城下町のダンデライオン〜長男は魔法使い〜   作:ソール

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第二十五話 中編

 

修学旅行:二日目

 

二日目はいよいよシャルロット城の城内とこの国の城下町の案内の予定である

 

今日一日はこの予定でこの国を回ることになっている。今日はクラス全体での行動になる。真は朝になると、決められた時間で食堂で朝食を済ませる。そして貴重品だけを持って、全員ホテルの前で集まる。ホテルの前ではシャルロット城行きのバスが待っている

 

そして今回の案内役は

 

昨日も真が携帯で連絡しているとは思うが、案内役は彼女が今回やる予定になっている

 

その人物は

 

 

「初めまして皆様!私はこの国の第一王女の『エヴァ・ウェールズ・シャルロット』と言います。今日は私たち王家の城を、私自らがご案内させていただきます。皆様、よろしくお願いします!!」

 

 

「うお!?あのエヴァ様だ!?」

 

「この国の王女にして、アイドルでもあるこの方が案内してくれるなんて・・・なんて良い日なの!」

 

「真?もしかしてあなたが!?」

 

 

「ああ、昨日彼女が電話をしてきてね、せっかくだから彼女に案内役を任せた。彼女は昔からの外国の友人で、初めて外国の友人になる」

 

 

今回の案内役はこの国の第一王女、シャルロット家長女のエヴァ・ウェールズ・シャルロット

 

シャルロット王家の長女にして、歌手としても営むお姫様。金髪でブロンドの長い髪の女の子。彼女は真の昔からの友人。真とは同い年。彼女はこの国のお姫様。知らないことなんて何一つ無い。彼女の方がとても詳しいため、今回の案内は彼女にして貰うために、真は頼んだ

 

そして

 

 

「真!昨日ぶりね!昨日はよく寝れた?」

 

「ああ。こっちの国のベットもフカフカで、ヘタをすると寝過ごしそうだよ」

 

「それはよかった。今日は私に任せてね。真に私たちの国の魅力を全部教えるんだから!」

 

「ああ、できれば俺だけじゃなくて、みんなにな。それと案内役なんだから、あんまり俺にくっ付かれても困るんだから」

 

「そうよ、エヴァ。案内役なんだからしっかり仕事をして」

 

「あら葵。昨日ぶりね。せっかく真に会えたのに、邪魔をするなんて、酷い妹ね」

 

「兄さんにベタベタしながら案内なんて、できるわけないでしょ?」

 

「そうかしら、私は真と一緒でもそれくらいできるわよ?」

 

「それが目当てな癖に」

 

「そんなことないわよ。私はこれでもこの国の王女です。これくらいの仕事はしっかりするのですよ?」

 

「じゃあ兄さんにベタベタくっ付かないでよ?」

 

「それは久しぶりに会えたんだから、するに決まっているでしょ?私たちの国のスキンシップよ。ねえ真?別に嫌じゃないでしょ?」

 

「別に構わないけど、いつまでもは困る。少しは配慮してくれ」

 

「ほら、兄さんだって困っているじゃない」

 

「違います。真はいつまでもが困るだけで、時と場によってはいいでしょ?」

 

「まま、時と場によるならな」

 

「兄さん!エヴァを甘やかさないでよ!」

 

「やれやれ・・・・・」

 

 

久しく会ったのか、エヴァは案内役でもあると言うのに、真にベタベタと右腕を抱き締める。そんな姿に葵が注意する

 

いくら友人同士でも、節度を弁えないで、彼に近づくのに、葵は不満だった。

 

まあ、そんなやり取りを見る限りでは、他の生徒においては

 

 

「なあ真。お前、あのエヴァ様とも知り合いだったのかよ!?」

 

「ああ、そういえばお前達は彼女のファンだったんだな」

 

「なんで教えてくれないかったんだよ!?知ってたらサイン頼もうと思ったのに!」

 

「彼女と会う機会なんて言うほど無い。あって数年の王族会議の合間くらいだ。サインが欲しいならあとで頼んでおくよ」

 

「しかも、あのエヴァ様がお前にかなり懐いているじゃねえか、もしかしてエヴァ様はお前に惚れているんじゃないのか?」

 

