城下町のダンデライオン〜長男は魔法使い〜   作:ソール

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多分、話が長いです

ご了承ください


第二十四話 前編

 

10月の中旬がやって来た

 

この季節ではたくさんの行事があるだろう。食欲の秋、芸術の秋、読書の秋、行楽の秋、スポーツの秋など、秋にはたくさんの楽しめる行事がたくさんあります

 

 

 

そしてこの、櫻田王国でも秋の行事があります

 

 

 

と言っても、それはあくまでその王家の子供が通う、高校での話

 

 

 

それは

 

 

 

 

 

 

 

 

 

文化祭

 

 

この国ならではの、生徒が日頃の学習や活動の成果を総合的に発展させ、発表し合い、互いに鑑賞する文化的行事の一種

 

 

その文化祭は、もちろん櫻田王家の長男達の高校

 

 

真、葵、修、奏、茜の通う高校でも、文化祭を行おうとしている

 

今はまだその準備だが、王家の子供が通う高校の文化祭。だからテレビ局も準備であろうと撮影に入ったりと、この行事もこの王国では一番の大イベント

 

 

特に今年最後の学生を迎える、真と葵は最後の文化祭である。

 

 

あの二人の最後の文化祭、王国の記録にも残したいと言う国王の命でもあり、まだ準備中であると言うのに、テレビ局がもう撮影している。

 

そして

 

肝心の真と葵のクラスがやる文化祭の出し物は

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

謎解き脱出ゲーム

 

 

 

「それじゃあまず、机や椅子を全て視聴覚室に運ぶ。必要な物は全て俺や葵に言ってくれ。こちらで用意する」

 

「謎解きは子供でもわかるようにしてね。分からな過ぎて出られなくなるなんて事が無いようにしたいから、それと脱出できた人に最後のクイズをして。上手く答えればプレゼントと言う形を取りたいと思います」

 

 

真と葵のクラスは謎解き脱出ゲーム

 

定番かどうかは謎だが、少なくとも面白みのある出し物になるのではないのかと。真が提案した。もちろん王家の長男の提案。誰も反対することなく、クラス全員が賛成を挙げた

 

どうしてそんな事を真が提案したのかと言うと、最近になって実の母から『魔法のボードゲーム』を貰い、それで実の母の家で葵を連れて菜々緒達と一緒に遊んでたのを閃いて、なら脱出ゲームはどうだろうかと提案を出したところ、三年最後の行事にしてはインパクトがあると、全員が賛成した

 

 

だから今回の出し物委員長として真と葵が率先

 

そしてその協力に静流と菜々緒が加わってくれる。ここ最近彼女達とボードゲームをしているから、脱出ゲーには詳しいため、本来なら卯月も参加してくれるのだが、彼女は現生徒会長であるため、一応出し物に参加はできるが、その半分は生徒会の仕事があるため、準備はあまり参加できず、彼女は今は不在で、生徒会室で文化祭の流れを生徒会メンバーと教師で決めている

 

 

「真。脱出ゲームをするのは良いけど、謎解きは幾つにする?それと迷路も考えなきゃだよな?」

 

「でも、この教室でやるには狭くないか?」

 

 

「問題ない。俺の魔法で『部屋を少し広く』する魔法を手にしたから、この部屋だけ広くする」

 

 

「「え!?」」

 

「兄さん。そんな魔法まで覚えたの?」

 

「ああ、覚えられるものは全てな」

 

 

「お!真の魔法がここで見れるのか!」

 

「見せて真君!真君のロイヤルウィザード!」

 

 

「ああ、わかった。先生。いいですか?この部屋の空間だけを広くする魔法です。隣の部屋には決して害は無いので、使ってもよろしいですか?」

 

「わかりました。国王様からも、真様の魔法は必要以上なことはしないことは聞いています。それだけでしたら使用しても、学校側としても問題ありません」

 

「よし、これで先生の許可を得た」

 

 

先生に教室で魔法を使っていいか、しっかりと許可を貰ってから魔法の使用をする

 

学校で魔法を使うには危険もあるかもしれない。必ず害が無いことを、もしくは使わなくてはならない時以外は使用しない。菜々緒達にもそう言い聞かせて、真の魔法は使用を制限を付けている

 

まさか部屋の空間だけを広くするなんて魔法があるなんて、葵達でも驚き過ぎて、もう真にツッコミを入れたりしない菜々緒と静流であった

 

だが

 

部屋を広くするにしても、どれだけ広くするかだ

 

 

「さて、どれだけ広くするかだが、それこそ迷路の数とクイズの数でだな。まずはそこから決めよう。さっきも葵が言った通り、なるべく広くなく、謎解きも誰でもわかるようなレベルだ。もちろんヒント付きで、みんな。まずはそこから決めよう」

 

 

「はい!クイズは三つで迷路も三つ!迷路は森と壁、そして最後の出口は複数の扉。まずは迷路を抜けて、途中クイズの表示をした扉を通過したらまた迷路。これでどうでしょうか?」

 

 

「そうだな。その方が短くもなく長くもない。それでいいだろう」

 

「となると、あとはテーマだね」

 

「ああ、さて、テーマはどうすればいいだろうか」

 

「あ、真!その提案は私からいいか?」

 

「ん?菜々緒?ああ、構わないが・・・・まさか・・・」

 

「うん、実はもう考えていたんだよね。なあ静流?」

 

「ああ、迷路ならこれだろう」

 

 

今度はテーマを決めようとするのだが

 

菜々緒と静流がその提案を決めていた

 

魔法で部屋を広くするのなら、迷路も数多く設置できるのなら、それにふさわしいテーマがあると二人が考えたテーマは

 

 

 

 

 

 

 

 

「魔法が掛けられた教室からの脱出!」

 

「魔法で広くするなら、この方が良いだろう?脱出する人は、教室に掛けられた魔法を解くと言う意味で、このテーマにしようと思うんだ」

 

「菜々ちゃん。しーちゃんもすごい!兄さん。これでどうかな?」

 

「そうだな。確かに魔法で教室を広くするくらいだからな、いいかもしれないな」

 

「じゃあ決まりだね?」

 

「ああ、これで行きたいと思うが、みんなはどうだ?」

 

 

「「「「「「賛成!!!」」」」」

 

 

「うん、聞くまでもなかったな」

 

 

こうして、真と葵のクラスは、

 

 

魔法を掛けた教室の謎解き脱出ゲームに決まった

 

 

魔法で部屋の空間を広くする。そして中には森の壁の迷路。まさしく魔法の脱出ゲームにしては合う出し物になるだろう

 

当然、その迷路の壁に少し手間が掛かるだろうと思うが、ここはみんなの力を信じてなんとか進めようと、真と葵はクラスのみんなを信じる

 

 

 

とにかく出し物が決まったため、それを報告をしに、卯月の所へ向かう

 

一応卯月も真のクラスメイト、彼女にも参加できるようにしっかりと何の出し物にしたかも教えるために、今から生徒会室へ向かった

 

 

「卯月、三年A組の出し物が決まった」

 

「謎解き脱出ゲームに決まったよ」

 

 

「今日までにしっかりと決まったんですね」

 

「じゃあこれで全クラスの出し物がしっかりと決まったわね」

 

 

「あれ?奏?」

 

「お前も生徒会室の仕事か?」

 

 

「うん、会議が終わってそのまま、卯月先輩と全クラスの出し物を確認しているの」

 

