城下町のダンデライオン〜長男は魔法使い〜   作:ソール

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第二十一話

父の真実を知って、夏を過ぎたこの頃、

 

秋に近づいてきた。選挙はかなり迫っている状態、みんな忙しく暇になっている真。今は普通に父が残した魔法書などを読んで暇を潰している状況。リリスの対策は多くしてある。人を恨み続ける父の妹の香を止めるべくいろんな魔法を見ている。

 

 

選挙に魔女の力得た姉の朝比奈香。この二つの問題に直面した真。もしかしかすると、香は選挙の日を狙うかもしれない

 

そのためにも一刻も早く香を探す。と言っても霊体になっている姉にどう探せばいいのかなど分からない。霊体になっている彼女を探すなど、もはやゴーストを探すような物。簡単にはうまくいかなかった

 

「何か暖かい物でも飲むか」

 

何か暖かい物でも飲もうとキッチンへ向かう。紅茶のパックを見つけ、すぐさまカップに入れる。普通はポットに入れるのだが、魔法があるため、わざわざやかんを用意して水を入れて火を通さなくても、人差し指から水色の魔法陣が出現し、そこから水が出てくる。水と紅茶パックを入れたカップを右手で持つと、腕輪のような赤い魔法陣が右腕全体に展開する。

 

そのまま手の平が鉄板のように熱くなる。わざわざコンロに火をつけなくても、勝手に右腕がコンロ代わりにカップに入った水がお湯に代わり、紅茶が自然に出来上がる。

 

 

正直左腕が無くなって以来は右腕一つで家事やいろんなことをしてきた。だがは今は魔法が全てカバーしてくれる状態だ。魔法を使い続けているせいか、無意識に魔法を発動している時もある

 

予想以上に魔法を使いこなしている。魔女の国、セイラム王国女王の息子なのか、最近魔力が尽きることなく、無限に使い続けている感覚を感じている。

 

 

あまり魔法に頼ってばかりだと、堕落してしまうため、少しずつ家事だけは控えるようにしている

 

いろいろ魔法があるとはいえ、生活まで堕落するわけにはいかなかった

 

「ん?」

 

紅茶を持って部屋に戻ろうとすると、何やらカタカタとパソコンを弄る音が聞こえる

 

『ああもう!これまで!』

 

声がするのは三男の遥だった。何やら困った顔をしながらパソコンを弄っているのが見える

 

気になるため、真は遥に声をかける

 

 

「何をしているんだ?」

 

「あ、兄さん!?ノックしてよ!」

 

「ノックするにしても、扉が開いたままじゃあ、声をかける以外ノックできないぞ?」

 

「ああ!!岬のやつ!」

 

 

ノックすることはできなかった。扉は開いたままだった。開いてた理由は察するに岬が急いで何か用事で家を飛び出して扉閉めるのも忘れたのだろう。岬は物事に集中するとそれ以外は全て忘れるところがあるから、扉閉める常識まで忘れるところがあるほどうっかりである

 

 

「それでパソコンで何を見ている?」

 

「に、兄さんには関係ないものだよ?」

 

「・・・・・・・」

 

 

残念ながら魔法を習得している真に、秘密など通用しない。真にはテレパスで言う名の読心魔法を覚えており、頭の中にある生きていた記憶や考えを全て読むことができる魔法。だから遥の考えなどお見通しだった

 

そして遥が秘密にしていることは

 

 

「櫻田家のファンサイトか?」

 

「え!?なんでわかるの!?」

 

「頭の中を覗かせてもらった。魔法で」

 

「いつも思うけど、兄さんのその魔法っていつもデタラメだよね?都合が良すぎるよ」

 

「それは俺も思う。この魔法に謎を感じる。それでそれを見てなにをしている?」

 

「頭を覗けばわかるでしょ?」

 

「ここまではお前の言葉で聞きたいし、俺はそこまで覗いてない。覗いたのは何を見ていたかだけだ」

 

「まったく真兄さんには敵わないよ。削除申請をしているんだ。茜姉さんの画像をね?」

 

「茜の?なんでそんなことしている?」

 

 

遥がファンサイトを見て個人的に削除申請していた。削除申請していたのはそのファンサイトに出されていた茜の画像全てを消そうとしていた。

 

なぜ茜だけのかはわからないが、理由を聞いて見る

 

 

「どうして茜のだけなんだ?」

 

「これ見てよ?茜姉さんの最近撮られた画像!」

 

「ん?・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・まったくあいつは・・・・『空を飛ぶ時はスパッツかズボンでも着て、パンツを見えないようにしろ』とあれほど言ったのに」

 

 