「そうか?さっきも彼女が本人に聞く限りじゃあ、ただのスキンシップみたいだし、彼女は少しお茶目な所があるからたまにそういう事をするだけな少し面白い子なんだがな」

 

 

エヴァ・ウェールズ・シャルロットは世界においても人気な少女。シャルロット家でもありながら歌手でもある

 

世界にも放送される有名な音楽番組があり、その番組に必ず彼女は出演している程。真の国でも有名なアイドル歌手でもある。だから真の国でもファンは多く居て、彼女が真の国に来日した時はファンが殺到する程である

 

友人の話を聞いて、真も確か光が『彼女みたいなアイドルになりたい』とか呟いていたのを思い出す。それ程彼女は世界でも有名であると言うことだろうと、真は友人の偉大さを今更になって思い知る

 

 

「葵、もしかしてそうなの?」

 

「うん、エヴァ。昔に兄さんにとある事で助けて貰って、それ以来彼女は兄さんのことが大好きになったの。兄さんはそんなことは全然気づいてないけど」

 

「確か、あのエヴァさんの下に、まだ妹さんが何人も居ますよね?まさかその妹さん達も」

 

「そうよ、ほとんどの子も兄さんを気に入っているのよ」

 

「真の奴、本当にモテるんだな。その内ハーレム王子になりそう」

 

「しーちゃん!それ言わないで!私が一番警戒していることなんだから!」

 

 

「何を警戒しているって?」

 

 

「あ、エヴァ」

 

「もしかして・・・・その子達が真が言っていた。一番仲の良い友人?」

 

「うん、そうだよ」

 

「あ、初めまして菜々緒です」

 

「卯月です」

 

「静流です」

 

「へえ・・・・・見る限り、あなた達も真を狙っているのね」

 

「「「へ!?」」」

 

「言っておくけど、私だって彼を狙っているんだから、簡単に譲ったりなんてしないわよ」

 

「お!中々言うね。この子も」

 

「ま、負けません!」

 

「そう簡単に譲ったりなんてしないぞ」

 

「ちょっとみんな!兄さんは私の大事な家族よ、勝手に取り合いなんてしないで!」

 

「「「「一番狙っている人に言われたくない!!!!」」」」

 

 

「先生、すみません。あのエヴァって言う王女はああ言う子なんです。少し抜けている部分ありますが、今日はこんな感じになりますのでお覚悟してください」

 

「あははは、むしろ真くんも、あの会話を聞いても何も言わないのね?」

 

「内容は聞こえませんが、見る限りではもう菜々緒達と仲良くなっているようで何よりです」

 

「真くんって、鈍感なのね」

 

「ん?」

 

 

真は葵たちの会話は残念ながら聞こえてはおらず、ただ側から見て仲良くしてそうだと、あまり会話については気にならず、しっかり案内できるかどうか、不安を見せる節はあると、先生に説明するだけの真だった

 

先生も葵達の気持ちに女性としても気づいているため、真を『罪な男の子』と思っていた

 

このままでは案内が始まらないため、真がエヴァに今日の観光を始めるように声を掛ける

 

 

「エヴァ。そろそろ案内頼めるか?」

 

「あ、ごめんなさい!それでは皆さん!バスに乗ってください!」

 

 

本来の仕事を忘れ掛けていた彼女に、真が声を掛けて、今回の案内を実行して貰う

 

彼女の国でもあるのだから、きっとかなり魅力のあるところを案内してくれると、真は期待していた。彼女の友人であっても、彼女の国にはまだ一度も行ったことがない真にとっては今回の修学旅行は楽しみである

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

そして案内されたバスの行き先は

 

 

まずはシャルロット城

 

 

この国の王家が住まうお城。まずはそこから観光する。本来はシャルロット王の許可が要るのだが、それはもう取ってあるため、お城の中を観光できる

 

エヴァが今回自分の白の魅力を教え、案内してくくれる

 

 

「皆さん、ここが私の父が国民の皆さんを集めて演説に使う庭です!」

 

 

「「「「「うおおお!!」」」」」

 

