黒い鳥と英雄   作:天乃天

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なんとか書きあがった。
戦闘描写って難しいね、ホント。

まぁ、日常描写も難しいのだけれど←



ちょっと早いけどクリスマスプレゼントだよ!←え


そして、祝・UA10000越え、お気に入り100突破!
皆様ありがとうございます。ここまで頑張れたのも皆様のおかげです。今後も頑張りますので、今後ともよろしくお願い致します。
あ、記念に番外編とか何かした方がいいですかね?


第6話 デモンストレーション

 燃え盛る炎の中に立つ鋼鉄の巨人。炎が発生させる黒煙で見えづらいが、しかと立っている様は言葉で表すことができない威圧感と恐怖を感じる。

今見せてもらった圧倒的な火力の武器、そしてそれを保持し運用する機体のパワー。どれも戦術機以上のもので、驚愕していた。こんな戦術機の半分にも満たない兵器が出すスペックではない。これを開発したという人物が恐ろしく感じるのは自然なことのはずだ。

 このあとの予定は演習と聞いているが、演習は3戦あり、そのうち1戦は防御力テストもあり実弾も使うというのだから驚きだ。しかも、国連軍の1個小隊に帝国軍の1個小隊、そして帝国斯衛軍の1個小隊の順で行われ、1戦でも負ければその実用性を証明することが出来ず廃棄処分となるデモンストレーション。

ここまでの兵器がなぜこうなってしまったのかは、先日の横浜基地襲撃事件に関連しており、この兵器が襲撃したとされているからだ。要するに、こんな危険なものは戦術機に劣るようなら廃棄しようということだ。ただし、実用性が証明された場合には武器等の開発の為の専用ラインを用意するように要求もされていると聞く。

ただの技術屋の私には詳しくは分からないが、今回のデモンストレーションでは既存ではないまったく新しい技術を見ることができるのかもしれない。上司の勧めでこのデモンストレーションを見に来ることが出来てよかった。今までの我々にはなかった発想の天才か、既存の兵器か……。その結果はまもなく始まる演習で明らかになる。

 

 

 

 

 

 正直、昨日のメンテナンス中に香月博士が急に来て、戦術機の武器が持てるかどうかを聞いてきたときは何かと思った。だが、確かにACの武器ではとてもじゃないが演習にはならないな。武器の火力のデモンストレーションは、駆動系が完全にイカレてもう廃棄するしかない戦術機数機相手に行った。あとは防御力と機動力でいいらしい。その為、最初の国連軍1個小隊相手の演習では相手は実弾を使うそうだ。アイリスもその程度ではACは傷つかないと断言していた。そしてアイリスのおかげでACでも難なく戦術機の武器の使用ができるようになった。頭が上がらないとはこのことか。なんかアイリスにいろいろまかせっきりな気がするな。と物思いにふけっていると演習が始まったようで弾丸が装甲を叩き、弾かれている音がコックピットにも聞こえる。

 

「さてと、久々のお仕事の時間だ。今回も負けは許されないらしい」

≪負ければACは廃棄という話ですが、あの程度でレイヴンの乗るACは負けたくても負けられませんよ≫

「その信頼に応えるとしますか!」

 

 防御力のデモンストレーションの為、敵の銃弾を避けることをせずまっすぐに進み距離を縮める。両手に持つ突撃砲が火を噴き、ペイント弾が国連軍の陽炎へと向かう。それに当たるほど間抜けではなく、散開して避けるのを確認してハイブーストですぐ横の障害物の陰に隠れる。相手にしてみればまっすぐ進んでいた敵機が減速なく急に直角に曲がって隠れたように見えることだろう。シミュレーターでも思ったことだが、戦術機ではあまりしない行動のはずだ。そのままブーストドライブで障害物を蹴り、上へと上る。これは資料からだが、戦術機での戦闘ではあまり対空の攻撃というのがない。それはBETAが地を這うものであるのと、光線級による制空権の支配に起因するものであるのだが、今回はそれを利用させてもらい上から国連軍の陽炎を奇襲する。突然の上からの攻撃に為す術もない2機の陽炎をペイントまみれにする。

