黒い鳥と英雄   作:天乃天

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お待たせしました。
いろいろこじつけてる気がというかこじつけていますがこれでどうか……

つかサブタイトル考えるの難しい……


【追記】
アンケートを活動報告の方に投稿しました。良ければご協力お願いします。


第4話 その時君は、美しい。

「……て、起きてよ。もう起きてったら!」

「ん?」

 

ゆすり起こされて重たい瞼をあける。

 

「もー、やっと起きたね。遊園地行くって言ったじゃないか」

「遊園地……?」

「まだ寝ぼけてるの? 言い出したのはキョウの方じゃないか」

「……ああ、そうだったな。お化け屋敷に行かないとな」

「ちょっと! お化け屋敷には行かないって約束だったじゃないか!」

「何言ってるんだ。カップルで遊園地と言ったらお化け屋敷は定番中の定番だろ。そしてお化けに驚いてキャーと抱きつかれると柔らかい……ああ、すまなかったな」

「今どこ見て言ったのさ! つるぺたで悪かったな!」

 

 ギャーギャーと騒ぎ暴れる彼女を宥める。

 

「悪かった悪かったって。お化け屋敷には行かないから」

「まったく、最初からそう言ってるじゃないか。……やっぱりキョウも大きい方がいい?」

「その質問何度目だよ」

「だって! キョウが不安になるようなことばっかり言うから……」

「俺はサイズなんて気にしないし、お前だからいいんだよ。他の誰でもない、お前がいいんだ」

「キョウ……」

「つか、うわ恥ずっ! めっちゃ恥ずい! 俺は真顔で何言ってんだ!」

 

 恥ずかし過ぎてベッドにダイブしてその上で悶える。言ったことは紛れもなく本心だ。だがこう言葉にして伝えてしまうと恥ずかしさがこみあげてきて居たたまれなくなる。

 

「ほら、早く遊園地に行こ! 僕、楽しみにしてたんだから!」

 

 満面の笑みで手を差し出す彼女の手を取りベッドから起きる。

 

 

 

 

 

≪おはようございます、レイヴン。……どうかしましたか?≫

「ん? どうかって、何がだ?」

≪泣いていますよ?≫

「泣いて……?」

 

 アイリスに言われて顔に触れると、確かに涙が頬を流れていた。どこか胸が締め付けられるような切ない気持ちと合わせて、何か夢でも見ていたのだろうか。

 

≪レイヴン、人が来たみたいですよ≫

「人?」

≪はい。私のセンサーに人らしき熱源を感知しました≫

「便利だなお前。敵になられたら恐ろしいよ」

≪何を言っているんです? 私はあなたをサポートするように作られています。いついかなる時でもあなたの味方です。裏切りなどありえません≫

「心強いよ」

 

 アイリスと話していると営倉の扉が開いて銃を持った兵士2人と男性が入ってきた。

 

「君の処遇について伝えに来た」

「……あんたは?」

「私はこの横浜基地の司令をしているパウル・ラダビノッドだ」

「司令直々か」

「まず、君は今からどんなことがあってもその位置から動かないと約束できるかね?」

「言ってる意味が分からないんだが」

「そのままの意味だ」

「……いまいち分からないが、動かなければいいんだろ? 約束するよ」

 

 そういった直後司令の両脇に控えていた兵士が銃を構えた。銃口をこちらに向けて。

 

「おい、どういうつもりだ」

「君の犯した行動は決して許される行為ではない。それは分かるな?」

 

 このままでは撃たれると思い、身体を動かそうとして先ほどの約束が頭をよぎった。

何故いきなりあんな話をしたんだ? 銃殺するならわざわざあんな約束をする必要はない。何があるのか分からないが、約束を守る方がよさそうだと直感が告げる。どのみち逃げ場はないというのもある。そのまま瞳を閉じ、相手の行動を待つことにする。見ていると反射的に避けようとするかもしれないからだ。

瞳を閉じてからほんの数瞬後、発砲音が鳴り響いた。が、身体はどこも痛みに襲われていない。恐る恐る目を開けると銃口を下げた兵士と司令がいた。

 

「決して許される行為ではないが、幸い負傷者こそ出たものの死者は出ていない。また、あの新概念実証機の性能には目を見張るものがある。あれは君が開発したのだと聞く。あれほどの機体を開発した君を失うのはあまりにも惜しい。よって、今一度チャンスを与えようということになったのだ」

「俺が言うのもあれだが、随分と甘いんだな」

「それほどの価値を君に見出したということだ。香月博士には感謝しておくんだな。あとの説明は香月博士から聞いてくれたまえ。私はこれで失礼する」

 

 そう言って司令は去って行った。それと入れ替わるように香月博士が入ってきた。

 

「じゃ、そういうことだから。これ、明日までに全部頭に入れておきなさい」

「ちょ、そういうことじゃなくて説明してくれ! あとこれ分厚っ! 明日まで!?」

 

 伝えるだけ伝えて、分厚い資料をこちらに投げてよこした博士が帰ろうとするのを慌てて引き留める。

 

「なによ、めんどくさいわねぇ。あんだけ大暴れしたあんたの立場を確保するのがどれだけ大変だったと思ってんのよ。、あんたは機体から降りてきたときはあのスーツとヘルメットで顔は分からなかったし、声は加工されてたからラダビノッド司令のような一部の人だけで済んだけど、このあたしがあんたのために頭まで下げたのよ? 屈辱だわ」

「俺、声加工されてたのか?」

≪あ、それは私がしておきました≫

「便利だなおまえ……」

「……これであんたの立場は確保できたわ。それは今回の騒動や、あんたのこの世界での立場に関するこちらが用意したシナリオよ。ぼろが出ないように明日までに頭に叩き込んでおきなさい」

 

 そう残して今度こそ香月博士は去って行った。

 

「少佐をお部屋へとお連れ致します」

 

 外で待機していた兵士が俺の手錠を外し、この基地での部屋へと案内してくれた。移動中もシナリオを読んで少しでも頭に入れる。兵士が俺のことを少佐と呼ぶ理由は言わずもがな、香月博士が用意した立場だ。

簡単にまとめると俺は国連軍少佐で、新概念実証機の開発責任者。香月博士がこの新概念実証機のことを知り、護衛用の機体として第4計画に組み込むことを決定。それに伴い横浜基地へと向かう途中、機体のテストパイロットが突然暴走し機体を奪取。横浜基地へと襲撃を仕掛ける。新概念実証機はその堅牢な防御力や火力を遺憾無く発揮し、基地防衛隊を圧倒。新概念実証機が未完であることもあり、なんとか捕縛に成功。その後テストパイロットは射殺され、開発責任者である俺がテストパイロットの後釜になる。ってことらしい。

ちなみにテストパイロットの暴走の原因は度重なる稼働テストによる疲労が、実戦での度重なるBETAとの戦闘での疲労と近い状態になり錯乱したと推測となるらしい。

兵士に案内された自室でもシナリオを繰り返し読み、頭に叩き込む。人間集中すると何かを忘れることがある。今回は俺は食事をとることを忘れており、慌てて地図見て食堂へと駆け込んだときには誰も食堂にいなかった。

 




城内省だっけ?あそこって日本人すべてのデータ入ってんのかな?
だとするとたけるちゃんみたいに恭史郎も月詠さん達に怪しまれちまうかな?とすると外人設定にした方がいいか?日系人みたいな…… なんかユウヤみたいだなそれ

レイヴン・イェルネフェルト

外人設定って思った瞬間にふっと浮かんだ名前候補がなんとも微妙だった……

このまま烏丸 恭史郎でいいか?むぅ……

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