 

「俺たちが最後だったのか」

 

「少し考え過ぎたね」

 

「交代メンバーを分けるのに、時間がかかり過ぎたようだな」

 

 

生徒会室に入ると、卯月だけでなく、副会長の奏も居た。

 

会議も無事なく終わり、そのまま全クラスの出し物を確認していたようで、真と葵のクラスが最後の出し物報告だったらしく、なんとか全クラス出し物が決まったようだ

 

あとは、許可が出ればだが

 

 

「謎解き脱出ゲームですか、教室でやるのですか?」

 

 

「そうだが、俺の魔法で少し部屋の空間を広くする。隣の教室には害は無いから問題ない」

 

「謎解きは子供でもわかる簡単な問題で、迷路の壁は手作りで、どうかな?」

 

 

「そんな魔法まで真さん覚えたんですね。本当にすごいです」

 

「兄さんの魔法って、本当になんでもありよね」

 

 

「まあ、魔力で限外があるがな」

 

「それでどうかな?先生の了承は得ているよ」

 

 

「はい、先生の了承を得ているなら許可します」

 

「兄さんの出し物も面白そうね」

 

 

なんとか真と葵のクラスの出し物は許可は降りた

 

これで安心して準備はできるが、真と葵が出し物報告は最後なら、他のクラスは決まっているようだ。ここまで来たら気になるため、他のクラスは何をするか、まず奏の出し物を聞く

 

 

「奏のクラスは何にしたの?」

 

 

「私たちは売店系、二年のA組以外のクラスと協力して班を作って、たこ焼きや焼きそばやクレープなど、飲食系の売店を出し物にしたの」

 

 

「へえ、飲食系の売店が出るのは聞いたが、奏達の二年は飲食系の出し物か」

 

「美味しいの、私も食べたいな」

 

 

「真兄さんと葵姉さんの料理に勝てるかはわからないけど、これでガッポリ稼いで見せるわ!!」

 

 

「葵、奏にお金を関わらせると、本当に人が変わるよな?」

 

「あはははは・・・・一応・・・我が家の家計担当でもあるからね」

 

 

奏はお金が関わると、少し意地の悪い性格になると言うか、少しお金に貪欲な所がある。お金のことになると、少し悪い顔をする

 

能力に関しても、お金に関わることもあるため、彼女の金銭のやり取りには少し難がある。家計も彼女が厳しく管理する程に

 

しかしだ

 

 

「でも・・・・なんでA組以外なの?」

 

「A組は確か・・・・・修と佐藤のクラスだったな、あいつらは何にしたんだ」

 

 

「ああ・・・・・・それは・・・・」

 

 

奏の出し物はA組以外の二年のクラスは飲食系の売店をすると言ったが

 

 

肝心のAクラスは何をしたのだろうか

 

 

奏の提案は断っているだろう。それを断ってなんの出し物をするのだろうか、もう全クラス決まっているのなら、奏は知っているだろうと真は聞く

 

Aクラスは次男の修のクラス

 

何をするのか、奏に聞く

 

 

 

 

 

「お化け屋敷」

 

「A組は奏さんの提案を断って、それをやるそうです」

 

 

 

「ああ、それはまた・・・・」

 

「修くん、瞬間移動でお客さん驚かせそう」

 

「だな、なぜなら、この前いきなり出てきて、不審者と間違えてスタンガンを打った人が、ここに居るわけだしな」

 

 

「うぐ!?」

 

 

修のクラスは『お化け屋敷』

 

葵の言うとおり、修の瞬間移動でお客の背後を取って驚かせそうである意味怖いと思う真と葵、それにビックリして、前回茜の熱で奏がお留守番をしていたが、修が家に忘れ物をしたのか、能力で家に電気も付けないで部屋を漁っていると、奏に見られて不審者と間違われてスタンガンを打たれると言う事故があったため、真と葵はそんな事をしてもおかしくないと思った。

 

まあ、修がお化け役の限定の話だが

 

 

「それと真兄さん。これ見て」

 

 

「ん?これは一年A組の。確か茜の・・・」

 

「メイド喫茶だって・・・」

 

「ああ・・・・・・あいつ、もしかして眼鏡をしてやる可能性が高いな」

 

「また、国民に伝えなきゃいけないことが増えたかもだね」

 

 

「茜のファンの人は喜ぶけどね」

 

 

「ああ、だろうな、特に修が・・・」

 

「あ、あははははは・・・・」

 

 

茜のクラスは『メイド喫茶』

 

あの人見知りな茜がそんな事をするとは思えないが、間違いなくみんなの押し入りで、止むを得ず了承したのではないのかと思う、しかも真の都合の良い魔法の眼鏡を使って、別人のフリをするに違いない。

 

それはなんとかしなければならないが

 

茜のファンなら絶対に行きたい出し物だろう。注目は更に集まるのは間違いない。

 

 

「兄さん。このままだと・・・」

 

「ああ、眼鏡のことはなんとかしないとならないな」

 

「私もそう思う。兄さん。あの眼鏡って」

 

「ああ、本当に魔法が掛かった眼鏡じゃないからな」

 

「あの・・・・なんの話です?」

 

「卯月ちゃん。最近茜が眼鏡をして覆面ヒーローをしているのは知っているでしょう?」

 

「ええ、確かもし目の前に出たら、茜様扱いはしないようにって、国民ニュースに流れてましたけど」

 

「あれ、実は茜の人見知りを克服するために、魔法で別人になる眼鏡だと、茜は信じ込んでいるの」

 

「ええ!?それじゃあ、今あの眼鏡をメイド喫茶の時に掛けたら・・・・」

 

「国民が荒れるな」

 

「どうしよう真兄さん!?」

 

「・・・・・・・」

 

 

茜が眼鏡を掛けたら、当然本人は別人扱いするだろう。

 

流石に文化祭まで別人扱いすることは、国民においても示しが付かないだろう。文化祭の時まで別人扱いされて過ごそうなんて、流石に王家として文化祭まで別人扱いされるのはダメだろう

 

こればかりは厳しくせねばならないと、真は動く

 

 

「茜の所へ行くぞ。葵」

 

「え?どうするの?」

 

「決まっている。眼鏡は今回だけ取り上げる」

 

「え!?いいの?」

 

「こればかりは・・・・流石に眼鏡に甘え過ぎだ。使うかどうかはわからないが、取り上げる。行くぞ」

 

「う、うん!」

 

「茜には悪いけど、今回は我慢ね」

 

 

茜に眼鏡はこれ以上を使わせるわけにはいかないと、真と葵は茜の所へ行こうとする

 

まさか文化祭まで眼鏡を使うとは思えないが、この文化祭は櫻田王国においての一大イベントでもある。城に王家の兄妹達の文化祭の記録を残さないとならない

 

あの眼鏡を掛けた状態で記録に残されて茜に知られたら、嘘を見抜かれると思って、真に文句を言われるだろうし、今は彼女の精神がまだ整ってない状態で、彼女が別人になれてないなんて知ったら、人見知りが余計酷くなる

 

それを阻止するために、真はいち早く茜の方に行って、眼鏡を取り上げる

 

 

 

 

そして、茜の教室の前へ

 

 

「すまない。茜を呼んでくれないか?」

 

「茜に大事な用があって」

 

 

「ま、真様!?葵様!?は、はい!今すぐに、茜ちゃん!真様と葵様よ!」

 

