MH4好きです。
広い広い大砂漠付近に位置する大市場、バルバレ。
移動式の船型集会所を核とした、多数のキャラバンで構成された特異な町だ。その特徴故一ヶ所に定まらないここは、いつも様々な土地を求め放浪している。そのためこの町は地図には載っていない。キャラバン隊同士で情報を交換し合って、位置を確認するというこれまた変わった特徴ももつのだった。
世界中を回っているために様々な情報が集まるここは、商人やハンターに人気の場所なのだ。そのせいか、俺のような情報に飢えた人間が常に
「……モンスターを食べたいなんて理由でここを利用するハンターは、きっと旦那さんだけだと思うにゃ」
「何を言う、実際食べたがってる奴は他にもいるぞ」
「……例えば?」
「ほら、アレだ。何か虫を煮込んで食べたいとか言ってた依頼者」
俺の横でただひたすら文句を言うコイツは、俺のオトモアイルーであるマフモフSネコだ。名前はイルル。昔俺が名付けた名前だが――まぁ、それはともかくとして。
その依頼者とは、『酔狂な美食家』と名乗っていた爺さんだ。何でも、何処かの昆虫食文化に感化されてアルセルタスを煮込んで食べたそうな。結果の方は、それはそれは凄惨なモノだったらしいが。
「……何か、モンスター食の人間は一種のサイコパスかもしれないにゃ」
「違う。ちょっと高尚な趣味を持ち合わせているだけだ」
俺の顔とあの依頼者の顔を知っているイルルは、その両者の共通点を何故かサイコパスに繋げてきた。全く、モンスターの良さを知らない奴はこれだから困る。
確かに、一般的に凶暴なモンスターの肉がそれ程需要があるかといえば、そうではない。その強靭な体躯故、ほとんどが武器防具や研究材料に使われているのだ。そのためモンスター食はそれほど広まっておらず、コイツのように不本意な言葉を垂れる者も少なくないのが現実である。
だが、分かってほしい。その如何にも調理しにくそうなモンスターたちだが、適切な配慮と調理法を駆使すれば、何とも美味な食材へと変貌するのである。まぁ言うなれば、食わず嫌いは良くない、ということだな。
「……ところで今からどこ行くのにゃ?」
「我らの団のアイルーの店だ。アイツの飯が食べたい」
「……あぁ、この前そんな話をしたもんにゃあ……」
ただバルバレを歩き続ける俺に対し、その目的を尋ねて来たイルル。何日か前に遺跡平原で我らの団アイルーの話が持ち上がったことを思い出せば、納得したように頷いた。
そう、今日の目的はあのアイルーに会うこと。そして旨い飯を提供してもらうことだ。
「……でも旦那さん、今さっきクエスト行ったばかりにゃ。それなのに飯を食うのにゃ?」
「当たり前だろ。たくさん動いて腹がぺこちゃんなんだ。ここで喰わずとして何とする」
別に狩りに行く前にしか食べてはいけないなどというルールはない。むしろ、狩りの疲れを癒すために食べるのも、また理に適っているのだ。
そんなこんなで行き交う人の隙間を潜り抜け、大きな中華鍋を巧みに操る一匹のアイルーの前に辿り着いた。『屋台の料理長』と名乗るこのアイルー。少し独特の言葉遣いが特徴の彼は、ホラは吹くものの飯は旨い実力派アイルーだ。
「おお白髪の旦那、久しぶりニャルよ。飯食ってくニャルか?」
「おう料理長。一狩り行って疲れたんだ。飯食わせてくれ」
「あい分かったニャル。……それにしても狩りの後でわざわざ食べにくるハンターは旦那くらいニャル。ま、私は儲かって催行……違う、最高ニャルけどね」
「……やっぱり旦那さんくらいなんだにゃ……」
快活な笑顔を浮かべて俺を迎えてくれる料理長。その笑顔に安心しつつも、俺はテーブルに腰かけた。
旨そうな料理の香りが十分に届くこの位置は、容赦なく俺に香りをぶつけてくる。そんな香りに当てられた俺の口の中は、もう既に涎の
「さて、どんなメニューにするニャル?」
「……えっと……」
取り敢えず、今日は色々と走り回って疲れたからな。何かがっつりとしたものを口いっぱいに頬張りたい。ここはキングターキーを主体にするか。そうなると、一体どのようにその肉の旨みを活かすかが重要になってくる。
うん。ここは、ソテー風に仕立ててもらおう。そしてその引き立て役は、オニオニオンと、こっそり狩場から持ってきた『これ』が適任か?