「櫻田城の庭と違って、花の種類は多いな」

 

「ウチじゃあ色を統一した方がいいとかで、ヒマワリしか庭に植えてないもんね」

 

 

まずはシャルロット王が国民の前で演説する場所。庭の観光から開始する

 

櫻田城と違って、花壇に植えている花は一つではなく、たくさんの色で統一した庭になっていて、葵ですらもこの光景に見惚れるレベルな程、美しい庭だった

 

 

「エヴァ。もしかしてこの花は全部、この国にしか咲かない花か?」

 

「その通りよ。シャルロット王国にしか咲かない花を全部植えて、ここまで育てたの。真、感動した?」

 

「ああ、とても綺麗だ。まるで虹に咲く庭園と言うところだろうか、見惚れたよ」

 

「気に入ってくれて嬉しいわ。櫻田王国もこれ以上に綺麗な場所あるから、負けるかなと思って」

 

「ああ・・・・・それは『桜』の事を言っているのか?」

 

「うん、あのピンクの花びらが舞う木、三年前真の国に行った時は私も欲しいなって、何度も思ったことか」

 

「一応私たちの国じゃあ、桜とヒマワリを主に活発させているからね」

 

「ヒマワリはともかく、桜に関しては俺たちの国とあともう一つの国にしか咲かないから、綺麗に保つように桜の木を保護する形を取っている、まあ、残念ながら散るのが早くて春にしか咲かないのが難点だがな」

 

 

エヴァがこの庭園よりも、断然綺麗な場所があると、真の国にあると言うが

 

それは桜の木が並ぶ、櫻田家が管理している庭のことである

 

真と葵の家族も、庭はあるが、特にそれよりも綺麗な場所がある。それが『桜並木』である。桜を一つにまとめて桜の森にした場所がある

 

しかし、もちろん春にしか咲かない儚い木花。期間限定のみでしか見られないため、エヴァが欲しいと言っても、一ヶ月しか保てない花を手に入れても、流石に無駄骨になると言う

 

それよりも、今目の前に広がるたくさんの花が植えられているこの庭園の方が、より価値があると、真と葵はこっちの方がいつまでも眺めることができるから、エヴァ達が育てた庭園の方が良いと好評する

 

 

「次はどこを案内してくれるんだ?」

 

「次は宮殿内を案内するわ」

 

「宮殿内か、入れる部分は限られているわよね?」

 

「ええ、一応観光客用の見れるスペースがあるのだけど、そこ以外は関係者以外は入れないようにしているわ。とりあえず案内するわね」

 

 

次はエヴァたち王族しか入れない宮殿内へ

 

もちろん全部の奥まで入れるわけではないが、観光客が遠目で見れるスペースがあり、そこで中を拝見することができる

 

次はその場所へ

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

そして宮殿へ

 

宮殿は昔からも存在する歴史に残る伝統の建物でもある。昔からの宮殿を拝見できるなんて、 修学旅行でなければあまりに見られないだろう。まあ、これは真の親がある総一郎がなんとか許可を下すことができた結果である

 

でも、入れない部分はある。あっても玉座がある王の間のみ、それ以外は入れて見学できる。

 

 

「すごいな、これは全部過去に残されてきた美品の数々か」

 

「最近のもあるけどね。全部家具屋が私たちのために最高な物を作ってくれるの、そしてここに全て残しているようにしているの」

 

「どれも綺麗な家具・・・・」

 

「おい見ろよ!金のソファーがあるぞ!」

 

「すごい綺麗です!」

 

「伝統な物がいっぱい置いてあるってことか」

 

「真?座りたい物があったら言ってね?特別に座らせてあげるから」

 

「やめておく、歴史的文化のある家具を、この国の王族でもない男が座ると嫌気を感じる」

 

「エヴァ。兄さんに色目を使わないで!」

 

「別にいいじゃない。真は私の特別な人なんだから、当然のことよ」

 

「何が当然なの!」

 

「宮殿内では静かにじゃなかったか?大きな声を出すな」

 

 

宮殿内には金のソファーや金の机など、それだけではなく、王族に捧げて作った家具がいろんな所に置かれていた

 