 

「あれ?兄さん、お姉ちゃん、どうしたの?」

 

 

「茜。少し話がある。階段まで来てくれるか?」

 

「う、うん」

 

 

茜のクラスメイトに、茜を呼んでもらい、彼女を階段へと来て貰い、メイド喫茶に眼鏡を使うか聞いてみる

 

 

「茜。お前のクラスで出し物は、メイド喫茶に決まったんだな?」

 

「うん、兄さんも来て欲しいな。もちろん姉さんも」

 

「ああ、時間を作って行くつもりなんだが・・・」

 

「茜。貴方もメイド喫茶でメイドとして出るんだよね?」

 

「え?そうだけど・・・それがどうかしたの?」

 

「それって・・・・・まさかあの眼鏡を使う気か?」

 

「え、ああ、そうだけど・・・・・まさか!?」

 

 

「ああ、お前には悪いが、ここまで別人は流石に困る。あの眼鏡は使うな」

 

 

「え!?そ、そんな!?」

 

「茜。流石に学校でその眼鏡を使うのはやめて、文化祭まで別人になるのはダメだよ」

 

「茜じゃない人間が、学校に居たら大騒ぎだからな、しかもそれがスカーレッド・ブルームならな、正体がバレてもいいのか?」

 

「う!?確かに・・・」

 

 

あの眼鏡を文化祭に使ったら正体がバレてしまう(もちろん嘘だが)、それも阻止するためも含めて、彼女の納得できる理由で、眼鏡は使うなと。眼鏡の使用を禁止する

 

 

「それにこの国では俺たちの王家の文化祭は、国民の期待でもあるんだ。俺たちの文化祭を見たい国民も居る。だから眼鏡を使用は禁止にさせて貰う」

 

「茜。こればかりは我慢して、それに正体がバレるのもまずいでしょ?」

 

「うう・・・そんな・・・・」

 

「もちろん使おうとしたら、母さんと親父に連絡する。俺の魔法道具を悪用して自身の姿を隠そうとしているとな。こればかりは頑張れ」

 

「は、はい。わかりました」

 

「念のために、この眼鏡は俺が預かっておく。いいな?」

 

「あ〜〜、魔法の眼鏡〜〜〜」

 

 

そうして真は茜のポケットに入っていた眼鏡を、

魔法で吸い寄せて取り上げた

 

こればかりはなんともできない。文化祭をしている姿を国民は見たいだろうし、こればかりは彼でもなんともできず、素性晒した状態で文化祭に参加する他、茜には選択肢がなかった

 

 

「うう・・・じゃあ兄さんも・・・私が頑張っている所を見に来てよ」

 

「ああ、約束する。頑張るんだぞ?」

 

「私も何か合ったら助けるから」

 

「はい〜〜頑張ります〜〜」

 

 

少し気の抜けた返事で茜は教室に戻っていった

 

なんとか頑張るように願いたいが、おそらく人の視線に気づいて、何かやらかすのではないのかと、真は思った

 

だから真は少し茜を助けようとする

 

 

「葵、茜はあんな感じになってしまったが、上手くやれると思うか?」

 

「うう・・・・多分、怪しいと・・・私も思う」

 

「だよな。仕方ない。『君!ちょっとこっちに来てくれないか』?」

 

『ピイ!』

 

「兄さん?小鳥なんて呼んで何をする気?」

 

「こいつを使い魔にする。茜になんか合ったら助けて貰う。『アニマル・サーヴァント』!!」

 

 

真は茜を助けるために、階段の窓から小鳥を呼んだ。そして手のひらに魔法陣を通して小鳥に魔法を掛けた

 

掛けた魔法はアニマル・サーヴァント

 

野生に居る生物を使い魔にする魔法。もちろん言語も喋れる。言われた通りに行動する。これで茜に何か合ったら助けるように指示をする

 

 

「この文化祭の時だけでいい。茜に何か合ったら助けるんだ」

 

『わかりました』

 

「よし、行け!」

 

『はい!』

 

 

そうして真は小鳥に指示を送り、小鳥は窓から出て茜に敬語を付ける。もしも茜に危険なことがあったら助けようにして貰う

 

 

「これでよし、俺たちも教室に戻ろう。こっちに準備がある」

 

「うん、茜大丈夫かな?」

 

「使い魔を付けたから問題ない。それに人の心配をしている場合じゃないぞ?」

 

「え?」

 

「お前だって『ステージの方』だってあるんだ」

 

「っ!」

 

「大丈夫か?」

 

「う、うん。みんな・・私に『服従』されないよ?」

 

「何か合ったら俺が助ける。俺たちの最後の文化祭なんだ。楽しもう」

 

「うん、お願い兄さん」

 

「ああ、任せろ」

 

 

ステージの方がなんなのかはまだわからないが

 

真は茜を助けるだけでなく、葵も助けなくてはならないと、せっかくの最後の文化祭を壊さないためにも葵のフォローに入る

 

真と葵の最後の文化祭

 

どんな祭りとなるとか、それは彼らの働きに、国民が期待を寄せるのだった

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

そして当日

 


『皆さん!遂にやってきました文化祭!今回は長男と長女である。真様と葵様の最後の文化祭です。もちろん奏様や修様や茜様の文化祭も見ていきます。今日はしっかりと記録に残したいと思います!皆さん楽しんでいきましょう!』

 

 

今のは取材部のナレーションだが

 

もちろん、王国専属のニュース番組の人たちも来ていた。王家の子供達が通う高校の文化祭、注目しないはずがなく、更に、今年最後の真と葵の文化祭

 

来年には大学に行ってしまうため、実質真と葵の最後の祭りとなる。

 

悔いの残らない楽しい文化祭を楽しめればと思う

 

まずは生徒達は体育館に集まり、校長の話からと生徒会長の言葉をしっかり聞いてから文化祭は始まる(今までは副会長である奏が生徒会長代わりに皆の前で発表していた、理由は本人が緊張すると言うのもあるが、今回ばかりはしっかりやると、卯月は全校生徒の前でしっかりと文化祭のルールや前置きを告げた)

 

それをしっかりと伝えた後に、全校生徒は自分の持ち場へと移動し

 

 

 

そして9:00

 

 

「それでは皆さん!!文化祭をスタートです!!!」

 

 

と、生徒会長である卯月が開始の合図を出して、真と葵の最後の文化祭が始まった

 

修も茜も奏も自分のクラスの出し物に必死に取り組んでいた。やはり王家の通う高校でありながら、客や取材の人も多く、今までに比べて賑やかな文化祭となりそうだ

 

二日間の文化祭。果たしてどんな文化祭になるだろうか

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

そして

 

真と葵は

 

 

「いらっしゃいませ!」

 

「よくぞ参りました。さあ、あなた方は私たちの教室に掛けられた魔法を、解くことはできるかな?」

 

 

と言った、客の接待をしていた。脱出ゲームに必要な人数はクラスの半分で十分、客の接待と説明係、それと謎解きの門番役など。言う程人数全員使うわけではないため、ちゃんと交代もできる出し物になっている

 

やはり今年二人が最後でもあるため、客はとても多く、もう数分もしない内に行列ができた

 

ちなみに人数関係なく、一回500円

 

 

「うわあ〜、すごい行列だね。お金がたんまりと溜まりそう」

 

「ああ、交代をしやすい出し物にしてよかった」

 

「うん、これで昼休憩はみんな取れそうだね」

 