遥が茜だけのファンサイトを削除申請をしていたのは、茜が普段スカートのまま、下には何も履かずに空を飛んでパンツを市民に見られている画像だった

 

真があれほど、空を飛ぶ際はスカート以外か、スカートならスパッツを履くようにあれほど言ったのにも関わらず、市民や子供のスマホやカメラにパンツを撮られていた。

 

その画像をネットの非公式ファンサイトにアップされていた。

 

 

それを遥が見過ごせず、画像を削除しようと申請していた

 

 

「なるほど、確かにこれは兄妹として見過ごせないし、弟のお前からして見るのも恥ずかしいし堪ったもんじゃないだろ?」

 

「まったくだよ!なんとかならない兄さん?」

 

 

弟の遥にしても耐えきれなかった。それはそうだろう選挙ランキングも高くて、みんなにほとんど愛されている偉大な姉が、ここまで醜態を晒されるとなると、弟としても見ていられなかった

 

だから魔法でいろんなことを解決している真に頼むしか、遥にはどうにもできなかった。さっきから削除申請しても数が多すぎてどうにもならない。

 

もう頼るのは魔法という便利な力を持っている真だけだった

 

 

「茜の項目だけもう二度と見れなくなるが、構わないよな?」

 

「別にいいけど、何をするの?」

 

「茜の項目だけのファンサイトを呪いの魔法をかける」

 

「え!?パソコンに!?僕のパソコンに何をするの!?」

 

「勘違いするな遥、俺がかけるのはパソコンじゃなくてそのファンサイトにだ」

 

「え!?できるの!?ネットだよ!?」

 

「俺の使う魔法は決して対象物や人物だけ魔法をかけられるわけじゃない。魔法というのは人や物でなくても、ネットやゲームカセットの中身のソースコードに魔法をかけることもできる。か・・いや、師匠が昔にネットワークやコンピューターで自分の居場所をバレないためにその魔法を作った。ちょうど俺もそれを習得している」

 

 

アイギスも仮にも魔女にして、セイラム王国の女王。魔女の中でも最強の彼女は今でも世界において狙われている状態、住民票や運転免許においても履歴全てに魔法をかけており、魔女だとバレないためにネットワークにも魔法をかけている。現代のコンピューター技術はどんどん進化していく。それに対抗するには魔法でネットワークにもかける必要がある

 

 

そうでなければ、衛生カメラやドローンなどでコンピューターに正体がバレるかもしれないそれを回避するためにこの魔法をアイギスは作った

 

 

これをちょうど真も持っているため、早速ネットに呪いをかける

 

真の右手には青い魔法陣と赤い魔法陣を右腕に遥のパソコン画面に通す

 

すると、突然ノイズが画面全体にかかり茜のファンサイトが赤い画面にしか映らなくなった。まるでネットウイルスにでもかかっているようだ

 

 

「赤い画面だけになった!?」

 

「もう茜の画像はアップできない。もう茜関連のサイトも全て見ることはできない。更にこれ以外の茜のサイトを作ろうとしても赤い画面だけしか映らないようにした。これでもう茜のパンツはネットで見ることはできない」

 

「すごい!!さすがは魔法!真兄さんありがとう!」

 

「それともう一つ。お前の記憶の消去も忘れるなよ?」

 

「え?僕の記憶の消去?何を?」

 

「さっき頭を覗いた時、一瞬見えたんだが、お前も姉である茜のパンツを見て少し興奮したろ?」

 

「え!?あ、これは!!」

 

「心配するな、お前も男だ。そういうのは見たいだろ?大丈夫だ。誰も言わないから、お前のプライドを考えて言っただけだ。どうするかはお前次第だがな?」

 

「うん。なんとか忘れるよ。そういう兄さんだってこういうの見ないの?」

 

「葵でお腹いっぱいだ。それとなんだかんだで友人のも見ている。誰も女の裸に興味ないと言っているわけじゃないぞ?」

 

「葵姉さんでお腹いっぱいね。そりゃあそうだろね、葵姉さんは真兄さんが好きだからね。真兄さんに一番近くに居るしね」

 

「悪いけど、葵の方も見せてくれないか?」

 

「いいけど?もしかして兄さんもそういうの見たいの?」

 

「男だからな、それともう一つは変なこと書かれてないか気になる。書かれていたら即刻呪いをかける」

 

 

 

葵のファンサイトを真は確認してもらうよう遥に頼む。茜がこのようなことを書かれているなら葵の方も酷いじゃないのかと気になった。いつも毎日助けている愛しい妹を暴言などでネットに書かれているのなれば、兄として見過ごせなかった

 

 

 

だが

 

 