まさしく歴史に残された宝庫

 

この国の王族が今まで使い込んできた家具が全て残されている。歴史を体験できる場所だ。だからなのか、そんな過去のこの王族が王となって使う家具を、いくらこの国の王族であるエヴァから頼めるにしても、座るのには、この国の過去の王たちに申し訳ないと、この国の者でもない自分には嫌気でしかなかった

 

 

「そういえば、この家具は全部、シャルロット王に捧げて作った物だろう?君たちの分は無いのか?」

 

「もちろんあるわ。あれよ!」

 

「ベット!」

 

「それも屋根付き!?」

 

「しかも広いです!」

 

「あれじゃあ三人くらいは寝れるな」

 

「ベットか、君の場合少し寝相が悪いから、あれくらいの広さが良いんじゃないか?」

 

「失礼な!私はこう見えて高貴な娘よ!寝相が悪いわけないじゃない」

 

「そうか・・・・・・ちなみに、抱き枕は今でもなきゃ寝れないだろ?」

 

「う!?それは認めます。それじゃあ貴方が私の抱き枕になってくれる?」

 

「なんで俺?」

 

「エヴァ!それどういう意味!?」

 

「おいエヴァ!それってつまり・・・・そういうことか!?」

 

「反対!反対です!!」

 

「それは私たちも、葵も認めないぞ。エヴァ」

 

「あら、何かおかしい事でも言ったかしら?」

 

「「「「おかしいところだけよ!」」」」

 

「いつからお前たちは、そこまで仲良くなったんだ?」

 

 

もちろん宮殿にある家具は全部シャルロット王に捧げた物ばかりではなく、その間に生まれた子供たちの分もあった。エヴァは屋根付きの広いベット

 

やはり姉妹たちの備品も数多く置かれている

 

と言うことを考えていた真だが、今日会ったバカリ菜々緒たちまで、エヴァと仲良くなっている。女性の友情ってそんなに簡単になれる物なのだと、少し驚いていた

 

 

「エヴァ。宮殿はこのくらいか?流石に王の間は、関係者以外は禁止だろう?」

 

「そうね、私たちが座る玉座のある王の間は、観光客に見せることはできないわね。そこまでは見せることはできないわ。今度は『城の訓練場』を見せましょうか」

 

「城の訓練場?」

 

「ああ、『シャルロット騎士団』の演習場か?」

 

「そう、流石は真ね」

 

「シャルロット騎士団?」

 

「俺たちで言う名の衛兵だ。そうだろう?」

 

「ええ、真の国では自衛隊と言う国を守る兵士が居るのだけど、私たちの国を守る兵士は『騎士団』なの。私たちの国は昔から騎士と言う衛兵が居るの、今でもその育成をこの国で執り行っているの」

 

 

シャルロット騎士団

 

シャルロット王国を守る騎士団。銃を使わず、模造刀の剣で王国を守る役職。鎧は銃すらも弾く武装をしていて、世界でも二番目に強い近衛兵

 

その近衛兵が剣の練習をする演習場がある。今度はその騎士の育成現場へと見学へと向かう

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

そして、城の演習場

 

たくさんの観客席のルームに招待され、その先に広い運動場と同じほどの野原が城の中にできていた。騎士の育成は王族を中心に、王族の指示に従って訓練している。その理由はその騎士を今でも実現させたのが、エヴァの一族である。彼女の一族は屈強な騎士の一族でもある、昔から代々から騎士と言う役職を王族自らが営んでいる理由もある

 

エヴァも本来なら騎士になる立場だが、彼女はアイドルになりたい夢があったため、騎士になるのをやめて、国家アイドルとして活動をしている

 

改めて、その場で案内されているのだが

 

菜々緒が物凄く険しい顔をしていた

 

理由は

 

 

「菜々緒。対抗心を燃やすなよ」

 

「菜々ちゃん。乱入しちゃダメだからね」

 

「うう、わかっているけど、めちゃくちゃ・・・・・・・混ざりたい」

 

「菜々緒さん。武人になりましたね」

 

「普段銃と刀使っているからな、剣の立ち合いを見て、うずうずするなんて、お前も変わったな」

 