 

あまりの客の多さに、意外もあったのか、菜々緒は少し驚きはあった。行列が出来るほどとなると、クラス全員で対応しないとならないが、この程度の出し物なら問題なく少人数でも対応できる。

 

ただ、客が多すぎて、少し待ち時間が長くなりそうだ

 

すると

 

 

「真!葵!」

 

 

「ん?親父と母さん。もう来たのか?」

 

「あらあら繁盛しているわね?」

 

「繁盛し過ぎて、少し待ち時間がかかるけどな」

 

「ごめんねお父さん、お母さん。空きがあったら教えるから」

 

「そうだな、まだ後で寄るよ」

 

 

このタイミングで国王と王妃である総一郎と五月がやってきた

 

やはり我が子の最後の文化祭は自分の眼で納めておきたいようだ

 

だが、残念ながら客の多さに、今早く真と葵の出し物を体験することはできない。かなりの行列で一時間ほどはかかる。残念ながら今入ることはできなかった

 

しかし

 

 

「真様!葵様!自分たちはいいですから!先に国王様と王妃様を先に!」

 

 

「あ、いや・・・・しかし」

 

 

「いいんですよ!私たちのことは気にしないでください!』

 

「ささ!お二人とも、私たちよりも先に!」

 

 

「ああ・・・ごめんなさいお客様」

 

「すまない、感謝する。お客様の要望もあると言うことで、二人はもう入ってくれ」

 

「そうか、これは申し訳ありません」

 

「我がままとは思いますが、甘んじさせて頂きます」

 

 

「何を言うのです!?国王様!王妃様!これは仕方のないことですよ!」

 

「そうですよ。長男様と長女様の最後の文化祭。親として確認しない方がおかしいです。私たちは気にせずに、どうか先に!」

 

 

「ありがとうございます。ではお先に失礼します、真。頼む」

 

「わかった!客二人入れる!俺の両親だ。頼む!」

 

 

「はーい。って国王様と王妃様!?」

 

 

「すまないが、よろしく頼む」

 

「ごめんなさい。お邪魔するわね」

 

 

「ああ、いいえ、よく来ていただきました。さあお二人とも中へ!」

 

 

国王と王妃を待たせたくないのか

 

先に入ってくれと先頭客に気を遣われてしまった。そこまでされると断るのも申し訳ないと思い、先頭客だけでなく、後ろに続いた人たちも王族に敬意を払って譲って貰ったため、先を譲って貰うことにした

 

真のクラスメイトもいきなりの国王と王妃に驚きはしたが、いずれ来るとは伝えてあるため、緊張せずに中で脱出ゲームの説明を行う

 

 

「すいません、すぐに次が回りますので」

 

「そのままお待ちください」

 

 

と言う感じで、葵と真は客の対応を初めていく。ぶっちゃけ二人は看板役、王族なら客がいっぱい来るだろうと思って、菜々緒と静流が考案した。そのおかげで客が多く出ているのは事実でもある

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

客を招いていく内に、あっという間に午後の部となった。

 

ここからは交代で、午後から葵と真は休みに入れる。まだ昼も済ましてないため、今の時間を使って済ませようとする二人

 

 

「それじゃあ静流。卯月。菜々緒。頼む」

 

「お願いね。三人とも」

 

「ああ」

 

「はい」

 

「任しとけ!」

 

「ああ、行こうか」

 

「うん、奏の所へ行こう」

 

 

そうして午後の部にて交代、三人に任せて出し物担当を任せて、真と葵はまずは飲食系の売店で済ませようと、奏の売店へ向かう

 

 

 

向かうと、たくさんの売店が下駄箱前に並んでいた。校内に入る前には寄れるようなルートにしたと、奏が考えたのだろう

 

その中心で彼女が

 

 

「はーい!たこ焼き一つで300円ですよ!あ、おばさん如何ですか?今なら更に安くしますよ?そこの子供達、クレープどうかな?美味しいよ?」

 

 

「・・・・・・・なんか押し売りみたいなことをしているのだが?」

 

「あははははは・・・・・」

 

 

奏は、そのルートに立ち寄る客を全員に声を掛けて、なんとしてでも何か買って貰おうと、近くに立ち寄る客全員に声を掛けて金を稼ごうとする

 

自分が王族でもある立場でもあるのか、それを利用・・・いや・・・フル活用して何が何でも金を集めようとしている

 

真と葵はもう見慣れたのか、あまりツッコミを入れないようにした

 

 

「奏、何かオススメの物はあるか?」

 

「何か美味しいものはある?」

 

「あ、真兄さん。葵姉さんも、いっぱいあるわよ、オススメなのは・・・・・ん?もしかして、真兄さんと葵姉さんと二人で回っているの?」

 

「まあな、葵が俺と交代したいって言うから・・・」

 

「へえ・・・・仲が良いこと・・・」

 

「ん?何がだ?」

 

「うん、仲が良いよ、そんなに変?」

 

「ううん、別に・・・」

 

「なんの話かは知らないが、とにかくオススメの物を紹介してくれるか?」

 

「あ、うん。今教えるね」

 

「ああ」

 

 

なんの話かは結局わからないままだったが、とりあえず奏にお勧めされた物を教えて貰い、ある程度の売店に売っていた物を買って、真と葵は食べられるテーブルフロアに行き、二人で食べる

 

 

「奏のお勧めした料理は美味しいな。やはり聞いてよかった」

 

「それって・・・・・私の料理よりも?」

 

「いや・・・・・そんなことはない。だが一番は母さん達だ。あの母親の味は俺でも再現できない」

 

「むう・・・・お母さんに負けた・・悔しい・・」

 

「母の味こそ、勝る味は無い。この料理は学生としては最高に上手いが、世界に比べれば母さんの料理理の方が上だ。そう、俺よりも・・・」

 

「こう見えてお母さんやアイギスさんにも負けないように頑張っているんだけどな・・・」

 

「ああ、だから最近料理が上手くなるように、母さん達に教わっているのか」

 

「うん、そうだよ。兄さんに・・・・・ううん・・・燈に美味しいって言って貰いたいもん」

 

「そうか・・・・人前で燈って呼ぶのは禁止だぞ。お前が料理の練習しているのはよくわかった。俺は今まででも満足してたんだがな」

 

 

まさか葵にそんなことを言われるとは思いもしなかった真。葵はいろんなことを我慢する女の子。いや、真と二人きりの時は決して彼女が我慢なんんてしない

 

彼女は真の前では常に素直だ

 

真の前じゃなきゃ、彼女は何もかも抑え込んでしまう。いつも彼と一緒で居るのは、真の近くなら自由になれるからだ。彼女の能力も含めて彼女はどこまでも自分を我慢して耐え続けていた。真がいる時は能力は発動しない

 

理由はわからないが、料理に関しても兄に対しては本気だ。嘘ではない。

 

だから、彼女はこんな場所に似合わないセリフを吐く

 

 

「ねえ、兄さん。高校卒業したら出てくんだよね?」

 

「唐突だな、それもこんな所で聞いて良い話ではない。だが、それを通して言うが、ああ。俺は・・・・・アイギス母さんと暮らしたい」

 

「・・・・・・そうだよね」

 

「偽りの家族じゃあ満足できないと言うわけじゃあない。みんなと一緒に居るのはとても楽しい。それでも・・・・・実の家族で暮らしたい。俺の願いだ。叔母を止めるまでは」

 