書いてあるのは『可憐で素敵』や『この国のお姉さま』素敵なコメントばかりで酷いコメントは一つもしてなかった。ファンサイトなんだから当然かと真は安心した

 

 

「変なことを書かれてなかったね?」

 

「ああ、安心した」

 

「安心は正直言うと葵姉さんよりも、真兄さんの方ができないと思うよ?」

 

「どういう意味だ?」

 

「こういう意味」

 

 

真に見せられたのは真のファンサイト。そこにはコメント数1億越え。明らかに他の兄妹の中で圧倒的なコメント数だった。ちなみにコメントしているのはほぼ女性。書かれていることもすざましかった

 

 

「・・・・・・・・なんだこれは?」

 

「真兄さんのファンサイト。真兄さんは本当にモテるね?ほとんど女の人のコメントを貰っているよ?」

 

「俺が櫻田家の長男だからだろ?」

 

「でも、これ見てよ?すごいよこれ?」

 

「・・・・・・・・・ああ、驚きだよ」

 

「でしょ?こんなに素敵なコメントがいっぱい書かれているんだもん。中には『旦那にしたいなら真様がいい!!』とまで書かれているよ?これは驚くでしょ?」

 

「ああ驚いたよ。まさか・・・・・・・・・・・その非公式ファンサイトに葵や茜や奏も見てたとはな・・・・・さすがに両目を瞑りたくなる」

 

「え!?葵姉さんと茜姉さんと奏姉さんが!?」

 

「そこに書いてあるだろ?そこに『私たちの自慢の兄です!!』とか『私たちにとって大事な兄です!!』と『はっきりと言って一家を支える大黒柱です』を書いてあるのはあの3人だ」

 

 

真もさすがにこれは恥ずかしいと言うより呆れた。まさか非公式ファンサイトに葵たちが見ていたとなれば、兄として呆れる始末だ

 

 

なぜ3人が書いてあることに気づいたのは、その書き込んだコメントをアップした名前だった。『ブループリンセス』『レッドプリンセス』『ブラックプリンセス』だと書かれていた。コメントもそうだったが、こんなこと書かれてはすぐにあの3人だと気づく。というよりなんであの3人がこれをコメントしているのか気になった

 

 

「なあ遥?俺のファンサイトを呪いをかけたら、あいつら泣くと思うか?」

 

「たぶん・・・・・・・・泣くと思うから勘弁してあげて?」

 

「だよな・・・・・・・・何をしているんだあいつら」

 

「真お兄ちゃん。遊んでくれない?」

 

「栞か?ああ、いいぞ?どうせ選挙も降りたからな、暇人だからいいぞ?」

 

「うん、ありがとう」

 

「遥、もう行く」

 

「これは?」

 

「諦める」

 

 

ファンサイトの事はもう諦めた。なんであいつらがそんなことをしているのかは知らないが、兄の評価のためにわざわざこんなことをしているのだろうか、なんのつもりでやっているかは知らないが、できればもうやめて欲しかった。

 

正直家族として兄として恥ずかしい。消せばうるさくなりそうだから、何をすることもできず、栞に遊びを誘われたため、このサイトに関しては諦めることにした

 

 

「何をして遊ぶ?魔法で何かしようか?」

 

「うん。じゃあ何か・・・魔法で絵を描くことはできる?」

 

「ああ、任せてくれ」

 

 

真は栞を抱っこして一階のリビングに降りる。真は栞のために魔法でお絵描きを始める。魔法で描くと絵が動いたり、魔法で描いた動物を実体化させることもできる。

 

そんなことをして栞を楽しませていた。ちょうどリビングには栞と自分以外いなかったため、栞にあることを質問する

 

 

「栞?ちょっといいか?」

 

「なに?燈・・・あ、真お兄ちゃん?」

 

「ふん、できれば真でな?」

 

「うん、それで何?」

 

「葵以外に誰か兄妹に俺とアイギスが親子だと誰かに喋った?」

 

「ううん。誰も喋ってないよ?」

 

「そうか、よかった」

 

「どうして私と葵お姉ちゃんには話して、茜お姉ちゃんたちには話さないの?」

 

「それには理由がある。栞にはまだ難しい話になるが、本当なら栞や葵にも話すべきじゃあなかったんだが、知られた以上は仕方ない聞いてみるか?」

 

「うん、どうしてか聞きたい」

 

 

まだ幼い5歳の栞にこんなことを話すのは真にとっては心が痛かった。はっきり言うなら夢や希望をいろんな幸せが待っている栞に、この世界という現実がどれほど酷いのか話さなければならないからだ。

 

こんな幼い子供にこんなネガティブというか、悲しい話をしたくはないが、

 

 

