嗚呼美しき飛竜卵
煌めくような眩しい日差し。蒼く澄み切った空。靡く風に、揺れる黄金の草原。
――――騒ぎ立つ、肉食モンスター。
「だ、旦那さん! これは無謀にゃ!」
「ええぃうるさいぞ! ジャギィ程度に怯える必要はない!」
俺の周りからあのジャギィ特有の鳴き声が鳴り響く。仲間を呼ばんとするそれはこの遺跡平原に大きく響き渡り、それに反応するように薄暗い巣穴から、新たなジャギィが次々と顔を出す。そうして増えゆくジャギィの群れが、まるで俺の行く手を阻むように並び立った。
大量の鋭い瞳が俺を――いや、俺の手の内にある卵を睨む。俺が苦労して、“奴”の巣穴から運び出したこの卵。圧倒的な質量と重量を持つこの卵。
「だってこんなに出て来たら……ふにゃあ、ジャギィノスまで……。旦那さんタックルされて終わりにゃ」
「勝手に人を終わらせんな。俺がこんな所で吹っ飛ばされる人間だと思うなよ……ッ!」
巣穴から顔を出したジャギィノスを認識して、ただひたすらネガティブ思考に走るコイツ。俺に牽制という名の文句を垂れ続けるコイツ。
マフモフSネコシリーズに身を包んだこの真っ白なこのアイルーは、『イルル』と名付けた俺のオトモだ。この絶望的な状況を前に、幾つものジャギィの視線を感じて身震いしている。
全く、何時まで経っても臆病が抜けないな。このまま直進してキャンプまで走り続けるなんて、この俺の手の中の卵のことを思えば十分価値がある行為だというのに。
「見てろ! 卵運搬に命をかけた俺の体術!」
自らを鼓舞するようにそう吠え、こちらに駆け寄ってくるジャギィを半身翻すことで躱す。急に標的が視界から消えたことに驚くそのジャギィをすり抜けて、その勢いを留めながら群れの中に突っ込んだ。
「だ、旦那さんっ!?」
「お前はブーメランか何かで牽制しな!」
俺の行為に目を丸くするイルルにそう指示すると、何だかへにゃへにゃとしたやる気のなさそうなブーメランが、俺の視界に入ってきた。
それはジャギィに当たることなく、弱々しく地面に落ちる。偶然の結果か、それに唖然としたジャギィは少し動きを止めたのだが。
「……おい」
「にゃ、にゃあ……」
動揺と恐怖を隠し切れていないネコの鳴き声が、背後から聞こえてくる。その全く役に立たないコイツに、俺は思わず呆れてしまった。この危機的状況では、ただ怯えるのではなく、如何に危機を回避するか。そして、そのためにどう動くかが重要だというのに。
迫り来るジャギイノスのタックルを回転するように躱した俺は、怯えているのか全然戦えていないイルルを叱り付けようと振り向く。そうすることで、何故アイツが戦えていないのか、動揺しているのかを理解した。
180度回転した視界に映ったのは、諤々震えるイルル――の奥からこちらに飛んでくる、
「……うッ……おおおぉぉぉぉッ!?」
「みゃああぁぁぁぁっ!」
圧倒的な重量が大地に降り立った。その質量たるや凄まじく、大地は大きく振動する。
そうして雄大な翼を収めた奴は、その怒りに満ちた瞳を爛々と輝かせて俺を睨んだ。自らの子を盗む不届き者、として。
「やっべぇ……! 気付かれたのか……!?」
周りのジャギィ達も俺たちと同様に怯んでいた。恐ろしき乱入者を前に、立ちつくしてしまう者もいれば、慌てて巣穴に逃げ込む者もいる。
一方のリオレイアは、目の前に立ち並ぶ障壁を粉砕しようと口に光を溜め始めた。リオレイアが雌火竜と呼ばれる所以――その恐ろしいまでの灼熱のブレスだ。
瞬間、空気が弾け飛ぶような音と共に光が暴発した。その燃え盛る火球は、一寸の狂いも無く俺に迫ってくる。
「……ちっ!」
俺の両手で眠るこの卵に機動力を奪われた今、あのブレスを回避することは不可能だろう。卵を犠牲にすれば可能かもしれないが、そんなことをすれば今までの苦労が儚い泡と化してしまう。