「何を!」

 

「あら?菜々緒は何か剣術でも学んでいるの?」

 

「まあ、ちょっとな。刀の剣捌きをな」

 

「すごい!もしかして『サクラダ・サムライ』!?」

 

「サムライって程じゃあないけど、まあ、これを見ていると、私も戦いたくなるんだよな」

 

「観光客だってこと、忘れないように」

 

「わかっているよ。真」

 

 

声を張っている騎士達が、仲間同士で剣の打ち合いを見ている菜々緒が、どうしても混ざりたいと、闘争心を燃やしてしまい、指先がピクリと武装魔法を展開しようとしてしまう

 

だが、生憎今日は修学旅行で、菜々緒達が魔法を使えることはまだ国家機密でもあるため、残念ながら混ざることはできない。シャルロット騎士団の剣術を味わってみたい、菜々緒の武人本能であった

 

しかし

 

 

「真さん、この騎士の人たち、見ていて気づいたことがあるんですが・・・」

 

「ああ、俺も気づいている。この人たち・・・・物凄く強い」

 

「ああ、それは私も見ていてわかる。しかもあの赤い鎧を着た人。あれが騎士隊長だな。太刀筋が普通じゃない」

 

「エヴァ。これもしかして、『あの人』が?」

 

「そうよ、葵。私の『父様』が、ここまで騎士達を育成したの。父様は騎士としても子供から経験を積んだ。それも大昔の騎士が修行した方法で、他の国は兵士に剣なんて使わないだろうと思うけど、私たちの国は剣を主に極めた国なの。大昔からも『弓にも負けない騎士』としての伝説を残しているから、騎士の育成を父自らが育成し続けて、今では世界二位の軍事力の資格を持ったわ。菜々緒の言う通り、あの赤い鎧をしているのがこの一連の隊長よ。父の弟子でもあって、他の騎士達を厳しく指導をしているわ」

 

「『鉄壁の騎士』の伝承は俺も本で読んだことがある。そして王族が今でも継続させている。流石は『騎士の国・シャルロット王国』だな」

 

 

シャルロット王国は大昔の神話から騎士の伝統が続く国

 

この国の伝統は世界でも本として出版している程、大昔の伝説が今も残されていて相続されている。それもシャルロット王族のおかげでもある

 

シャルロット王族でもあるエヴァの姉弟も騎士を目指そうとする子供も居る。騎士は国のために戦う衛兵として危ない職業でもあるが、それ程この国において、騎士と言う役職はとても名誉な職業である。一応これでもこの国の公務員として扱われる

 

シャルロット王国が育成した騎士達は、多くの国を追い返した程、戦力を持った兵士。シャルロット王国を何年も救い続けた伝統的名誉な職業

 

だからこそなのか、それだけこの国を守ってきた騎士たちの演習を見て、戦えるように訓練してきた真達でも、今騎士達の強さが尋常のない力を感じていた

 

 

「もう城はここまでね。そろそろ城下町を案内するわ。と、その前にそこで観光客有名な飲食店を予約してあるから、お昼にしましょう!」

 

「もうそんな時間か」

 

「お肉とかの洋食メニューを用意してあるから、櫻田王国の出身の皆さんも食べられるはずです。さあ、移動しましょ!」

 

 

もう城の見学はここまで

 

次はお昼で、城下町の飲食店へと向かう

 

城の観光を終えて次は城下町の観光に向かうが、その前に昼を済ませる。城下町の飲食店でお昼を過ごすのだが、ここは外国。他の国での料理が口に合うか、不安に思う生徒も居るが、櫻田王国でも出る洋食を出すようで、口に合うはずだと、エヴァが配慮してくれる

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

そして城下町の飲食店

 

『ロンド』と言うお店の洋食屋。メニューはもう頼まれてあり、ステーキ、ポテト、サラダ、デザートと言った洋食屋ならではの誰でも頼む普通のフルコースで、残すことなく真以外の生徒達も全員完食した

 

洋食屋で出る普通のメニューの割には味にインパクトがあるかのような美味しさがあり、みんな、喜んで全て食べて行った

 

真は葵たちとエヴァと同じテーブルで

 