「よし、キングターキーをソテー風にしてくれ。オニオニオンと……この
「にゃ……にゃあ!? 旦那さん何で清算アイテム持ってきてるのにゃ!?」
「鎧の隙間に入れて来ちゃっただけだ、他意はない」
「はは、旦那らしいニャル。……それで今日は珍しくボウガンを背負ってるニャルね」
他意しかないと驚き呆れるイルルに対し、料理長は大らかな態度で注文と特産キノコを受け取った。流石は料理長、器が違う。
今日の俺は、確かにライトボウガン――業火竜砲を背負っている。ついでに装備はハプルシリーズ一式だ。別に俺の食欲を反映しているとかそういう訳ではなく、ただ弾丸を収納するスペースが多いという理由からだが。
「珍しくガンナーで行くと思ったらそういうことだったのにゃ……」
「ふむ……奇食ハンター『シガレット』、ボウガンを背負うの巻ニャルね」
「奇食じゃない、美食だ」
そう、俺――――シガレットは基本的には剣士として狩りに赴くハンターだ。
そんな俺が珍しくボウガンを背負ったのは、この収納スペースが多いハプルシリーズに清算アイテムである特産キノコをこっそり入れて、持っていこうと考えたからである。ポーチにしまうと、狩りの清算時にギルドが持って行ってしまうのだ。
「ま、どんな武器を使うかは旦那の自由ニャルね。私は旦那が喜ぶ料理を作るだけニャル」
「流石は料理長。俺はアンタを心から尊敬するぜ」
「……料理長くらいの清々しさが欲しいにゃあ」
そんな素晴らしい豪語の下、料理長は早速料理に取り掛かった。まず大きなキングターキーを取り出した彼は、素早い手付きでそれを細かく切り分ける。ソテーする場合一度良く熱する必要があるので、表面積体積共に細かく出来るその切り分けは、調理時間の短縮に繋がるのである。
その肉を横に油を敷いたフライパンをじっくり熱し、その微妙な空き時間を使って彼は、オニオニオンと特産キノコを丁寧に切り分け始めた。
「特産キノコってことは、遺跡平原にでも行ったニャルか?」
「あぁ、遺跡平原でケチャワチャとイチャイチャしてきた」
「あれがイチャイチャというのかにゃ。散々引っ叩かれてまるでえ、えすえむ? ……のようだったにゃ」
「仕方ないだろ、ボウガンの操作慣れてないんだから」
実際ボウガンの運用は武器訓練を除けば、バルバレに来る以前の頃を合わせてもほとんど皆無で、全くと言って良いほど使いこなせなかったのだ。取り敢えず火炎弾を撃ち、操作に手間取った時にケチャワチャに殴られ、回復薬を飲んでの繰り返し。無事討伐した時には、クエスト開始から悠に制限時間の七割は過ぎていた。
そんな俺のボウガン捌きとは、天と地の差があるほど卓越したフライパン捌き。そんな魅惑的な腕で、具材を熱し始める料理長。キングターキーの脂の匂いが十分に漂ってくるため、俺の鼻孔はもう飽和状態だ。完成が待ち遠しくてたまらない。
「仕上げニャルよ」
キングターキーから染み出る肉汁を上手く利用し、彼はフライパンに少量のブレスワインを注ぎ出した。要はデグラッセ。簡単に言うと、キングターキーのソテーに最適なソースを作り出しているのだ。
フライパンの熱で煙を上げながらも、肉汁と絡み合っていくブレスワイン。それが、キングターキーの香りをより一層深くする。もう待ち切れない俺には、その香りは少々凶悪過ぎた。