「そうよね・・・・それが普通だもの」

 

「だから言う・・・」

 

「え?」

 

 

 

「俺と離れるのは怖い?」

 

 

「!?」

 

 

真だって馬鹿じゃない。

 

いつも彼女と一緒に居た彼においては、葵がどのような女性なのか理解している。わからない事なんてないほどに

 

だから彼女の気持ちはわかる。完全な程に

 

しかも

 

 

「俺と離れるのは怖い。だから奏とは随分と『喧嘩』するし、茜が俺に『変な事』をすると怒る。軽い注意でするはずが、珍しく怒る。意外と本音は隠しているようで、俺の前では隠せていない」

 

「やっぱり・・・・兄さんはわかるんだね。少しずるいよ」

 

「ずるいか、なぜ?」

 

「だって兄さんだけ、全部私のことを全部理解しているんだもん。私だって兄さんのことを知りたい」

 

「例えば?」

 

「例えば・・・・・『兄さんの心を読みたい』」

 

「・・・・・・・ふん、能力で俺の心を探ろうしたのか?」

 

「やっぱり効かない。やっぱりずるい」

 

「ふん、俺はなんでもお前のためにやってきたつもりだったんだが、お前が本当に欲しいのは俺の心か?」

 

「心も・・・・体も・・・・『貴方が欲しい』」

 

「・・・・・・・」

 

 

葵は本当に彼にだけ本音で喋る。

 

能力で何度も訴えるように、もうそこまで言われたら気持ちは手に取るようにわかる。間違いなく魔法使いの手品によって曝け出したように、葵は真になんでも手に取られれている。そう考えれば、自分は悪魔の魔法使いだと、真は自分を蔑む

 

でも、ここまで言われれば、『もう彼女は待っている』のだけはもう真に届いている

 

能力を駆使して、真が欲しいとなると、彼女も真の魔力を注がれただけのことはある、『魔女』になったのだと。葵もそれを自覚している

 

お互い、魔法を掛けるように想いを手にする

 

 

「葵、料理が冷める。食べよう」

 

「むう、誤魔化した・・返事が欲しい」

 

「悪い一線まで越えそうだからな、これ以上は口にするのはやめた方がいい」

 

「どうして?」

 

「想いが一線を越えて、よりヤバイ手段で俺を襲おうとしているからだ。正直今のお前は怖いぞ、。まるで『黒い魔女』だ」

 

「私は魔女になってでも・・・・だけどな」

 

「はいはい。そんなことを言ってないで食べるぞ。まだ回らなきゃいけないところあるんだから」

 

「はーい」

 

 

そうして会話を無理に終えて二人は食事を続ける

 

ハッキリと言って、みんなには聞かせたくない話だ。本気で彼女が王様になれば。真を手にするために手段を選ばないだろう

 

案外そのわがままを理解している真においては、一番姉弟の中でわがままを言う子であるのは

 

真が一番理解しているのだから

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

料理を済ました後で、次の出し物を見に行こうと校舎に入る。そして真と葵が向かった先は、

 

 

修のクラスのお化け屋敷

 

 

修が奏でに断ってまでやろうとしたこの出し物。確かにお客を驚かせようとするくらいの、いかにも怖そうな飾り付けをしている

 

 

「兄さん。なんだか怖いね・・・」

 

「怖いのどっちかと言うと修だと思うぞ?いきなり背後を取るかもしれないからな」

 

「あ、修くんのことだからあり得そう・・・」

 

 

お客を怖がらせるようなデザインで教室の扉の飾り付けは見事だと思うが、それより更に怖いのは、その驚かせ役で出て来ると思う

 

修である

 

修がお化け役として出てくるかはまだわかっていないが、もしもそうだったらある意味恐怖であろう。能力でいきなり背後を取るのは、流石に真と葵も背筋が凍る驚かせ方

 

驚かない人間なんて、早々居ないと思う二人

 

すると

 

 

「あ、真さん!葵さん!」

 

 

修の恋人である佐藤・花がお客の接待をしていた

 

彼女は魔女の格好をしているようで、ホラー系にふさわしいコスプレをしていた

 

 

「ああ、佐藤。修の出し物を体験したくてね」

 

「でも・・・・・なんか中で悲鳴が物凄いのだけど・・・」

 

 

「あははは・・・それは・・・・」

 

 

『うわあああ!?』

『きゃあああ!?』

『ぬわあああ!?』

 

 

「ああ・・・・これは・・・修だな。中であいつの気配を感じる」

 

「修君・・・・やり過ぎてないかな・・・」

 

 

「はい。修くんが能力を使ってお客さんを怖がらせているようで」

 

 

「それは怖いだろうな。いきなりお化けが出てくれば・・・」

 

 

廊下からでも、お客の悲鳴が遠くからでも聞こえた

 

やはり彼はお化け役として出てきているようで、お客を怖がらせるために連続瞬間移動を使っているのが想像できる。

 

まさか彼のトラスポーターにこんな使い方を考えるとは、思いもしなかっただろう

 

 

「さて、中に入るとしよう。葵。俺と一緒ならどうだ?」

 

「うん、兄さんと一緒なら大丈夫。それに相手は修くんだから大丈夫」

 

「よし、すまないが、二名頼む」

 

 

「はい!二名入ります!!」

 

 

そうしてお金払って、修のお化け屋敷に入る。

 

秋のお化け屋敷はおそらくテーマパーク並に本格的、学生が怖がらせる極度を超えている。

 

果たして、そんな長男と長女にそんな恐怖が効くだろうか、二人は修の教室に入っていく

 

 

 

中は、暗い森デザインとした壁が多くあり、ジグザクとなった斜めった道ができている。辺りは暗くて奥も見えず。

 

 

「本格的だな。お化け屋敷としては十分だ」

 

「ほとんど明かりは無いんだね」

 

「ああ、ん?前に机の上にテレビが置いてあるぞ?」

 

「本当だ。古い箱型のテレビだね」

 

 

中に入ってしばらく歩くが、お化けは出てきこない。そこに突然、目の前で机が一つ置いてあった。その上に古い箱型のテレビが置いてあった

 

そこへ近づくと

 

 

ブウン!!

 

 

「っ!?急に点いた!?」

 

「電源ボタン点けてないのに、付くなんて」

 

 

電源ボタンは押していない。テレビの近くに行くと勝手にテレビは付いた

 

すると、テレビ画面は砂嵐しか出てこない。しかし、そこから変な声がする

 

 

『ようこそお化け屋敷へ・・・』

 

 

「兄さん。これって・・・」

 

「ああ、修の地声だ」

 

「ここだけは分かりやすいな」

 

 

『気をつけた方がいいぞ・・・今もこのお化け屋敷にはお化けが潜んでいる・・・・今もお前達を狙っているぞ・・・』

 

 

「まあ、驚かせるならこれくらいは当然だな」

 

「これ、録画したのかな?」

 

「この箱テレビ、下にビデオレコーダー付き、間違いないだろうな」

 

 

おそらく、この修の地声は間違いなく、修が録音した録画させた物で間違いない。

 

だとしたら、この先に何が起こるかは真も葵も見えている

 

 

『そう、こんな風に!!!』

 

 

「きゃあ!」

 

「・・・・・・」

 

 

「ふははは、驚いたか?葵姉さん。兄貴」

 

 

「もう修くん!」

 

 