 

「うめえ!このステーキ!」

 

「サラダも新鮮で、ドレッシングも美味しいです!」

 

「ウチの国の飲食店より美味しいな」

 

「ああ、デザートもあのステーキの後でも、合う甘さだ」

 

「こんな美味しい店に招待してくれてありがとね。エヴァ」

 

「喜んでくれて何よりだわ。私的には真に私の手料理を食べて欲しかったな」

 

「前に作ってくれたクッキー。覚えているだろうか?あれをもう一度食べたいなとは思う」

 

「え!?あの前に作ってくれたクッキー!?」

 

「ああ、俺はあのくらいの甘さがちょうどいいし、もう一度食べたいなって思っている」

 

「じゃあ今日の夜さ、真の部屋にいい?クッキー持っていくからさ?」

 

「そうだな、せっかくだから今日の夜、俺と葵の部屋でみんなでゲームをしないか?修学旅行だから、それなりに面白いのを用意してあるんだ」

 

「わあ!それは楽しみ!でも・・・・・みんなか・・」

 

「エヴァ。兄さんの部屋には私も居るのよ?」

 

「あ、そうだったわね。空気読んで、別の子のところを行ってくれない?菜々緒達のところに行くとかさ?」

 

「どうして?そんなことをしなきゃいけないのかな?二人で変なことをするんじゃないでしょうね?」

 

「あら?なんのことかしら?」

 

「おいエヴァ!この国の王女だからってそれは許さねえぞ!」

 

「ダメですダメです!ダメですうううう!!」

 

「エヴァ。私らと殴り合いしないか?」

 

 

「お前達が何を言っているかわからないが、とりあえず夜はみんなでゲームな。変なことで喧嘩をしないでくれ」

 

 

同じテーブルに座っておいて、エヴァと葵達の会話がわからない真。彼女達の恋愛話にあまりについていけず、ただ何かしらの理由で口喧嘩をしているのはわかっているため、とりあえず止めて、夜にはみんなでゲームで遊ぶと予定に無理矢理入れた

 

ところでお昼を終えたら、次はどこへ行くかをエヴァに聞く

 

 

「エヴァ。ところで次は城下町のどこを案内してくれる?」

 

「次は大昔から残されている『花畑』に案内しようかしら」

 

「花畑?」

 

 

花畑に案内してくれると言った。

 

外国の花畑には中々に興味がある真。少しでもそこに歩いてみたいと何度も彼は思っていた。櫻田王国では、桜と山と街が多いだけで、そういうのはあっても、城下町の近くにはない。エヴァの国には近くにそんなものがあるなんて羨ましいと思った

 

とにかく、次は花畑へ

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ここよ」

 

「「「「「うおおおおおおおお!!!」」」」」

 

 

「これはすごいな・・・想像を遥かだ」

 

 

エヴァの案内でバスで到着した先は

 

先ほどの庭園に負けない数の、いろんな色をした花がたくさん広がる丘へとたどり着いた

 

花の種類も多数、色鮮やかに並んで咲いた花達が目先の果てまで広がっている、その光景に真だけでなく、それ以外の生徒も花畑に眼を奪われる

 

 

「ここまでとはな。こんなにたくさんの花が、ガーベラに薔薇まで、種類が豊富で、全部揃って育てるのは大変なのに」

 

「ここも私たち一家の管轄下で育てているのよ」

 

「もしかして『ステラ』ちゃん?」

 

「そう。ステラが、地道にここまで頑張っているの、まだ14歳なのに、将来は植物系の仕事に入りたいからって言って、趣味でもここまで集めているの」

 

「あの子もお花が大好きだからな。にしてもここまで育てるのは苦労しただろうに」

 

「まあ、もちろんいろんな人の力を借りているのだけどね」

 

 

エヴァの妹にして、三女の『ステラ・ウェールズ・シャルロット』。その三女が将来植物研究科あたりの仕事に入りたいため、そして趣味でもある花の鑑賞も含めて、この花畑をいろんな人の教えを元に、ここまで育てようだ。そんな簡単なことじゃないのに、よく上手くやれたなと、普段彼女を知る真と葵はすごいなと感心する