それならば。
「もうお前で良いわ!」
パニックを引き起こしながら俺の横を走り抜けようとするジャギィ。勢いよく屈んだ俺はそいつに足払いを仕掛け、体勢を崩させる。その細い脚のおかげで、奴はあっさり身を宙に投げ出した。
「ギュアッ!?」
「もういっちょ!」
その足払いの流れのままに身を回す。そうして派生させた回転蹴りで、宙でもがくそのジャギィを、迫り来る火球に向けて蹴り飛ばした。
直後、凄まじい轟音と閃光が平原を包む。全身で火球を受けることとなったジャギィは、その余りの熱量に煙を上げながら吹き飛んだ。皮膚の表面が炭化してしまったのか、焦げ
「今だ! 行くぞイルル!」
「うにゃああぁぁっ!」
慌ててイルルに声を掛けると、彼女は何とも奇妙な悲鳴と共に俺の下へ走ってくる。それを確認するや否や、第二波を打ち出さんと唸るリオレイアを背に、俺たちは一目散に逃げ去った。
◆ ◆ ◆
「――――という訳で、無事火竜の卵をゲット!」
「にゃあ……死ぬかと思ったにゃ……」
赤い建造物で構成された遺跡群。そこに設置されたベースキャンプに命からがら辿り着いた俺たちは、思わず安堵の声を漏らした。
クタクタだと言わんばかりに座り込むイルル。ネコ特有の喉を震わす声を上げては、そのふさふさの尻尾を左右に振り回す。もちろん俺も、疲れたことには疲れたのだが――どうにもこの手の中にある卵に興味が惹かれ、休むに休めなかった。
「なぁ、イルル」
「にゃ? 何にゃ?」
「……飛竜の卵って、どんな味がするんだろうな?」
思わず口から漏れた素朴な疑問。それを口の中で反芻させる俺に向けて、イルルはその大きな眼を見開いた。まるで変態を見るかのような視線で、わなわなとそのふわふわな口を震わせる。
「なっ……何バカなこと言ってるんだにゃ! それは今回のターゲットにゃんだから納品するにゃ! 食べちゃダメにゃーっ!」
毛を逆立てて俺にそう怒鳴りつけてくるイルルだが、俺は自分を抑えられずにはいられなかった。彼女の注意を無視して、早速卵の調理に取り掛かる。
なぁに、このクエストは飛竜の卵二個納品がメインターゲットではあるが、先程あの巣を見た限りでは少なくとも五個は卵があった。つまり、俺がこれを食べてもまだ最低二個分の余裕があるということだ。
「……って! 言ってる傍から準備し始めるし……! またあの雌火竜に会うなんて嫌にゃあ……」
「まぁそう言うな。あんまり脅威になるならコイツ使うから」
「……ハイガノススパイク……討伐する気はさらさらないんだにゃあ」
俺の腰に携えられたハイガノススパイク。ぽかぽか島で釣り上げた水竜ガノトトス、その素材を使ったこの片手剣は、非常に高い睡眠属性値を持つ。つまりコイツでリオレイアを眠らせれば、わざわざ討伐しなくても良い、という訳だ。
「さて、ここは無難にオムレツにでもしてみるか」
「……無難っていったらゆでたまごじゃないのにゃ?」
「んー。なんか、芸がないしな。今フライパンしかないし。それはまた今度やろうぜ」
「旦那さん……。目がマジにゃ」
とはいったものの、そのオムレツを作るにも一体どのようにするべきか。
卵だけで作っても何だかもったいないし、何か具材を入れたいな。ポーチに何か良いものでも入っていないだろうか。
「……お、アオキノコ。そういえばさっき獲れたんだった。……焼けば食えるかな?」
「焼かなくても、旦那さんならきっと喰えるにゃ」
自然界に自生するキノコは、基本的に生で食べられない。味的な問題から毒の危険性など、その理由は様々だが――――。
まぁアオキノコは調合すれば回復薬となる、比較的安全で栄養価も高いキノコだ。焼いておけば青臭さも苦みも薄れるだろう。
「取り敢えず、細かく刻んどこう。形は、立方体のような感じで」