真にとって・・いや・・・・・・朝比奈燈についてはそう遠くない話だった

 

 

「母さんの血筋。セイラム家とは言うなれば魔女の血筋だ」

 

「魔女?」

 

「そう、絵本に出てくる魔法を使う女の人のことだ?」

 

「その魔女さんがどうしたの?」

 

「魔女というのは、栞が思っているほどいいものじゃない」

 

「どういうこと?」

 

「栞が思い描いている魔法を使って誰かを守るというような、そんな正義の味方じゃない」

 

「悪い人たちなの?」

 

「ああ、今は違うんだが、昔の魔女がその悪さをしたせいで、魔法を持たない普通の人間は今でも魔女のことを悪党だと決めつけているんだ」

 

「昔の魔女さんたちは何をしたの?」

 

「栞が想像もつかないほどの悪いことをしたのさ。それ以上は栞には刺激が強すぎるから、とりあえず昔の魔女は悪い人だと言うことはわかってほしい」

 

「うん、わかった」

 

 

言えるわけもなかった。大昔の魔女は罪のない人たちを殺したりや生贄や病気や災害を魔法で呼び起こしたなど、5歳の子供には言えなかった。それで原因で魔女裁判という。歴史史上。最悪な処刑もあった。罪のない魔女に加担したらすぐにその市民ももろとも処刑されたなど

 

こんな残酷な悲劇が昔にあったなど話せない。

 

 

「その昔の魔女たちの行いが、魔法を持たないただの人間たちは魔女を信用しなくなり悪党だと決めつけ、今に生きている魔女たちさえも悪党だと決め付けている状態。今を普通に日常を楽しんでいる魔女たちをな?」

 

「どうして?」

 

「彼女たちの使う魔法が怖いからだ。今の国や世界には彼女たちの魔法を防ぐ力は無い。昔の悪い魔女たちの悪いことが心が傷むほどの恐怖をし、それが今でも起こるんじゃないかと今の大人の人たちは怖がっているんだ。言ったって今の大人は信じてくれない。それほど昔から俺の家族『魔女一族』悪の生き物として人間たちに恐れられていたんだ」

 

「じゃあ茜お姉ちゃんたちに言わないのは、その悪い魔女たちの子供だと知られたくないから?」

 

「そこは多分修と奏と遥は気づいているはず、そこはいいんだが、俺がある

魔女の一族だと知られたくないからだ」

 

「ある魔女の?真お兄ちゃんは普通の魔女の子供じゃないの?」

 

「実は違う。前に母さんにも説明された通り、魔女の一族の中でも王族の一族が居る。その苗字はこの世界に噂になっている魔女の集まる。魔女しか居ない国の名前でもある、それが『セイラム王国』。そのセイラムの王女が俺の

母さんアイギスだ」

 

「魔女の王族だと知られないため?」

 

「ああ、実はあまり噂が良くない。兄妹たちを信じないような真似をしているようで悪いが、怖がらせないためにもセイラム王国の王族、セイラムの家系の子だと知られれば怖がるだろう」

 

「どうしてセイラムの王族だと怖いの?」

 

「母さんと俺はセイラムという家系は他の魔女よりも物凄い魔法を持っている。それを使って国を落とせる力を持っている。そんな一国を落とせる王族は今でも噂になっている。もちろん総一父さんと五月母さんは知っている。それをわかった上で総一父さんはこの国に置いている。リリスという俺の父さんの妹、朝比奈・香に対抗するためにもここに居る。そんな危険な一族がこの国に居るなんてあいつらが知ったら・・・・・・どんな顔をするか」

 

「でも選挙の時には茜お姉ちゃんたちには言うんだよね?」

 

「もちろんだ。その時は覚悟して言うつもりだ。今は選挙で茜たちも忙しいから話すわけにもいかない。今は選挙に集中してもらいたいから、とにかく誰にも言わないように頼む」

 

「うん、わかった」

 

 

栞には誰にも言わないように頼んだ。もし真とアイギスがセイラム王国の王族だと知れば、茜たちが真とアイギスを恐れるのではないかと真は想定した。わざわざ栞に誰にも言わないよう言った。総一郎や五月はセイラム王族のことも知っているため、誰にも言わないようにも理解している。真とアイギスの正体を知っているのは、総一郎と五月と菜々緒と卯月と静流、そして葵と栞

 

総一郎と五月は王と王女である二人がセイラムという言葉にどれだけの機密にしなければならないほどの重要な案件かも知っている。それが世に知れ渡ることになれば、世界がどうなるかってことも王や王女である二人が一番わかる。だから部下にも言えなかった。

 