 

 

「すごいな。ここら辺一帯全てが花畑なんて、ウチの国にも欲しい程だ」

 

「ねえ?これだけ多いとなると、植物に『ステラちゃんの能力』を少し施したりしていない?」

 

「まあね、真の言う通り、これだけ櫻田王国にしか咲かない花も含めて、海外しか咲かない花もここで育てるには、あの子の能力で補うしかなかったの。本人もできるならそれを無しにやりたかったみたいだけど、花の種類によっては育て方も違うから、『植物を操る』あの子の能力じゃないと無理なの」

 

 

ステラ・ウェールズ・シャルロットの能力

 

『樹海妖精』(ドライアド・フォレスト)

 

彼女が触れた木や植物を自由自在に操る能力で、触った枯れた木や花も活性化させて元気にさせる能力もある

 

彼女はこの能力を少し使って枯れた花を元に戻していたようだ。流石に花の種類によっては育て方が異なる花もある。それを無理矢理でも一連に育てたかった彼女が成し遂げた花畑になるのだろう

 

能力を使って命に害は無いにしても、姉であるエヴァからすれば無理はしないで欲しいと、姉ながら妹を心配しているようだ

 

 

「あのさ真」

 

「なんだ?」

 

「今ここら辺は私たちしか居ないから、貴方にしか聞けないことがあるんだけど」

 

「確かに、みんなと遠く離れてしまったな。今ここに居るのは俺を含め、葵と菜々緒と卯月と静流だけだ。このメンツしか居ない状態で俺の何を聞きたい?」

 

 

そんな話をしていたら、他のクラス達から奥の花畑まで離れていた。今ここに居るのは真を含めた、葵と菜々緒と卯月と静流だけ。そのメンバーしか居ない状態で、彼に何を聞こうとしているのか

 

それは彼にとっても壮絶な話だった

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

その話は

 

 

「この前、貴方のお父さんである櫻田王に聞いたのだけど、貴方が櫻田家の者じゃないって本当なの?」

 

 

「「「っ!?」」」

 

「エヴァ!それはその・・・・」

 

 

「その通りだ」

 

 

「っ!?兄さん!?」

 

 

「彼女なら構わない。今の所は国家機密になっていて国民には知られることなく、一部の者にしか知らない。俺は櫻田家の者じゃない。俺の本当の名前は『朝比奈・燈・セイラム』。魔女の王国にして、セイラム女王の実の息子だ」

 

 

「魔女の国!?セイラム王国女王の息子!?」

 

 

「ああ、俺が唯一の、あの幻の王国の王家の息子だ」

 

 

エヴァが聞いたのは、真が本当は櫻田兄妹の実の兄妹では無いこと

 

そのことに対して真は包み隠さずに明かす。エヴァである海外の幼馴染なら構わないと、彼女の友情を信じて明かした

 

しかしエヴァは真が兄妹ではないことに関しては驚いていない。驚いているのは、彼がセイラム女王の実の息子であること

 

セイラム王国の王家は能力ではなく、魔法を扱う危険な国でもあった。過去にも海外に魔法で攻撃したりと、武力国家でもあった。だが、今ではその女王は失踪し、魔法を繰り出す魔女であるセイラム女王が居なくなったことで、セイラム王国に魔法の力が無くなり、戦力がダウンし、今はセイラム王国はどこかに潜んで姿を眩ましていると、世界の間ではもはや幻の存在となった

 

幻の王国の王家に、まだ子供が居たとはエヴァにとっては思えなかった。しかもそれが幼馴染である真だったとは

 

 

「朝比奈・燈・セイラム。それが貴方の本当の名前」

 

「ああ、だが、どうしてそんなことを父さんから聞いた?」

 

「貴方が・・・・・前に能力を開花させたって聞いたど、前々から貴方が能力を使えないってことは知っていたから、なのに突然開花させるなんておかしいと思って、私たちの城の観光予約を頼んできたついでに聞いたら・・・・普通に櫻田王が教えてくれたの」

 

「父さん・・・・・秘密にするんじゃなかったのか。まあ君ならいいだろう。ただ・・・俺がセイラム王国王家の息子だとは、思いもしなかっただろうな」

 