腰に収納していた剥ぎ取りナイフを取り出し、自前のまな板の上に乗せたアオキノコを細かく刻む。形はなるべく整えておこう。その方が焼いた時の火の通り具合もある程度均一になるだろうし、食感にも影響が出る。
「にゃー。この人本格的にゃあ……」
「ほら、イルルも見てないで。そこの焚火を頼む」
「……しょうがないにゃ。こうなった旦那さんは
グチグチと不満を漏らしながらも、イルルは火起こしに取り掛かり始めた。そんなアイルーを横目に、俺は刻み終えたアオキノコを集めておく。
さて、アオキノコ以外の具はどうしようか。もっと他に良いものがないものか。
「……ん? 何この冷たいの」
ポーチを漁っていると、何やらひんやりとした何かが手に触れた。
恐る恐る取り出してみたそれは、この前地底火山に行った時に持っていったものだった。熱い所でも問題なく食べることができ、かつスタミナもつけられる優れもの。
「……クーラーミートだ」
氷結晶とこんがり肉を調合して出来るそれ。こんがり焼き上げていながらも、保冷効果が得られるという摩訶不思議アイテムだ。
冷えているくせに身はそこそこ
まぁ、どうせ焼き直すし大丈夫だろう。
「旦那さん~。火ついたにゃ~」
「おー、ありがとなー」
「あと、さっき拾ったこのネンチャク草にゃんだけど……もう先に渡しておいて良いかにゃ?」
クーラーミートとにらめっこをする俺に、イルルはネンチャク草を見せてきた。そういえばさっき草むらを漁っていたな、コイツ。その時拾っていたのか。
ん? ネンチャク草?
「なぁ、イルル」
「……にゃんか嫌な予感が……」
「ネンチャク草って、美味しそうじゃないか?」
そんな俺の言葉を認識したイルルは、自らの手にあるネンチャク草を見ては溜息をついた。
ところで、狩り団子【白玉】という双剣のことは御存じだろうか。驚くことなかれ。あの白玉は、何とネンチャク草とハチミツで作られている。つまり俺は何の根拠もなくネンチャク草を食べようとしているのではない。ネンチャク草は食べることができる。それが事実なのだ。
余談だが、もち米を用いれば白玉は調理可能だ。そしてそのもちもちさ――つまり粘り気はもち米のデンプンの成分によって構成されている。
何故こんなことを急に言い出したのか疑問に感じたかもしれないが、これは非常に重要なことだ。水分を失い、冷えたデンプンはどうなるのか。床に落としたココットライスを思い出せば分かってもらえるだろうか?
そうなってしまってはそのデンプンの力、ひいてはその粘り気を維持出来なくなってしまう。つまり、冷やせばその難儀な粘り気を消すことが出来るのだ。
「……つまりここでクーラーミートの出番だな」
「にゃ?」
「この冷たさを利用すれば、ネンチャク草の過度な粘り気を弱めることが出来るんだ。要は食べやすくなる」
「……にゃんと」
その理論が想定外だったのか、イルルは驚いたように呆ける。
そんなネコの手に、俺はクーラーミートを乗せた。剥ぎ取りナイフも丁寧に添えて。
「……つまり斬れってことにゃ?」
「あぁ。細かく刻んどいてくれ。その間に俺は卵を割っておく。あの大きさじゃあ、お前には割れそうにないからな」
実際アイルーの体程ある大きさの卵だ。イルルに任せては中身を地面にぶちまけるのがオチだろう。そんな危険なことをやらせる訳にはいかない。喰えなくなるのは困るし。
なんて、理屈を並べつつその大きな卵を両手で持ち上げると、その圧倒的な重量に改めて驚かされた。大きくなればあの巨大な火竜となるのだ、この重量も当然のことと言えるが。それにしても、あの火竜となる前の味とは一体どのようなものだろうか?
「……じゅるり」
いかん、口の中が唾液で滲んできた。早いとこ料理して食べてしまおう。
その重さと大きさ故、普通の卵の如く鍋に打ち付けてもきっと無残な割れ方をするだけだろう。ここは片手剣で殻に穴を開けるのが正解か?