「あ~、辛抱たまんねぇ……」
「良い匂いにゃ……。これ最高にゃ~」
「さ、お待ちどうニャルよ!」
黄色を帯びた透き通るようなソースのかかった肉。溢れんばかりの肉汁を滴らせるそれは、熱気と共に深い肉の香りを放っていた。その肉を引き立てる様に添えられた細かな特産キノコと薄くスライスされたオニオニオンは、ソースに塗り潰されてもその個を失うことはない。
引き立て役でありながらも、最後に爽やかな後味を作り出す彼ら。この料理を兵部隊に例えるとしたら、キングターキーはその隊長であり、彼らは
「旦那、見てないで早く食べるニャル。冷めると勿体ないニャルよ」
「……あ、あぁ。そうだな。いただきます」
「いただくにゃー!」
手にすっぽり包まれるくらい小さく切り分けられたその肉。それをよく噛み締めると、ただの肉の塊ではない、肉が何重もの層で構成されているということが分かる。その層の隙間から染み出る油が肉を包み、その味と歯ごたえを変えていくのだ。
初めは少し固く、コリコリとしていたそれは徐々に柔らかくなっていく。噛みほぐしやすくなってはブレスワインの深みを残すソースと混ざり、俺の舌をしっかりと肥やしていった。
「……すげぇ。食感が変わっていくな」
「固めから柔らかめまで、楽しめるのにゃぁ~」
「ブレスワインは脂の固まりをほぐす効果があったりするニャル。……これ、あまり知られてないニャルよ」
ブレスワインを料理に用いるとそんな効果があるのか。普段そのまま飲むだけだったから知らなかった。となると、脂の多い肉料理には重宝するかもしれない。
それにこの肉だけではない。よく焼くことでオニオニオンは優しい甘みを生み出し、特産キノコは深いキノコの香りとクセのない味を広げていく。
これは正に、バルバレの縮図だ。皆を先導する強い
「……旦那さん、絶対変なこと考えてるにゃ」
「まぁ、私らには理解出来ないだろうからほっとくのが良いニャル」
◆ ◆ ◆
「――――さて、美味い飯も
夜も更けてきた頃、俺はバルバレ郊外にあるマイハウスに戻っていた。
狭く小汚いマイハウス。バルバレに渡ってきた時のなけなしの金で買ったここは決して良い家とは言えないが、長い狩猟生活を共にしてきたのだ。綺麗汚いではなく、愛着を持って暮らしている。
そんな部屋の隅に置かれたボックスの前で腕を組む俺に、イルルは不思議そうに首を傾げた。
「……何を始めるんだにゃ?」
「美味いホットドリンクを調合する」
「……にゃ?」
「いやだから、美味いホットドリンクを調合するんだよ」
あからさまに顔を歪ませるイルルは、「何言っているんだコイツ」と言わんばかりの視線を俺に向けた。
だが、考えてみて欲しい。環境適応能力が高いアイルー達には縁がないだろうが、人間にとってはドリンクがなければ熱い所でも寒い所でもろくに動けないのだ。つまりそのような地域で狩りを行う場合、ドリンクの飲用は必須となる。
避けられないのなら、少しでも旨くしたいじゃないか。
「ということで、ホットドリンクを用意してみた」
「……三つもあるけど。一体どんな違いがあるのにゃ?」
「これはバルバレの。んで、こっちはモガの村。最後にロックラックのモノだ」
「……もしかしてわざわざ取り寄せたのにゃ?」
『わざわざ』、とは?