同じ未成年である栞と葵と卯月と菜々緒と静流にはただ真のためだと思って何も言ってないようだが、それがどれほどの重要なことかはまだ理解していない

 

 

朝比奈燈と朝比奈アイギスの二人がセイラムの一族だと、二人だって総一郎と五月は知らなかった。むしろ存在していたことに驚いていた

 

セイラム王国も架空の王国だと世界には都市伝説扱いされている状態だ。そもそも魔女の存在ですら架空だと世界は思っている。

 

いろいろ噂にもなっているが、今の科学ではとても信じられないが、この世には魔女が集まった王国があるという都市伝説があると伝えられている。中でも王国の建物や白や建造物は全て黄金でできているとか、中には我々人間が作ることのできない魔法が含まれた誰もが見たことのない科学兵器など、魔法文明な王国

 

その王族がこの櫻田王国に住んでいたのだ。驚くにもほどがある

 

王族がここに居るのだから、セイラムも魔女の王国も信じるしかない

 

 

だが、世界に広まればどれほどの事件になるか、世界問題にもなる。魔法を扱う魔女の王国など、世界からすれば史上最も最高危険国家。

 

その国家の王族がこの国に居るとしたら国中がパニックになる。妹たちを信じないわけではないが、どうしても茜たちに話すことができなかった

 

 

「ん?茜か?」

 

 

栞は選挙の仕事で五月と輝と一緒に城へ向かった。玄関が見える廊下に歩くと、玄関でビーニル袋を持った茜が居た。だがやけに顔が辛そうに見えた

 

 

「あ、た、ただいま兄さん。わ、私買い物をしてきたよ?」

 

「ご苦労様、それより茜?ちょっといいか?」

 

「ふえ?何?」

 

 

玄関の前でビーニルを持ったままフラフラしている茜を、どう見ても様子がおかしいと感じた真は茜のおでこに手を当てる。顔が真っ赤になっているのが気かがりになっていたからひょっとしてと思い触る

 

 

「やっぱりお前熱があるぞ?」

 

「え、大丈夫・・・だよ」

 

「大丈夫なもんか、俺の部屋に来い。魔法で治してやる」

 

「だ、大丈夫だよ・・・」

 

「全く茜はこういうところだけは意地っ張りというか、人のことをよく聞かない奴だったな、じゃあ強引に行かせてもらう」

 

「え?わ!?」

 

 

言う事を聞かない茜を真は無理やりお姫様抱っこして自分の部屋に連れていく。もちろん左腕は無いから魔法で足を浮かせる。さすがに恥ずかしいのか茜は顔を真っ赤にして抵抗する。

 

 

「ちょ!?本当にいいって兄さん!」

 

「いいわけ無いだろ?大人しくしてろ?」

 

 

それでも聞かずに真は食材が入ったビニール袋を魔法で机に置いたまま、茜を真の部屋に連れって行った

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

茜の風邪は真の魔法で徐々に下がりつつある。急に風邪が出るなど真は信じられなかったため、風邪はリリスが魔法で茜にかけたのかと思ったが、本当にただの風邪らしく魔法で調べても魔法の類はなかった。ひとまずは安心である。でも無理をさせるわけにはいかないため今でも部屋に寝かせている。

 

 

だが、妹が風邪をひいてるこんな時に大事な用事が今櫻田家に出てしまった

 

 

「また外国の王族会議?」

 

「そうだ。急に入ってしまってな。どうしても今からアメリカまで行かなくてはならなくなった」

 

 

王族会議

 

櫻田以外にも王族は存在する。各国に一つには必ず王族が存在し、もちろん能力者の一族。年に一度にその王族が集まり世界問題の会議をやる。

 

ちなみに日本の王族は櫻田家

 

 

「アメリカか・・・・先月やったばかりだろ?なぜ年に二度も?」

 

「ああ、そういえば言ってなかったな真。お前は色々進路で忙しいから言うタイミングがなかったから言えなかったが、私の王位を継ぐ選挙の説明をするために急に私が他の王族達に召集を頼んだんだ。場所がアメリカの理由はそのまま私はローゼ家の城に行かなくてはならない用事があるからだ」

 

「そういえば進路のことで頭いっぱいで選挙のことは完全に忘れていた」

 

 

燈の姉である香のことで頭いっぱいな上に選挙を降りた真には興味がないと進み具合も選挙のことは何一つ聞いてなかった。聞いたとすれば自分と同じく選挙を降りたいと志願者が出たことくらい。それは光と遥。

 

