二人の視点ですが、エセ方言申し訳ないです。それでも無視できない・・・ってのがありましたらご指摘ください。
竜華side
バスを降りて一休みするために歩いていたところ、怜が倒れそうになったのを目撃し慌てて駆け寄って支えることに成功した。そこまでは良かったんだけど、ため息が聞こえてその方向を向いた時だった。怜の病院に付き合って行ってよく見かける男子がそこにいた。今まであまり同年代の異性を見たことがなかったので、慌てたのはここだけの話だ。
でも、いつもと違うのは刺すような瞳でこちらを見ていたことだった。怜がよせばいいのに声をかけた。返事もいつもとは・・・・・・違った。こちらのことなど視界に入ってないかのような言い方。その口調にゾッとした。そしてこの世のものとは思えなかった。どうしてあんな表情ができるの?誰か教えて・・・。
怜が息を飲んだのに気づいた。あまり社交的でなかった怜も、須賀君に会っていろいろと変わり始めていたのに、これじゃあまるで・・・・・・みたい。
「誰だ?」
あまりの迫力にうちらは息を詰まらせた。そのまま一言返事してから何事も無かったかのように駐車場へと向かうもんだからうちはカーッとなって無理矢理引き止めた。あれ、こんなんじゃなかったのに。いつもみたいに笑ってよ!
「アンタも
「ごめんなさい、うちの勘違いやったみたいで・・・・・・」
――違う。この人は須賀君や。怜の勘違いなんかじゃないって――
でも、うちも早くこの場の雰囲気から逃れたい一心で項垂れるようにして須賀君を引き止めていた手から力を抜いた。
「そうですか。では失礼します」
――うちの知っている彼はこんなんじゃないっ――
「・・・・・・めん・・・・・・」
うちの心の声が届いたのかはよくわからないが、すれ違う瞬間に小声で“ごめん”と聞こえた気がした。
「えっ?」
「どないしたん?」
「ううん、何でもない・・・・・・(今、うちに“ごめん”って言ったん?)」
気がつかないうちに怜が近づいてきてて、うちの強張った表情を溶かしてくれたみたいやった。でも須賀君の豹変っぷりはイマイチわからん。
――ホントにどしたん?――
竜華side end
怜side
病弱なうちに最近病人仲間が出来た。病院に行くと、必ずと言ってもいいほど出会う須賀君だ。検査と検査の合間に日常あった出来事を会話するのが唯一の楽しみになってきていた。
――そんな矢先のとあるうちにとって大きな変化が訪れた――
初めて見る冷酷な眼差し。まるで親の
「用事がないなら俺は失礼させてもらうよ?」
これも聞いたことがないような口調で突き放された。自身の心が崩壊寸前になっていた。どこかで信じられない気持ちが少しだけあったんやろうか。
「ま、待って・・・」
その言葉にピタっと止まって首だけこちらを向いた。
――怖いっ――。
言いたいことがあったけれど、それも相殺された。そして知らず知らずのうちに涙がつうーっと垂れてきて地面に落ちた。その瞬間ずっと、能面みたいな無表情だった須賀君の顔が歪んだようにも思えたが心境は分からなかった。
「ちょ、ちょっとアンタっ。そんな言い方無いでしょ!!」
狼狽しきったうちの顔を見たのか、腕を掴んで引き寄せた。謝罪させるつもりだったのかもしれない。けれど、目と目を合わせてその表情に驚いたのか、二の次が出せずにいた。
「も、もう・・・えぇよ。うちの勘違いみたいやったし・・・・・・。ごめんなさい、うちの勘違いやったみたいです」
――違う、うちが言いたいことはもっと別のことや――。
あぁ無情な事か、口をついて出てきた言葉は内奥の考えとは別の言葉だった。それは自分でも分からないうちにそこから逃げ出そうとしていたのか・・・それすら今となっては分からない。
須賀君(?)は、そのまますれ違いざまに何か一言二言呟いてから駐車場のほうへゆっくりと足を進めて行った。
――うちの知ってる須賀君やない、ホントどうしたん?――
怜side end
次がバッドエンドの最終話となる予定です。・・・・・・ビターエンドも自分が納得できる形で終わらせることができるといいなぁ・・・。
ここまで読んで下さりありがとうございました。