本来なら、それをしなくても良いことを行う時に、もしくは格別の意味を込めてそこまで必要としない状況であってもそれを実行する時に用いる言葉。
何を言っているんだ、コイツは。ホットドリンクを美味くすることが不要とでも言いたいのだろうか。ならば、逆に問いたい。何故わざわざ不味いままのホットドリンクを、毎回飲まなければならないのか、と。
「よしイルル。お前取り敢えずこれ飲んでみろ。バルバレの……というよりは、調合書通りに作った奴だ」
「にゃあ……アイルーは飲まなくても良いのに……」
「ちょっと舐めるだけで良いから。ほら」
「にゃう……」
見るからに嫌そうな顔をするイルルは、その可愛い肉球でおずおずとホットドリンクを持ち上げた。深い赤色に濁るその奇妙な液体を、彼女は顔をしかめながらもちょびっと舐め上げる。
猫舌で口に運んだそれを、訝しみながらも口の中で確かめて――――。
「……にゃあ、ふにゃあぁぁぁんっ! 辛くて苦いにゃぁぁぁ……!」
その余りの不味さに、イルルは何と泣き出してしまった。見たか、これがバルバレのホットドリンク。オトモも泣き出すホットドリンク。
流石に可哀想だったので、わんわん泣くイルルを両手で抱き上げる。その柔らかな毛並みを優しく撫でて、ぐずる彼女を宥め続けた。
「旦那さんのばかぁ……」
そう悪態をつきながらも、イルルは俺の胸に顔を
バルバレのハンターは、寒冷地に行く度にこんな不味いモノを飲んでいるのだ。少しは俺のホットドリンクを美味しくしたいというこの情熱を分かってもらいたい。
どうでも良いが、コイツ本当にふわっふわだな。
「……ま、分かっただろ? トウガラシの辛さは兎も角、問題はにが虫だ。あれは尋常じゃなく不味い」
「……ボクにはトウガラシもダメにゃあ。流石にこれは味を何とかした方が良いにゃ。……わざわざなんて言ってごめんにゃさい……」
「よしよし、俺も少し悪戯が過ぎたな。お詫びに後でマタタビやるからチャラにしてくれ」
「みぃ……にゃーんっ!」
その鶴の一言で、イルルは満面の笑顔を輝かせた。現金な奴である。
さて、これで分かっただろう。今のがバルバレ製のホットドリンクだ。イルルの感想の通り、辛くて苦いという最早苦行に近い味なのである。毎回寒冷地に行く度にこれを飲むというのは、ハンターにとって精神衛生上危険なため、敢えて強走薬で代用するハンターも少なくない。
そんな困ったホットドリンクだが、実は地域によっては味付けが異なる。このモガの村のモノはミソ味、ロックラックで作られたこれはしょうゆ味なのだ。つまり今回はこれらを参考に、美味いホットドリンクを調合しようという腹なのである。
「俺はどちらかと言うとロックラックの方が好きだな。ということでこれをベースに調合していこう」
「……にゃ、クセは強いけどしょうゆの様な味にゃ……」
「そう、しょうゆ味。しかしにが虫の苦味は消せてはいない。……逆に言えばこれを何とか出来ればこっちのものという訳だ」
とは言ったものの、一体どうすれば良いだろうか?
無難に薬草、と言いたいだが、これはダメだ。そもそもの問題として薬草自体が苦い。地域によってはハーブのように風味豊かな薬草もあるが、生憎俺が持っている薬草は苦いものしかないのだ。これでは苦さの相乗効果になってしまう。
しかし、そうだな。植物系で何か考えてみるのはアリかもしれない。早速ボックスを漁ってみるか。
「何か良い草は……火薬草、駄目だこれは。……これはネムリ草か。寒冷地で眠ったら軽く死ねるぜ。そして、こいつは――――」
「くんくん……良い匂いにゃあ~」
続いて出て来たのはマタタビだった。植物という括りで、一緒に詰め込んでいたのかもしれない。
先程イルルにやると言ってしまった手前、期待するようにソワソワしてるコイツに渡すのが道理だろうか。
「ほい、マタタビ」
「にゃーん、旦那さん大好きにゃ!」
マタタビを受け取るや否や、早速それにじゃれつくイルル。嬉しそうに微笑む彼女の姿は、何だか癒される。
まぁそれはともかくとして、何か他に良いモノはないものか。そんな軽い期待を織り交ぜながら、もう一度ボックスの中に手を突っ込むと、今度はあまり感じたことのない植物の感触が顔を出す。
その正体は。
「何だっけこれ……。落陽……花……だっけ?」
俺だけではなく、他のハンターさんたちもこの存在はあまり記憶に留めていないのではないだろうか?
落陽草の花。陽の光に弱いため、洞窟など薄暗いとこでしか咲けない不可思議な花だ。良い香りを放つと共に、滋養強壮や癒し効果があると聞く。
その癒し効果とは、一体どのようなものだろう?