「まさかもう兄貴たちが来るとはな」

 

 

突然修が背後から出てきた。やはり想像通りである

 

修の格好はミイラの格好で背後から現れた

 

やはり能力を使用しているらしく、いきなり背後を取られて葵は驚いた。真はどうかはわからないが

 

 

「兄貴。どうだった?驚いたろ?」

 

「・・・・・・・」

 

「ん?兄貴?」

 

 

先ほどから修が出てきてから真がなんの反応もない。ずっと黙ったままだ。葵だけが反応しているのに、そして彼の顔は修や葵には見えない。周りが暗いせいもあって、そして無反応の真が変になったため修が真に声を掛けていると

 

 

「修」

 

「なんだ?兄貴?」

 

「狙っていると言うが、それって・・・・・」

 

 

真が修の方へと顔を向ける。

 

次の瞬間

 

 

 

 

 

 

 

「こんな感じか?」

 

「うわああああああ!?兄貴の顔が無い!?のっぺらぼうだ!!??」

 

 

突然、真は修に顔を振り向いたが

 

 

彼の顔には目も鼻も口もない。『のっぺらぼ』になっていた

 

 

まさかの驚かす側のはずの修が、まさかお客に驚かせれていた。彼には残念ながら魔法を物にしているだけのことあって、絶叫系や怪物系は常に専門であり。この程度では驚かず

 

逆に彼が驚かせる側になった

 

 

「すまんな修。偶には悪戯もしたくなってな。少し魔法を使った」

 

「うお!?やっぱり兄貴の魔法かよ!?」

 

「ま、俺を驚かせるなんて、百年早いってことだ」

 

「魔法でなんて卑怯だぜ」

 

「それはお互い様だろう。お前だって能力を使って驚かせているんだからな」

 

「うぐ、確かに・・・」

 

「兄さんそんな魔法も覚えていたんだね。一瞬私もびっくりしたよ」

 

「使い勝手が良くてね」

 

 

右手で顔を触ると、真の顔は戻っていた

 

やはり魔法を使って、修を逆に驚かせていたようだ。彼にお化けなんて効かないわけだ。彼は魔法を得るために悪魔をも殺しているくらいだ。彼には通用しない

 

 

「驚かせて悪かったな。俺だって悪戯はしたい時もあるからな」

 

「心臓に悪いって」

 

「とにかく、楽しませて貰うよ」

 

「じゃあね。修くん」

 

「ああ。俺のクラスメイトが驚かせてくるから気をつけろよ。まあ兄貴には通用しないだろうけどね」

 

「いや、どんな仮装をしてくるか楽しませてもらうさ」

 

「もう楽しみ方が違うんだけど」

 

 

修の悪戯の先を超えて、このお化け屋敷を二人は堪能する。

 

とは言っても、その後も真は大して驚くことなく、少し驚いているのは葵だけ、真は急な登場でも動揺することなく

 

修の出し物はそこまで続くことなく、10分程で修の教室を出ることができた

 

 

真はまあまあ楽しめたと言い。葵もいろんなお化けが居て楽しかった

 

なんだか驚いたと言うより、少し二人には可愛く見れたのかもしれない。修のクラスメイトのお化けの仮装がどんなものかをフィギュアを見るような感覚

 

だって二人は、静流の魔法である『キメラ魔法』で、好きなように彼女が神話の怪物に変身するため、あまりお化け系は驚きはしなかった

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

そして、もう少しで一日目の文化祭が終わろうとしている。その前に最後の出し物には体験したいと、最後の出し物へと向かう

 

それは

 

 

「すまない。二名頼みたいのだが、いいか?」

 

「茜は居るかな?

 

 

「真様!葵様!はい、茜様は居ます。もしかしてご指名ですか?」

 

 

「そう言うわけじゃあないが、せっかくだから茜の出し物も見たいと思ってな。二名頼む」

 

 

「分かりました。二名入ります!」

 

 

最後の出し物は茜のクラスのメイド喫茶

 

茜の出し物になんとま間に合って行く事できた。まあ問題としてはあかねが人前でしっかり接待できるかだが、一応真の使い魔が護衛している。今の所使い魔に反応はなく、問題ないようだ

 

そして中に入り、席に案内され、窓際近くのテーブルに案内された

 

茜の女子のクラスは全員メイド服を着ていた。男子は奥でタキシードを着て、厨房担当らしい

 

そして、真と葵のテーブルを担当してくれるメイドさんは

 

 

「お、お、おかえりなさいませ、ご、ご主人様。お、お嬢様」

 

 

「ああ、やっぱり茜が担当してくれるのか?」

 

「大丈夫?平気?」

 

 

「だだだ、大丈夫。平気。やれるもん」

 

 

「どうやらこの一日ずっと、焦りながらやってんだな」

 

「なんか問題とかあった?」

 

 

「問題ならあるよ!もうこんなの着たくない!お母さんやお父さん達にも見られたし、もう恥ずかしい」

 

 

「ああ、やはり親父達も来たのか」

 

「じゃあ修くんも来たのでしょうね」

 

「だな」

 

 

真と葵の担当は、もちろんメイド服を着た妹の茜だった

 

一応頑張ってやっているはものの。やはり人見知りが激し過ぎて、滑舌も良くはなく、慌てながら接待しているのが見えている

 

茜の話ではメイド服を着用した姿を家族にも見られたようで、もうさっさと終わりたいようだ。周りに居る客のほとんどは間違いなく。茜のファンだ

 

そして涙目で今すぐ着替えて帰りたい顔をしていた

 

 

「勿体ないな。せっかく可愛い格好をしているのに、脱ぐのは勿体ないと思うがな」

 

「え!?似合っているの?」

 

「ああ、とてもな。いつもより増して可愛く見えるぞ?」

 

「あ、そうかな・・・・えへへへ」

 

「むう・・・・」

 

「どうした葵?」

 

「なんでもない!茜。このミルクレープと紅茶を頂戴」

 

「あ、俺はチーズケーキと紅茶を頼む」

 

「あ、はい!分かりました。ではご主人様。お嬢様。しばらくお待ちください!」

 

 

真が茜の格好を褒めていたのが気に食わないのか、葵はいち早く話を流そうと注文を早く頼む

 

それに合わせて真も注文をし、注文を聞いて茜は戻っていくのだが、その戻った先の厨房入り口で、他のクラスメイトが茜にこんな声を掛けれていた

 

 

『ねえ茜。今度は私に担当させてくれない。私真様とお話ししたい』

 

『ダメだよ!私の担当だもん!』

 

『いいじゃない。だって接待するのは嫌でしょ?私が代わりにするからさ?私が真様と葵様の接待するからさ?』

 

『ダメ!兄さんとお姉ちゃんの接待は私が絶対にするの!それに花蓮も杏ちゃんも真兄さんがきになるだけでしょ!』

 

 

「むう・・・・・・」

 

「葵、何をそんなに剥れているんだ?」

 

「わかっている癖に」

 

「他のメイド服を着た茜の女子が俺に接待したいと言う話なら、おそらく俺が長男だからだろう?」

 

「本当にそう思う?」

 

「俺はそう思うけどな」

 

「また誤魔化した。兄さんわかっている癖に」

 

「さあな。なんの話だか」

 

 

チヤホヤされているなんて、真は思わないが、少なくともまあ、何かしらの好意は受けているのだと、変な魔法まで覚えたせいで、遠くから聞こえる女子の声は真に届いている

 

