城下町のダンデライオン〜長男は魔法使い〜   作:ソール

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第十六話

夏休み

 

まだ暑い日が続く中

 

真はしばらくアイギスのバイトしていた

 

「620円になります」

 

今は会計をしている。普通ならアイギスに魔法を教えてもらうはずだが、それは民の人には秘密にしている為、あまり多く魔法を使うわけにはいかなかった

 

ただでさえ、自分が王家櫻田家の兄妹ではない

今バレるのはマズいし、王家の人間じゃないと発覚したら

真の使う魔法が能力じゃないとバレてしまう

 

そうなってしまったら、彼は確実に民の人たちにバケモノ扱いされるだろう

 

彼は慎重に行動し、誰もバレずに朝比奈・燈を探す様にしている

 

慎重に動いているのは彼だけでなく、アイギスもそうだった

 

自分が魔女だと誰かに知られれば、大変なことになる

呪いだの、なんだので、政府の人がアイギスを排除する可能性もある

 

彼女も自分の正体を隠しながら生活している。これはすごく不便な生活だった

 

 

 

実は秘密があるのはこの二人だけでは無い

 

 

「ありがとうございました」

 

「葵様もここでバイトしているのですか?」

 

「ええ、兄さんと一緒に、私も本が好きですので一度本屋の仕事をしてみたかったんです」

 

葵もだった。

 

葵も今はアイギスのところでバイトしている

それで隠しているのは二人みたいに正体ではなく

 

能力だった

 

アイギスに葵の能力の制御をする方法を知っているかもしれないと

アイギスに頼んだのだ

 

だが、アイギスも魔法だけを教えるほど、暇ではなく。今は夫の残した本屋を経営しているため、忙しくてそんな余裕もなかった

 

葵もせっかくだから、兄がバイトしているように自分もしたくなり、今日からバイトをすることになった

 

幸い葵はアイギスが魔女だと言うことも真の魔法の師匠だとも知っている

 

幸い知られたら葵の能力でその記憶を消す事が出来る

それだけ今の葵の能力は万能だった

 

ここまでできるのは能力が進化したせいでもあるが、意外に便利には使える

これで後は制御ができれば文句無い

 

前にもまた勝手に発動したこともある

今でもそうだ。たまに心に思っている言葉でも、すぐに発動してしまう程うまく扱えていない

その対策のための今日なのだ

 

 

「さて、葵ちゃんの本当の能力『アブソリュートオーダー』かな?」

 

「はい」

 

「相手を服従する能力か・・・・なるほど、確かに隠したがる気持ちもわかるわ」

 

「それで・・・・どうにか制御する方法を知りたいんです」

 

「まずは・・・・どういうものか見せてくれないか?」

 

「はい・・・じゃあ、まずこのペンを浮かせますね?葵?」

 

「はい」

 

葵は机の上に置いてあったペンを浮かせる

 

「『浮いて?』」

 

葵がそう叫ぶと

 

ペンのボディが青く光、葵の言われたとおり浮いた

 

 

「どうです?なにかわかりました」

 

「・・・・・・」

 

だが、アイギスはなぜかなにも言わなかった

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

なぜなら

 

驚いているからだ

 

「なにをした?」

 

「え?」

 

「なにを?」

 

「真?なにをした?」

 

「は?」

 

アイギスは葵に言うのではなく、言ったのは真の方に言った

衝撃のあまり二人は混乱した

 

「なにをって?どういうことです?」

 

「わからないか・・・・・・・真?」

 

「はい」

 

「君は確か・・・・・葵ちゃんの能力が進化していると言ったな?」

 

「はい。そうです」

 

これは進化としか言いようが無かった。なぜなら今までは人に命令するだけの能力なのに、最近になって無機物まで命令ができるなんて進化としか言いようが無かった

 

だが

 

アイギスのその言葉がまるでそれは進化ではないような言い方だった

 

「進化ではないぞ?真?」

 

「え!?じゃあなんです?どうして無機物まで命令を!?」

 

そして次のアイギスの言葉に衝撃を受ける

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「君だ。真」

 

「え?」

 

「君が葵ちゃんの能力を魔法で”強化”しているんだ」

 

「え!?!?」

 

葵の能力が無機物までできるのは、真の魔法のせいだった

 

「どういうことです!?なんで俺の魔法が!!葵の能力を強化しているんです!!」

 