光は今、年齢は隠しているがアイドル活動に夢中で選挙よりもアイドル活動に専念したいと選挙活動は降りた。ただ人気者になりたかっただけで王族になれば人気者になれると初めは励んでいたが、途中アイドルに興味を持ってしまい。年齢はまだ小学生のままだが、能力で中学生くらいの体に変身し、偽名でアイドル活動を始めてそちらに楽しさを感じてしまった頃から王様になるよりもアイドルの方がイキイキと楽しく過ごせるようでそちらの王様にはならずにアイドルを選んだ

 

 

遥の方は

 

元から興味ないのと同時に姉である岬の方の選挙に支援したいらしく選挙を降りた。元から王様になってもやることもない遥には関係のない話だった

 

というように真以外にも選挙を降りてまで違うことに専念したいと辞退した兄妹もいるという話しか真は聞いていなかった

 

 

そしてもう9月。選挙は来年の1月31日に開催する。残り4ヶ月というわずかな間に他の各国の王族たちにこれから櫻田家の王位を継ぐ息子たちのことを説明しようと世界会議で言う名の王族会議を先月やったにも関わらず召集を総一郎はかけた

 

場所がアメリカな理由は櫻田家を信頼しているアメリカの王族ローゼ家の用事も一気に済ませたい理由でアメリカホワイトハウスで会議をしたいが理由

 

 

だが正直状況が悪い

 

 

今は茜が風邪で茜をアメリカに連れていくわけにもいかない。それに続いてリリスにも狙われている状態、状況はもっとも最悪。もし家を空ければその隙を狙ってリリスが茜を人質を取る可能性も高い。だからと言って総一郎たちも狙われることもあり得る

 

 

となればだ

 

 

「親父?悪いけど俺はアメリカには行かない」

 

「そう言うと思っていたよ。家には栞と奏でも居るから真頼むな?」

 

「光と遥と岬と輝は?」

 

「光はアイドルの事務所の友達とお泊まりだそうだ。岬と遥は少し遅めの林間学校。輝は小学校の運動会の準備で遅くまでやるみたいだからそのまま友達の家でお泊まりで四人は家に帰ってこない」

 

「わかった。てことは今夕方に出ないとあっちには着かないんじゃないか?」

 

「ああ、もう空港のチケットももう四人分買ってある。私と五月さんと修と葵でアメリカまで行ってくる」

 

「もう一人追加してくれないか?」

 

「誰だい?」

 

「母・・・・いや、師匠だ」

 

「アイギスさん?なぜアイギスさんを?」

 

「もしものためにだ」

 

「っ!・・・・わかった。アイギスさんにも同行を頼もう」

 

「連絡は俺がするから、そのまま師匠の家に寄ってくれ」

 

「わかった。じゃあそういうことなら・・・・」

 

「おい?まさか他の警備隊まで用意する気か?俺が居るから大丈夫だ」

 

「しかしだな真・・・・」

 

「はあ〜・・・・・わかった。それなら俺にも考えがあるから他の警備隊は用意しないでくれ」

 

「なに?」

 

 

心配性の総一郎は家に警備隊を1から3まで警備させようと考えていたみたいだが、それはそれで警備隊の人たちに悪い上に近所にも迷惑だと真はあることを考えた

 

 

それは

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

10分後

 

 

「申し訳ない。こんな遅くに、家の物は好きに使って構わないから3日間家や茜たちをよろしく頼む。」

 

「ごめんね菜々緒ちゃん、卯月ちゃん、静流ちゃん」

 

「いいえ、陛下も女王陛下も安心してアメリカに行ってください」

 

「家の家事もやっておきますね」

 

「家に入る泥棒は私たちに任せてください」

 

 

真は警備隊を用意するくらいなら、菜々緒たちに頼むの方がよほどよかった。あんな銃を持った警備隊が居たら近所がびっくりするに違いないと代わりに菜々緒たちも用意した。

 

まだ世間には知られてないが、菜々緒たちは真と同様に警備隊にバイトしているし、真の魔法を貰っている。万が一リリスが来ても問題ない

 

ただ、まだそのことは葵や栞以外の兄妹は知らないため、それは後ほど説明することにした

 

 

「お願いね兄さん。菜々ちゃんたちも?」

 

「大丈夫だ。葵」

 

「葵さんもそちらで」

 

「アイギス師匠とそっちでな?」

 

「うん」

 

「総ちゃん。そろそろ?」

 

「そうだな、それじゃあ頼むよ?」

 

「「「「いってらっしゃい」」」」

 

 

総一郎たちは家を出た。アイギスの方にも連絡してあり、もう空港に居るらしく事情はもう把握しているらしい。正直セイラム王女であるアイギスに王族会議に同行させるのはアイギスにとって危険なところだが、止む得ないと真は頼んでしまった

 

セイラム王国が知られないことを祈るばかりだった

 

 