「私たち王家の履歴にもあったの。貴方の使う能力が、セイラム王国王家の魔法に似ているから、もしかしたらと思って」

 

「君にとっては・・・俺の敵になるってことか」

 

「違う!私は真の敵じゃない!」

 

「わかっている。俺の本当の母さんは優しい人だ。セイラム王国には行ったことはないから、まだ深くまでは知らないが、少なくとも俺も君の敵じゃない。それに俺がセイラム王家の子だとわかったのは、ごく最近だしな」

 

「そうなんだ・・・・ならよかった」

 

「真。エヴァが敵になるってどういうことだよ?」

 

「もしかしてエヴァさんの国である。このシャルロット王国は、アイギスさんの敵ってことですか?」

 

「そんな話は師匠から聞いてないぞ?」

 

「ああ、セイラム王国は昔は危険な王国だったみたいだしな」

 

「私もアイギスさんから聞いたけど、このシャルロット王国とセイラム王国は昔は戦争していたって、前にアイギスさんに聞いたわ」

 

「とは言っても、もう100年前以上の話だ」

 

 

騎士の国であるシャルロットと魔女の国であるセイラム王国

 

魔法を危険視するシャルロット王国が、他の国を襲うセイラム王国を幾度も侵略を阻止したきた。その戦争は数十と回数を重ねてきた。

 

それが突然、セイラム王国がひっそりと無くなり、魔女の国が領地ごと消えていた。理由はわからないままだが、噂としては女王がひっそりと消えたとか、女王が消えた王国は魔法の力を無くして、どこかに隠居したと噂が流れる

 

 

「真・・・・・いえ、燈。私はそれでも貴方は私の大切な幼馴染よ。これだけは絶対だわ」

 

「ありがとう。だから君に俺の正体を明かした。俺も君は大切な幼馴染だ」

 

「燈・・・・」

 

「それに俺の魔法は酷い事に使わない。俺の魔法はみんなのためだ。こんなふうに、『フラワー・スカイ』!!!」

 

 

そうして燈は

 

自分が扱う魔法は、みんなのために使うと、手のひら魔法陣を出して空に投げ、たくさんの花が空からゆっくり落ちてくる

 

本当は目眩しの魔法をとして使うのだが、芸としても使えると繰り出した

 

 

「綺麗!」

 

「おお!花がたくさん降ってくる!」

 

「まさしく花のシャワー!」

 

「うお!頭に花がこんなに!」

 

「これがセイラム王家の魔法・・・・」

 

 

「俺はこれを家族や友人のために使う。そして・・・・・君にも!」

 

 

そうして真は、空から降る花を右手で吸い寄せて、『花の冠』を作って、エヴァの頭に載せる

 

それでも彼は、正しいことのために魔法を使うと、決して悪い魔女のようにはならないと

 

 

「うん。ありがとう。私はいつまでも真を信じ、貴方は私の大切な人」

 

「ああ、そろそろ戻ろう。次は夕食だ」

 

「うん!また美味しいところに案内してあげる!」

 

「ああ、頼む!」

 

「エヴァ!兄さんにくっ付かないで!」

 

「おいエヴァ!それは幼馴染でも許さねえぞ!」

 

「限度を考えてください!」

 

「よし!エヴァ。こうなったら私らと勝負だ!勝ったら真の隣は手に入るぞ!」

 

「なんの話をしているか知らないが、早く行くぞ」

 

 

エヴァは決して真が敵ではなく、大事な幼馴染だと、彼女は真の友情を約束する

 

そう言ってくるはずだと、燈は何も言わずに、花の冠を渡して、君が何かあったら助けると、魔法を大切なことに使うと彼は誓う

 

 

その後、夕食も楽しんで、その日の観光は終了した。そしてその夜ではエヴァと一緒にみんなで真と葵が止まる部屋でトランプやボードをして、その日は終わる

 

 

そして次の日は、真と葵は菜々緒たちと班を組んでの自由観光

 

 

このシャルロット王国で、どこを回るだろうか、遂に修学旅行も終盤に近づく


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