 リコンを射出し、残りの2機の位置をスキャンしてそちらへと向かう。上は流石に警戒されるのでそのまま正面から突っ込み、ハイブーストで右に瞬時に移動してからすぐに左へともう一度ハイブーストをして突撃砲を放つ。右への急な移動にもしっかりと対応し右へと移動したこちらに銃口を合わせた陽炎だが、さらに左への移動には対応しきれないようで1機がペイントまみれになる。不利を悟った残りの陽炎がブーストを噴かして後退するのを追いかける。左手で持つ突撃砲で敵機を狙い、右手の突撃砲で逃げ道を塞ぐようにペイント弾を放つ。次第に避けきれなくなった陽炎が動力部に被弾して演習1戦目は終了した。

 

 ペイント弾の補給をして演習2戦目。今更だがこのACは背中にグラインドブレードを背負ったままで、両手には戦術機の突撃砲を持っている。その為、弾が切れた時のために演習用の長刀が演習場のいくつかのポイントに置いてある。グラインドブレードを換装していると時間がかなりかかるための緊急的措置である。そして演習場は市街地戦を想定されたものだ。いくつかの建物が障害物として存在する。現在高い建物の上に陣取っている。今回の対戦相手は帝国軍の1個小隊だ。先程の国連軍との演習を見ているはずで、普段ならば前後左右に注意を払うだけであったが、今は上も注意が必要であることで行動が遅いように感じる。まだ距離があるので向こうはこちらを捕捉しているかわからないが、こっちはリコンを投げ飛ばしているのでどこにいるのかがまるわかりである。

 まもなく敵小隊が目視できるところに辿り着くので、突撃砲で狙撃できるようにしっかりと構える。ゆっくりと警戒しながら進む帝国軍の不知火が見えたところでフルオートでペイント弾を発射する。ACにしてみれば戦術機の突撃砲のリコイルなどないに等しいのでほぼぶれずにペイント弾は狙った所へと着弾する。もとよりこれで全滅するなど考えていなかったが、2機つぶせたのは僥倖だ。すぐさま建物から飛び降り移動する。その際リコンを設置するのを忘れない。

 2機の不知火はすぐに散開し、正確に狙撃地点付近に急行しているあたり優秀なパイロットであることが伺える。こちらはさらに距離をとるようなことはせず、こちらに向かう1機の不知火にターゲットを絞り接近する。もう1機がこちらの裏を取るような行動に出たのでレーダーの範囲を予想しつつ、1機の不知火と対峙する。国連カラーの青い不知火とは違うグレーの不知火は突撃砲を発射しながらこちらを誘導するような射線を張る。先程の演習の国連軍とは違い、こちらは実弾ではなくペイント弾を使っている。被弾するとペイントが付くだけだが、ペイント弾は被弾し続けると勝手に小破や中破など撃墜判定を出される可能性が否定できないのでなるべく回避しつつ突撃砲で応戦する。その際、戦術機が行わないような3次元機動で翻弄しつつ接近する。ハイブーストで左右に揺さぶり、三角跳びの要領で壁を蹴りさらにハイブースト、ブーストドライブと圧倒的なブースターにものを言わせて翻弄し、突撃砲でしっかりと管制ユニットを撃ちぬく。

 後ろから接近する不知火に向け振り向き様に突撃砲を放ち、同じように翻弄する。不知火は無理に迎撃せず、建物の陰へと引いていく。それを建物の上を通過して、驚く不知火に対して突撃砲を放って仕留める。

 

 もう1度ペイント弾を補給して演習最終戦。今度の相手はエリート軍という帝国斯衛軍だ。機体は武御雷というハイスペック機。戦術機の最高峰であるだろう機体との演習となる。強敵との試合に心躍るものを感じつつ、機体を前進させる。

 

≪楽しそうですね、レイヴン≫

「そう見えるか?」

≪はい≫

「多分久々の戦闘に気分が高揚しているのと、強い相手との戦闘で俺はさらに強くなれるという確信に近い思いがあるからだろうな」

≪なるほど、そういうものですか≫

「そういうものだ。今回は小細工はしない。正面から堂々とだ」

 

 敵機を視認する。赤い機体に白い機体が3機の編成。こちらが視認するということはあちらも視認するということであり、流石はエリートというべきか視認してすぐに正確にペイント弾がこちらへと飛来する。それをハイブーストとブーストドライブの三次元機動で回避し、前へとハイブーストし急接近する。今までハイブーストを左右にしか使っていなかったからか、左右だけだと思い込んでいたのであろう白い機体のわずかな硬直を逃さずに管制ユニットをペイントで染め上げる。そこで硬直を晒すなどという愚行をせずすぐさまハイブーストで離れ、牽制の為にペイント弾をばらまき建物の陰へと後退する。