そんな好意を受けている真に、葵はひたすら嫉妬している。珍しくはないが、彼女が真に嫉妬するのは本人も分かってはいるが、変に誤魔化そうとして彼女を怒らせないようにしている

 

のだが

 

 

『おい、長男が居るぞ』

 

『ああ、『片腕長男』か』

 

『顔はイケメンだけど、片腕なのはね・・』

 

 

「・・・・・・」

 

 

そんな話をしていると横から他の客の声を真は聞いた。

 

逆に今メイド喫茶に居る客、つまりは男からは良く思われていない

 

確かに左腕の無い障害者持ちの男。それは王族であっても事実。国民の中では全員が王族を良いと思っている者は全員では無い

 

特に、障害を持っている長男としては不甲斐ないと思うのは当然

 

それこそ差別に値するが、何も否定しない

 

こんな差別を受けるのも、覚悟の上、真はもう望みを叶えるために犠牲は払っている。だからこのような差別の言葉も受け入れ、ただ聞き流すのみであった

 

 

 

「っ!・・・・っ!?」

 

「葵。やめろ」

 

「だけど兄さん!」

 

「気にするな。それに彼らの言うことも事実。否定する気はない。せっかくの文化祭を壊すな」

 

「・・・・分かった」

 

「それに、お前の言葉は『本当に危ない』。だからあの『二つの言葉』は絶対に口にするなよ」

 

「うん、分かった」

 

 

しかし、葵は許さない

 

葵は真を一番に大事にする女。たとえ事実にしても、兄を侮辱されて怒らない妹は居ない

 

左腕が無かろうと家族だ。王族とかは関係なく、家族の侮辱をされるなど、あの優しかった葵でも我慢できない。

 

 

だが、真がそれを許しては貰えない

 

 

葵の能力は、真の魔力を注がれたせいで『とんでもない能力』で強化されている。だから『ある二つの言葉』を口にするととんでもないことが起こるため、兄妹の中では一番強い女の子にして、絶対に使わせないように真が抑えている

 

覚悟の上での差別でもあるため、葵の怒りは兄の覚悟を捻じ曲げる行為として認めなかった

 

それに

 

 

ガン!!!

 

 

「「うわあ!?」」

 

 

「あのすいません。食事が済んでいるのならお帰り願います」

 

 

「あの・・・」

 

「俺たち・・・まだ食い終わって・・・」

 

 

「早くして!!!」

 

 

「「「「はい!今すぐ出て行きます!!!!」」」」

 

 

「おいおい、茜」

 

「当然だよ兄さん。あの人はあれくらいの罰は当然」

 

「やれやれ・・・・」

 

 

茜は絶対に許さない

 

真が口出す前に勝手に茜が侮辱した者達に手を出した。とは言っても暴力を振ったわけではない。多少の恐喝しただけ。手で先出すつもりはないようだ

 

多少の恐喝で客が逃げていく。でも茜も悪いとは思っては居ない。しかも他のメイド達までも納得の顔をしている

 

流石のみんなも今の発言は許せなかったようだ

 

 

「ありがとう、だけど、あまり下手なことはするなよ?」

 

「大丈夫。あれは絶対に許さないもん」

 

「だよね。茜」

 

「まったく」

 

 

騒ぎを起こさないようにして貰いたいと真は願ったのだが、どうやらそうもいかないようだ。家族の侮辱は茜が絶対に許せないのが彼女の本音

 

葵も許せないのが本音だが、茜は特にそれが全面だ。兄の左腕に関しては

 

まあ、なんにしても穏やかに真と葵は茜の出し物を楽しんだ

 

多少、葵と茜の止むを得ない小さな争いもあったが、メイドと記念撮影と言うシステムが最後にあったのだが、そこで真の隣をどうするかだけで、多少争った

 

まあ、案外楽しめそうな一日目の文化祭だった

 

 

 

 

 

 

 

「てことくらいかな」

 

「あははは!茜様ナイス!そんな奴らぶっとばして正解でしょ!」

 

「菜々緒。お前まで賛成しないでくれ。それと言葉が汚い」

 

「それでも許せないです。それくらいの制裁は私も賛成です」

 

「卯月、お前まで、魔法を覚えてからグイグイと、本音が出せるようになったけど、それはやめてくれ」

 

「私、今度そいつら見つけたら、ドラゴンに変身して食べちゃおうかな」

 

「静流。人殺しは一番やめろ。お前の魔法も十分人に殺傷できるんだから、それに友人にグロいことをさせるなんて、俺は御免だ」

 

「ほら言ったでしょう?菜々ちゃんも卯月もしーちゃんも賛成するって?」

 

「だとしても、文化祭に血は似合わない。そんなことを聞いても、絶対に無視するんだ。分かったな?四人とも?」

 

「「「「はーい!燈様!」」」」

 

「まあ・・・・ここではみんなが居ないから、俺の名前を呼んでもいいが、あまり下手を出さないでくれよ?」

 

「あはははは、大変だね燈。葵ちゃん達が良い守りになっているじゃないか」

 

「母さん。俺は友人や妹を武器にしたくないのだが?ところで母さん?先ほど校舎の裏で俺に暴言を口にした人たちが怯えて頭を抱え込んで倒れていたと、他の生徒から聞いたのだが、もしかして?」

 

「さあ?私は知らないわね。少なくとも彼らにはお化け屋敷に出てくる幽霊よりも、怖い体験をしたのかしら?」

 

「なるほど、やはり母さんか、校舎の裏の方で母さんの魔力を感知したが、そういうことか。これっきりにしてくれないか?」

 

「さあ・・・・もう放ってしまったから、どうすることもできないのだけどね・・・」

 

「やれやれ、過保護過ぎるのは親父だけかと思ったが、ここにも居た」

 

 

今は一日目の文化祭を終えて、夕方の18時

 

真と葵たち、そして文化祭を見にきた燈の実の母親、アイギスも息子の文化祭を見に私服になって、息子の高校に来ていた

 

今は、他の人に次の準備をして貰って、今は休憩、その隙に多少売店で買ってきたものを集めて、魔法で机を作って屋上でみんなで食べている

 

今日一日で起きたことをみんなで話し合って、真と葵が茜のクラスの出し物の話をすると、真以外鬼のような顔をしてスカッとしたようで、何より・・・・・・と言うが、真は無視しろと騒ぎを起こすなと言っている

 

現に手を出した母親の怨霊が学校に彷徨いているとのことだ。息子を想ってのことだろうが、過保護がここにも居たのだと、真は総一郎以外の過保護を初めて見た瞬間である

 

まあ、トラブルもあるのが文化祭でもある

 

 

「それで、燈はずっと葵ちゃんとデートかい?」

 

「デートと言う程じゃあないさ母さん。俺は常に葵と一緒に居るから。デートの内に入らないさ」

 

「ほう、と言っているが?」

 

「へえ、どうだか、どうせ葵と楽しくやっていたんだろう?燈?」

 

「まあ、それは文化祭だし、楽しんださ」

 

「そうですか、結構親密にですか?」

 

「それはそうだろう。俺と葵の仲だし」

 

「ほう、じゃあラブラブな程に?」

 

「ああ、やっぱりそう言う意味か、生憎ラブラブだとか、イチャイチャだとか、それは俺にはどんな感じなのかわからないし、葵とは普段いつも小さい時から離れた時はないから、そんな感じかだったなんてなんとも言えないな」