「かすかだが、葵ちゃんの能力の光から、あんたの魔法の光がかすかに見える」

 

「な!?」

 

「おそらく、君は魔法を自分で使いこなすだけでなく、魔法で櫻田家の能力を強化する魔法もあるんだ」

 

「ありえない・・・そんな魔法・・・・あなたも持っているのですか?」

 

「いや、私は持っていない。そんなもの相手に魔法を与えるようなものだ。そんな貴重な魔法があるなら、とっくに使っている。その魔法が使えるのは君だけだ」

 

なんということだろうか、確かにここ最近葵の能力が強くなる傾向がある

それは真の側で発動していたこと

 

真のいない場所では能力はほとんど発動しない

 

真に関係しているのは確かだった

 

「葵ちゃんのその無機物に対する能力は・・・もはや命令ではなく、操るに等しい」

 

「操る?」

 

「ああ、私からすれば『サイキック魔法』と言って、物や人を自由に操る能力だ。その言葉の命令を言うだけで、その通りになる能力になったんだ」

 

「どうして葵にそんな力が・・・・俺はなにをしたんだ?」

 

「何か接触したことあるか?葵ちゃんと?」

 

「接触?」

 

「その魔法はお前が魔法を使ったばかりの誰かと手や体に接触すると、その魔法が移る可能性がある。その触れた相手に魔法を得てしまうんだ。心当たりないのか?前に葵と手に触れたとか?」

 

「そんなのいくらでも・・・・・・・・まさか!!」

 

真は確かに心当たりはあった

 

確かに葵とは兄妹仲良く、いつも手を繋いでいた。彼が左腕が無いという理由もあり、昔から手を繋いでいる

 

でも、それが原因で葵の能力が強化されたのではない

 

なら、どう接触すれば魔法が移るのか

 

 

それは彼にとって自覚はあると言える程わかっていた

 

それは

 

 

 

 

 

 

抱きつくことだった

 

葵と彼は、魔法を得たばかりの体で抱きついた時があった

それはひったくりに殺されかけた日のこと

 

彼が無事に帰還した後、彼女に抱きつかれた

 

 

その時から魔法が葵の能力に混じり、葵の命令能力を魔法で強化してしまったのだ

 

「これしか・・・心当たりはありません」

 

「まあ・・・あの時は仕方なかったしな、じゃあその後葵ちゃんは無機物にまで命令を?」

 

「ええ、俺がトラックに轢かれそうになった時があったんですけど、葵が能力で止めました」

 

「おそらく心で制御する能力なんだろうね。真を思う気持ちがその能力が発動原因ってわけね?」

 

「こんなの制御できるんですか?魔法で?」

 

「魔法では無理ね」

 

「そんな!?」

 

「これは魔法で制御の魔法をかけても無駄なことよ?」

 

「どうしてです?」

 

「これはもはや魔法でも制御でも無駄だわ、葵ちゃん自身の心が問題で発動している以上は葵ちゃん自身の心で制御する以外無いわ」

 

「そんな・・・・・」

 

それ前にもやった。それでもうまくいかないからアイギスに頼んだのに、ほぼ無駄にデカかった。でも正体や方法を知っただけでも幸い

 

後はすべて葵自身に頑張ってもらう以外ないわけだ

 

葵の能力『アブソリュートオーダー』

とはもう呼べない

 

もはや魔法で強化された能力『アブソリュートオーダー・サイコキネシス(絶対遵守念動力)』と呼んでもいいだろう

 

強化された能力は、言葉の命令で分子や無機物を操ることができる、いわばテレキネシスや精神コントロール能力が使えるようになった

 

言うならば葵は真の魔法で超能力を手に入れてしまったことだ

 

これについて、封印の魔法をかけたとしても、葵の感情次第でそれが溶けてしまうため、使っても無駄。

 

もはや自分の心で制御する以外、彼女のこの能力はどうにもならなかった

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

バイトが終わり、まっすぐ家に帰る二人

結局のところ、葵の能力は封印も制御も魔法では不可能

 

正体だけがわかっただけだった

 

「とにかく、なんとか制御できるように頑張るしか無い。これは俺の責任でもあるから俺も一緒に手伝うから明日か頑張ろうな?」

 

「うん・・・・・」

 

葵は元気がなかった

無理も無い。あれだけこの能力を嫌っていたのだ。それがまさかもっと最悪な形で強化されるなんて、元気がないのも当たり前だ

 