 

「残り3機」

 

 建物へと姿を消したこちらを追う機体と、反対側から挟むように来る機体があるので追ってくる方へとブーストドライブで若干上にあがった状態でハイブーストする。角を曲がった白い機体の上を通過し、その背中にペイントを浴びせる。しかし、そこを赤い機体に突撃砲で狙われ左腕が小破判定をくらった。まだ使えないわけではないが、反応や出力ダウンというペナルティが発生したことに舌打ちしつつ赤い機体の射線と挟み込みに来た白い機体の射線から逃れるように後退する。

 残弾が少なめであることもあり長刀があるポイントまで急行する。追ってくる赤と白の機体に向け左手に持つ突撃砲を投げつけ、回避させている間に長刀を回収しそれをそのままこちらから見て左側にいる赤い機体に向けて回転させながら投げつける。

 

「いけるか!?」

≪計算は完璧です≫

 

 その長刀に向け突撃砲を放つ。長刀はすぐさま持ち替えた赤い機体の長刀に弾かれて地面に叩きつかれた。

 

≪神代機、動力部被弾。致命的損傷、機能停止≫

≪そんな!≫

 

撃墜判定を出された白い機体のパイロットが演習のオペレーターの声に戸惑いを隠せないようだった。先程投げた長刀の刃の部分を使いペイント弾を跳弾させて動力部を狙った。アイリスというAIを計算に使ってしまったのは少しずるかったとは思っているが、本来のこちらの武装や装甲の防御力を使わせてもらっていないのでこれくらいは許してほしい。

 

≪神代、見苦しいぞ≫

≪……は。失礼しました≫

 

 赤い機体は長刀を叩きつけた格好のまま、こちらは突撃砲を構えたまましばし時間が経過した。正直に言うと突撃砲はすでに弾切れであり、ここのポイントの長刀は赤い機体の足元にある。逃げるに越したことはないのだが、赤い機体がまだ弾があると思っていてくれるのならばまだ使いようはある。

 突然赤い機体が足元の長刀を掴み、こちらに投げてきた。

 

「どういうつもりだ?」

≪その突撃砲はほぼ弾切れであろう?≫

「なぜそう思う」

≪簡単なことだ。弾があるならば、貴官はこのような間など作らず、すぐさま撃っているだろうからだ≫

「ではなぜ長刀をこちらに寄越した」

≪単純に貴官と切り結びたいと思ったのだ。このままの決着を私は望まない≫

「……いいだろう」

 

 こちらに投げ飛ばされた長刀を拾い構える。

 

≪貴官の名を聞いてもよろしいか?≫

「烏丸 恭史郎だ。そちらは?」

≪月詠 真那だ。では烏丸殿、ゆくぞ!≫

 

 一気に加速した赤い機体がこちらに肉迫する。こちらにはサイズが小さいというアドバンテージがあるが、関係ないかのように長刀が振るわれる。それを長刀でいなし、返す刀で切りつけるのをバックステップで回避した赤い機体に畳み掛けるようにこちらから切りかかる。切りつけてはいなされ、切りかかられればいなすを繰り返す。こちらにアドバンテージがある状態でここまでやる月詠というパイロットは優秀だ。この機体が長刀を振り回すというのに適していないというのもあるかもしれないが。

 何回も正面からぶつかり合い、なかなか決着がつかない。ホントはこのまま何度でもぶつかりたいが、こちらも仕事だ。これ以上やって負けることもできない。その為、正面からぶつかると信じていてくれる月詠には申し訳ないが、切り結ぶ瞬間に右にハイブーストして避ける。そのままもう一度ハイブーストし管制ユニットに長刀を添えて、この演習は幕を閉じた。

 




読みづらかったりしたら教えてください。
感想とかも待ってます←


正直、たけみーとACの機動力だとたけみーのが勝つんじゃないかと不安があったりしてる私。
あ、そういえばACって推進剤とかあるんかな?Vの段階でよくわからない発掘品使ってるし、推進剤はなくエネルギーだけのブースターなんかな?

そしてやはりセンスのないサブタイトルである←
完全に余談だけど、今回歴代最大文字数だったよ・・・

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