 

「むう、私は結構恋人みたいな感覚で楽しかったよ」

 

「そうか・・・・お前が喜んで楽しめたなら、俺も満足だな」

 

「ん///それは・・・流石に卑怯だよ」

 

「本当のことを言ったつもりなんだがな、困らせるつもりなそんなことを言った覚えはない。でも俺は楽しかったよ、またお前と周りたいな」

 

「燈・・・・・・」

 

「おーい!二人の世界を作るな!」

 

「わ、私たちも居ます!」

 

「これは無理にでも割り込むしかないな」

 

「むう、今とても良い雰囲気なのに・・・」

 

「と言うわけだ。明日は菜々緒達とも回りたいな。明日は菜々緒達も俺と一緒に休みが取れる。ちゃんとこの六人で回れる。母さんも良いだろう?」

 

「ええ、いいわ」

 

「本当に最後の文化祭なんだ。悔いのない文化祭を楽しもう」

 

 

「「「「はい!!!」」」」

 

 

「やっぱり、この中の中心は貴方ね、燈」

 

「そうかな、母さん。俺はそこまで彼女達をまとめる程の力があるとは思えないけどな」

 

 

みんなの中心になった覚えはない燈

 

でも、四人はそれだけ彼を信頼している。疑いなんてしないだろう。まあ、多少な嫉妬はあるだろうが、それでも四人をまとめている。間違いなく彼女達のリーダーは彼だ

 

いつまでも、五人で居られるなら嬉しい限りだろうに、

 

だからこそ

 

 

「それと、明日は夕方から『ステージ公開』がある。四人とも覚悟はできているか?特に葵。一番お前が不安なところがあるだろう」

 

「あ、それは・・・・・」

 

「信じて葵」

 

「菜々ちゃん!」

 

「貴方の言葉に強制なんてありませんよ」

 

「卯月ちゃん・・・」

 

「お前の言葉、聞かせてくれ」

 

「しーちゃん・・・」

 

「今、君の言葉が彼女達を操っていると言うのなら、それこそ嘘だ。なぜなら、燈がここに居るはずないからな。君の言葉は燈には通用しないからな」

 

「アイギスさん」

 

「分かったら、明日やるぞ?お前だけでやるわけじゃない。ここに居るみんなでやるんだから」

 

「・・・・・・・・うん、もう大丈夫。ありがとう。菜々ちゃん達。アイギスさん。燈」

 

「よし、最高なものにして見せよう」

 

 

明日。クラスの出し物とは別にステージで公開するものがあるようだ。

 

なにをするかはまだ誰も知らない。でも密かに彼らで出せるようにしていたらしい。その準備をしておいたが、葵が不安だったらしい。でももう迷わない

 

だって隣には友人も居て、兄も居る

 

怖いものはない。明日には絶対にできると信じて、明日を待つのだった

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

そして、夜

 

櫻田家のご自宅では、もう早速。高校にまだ通ってない下の弟妹達が真たちの学園祭の感想を言ってくる。もちろん。今日彼らもしっかりと来ていた。

 

もちろん上の兄姉達の出し物を全部体験している。その感想が今本人達に伝わる

 

 

「真兄様と葵姉様の脱出ゲーム。楽しかったです!」

 

「うん、お姉ちゃんとお兄ちゃんの謎解き、私たちでも分かって、迷路は複雑でしたけど。いろんな場所があって楽しかったです」

 

「それはよかった」

 

「楽しんでくれて、よかった」

 

「兄さん、教室とは思えないほど広かったけど、もしかして・・・・」

 

「ああ、俺の魔法で部屋の空間を広くした」

 

「そんなことできるの!?じゃあ私と遥の部屋も・・・・」

 

「すまないが、あれには時間の期限がある。だから永遠に掛けられるわけじゃなう」

 

「あ、そうなんだ・・・・」

 

 

「修くん。流石にお化け屋敷は怖かったよ。いきなり後ろに出てきたりして・・・」

 

「馬鹿野郎。光。俺の方が今日怖かったんだぞ。兄貴が仕返しのつもりか知らないが、兄貴がいきなり魔法でのっぺらぼうになって逆に驚かされたんだぞ?」

 

「え!?のっぺらぼう!?そんな魔法もあるの!?お兄ちゃん!?」

 

「ああ。あるぞ。今度またやったら、修が寝ている時に俺があの顔になって立ってやろうか・・」

 

「やめてくれ兄貴!?マジでトラウマになる!?」

 

 

「奏お姉ちゃんがオススメしてくれた料理。とても美味しかったです」

 

「それもほとんど安くしてくれたりして、ありがとうございます」

 

「やっぱり奏ちゃんなら、なんでも値引きができるね」

 

「そうでしょう。今日もガッポリ稼いだしね。ふふふふ」

 

「奏。また悪い顔をしているぞ?」

 

「見っともないからその顔を晒さない方がいいぞ?」

 

「あらあら、なんのことですか?お兄様方」

 

 

「茜ちゃんのメイド服。とても可愛かったよね?」

 

「ああ!茜。最高だったぞ!」(←茜のファンクラブNo2)

 

「いやああああ!見ないで!」

 

「ええ〜、こんなに可愛いのに・・・」

 

「岬!?いつから撮っていたのよ!?消して!!」

 

「いいじゃない!これも記念よ」

 

「俺も、新鮮だし、とても可愛かったけどな」

 

「え?やっぱりそう?兄さん」

 

「ああ、とても可愛かったぞ」

 

「あ、そうなんだ////」

 

「へえ。兄さんってメイド服がいいの?」

 

「ん?いや、メイド服が好きじゃなくて、メイド服を着た茜が珍しいと言うだけで、あの服に興味あるわけじゃないぞ。奏」

 

「そう、じゃあ私がメイド服を着たらどうかな?」

 

「ああ・・・・・なんかお金を要求してきそう」

 

「だよな兄貴。なんかのコスプレ料金や撮影料金とか言ってな」

 

「それどういう意味!?私はそこまでお金に貪欲じゃないんだけど!?」

 

「でも、茜。まさかまたメイド服を着て、兄さんに良からぬ事をしようとしてないよね?」

 

「え!?そ、そんなことしないよ。茜お姉ちゃん」

 

「本当かしら?そういうことだけは絶対にダメだからね?」

 

「は、はい!もちろんです!!」

 

「葵。俺は本当にメイド服に興味ないから、だからお前も通販なんかで買うなよ?」

 

「え!?だ、大丈夫。そんなことしないから!」

 

「そうか(てことは、これを言わなかったら、そうしていたってことだな。茜にはあんなことを言っておいて自分だけは俺に見せつけようとは、本当にズルイ女になったな、葵)」

 

 

「にしても、葵も真も、最後の文化祭だし。楽しめたようでよかったわ」

 

「そうですね。最後だから後悔のない文化祭を過ごして欲しい」

 

 

「大丈夫だ。父さん。母さん。明日もそのつもりで過ごすから、問題ない」

 

「うん、最後だからこそ、楽しんで過ごすから」

 

 

下の姉弟達や両親も楽しんでくれた。つまりは今回の文化祭も、トラブルはあったものの、なんとか成功させたようだ

 

そして明日は二日目

 

 

これで真と葵の文化祭が最後となる

 

 

果たして、明日はどんな文化祭の最後を飾れるのか、真と葵にご期待

 


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