しかも、よりにもよって真がその能力を強化してしまった原因、励ましても説得力がなかった

 

でも

 

「兄さん?」

 

「なんだ?」

 

実は葵は元気が無いわけじゃない

元気がないのではなく

 

考えていたのだ

 

 

それは

 

「この能力があれば、兄さんの左腕治せるんじゃないかな?」

 

「!」

 

葵はむしろ、この能力を恐れていたのではなく、むしろよりよいことに使えるのではないのかと考えていた

 

この能力は言葉の命令でなんでもできる

 

なら

 

絶対とは言い切れないが、

もしかしたら

 

この能力は『人を治せる』ことも可能ではないかと、葵は仮説として考えた

 

分子を操れるとはいえ、人の傷も操れることができるのだろうか

 

だが

 

真はそれが可能であっても

 

「葵!そんなことはしなくていい!」

 

「でも!!」

 

真はそれでも拒んだ

 

たとえ直せたとしても、それだれは拒みたかった

 

「なあ聞け?俺は別に”あのこと”なんて恨んでもないし。あれはお前のせいじゃない!!」

 

「でも!!私のこの能力があれば兄さんはもっと普通に・・・・」

 

「葵!!」

 

それでも真は止めた

 

そんな事はして欲しくなかった

ましてや妹に罪滅ぼしをさせるなど、兄の真にできなかった

 

「たとえ俺の左腕が戻らなくても!俺はお前にそんなことはしてもらいたく無い!」

 

「でも!!あれは・・・」

 

「いいか?よく聞け?俺はお前がもしその能力で人の役に立つのなら、それは止めたりはしない。でも、お前がこの能力を使うのだけはやめてくれ?俺はお前らが居れば十分だから」

 

それでも必死に真は拒む。どんな形であっても

葵に罪を与える用なマネはさせたくなかった

 

妹にそんな罪を背負った姿を見たくないと、左腕を犠牲にしても

 

愛する妹にそんなマネはさせたくなかった

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

『ほう、ずいぶんと焦っているな?真?』

 

「!?」

 

「!」

 

そのとき、住宅街の道路で聞いたことのある声が聞こえた

 

その声は

 

「リリス!!!」

 

なんとこにの住宅街に魔女『リリス』が霊体化で出現した

 

「誰?兄さん?」

 

「こいつが!!アイギス師匠の息子を奪おとした!アイギスさんの敵!リリスだ!」

 

「え!?じゃあこの人も魔女なの!?」

 

葵は見るのは初めてだった。幽霊が出たからポルターガイストの一種なのかと思っていたが

真が知っているようなら、そのような類いではなさそうだと、葵は瞬時に理解した

 

「リリス!!あの川に血で描かれた魔方陣はなんだ!!」

 

真はこの前見つけた魔方陣について、リリスに聞く

 

答えは

 

『あれか?あれはただの『感知魔法』だ?』

 

「感知魔法!?」

 

『そうだ?私はあの川に朝比奈・燈を感知するための魔法を作ったのだ。真?私はそれを使って気づいたのだ。もしかしたら朝比奈・燈はあの『櫻田城かもしくはこの城下町』にいるんじゃないかとな?』

 

「なに!?」

 

なんと、朝比奈・燈は櫻田城とにいるのではないのかと、言い出した

 

「なぜそんなことがわかる!?

 

『それだな、君だけがこれを持っていると思ったか?』

 

リリスの手から、とんでもないものが出て来た

それは

 

「迷宮結晶!?お前も持っていたのか!?」

 

リリスが持っていたのは迷宮結晶、今まで出てこなかったのは、最近この街でそれを使って探していたからだ

 

『これを使って私は最近この街で反応が多く出る。つまり燈はここにいるってことがわかったのだ』

 

「やはり、燈はここにいるのか?」

 

リリスの言っていることは正しかった。真本人も最近迷宮結晶で周囲を探している

それなお、反応が何回か出ている。だから朝比奈燈がこの櫻田王国にいることは間違いない

一刻も早くリリスよりも早く見つけなくてはと、リリスを倒そうとするが

 

『だが、どうやら私はもう見つけたらしい?』

 

「え?」

 

 

それは最悪なことだった

 

 

『私は見つけたのだ!朝比奈・燈を!」

 

「なに!?」

 

