるんじゃないか!? だ、誰も居ない家に招き入れるだなんて……そ、そんなのまるで……って、何を想像してるんだ私は!
一瞬、変な妄想が頭を過ぎり、私は慌てて首を左右に振って、それを脳内から消す。
と、とりあえず落ち着け、雨里海子! 私はただ、今日のお礼をする為に友希を招き入れただけだ。ただそれだけだ。そのついでに仲良く話したりして、距離を縮めようと考えてるだけだ。
余計な事は考えるな。そんなだから、いつまで経っても前に進めないんだ。むしろチャンスだ。二人っきりなら、ゆっくりと話せるんだ。いつも通り、ナチュラルに接するんだ!
立ち上がり、何回も深呼吸を繰り返してから、部屋の外に出て、そのままリビングに直行する。
「ま、待たせたな……」
「お、もう目は大丈夫か?」
「まあな……少し疲れてるぐらいで、問題は無い」
「ならよかった。…………」
ジッと、友希は何故か私の事を見つめてくる。
「な、なんだ……?」
「いや、やっぱり海子、 眼鏡似合うなって思って。凄く可愛いよ」
「きゃわ……!? なな、何を言ってるんだいきなりぃ!」
「あっ……わ、悪い、つい思った事が口に出て……」
「うぐっ……! お、お茶を淹れてくるから待ってろ!」
グルリと方向転換して、キッチンへ向かう。
あんな事を軽々と口にして……折角普通に接しようとしたのに、平常心が保てないではないか!
今すぐにでもはしゃぎ回りたいぐらい嬉しかったが、どうにかその興奮を抑え込んで、友希へ出すお茶を淹れる事に全神経を集中させた。
数分ほどで二人分のお茶を淹れ終え、すぐさまリビングに戻る。
「あ、熱いから、冷ましてから飲め」
「ど、どうも……」
友希も先の事で気まずさを感じているのか、どことなく微妙な表情を浮かべながら、私から目を逸らす。
全く、そうなるんなら、あんな事を言うな……こっちまで気恥ずかしくなるではないか……だけど、ここで気まずいまま黙っている訳にはいかない。このチャンスに攻めると決めただろう。恥ずかしいからって逃げるな。思い切って言え、私!
「あ、改めて、今日は助かった。ありがとう」
「あ、ああ。いいって事よ。海子の助けになったのなら、俺も嬉しいよ」
「フッ、お前は相変わらずだな。……そ、それでだな」
「な、なんだ……?」
「お前はいらないと言うかもしれないが、私としては、こんなお礼では満足出来ないんだ。だから、その……よ、よかったらなんだが……う、ウチで夕飯を食べて……いかないか?」
私がそう言うと、友希はパチパチと数回まばたきをしてから、口を開く。
「そ、それって……?」
「きょ、今日は母さんの帰りが遅くなるらしくてな、それで夕飯を私が作る事になってるんだが……お前も一緒にどうだ?」
「それって……海子の手作り料理がお礼って事か……?」
「ま、まあな……お礼代わりにならないかもしれないが……私は……その、出来ればお前と、もっと……一緒に居たい」
有りっ丈の勇気を振り絞りそう告げると、友希は顔を赤くして頭を掻く。その反応に釣られ、私の羞恥心も一気に上昇する。
迷惑だっただろうか? 断られないだろうか? 色々な不安を抱えながら返答を待つ事、数秒。
「……じゃあ、頂こうかな」
と、友希は小さく口にした。
「ほ、本当か!?」
「折角の好意、断る訳にはいかないしな。それに海子の手料理、食べてみたいしな」
「そ、そうか! そうか……うん、任せろ! とびっきりの料理を作ってやる!」
「ハハッ、期待してるよ。じゃあ、ちょっと家に電話してくるわ」
そう言って、友希は携帯を片手に廊下へ出る。
「…………やった……!」
勇気を出した甲斐があった……これでもっと、友希と一緒に居られる! もう少しだけど、彼と一緒に居られる幸せな時間を過ごせるんだ!
嬉しい気持ちが抑えきれず、ついテーブルを小刻みに叩いてしまう。
って、イカンイカン……ここからが本番だぞ。折角掴んだこのチャンスで、どれだけ距離を縮められるかが大事なんだ。
確かに今日みたいな一瞬の幸せでも、私は十分なほどに幸せだった。だけど、それで満足しては駄目なんだ。友希との時間を、彼との幸せな時間を、もっと長く求めなければならない。そうでなくては、恋人なんて遠い未来だ。
一瞬の幸せを積み重ねて、もっと長い幸せを過ごして……そしていつか、永遠の幸せを手にするんだ。彼の彼女になって!
「よし……頑張るとするか!」
その為にまず、今日という一瞬を、出来る限り幸せに過ごすんだ。例えとても小さくても、きっとそれが永遠の幸せへの大切な一歩になるはずだ!
またまたヒロイン視点でお届け。今回は海子視点のお話。
もうちょっとハプニングがあってもよかったかもしれない。少し物足りない感じで申し訳無い。