そんなこんなで、片手剣の柄の先を殻に向けて数回打ち付ける。強固な殻が内部で共鳴する音が響き、打ち付ける度に殻に走る
「旦那さん~。出来たにゃあ」
「ん、おぉ。綺麗に切れてんな」
イルルが見せてくれたそれは、丁寧に切り分けられたクーラーミートとネンチャク草。まるで香草焼きを思わせるそれは、見ていて非常に食欲をそそられる。
「よし、じゃあ俺が今からこの卵を熱するからお前は具を入れ込めよ。肉、キノコの順でな。……取り合えず油敷くから肉ちょっとくれ」
「了解にゃ!」
ネコの返事を背中で聞きながら、まず始めに肉を鍋底に押し付けた。ぶつぶつと泡を立てる肉は、じっくりと油を染み出し始める。それを軽く箸で摘まみ、鍋底を走らせれば、簡単な油敷きの完成だ。
それが完了するや否や、俺は持ち上げた卵の穴が開いている方を傾ける。するとそこから黄色――というよりはやや橙色に近い、鮮やかな卵黄が現れた。それに続き、透明な卵白も流れ出る。
「……すげぇ。こんな中身なのか……」
想像していたよりも圧巻な光景だった。圧倒的重量に包まれたそれは、圧倒的な濃度も兼ね備えた卵だったのだ。そんな綺麗な卵を、俺は自前の菜箸でかき混ぜていく。鍋の熱を一身に受けるそれは、徐々に沸き立つように泡を生み出して――――。
それが固まらないように混ぜていると、横からイルルが肉とネンチャク草を流し込んできた。
「……おぉ……
「にゃ~……良い匂いにゃ~」
卵の芳醇な香りに、肉の脂が織り交ぜられていく。
その濃過ぎる両者がお互いを高め合っていくのを、ネンチャク草は鎮める様に深い青い香りを放ち始めた。正に狩場の香草焼きだ。
「次はアオキノコにゃー」
「よっしゃ、どんどん入れろ~」
肉が熱気を取り戻し、良い色を放ち始めた段階。
そこへ切り揃えられたアオキノコの群れが一気に雪崩れ込む。我先にと卵に身を投じていく彼らの姿は、どこか果敢だった。
「ふにゃあ、アオキノコの良い香り……」
「もしかしたら滋養効果もあったりしてな!」
回復薬に使われるアオキノコに、スタミナ回復に良い肉だ。それらを取り入れたこのオムレツの栄養価は間違いなく抜群だろう。
そうして、数分間焼き続けて。
「味付けは特製の塩だ。……というかこれしか無いのだが」
「にゃ~、それでも氷海で獲れた高級な塩にゃ。味は保証されてるにゃ!」
イルルの言う通り、俺がいつも持ち歩いているこの塩は氷海という凍て付く海で獲れた高級塩だ。自然の冷凍庫で育まれたために、当然需要も値段も高い。バルバレがこれの塩の売り出しで賑わう時が、定期的にあったりするのだが、それはまた別の話。
そんな美味しい塩を適度に振り掛け、味付けしたオムレツを丁寧にひっくり返し焦げ目がつかないように気を配る。肉やキノコを上手く中身に入れ込めたのは良いが、それを包む卵を焦がしてしまっては意味がないのだ。
「おぉ~。良い色にゃ」
「そうだな……。そろそろ良いかな?」
そんな卵は、鮮やかな黄色で広がっていた。いや、若干市販の卵より赤みを帯びているが、それがこの卵の特徴なのかもしれない。
一方、中身のキノコが炙られた匂いを放ち始めた。内部までしっかり火が通っている証拠だろう。これならもう完成といっても良さそうだ。
「よし、盛り付けて……食べようか!」
「にゃー!」
◆ ◆ ◆
かくして完成した飛竜オムレツ。少し赤みが掛かった黄色が光る、色鮮やかなオムレツだ。
それもその卵の大きさもあってか、非常に量は多い。箸でその卵を切り裂いていくと、そこから強い肉の香りと何処か上品な草の香り、そして奥の深いキノコの風味が広がってくる。中までしっかり火が通っており、焼き加減は丁度良さそうだ。
「……じゃ、いただきまーす」
「いただくにゃー!」