「え!?」

 

リリスに先を越されてしまったのだ。リリスが先に燈を見つけ出したのだ

一体どこにいるのかは、真の目には見えないが、

リリスが人を抱えてもいない

 

だが、彼女は見つけたと言い出した

 

「どういうことだ!?どこにいる!?燈はどこだ!?」

 

『やはり気づいていないか?』

 

「なにを?」

 

『私は”今”見つけたと言っているのだよ?』

 

「今!?どこに!?」

 

なんと、今見つけたのだと言い出した

だが

 

「ここには!?兄さんと私しかいないわよ!?」

 

そう、今ここにる住宅街の道路にはリリスと葵と真しか居ない

どこに燈がいるのだろうか

 

『そうだ!櫻田・葵!君はいい事を言った!』

 

「へ!?」

 

「俺と葵とリリスしかいないって・・・・・・・・まさか!?」

 

真は気づいてしまった。

そう、ここにいるのは、紛れもなく真と葵とリリスしかいない

ってことはだ

 

『気づいたようだな?真?いや・・・・・・』

 

燈は確かにここにいる。

 

今リリスの目の前に

 

そう、王家でもない。櫻田家に拾われた。魔法を使うという未知な力を持っている。櫻田家の人間でも無いのに、

 

そう、ここに居たのだ。

 

今までずっと

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

『朝比奈・燈!!』

 

「兄さんが!?」

 

「・・・・・・」

 

そう、よくよく考えたら生まれた頃から訓練されているわけでもない自分が

魔法ななんて言う未知な力を持っているはずが無いし、扱えるはずがない

幸い真は櫻田家に拾われた頃から、自分の本当の両親や自分の名前も知らない

 

自分の身もとはなにも知らないで生まれたのだ

 

更に、真とアイギスはとても似ていた

 

兄妹思いも髪の白色も赤い目もすべて似ていた

 

証拠はありまる程あった

 

「いつから気づいた?」

 

『私は君がなぜ?薫が持っている魔法を君が使っていることが変に思ってた』

 

「薫!?それってアイギスさんの夫の・・・」

 

『そう、薫もアイギスに魔法を教わり、お前と同じ『ライトニングボルト』を覚えていた。それからも君は薫の魔法や薫と同じ身体能力もすべて真?君と薫が一致すぎているのことに気づいた』

 

「俺が薫と同じ・・・」

 

『更にもっとも証拠になるような物がこれだ!』

 

「迷宮結晶?」

 

迷宮結晶が真が燈だと言う。これ以上の証拠だと、リリスは言い出した

 

『君の迷宮結晶は燈の血を使っているが、私は薫の血を使っている!!』

 

「なに!?」

 

『薫の血から念のため、取っておいたのだ!!『ソウルリンク』!!』

 

リリスは迷宮結晶をソウルリンクをかけて、反応を確かめる

 

結果は

 

 

ブーーーーーン!!!

 

「なにこの光!?」

 

「この反応デカイ!?俺がやった時はこんなに光ってなかった!?」

 

まるでここに太陽があるかのように、ものすごく赤く光っていた

でも、これでわかった。真の側で輝いていることは

 

間違えなく真は燈だ

 

あれが薫の血なら、燈が真だと言うなら、体の中には薫の血も混じっているはず

そしてこの反応、彼が燈で間違いない

 

『これほど無い。証拠ももう無いだろ!!』

 

「ぐあ!!!」

 

リリスは真のクビを掴み、真を捕まえる

霊体化しているというのに、人体に触れる事ができた

 

「そうかよ!!俺が燈かよ!!なら薫・・いや!!オヤジの仇を俺が取ってやる!!お前なんかに俺の体は渡さなねえ!!」

 

『これで約束が果たせる・・・』

 

「え?」

 

リリスとは思えない言葉突然発した

 

『薫・・・私はやっとお前の約束を果たせる・・・あの忌々しい人間から燈を守る事ができる!!』

 

「!?」

 

燈を守る、彼女はそういった。今までいろんな人たちを操って燈を奪おうとしたリリスが

まるで悪を果たすよは思えないような言葉を発した

 

彼女は薫の約束を果たすと言った

 

それはどういうことだろう。薫とリリスになにか関係があるのだろうか

 

「離して!リリス!」

 

「!?」

 

『!?』

 

兄のクビを掴んでいたリリスを見て、葵の手から青い光が出ていた

 