「じゃあ奏には俺が言っておくから、菜々緒は栞を見ててくれ。卯月は先に茜のためにおかゆを作ってくれ。それでから俺たちの分の夕飯を俺も一緒に手伝うから頼む、静流は夕飯呼ばれるまでは茜を見てやってくれないか?」

 

「あいよ!」

 

「わかりました!」

 

「任せておけ」

 

三人は真の指示に従って、それぞれの仕事に入る。真は奏にいろんなことの説明をする。まずは菜々緒たちが魔法を扱えることなどいろいろまだ市民には内密にしなければならないことが多いこともあるが、まずは今回三人がこの家に居ることに説明しに行く

 

 

 

 

 

 

 

 

「ということでわかってくれたか?」

 

「まあ・・・・かなり信じられない話だけどね?」

 

 

無理もなかった。いつの間にか王族でもない菜々緒たちが真と同じように魔法が扱える。主に真のせいなのだが、真の魔法なのか真自身の能力なのか、未だにそこは解明されてないが、その力を借りて警備を頼んでいた。どっちかといえば面倒見てくれているだが

 

 

「信じられないなら卯月に聞いてみるといい。お前と卯月は生徒会委員だから仲もいいだろう?」

 

「卯月会長とは確かによく話すし、それほど良く一緒に仕事をすることもあるけど、別にそこまで私は兄さんのことや卯月会長たちのことを疑っていないわ」

 

「そうか、俺もお前が疑い深い人間だと思ってはいないんだ。ただそうでなくてもこんなありえない出来事を信じるのは・・・・・とても難しいと思ったからだ」

 

「確かに卯月会長は王族でも無いしね」

 

 

真は決して奏を信用してないというか疑い深い人間だと思ってはいない。仮にも妹である奏を兄である自分が信じないなど、そんなことは自分のプライドをへし折ってでもそんな真似は絶対にしたくない

 

ただ信じてもらえる根拠がない、ただそれだけ

 

ありえないことすぎて、説明したところで信じてもらえる根拠も確証も無い。奏ではしっかり者で真面目な妹だと、奏の性格を把握している真には現実見あるものでなければどうしてもわかってもらえないことも知っている。そういうところは能力のお金の計算も頭脳での考え方はこの兄妹の中で一番しっかりしている方だ

 

そんな妹にどう説明して信じてもらえるか、ここまでになると卯月という本人を使うしか真には信じてもらえる確証がなかった

 

奏を信じないわけではないが、現実見が無さすぎて、ありえなさすぎて、言葉や説明だけ信じてもらえるには不足だと思って言っただけだった

 

幸い本人も奏も学校では友人同士。信じてくれるに値すると思い。本人の言葉なら信じてくれると推定した

 

でもその必要もなく奏は信じてくれた

 

 

仮にも兄である(本当のではないが)真や生徒会長である卯月を信用しないなんて真似も奏にもできなかった

 

それにありえないことなど奏にとってもう想定内らしい。何故なら今ままで一緒に生きていた兄が本当は実の兄妹ではない上に、魔法を扱うという。王族でもない人間が能力でもない未知や架空の魔法という力を使っている

 

そんなありえないこと連発でもう信じない道理はなかった。兄に関してはもうそういうことが起きるのだと実の兄じゃないと父に言われた時から頭にもう想定するようにしていた

 

 

「茜の方なんだが、風邪は俺の魔法で下がりつつあるから心配ない。もし上がったとしてもまた俺の魔法で熱を下げるから問題ない」

 

「じゃあどうして卯月会長たちがどうして家に?」

 

「最近は泥棒や強盗多く出ていることが多くて物騒だ。ここは櫻田王国。金目になるものは多い。昔みたいに狙われることもあり得る。魔法を扱う俺と卯月たち入ればまず襲われることもない」

 

「それはそうだけど」

 

「それに武器を持った警備隊が家の周りに居るより俺らが居る方がいいだろ?」

 

「それは最もね。お父さん本当に心配性なんだから」

 

 

さすがにリリスのことについては真は言えなかった。言えば余計警戒するだろうし、奏には普通に過ごしてもらいたかった。ただでさえ昔のことで背負っていることが心に痛みを抱えている奏には少しでも安らかな平和な時間を与えたかった。これを秘密にしたところで近いうちにバレると思うが

 

今は選挙のこともあるし言うわけにはいかなかった

 

 

「兄さんは進路どうするの?」

 

「大学・・・・・・てとこだけど、今は考えている」

 

「あと四ヶ月でしょ?兄さんは選挙も降りたんだから早くしないと進路先も無くなるわよ?」

 

「ああ、わかっている」

 

 