「……もしかしてこの苦みも癒してくれたり?」
花を軽く磨り潰し、その粉末をホットドリンクと組み合わせ軽く混ぜる。薄白いその花の粉は、真っ赤の液体を仄かに和らげた――ような気がする。ホットドリンクの中を舞うそれは、静かに煌めいていた。
そんな一風変わった液体を、少し舐めてみると――――。
「……んー。ちょっとはマシにはなったが……。まだ改善の余地があるな」
苦味自体は確かに改良されたものの、消えている訳ではなかった。多少の苦味は癒してくれてはいるが、じわじわと舌に残る苦味は残っている。
ここは、別の味で中和してみるのが適切だろうか?
「……じゃあ……ハチミツを隠し味に?」
苦みには甘みを。舌が苦みで痺れるならば、甘みでそれを中和すれば良いのでは?
しかしこれには注意点がある。ベースはあくまでもしょうゆなのだ。故にあまり多く甘いものを入れてしまうと、その味のバランスが崩れてしまう。では、どうすればよいのだろうか。
「ここでそのまま入れたら……駄目だ、味が変わってしまう。ならば調合する前に……」
そう、敢えて全て同時に調合する必要性はない。ホットドリンクをホットドリンクたらしめるのは、トウガラシの辛さと苦虫の栄養分なのだから。
故に、ここは少量のハチミツに
何にせよ、試してみる価値はありそうだ。
「旦那さん旦那さん」
「ん、どうした?」
「そういえばこの前旦那さんが注文してた品が届いてるにゃ。一体これは何にゃ?」
ずっとマタタビで遊んでいるかと思っていたイルルが、何やら木箱を持って俺の横に駆け寄ってきた。
その木箱は俺が先日注文した木箱。凍土付近の村に注文した、『ギィギエキス』だ。
「おー、届いてたのか。それはギィギエキス。飛竜の幼体から絞ったエキスだぞ」
「……ギィギ……フルフルみたいな奴って聞いたことあるにゃ」
そう、ギィギとはギギネブラの幼体だ。吸血能力を有する彼らは動物に噛み付いて血を吸い、その吸血量に応じて大きくなる。
そんな彼らの生命力は、強靭な滋養効果のあるエキスを生み出すのだ。そしてそのエキスは何故か出汁のように、調合物の味に深みを加えるという。
「……よし、これも混ぜよう」
「にゃ……!?」
「味に深みが出て旨いぞきっと」
「……考え直して欲しいけど……きっと言っても無駄にゃ。もうボクにはどうすることも出来ないにゃ」
「だが、今日中では無理だな」
「……にゃ?」
この新鮮なギィギエキスだが、新鮮過ぎて生臭みが酷いのだ。数日置いておいてから使用しなければ、にが虫よりも危険な味に成りかねない。
それにロックラック製ホットドリンクの成分解析をしなければ、ハチミツに浸したにが虫を調合し直すのも不可能である。そもそも浸すのに時間が掛かる。結果として今日中に完成させることは不可能、という訳だ。
取り敢えず今日のところは保留だな。もう少し時間を掛けて研究する必要がある。資料を用意しなければならないし、ギルドに分量を測る機器などを借りに行かなければならない。
よし。そうと決まれば借りには行けども、狩りになんか行ってられないな!
「しばらく狩りは休んで……調合に費やすぞ!」
「……この人ほんとにハンターなのかにゃあ?」
~本日のレシピ~
『キングターキーのソテー』
・キングターキー ……250g
・オニオニオン ……2個
・特産キノコ ……4本
・ブレスワイン ……150ml(これは目安なため、お好みで変えても良い)
・塩、胡椒 ……適量
飯を食べるのも、ドリンクを持って行くのも。ついつい忘れがちな要素ですよね。……あれ? もしかして私だけ?
あ、主人公の名前はシガレットです。タバコ臭いですね何か。説明の通り銃を使うのはまれで、基本的には剣士なハンターさん。頭のネジは数本飛んでます。それとイルルは女の子。ボクっ娘です、可愛い。
ではでは。