「離しなさいリリス!!」

 

『櫻田・葵!貴様!!私の邪魔をする気か!?』

 

「邪魔するわ!!兄さんに手を出すなら!!誰だろうと許さない!!『離しなさい』!!」

 

『ぐあ!!!』

 

「がは・・・はあ・・はあ」

 

葵の能力『アブソリュート・オーダーサイコキネシス』でリリスの体が青い光で包まれた

リリスはゆっくり真を離していく

 

リリスはそのまま地面に這いつくばる

 

『なるほど、燈の魔法で能力を強化したのか!!』

 

「私はこの能力で兄さんを守る!!『そのまま地面の底まで沈みなさい』!!!」

 

 

 

『ぐああああああああああああああああああああ!!』

 

 

葵は手から出す青い光をリリスに放ち、青い光が地面の底までリリスは沈んだ。

葵は地面に人間が入れるだけの穴を作ってしまった

 

 

「葵!!」

 

「兄さん!!」

 

真は葵が心配になり、すぐに葵を抱く

 

「大丈夫か?怪我無いか?」

 

「兄さんこそ?大丈夫?」

 

「俺は大丈夫だ!俺は心配ない!」

 

二人は傷はなく無事だった。穴は真の魔法で塞いだ

リリスはその後どうなったかは知らないが、そのまま地面に沈んだままなのだろうか

 

そんなことよりも真はリリスの言葉に気になった

 

薫とリリスはなにか関係があるのだろうか

 

真はあのリリスの言っていた『これで薫の約束が果たせる』ていう言葉が気になった

 

そんなことよりも

 

 

今ものすごく驚いているのは

 

 

自分が朝比奈・燈だと言うことだ

 

これはまだ葵と真しか知らない。母親であるアイギスにはまだ見つかっていない

とにかく真の正体がアイギスの息子、朝比奈・燈だと言うことがわかった

 

真と葵は家に帰り、二人で真の部屋に入り、これからのことを相談していた

 

「兄さんが・・・・・・アイギスさんの息子さんだったなんて」

 

「俺だって驚きだ。初めてあの人に会ったとき、初対面じゃないとは思っていた」

 

「それでどうするの兄さん?」

 

「俺が燈だから、アイギスの家に引っ越すてことか?」

 

「うん・・」

 

「ふう〜。とりあえず総一郎や五月にもアイギス師匠・・・・いや・・・・母さんにも俺が燈だと明日言う」

 

「そう」

 

「信じてくれるとは思えないから、証拠のためにDNA検査をやればいい。だが葵」

 

「なに?」

 

「修たちには言うな。それと・・・・・他の町の人にも言うな?」

 

「うん。そうだろうと思ってた」

 

もし真が王家ではないと発覚すれば。国中がパニックするだろう

更に魔女の息子だと彼らが知れば、みんな真を恐れるだろう

 

「菜々ちゃんたちはどうするの?」

 

「・・・・・・」

 

真は彼女たちだけは嘘をつけなかった

小学生の頃から高校まで友達だった。彼女たちに嘘をつけなかった

それに俺が王家でなくても、友達で居てくれた彼女達に

 

「菜々緒たちに嘘はつけない。だから明日言う」

 

嘘は付けなかった

 

「そう。大丈夫よ?菜々ちゃんたちはわかっているもの?」

 

「そうだな・・・・」

 

「で?兄さんはここを出て行くの?」

 

「そこは・・・・母さんに言う。総一郎が許してくれるなら、俺はここに居たい」

 

彼がこの家にとどまる理由は

 

「俺はお前たちが心配だ。リリスは必ず戻って来る。お前らを守るためにもこの家に居る。俺が燈だと判明しても、俺はお前らの兄貴だ。それは絶対だ。たとえ本当の兄妹でなくても。魔女の息子であっても」

 

「兄さん・・・」

 

真は葵の頭に手を置き

 

「俺はどこにもいかない。ずっと俺はお前らの家族だ」

 

「うん。ありがとう兄さん

 

それだけを言い。葵を安心させる

真自身でも不思議な気持ちだった

 

自分に親が居たなんて、思ってもいなかった。

 

しかも、それが魔法を教えてもらっていた師匠が自分の母親とは

 

明日、どんな顔してアイギスに会えばいいのか

 

わからないまま、明日を迎えることになった

 


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