奏の言うことも一理あった。確かに家族のことや父のことで頭がいっぱいで進路先のことを考えていないことは本当だった

 

二学期になって学校で先生にも進路のことでいろいろ言われている。確かに俺と葵と菜々緒たち以外はもう9月になって進路先が決まっている3年の生徒がもう半数を超えていた。

 

ほぼ櫻田王国に関係する仕事に就職したい生徒が多い。それだけ王国所属の就職は給料も待遇がいいのだろう。真の仲のいい先輩も王族のボディーガードになりたいと試験を頑張っていたことを思い出す。

 

真はこの先兄妹ではない人生を歩んでいく。つまりは王族ではない道・・・・・・・いや、真は進路のことについて何一つ考えていないわけじゃない

 

 

ただ

 

 

この生活もあとわずかで終わる。いや、終わらせることを決めた

 

父の真実を知って選んだ道がある。それに突き進むことを選んだ

 

 

だが、それは実の母親以外の人にはとても言えなかった

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

21:00時。もうさすがに遅くなり、茜の様子を見に部屋まで行く真。栞はもう部屋で寝ていた。菜々緒が寝かしつけてくれた。卯月も菜々緒も奏も今は下の階でテレビを見ていて話をして楽しんでいる

 

 

「静流?どうだ?」

 

「茜ちゃんの熱は完全に下がったよ。もうすっかり安らかに寝ているよ?」

 

 

静流が遅くまで見てくれていた。どうやらかなりもう熱が下がっているらしく。いつもみたいに普通に寝ている。

 

 

「ありがとう。もうそこまで面倒を見なくていいから下で卯月たちとテレビでも見てくるといい。もう茜を面倒を見る必要もないよ」

 

「いいのか?」

 

「ああ、家に魔法で結界も張ってある。もしもの場合はすぐに出れるようにしてあるから大丈夫だ。夜遅くまでありがとうな?」

 

「ああ、それじゃあ私も風呂入ってくるから、お風呂借りるね?」

 

「ああ」

 

 

静流は茜の部屋に出て、下の広間に行った。

 

真は部屋も出ずに茜のベットに乗ったま茜の寝顔を見ていた。熱が引いて安心して寝ている姿を見て安心しているのか、もしくは今でも元気そうに寝ているなと、茜の顔をジーと見ていた。

 

茜も奏もそう、昔のことで背負っている兄妹がいる。そんな妹たちに元気で生きて欲しいと願っていた真。兄妹全員の悩みを知っている真。それをなんとかしたいと思っている。

 

王族にだって悩みは存在する。相続だって人間と代わりない。魔法でもそれはさすがに断ち切れない

 

 

「兄さん・・・・・どこにも・・・・・行かないで」

 

「・・・・」

 

 

そして真にもだ。妹たちに告げてない決めた先と俺の全て。この先何があろうと、真はこの家族と離れることになる。その選びは嘘つきで騙すことであり、それを選ぶことは今の家族の関係を壊し、この名前を捨て、本当の自分として生きる道を選ぶ。

 

それは犠牲と後悔の選択。これが運命だったのか

 

 

魔法使いとして当然の生きる道なのか

 

何が正しいのかわからない

 

 

そして自分の全てを知った兄妹たちの反応

 

 

櫻田・真・・・いや

 

 

朝比奈・燈の真実と選択が、兄妹たちと世界に影響を与えることが

 

 

どれほど自分の心を痛めるということがどれほど悩んでいるか、父である薫の妹朝比奈・香もこんな悩みで想いでいたのだろう。理解もしている。だが魔法でもどうしようもできないものが存在する

 

 

世界の見方、妹たちの関係を保つ。

 

 

茜の今の寝言が余計悩みを極大にしていく。

 

 

 

真実を知ってそれを選択すればわかってはもらっても受け入れてくれないだろう。妹たちが血に繋がってない自分を愛してくれるのは嬉しい

 

 

だが

 

 

 

できない

 

 

魔法の一族であり魔女の王族の血族である自分には

 

 

どうしても生きている世界の環境が違いすぎる。父である薫も王国所属警備隊に何も言わずに辞めたのはそういうことだろう

 

 

恐ろしい力を世界に公表しないためにはこれしか手段がなかったのだろう

 

 

 

 

もし、これから先

 

 

 

兄妹たちと離れ、父である薫が成し遂げることができなかった夢を達成させるために今の生活の全てと友人や家族を捨てる道を

 

 

 

魔法使いとして生きる道を選んだ燈を

 

 

 

みんなはどう想うのか

 

 

 

全てのことを話して、わかってくれるだろうかと燈は心配になり悩んでいた。そんな先々のことで思いつめながら

 

 

燈は茜の部屋を出で行った


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