分厚い卵で肉とキノコを包み込み、それをゆっくり口の中に入れる。まず始めに舌に接触したのは、その柔らかい卵だ。
幾重にもなったその層は複雑な味を形成していた。卵本来の仄かな甘みと、氷海塩による鮮やかな塩味。そしてその奥に佇む肉がじわじわと、卵の後に顔を出してくる。肉本来の飾り気のない旨みが、卵の深みを引き立てた。しかしこの両者だけではどんどん味の濃さが膨れ上がり、いずれ食べる者の口の中を飽和させてしまう。ネンチャク草やアオキノコはまるでそうなるのを防ぐように優しい植物としての味と、キノコ特有の歯ごたえを奏で始めたのだった。
まぁつまり、一言で言うと――――。
「――――旨いっ!」
「にゃ、にゃあ……火竜の卵ってこんなに美味しかったのにゃ。これは驚きにゃ!」
「このレシピ特許出しても良いんじゃないか? いけるぞコレ……」
「でもバルバレのアイルーならもっと旨いもの作れるにゃ。特許出すほどこれは対抗出来るかというと……微妙だにゃ」
「むっ……」
冷静さを取り戻したイルルの発言に、俺は思わず言葉を詰まらせる。
確かに言われてみれば、あの我らの団というキャラバンに属しているアイルーの料理は、はっきり言ってこれよりもっと旨かった。悔しいが、その事実からは眼を逸らせない。
「……そうだな。それにこれは些か単純すぎる。もっと面白い具材を使った物を狙うかぁ」
「にゃ? 例えばどんな?」
「粘菌とか。ほら砕竜の」
「却下にゃ」
さて、食った食った。
かなりの量があったために食べるのに少し時間が掛かってしまったが、まぁその甲斐あってか随分元気が出たな。今ならあの雌火竜をわざわざ眠らせなくとも、ブレスを掻い潜って卵を運べるような気がする。まぁ、気がするだけだが。
「よし、そろそろクエスト再開するか。行くぞイルル!」
「にゃあ!」
その瞬間だった。
この猟場、遺跡平原に、澄んだ笛の音が鳴り響く。明らかにモンスターが鳴らしたものではないその音を、俺は何度か聞いたことがあった。それもこのように、猟場で食事を終えたその時に。
「……タイムアップにゃ?」
「……みたいだな」
そう、それはクエストに設けられた制限時間を超えてしまったことを示す笛。事実上の、クエスト失敗を告げる笛の音だった。
このクエストに設けられた制限時間。その全てを、卵一個運ぶこと、そしてその卵を調理し、実食することで軽く使ってしまったのであった。
「……一体何度目にゃ?」
「……知らん」
こんなことは別段今日が初めてという訳ではない。実のところ、何度も経験している。もちろん今日と同じような理由で、だが。
だから落ち込むこともない。世界にはまだ見ぬクエストと、それに伴うモンスターが存在する。つまり、まだまだ俺の知らない味があるのだ。だから、そう気を落とさずに、新たな食を探していけば良い。
――――世界はこんなにも、未知なる味に満ちている。
~本日のレシピ~
『飛竜卵のオムレツ』
・飛竜(リオス種)の卵 ……1個
・アオキノコ ……3本
・クーラーミート ……1個
・ネンチャク草 ……2枚
・氷海塩 ……適量
新ジャンル『モンスター
あのデンプンの成分とはアミロペクチンですね、はい。本当に美味しいオムレツを作るなら、油とバターに、卵を牛乳で溶くことが欠かせません。くれぐれもあんな作り方はしないでください。
さて、それはともかくモンハン飯を閲覧してくださって有り難うございます。この通りこの作品は、ダンジョン飯的な要素に重点を置いたモンハン二次であります。モンスターと戦うというよりは、狩って食べることに躍起になってます。読んでいて美味しそう、と思ってもらえるような文章になるよう工夫していく所存。よろしければ、次のメニューも味見していってくださいな。