黒い鳥と英雄   作:天乃天

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皆様初めまして。
突然ネタが降ってきたから衝動的に書いた←

これから頑張りますのでよろしくお願いします!



申し訳ない。少々文章を手直ししました。と言ってもストーリーの変更はなく、記憶のセリフの一部を変更しました。ここたまもいいけど別のに変更。


プロローグ 君と世界と

 ここはどこだろう? 一面真っ白だ。だが、どこか懐かしさを覚える。俺はどこかでこの空間を見たことがあるような気がする。だが一向に思い出すことができない。

 しばし悩んでいると目の前に一滴の雫が落ちてきて、一面真っ白な世界に波紋を広げた。その波紋は広く広くこの世界に広がっていき、気が付くと俺は天井が見えないほど高い本棚に筒状に囲まれた図書館のような場所の中央にある机の前にいた。机には眼鏡をかけた司書のような青年が座っていた。

 

「やぁ、久しぶりだね」

「久し、ぶり……?」

 

 にこやかに話しかけてきた青年は久しぶりと声をかけてきた。つまりは面識があるはずなのだが、この青年のことをまったく思い出せない。それだけではない。ここはどこなのか、なぜ俺はここにいるのかその全てが分からなかった。

 考え込む俺を見て一瞬キョトンとしていた青年は全て納得したかのように頷いたあと、引き出しからとある羊皮紙を取り出した。

 

「ここに君の名前を記入してくれ。それで手続きは完了だ」

 

 青年は羊皮紙と羽ペンをこちらに差し出し、いくらか文章が書かれている下のアンダーラインが書かれているだけの空白の箇所を指して言った。

 

「ちょ、ちょっと待ってくれ! 急に手続きと言われても分からない!」

「ホントは知らない方が幸せかもしれないけど、僕もなんだかんだで君とは長い付き合いだからね。特別に教えてあげようかな」

「あんたは一体何を知っているんだ?」

「君の全てさ」

 

 そう真面目な顔で言った青年は手を軽く振り上げた。すると本棚にある一冊の本が淡い光を放ちながら青年の手元にゆっくり降りてきた。それを手に取り本を開くと、音読するかのようにしゃべり始めた。

 

烏丸 恭史郎(からすま きょうしろう)。君と僕の最初の出会いは君が初めて転生をする時だ。まぁ、転生の執行を任されているのが僕だから当たり前なんだけどね」

「転生? 俺は死んでいるってのか……!?」

「もうずいぶん前にね。交通事故とはいえ最愛の人を目の前で失った君は世界に絶望し、最愛の人を守れなかった自分の無力にも絶望して自ら命を絶った」

 

 激しい頭痛と共にその光景がフラッシュバックする。同時に言いようのない悔しさ、後悔といった負の感情が胸を渦巻き、吐き気に襲われた。

 

「君は神様の慈悲で転生をすることとなった。そこで僕と出会い、強い意志を持った瞳で見つめて言ったんだ。誰かを守れるような強い力が欲しいってね。僕はそれに世界は用意するが手に入るかは君次第だと答えて、君を転生させた」

 

 青年の言葉は続き、どんどんと記憶が戻ってくる。幾度と繰り返した転生の記憶、その全てが。

『秩序無くして人は生きてゆけん。たとえ、それが偽りであってもだ。生き抜くがいいレイヴン。我らとお前、どちらが果たして正しかったのか。お前にはそれを知る権利と義務がある』

『いいか、俺は面倒が嫌いなんだ』

『ターゲット確認、排除……開始』

『我々はいつも誤りを犯す。そうは思わないかレイヴン。我々には管理する者が必要だ。我々は我々だけで生きるべきではないのだ。レイヴンの国……私はそれほど愚かではない。すべては理想のため、復活のため……消えろイレギュラー!』

『よく来てくれた。残念だが、目標などはじめからいない。だまして悪いが、仕事なんでな。死んでもらおう』

『イレギュラー要素は抹消する、ミラージュはそう判断した。管理者を破壊する……? 馬鹿げたことを……』

『XA-26483……ココマデガ、私の役割……レイヴン……後ハ、アナタノ役割……』

『裏切られることなど……傭兵の常とはいえ……だが、今この瞬間は力こそが全てだ! 私を超えてみろ!』

『私はただひたすらに、強くあろうとした。そこに私の生きる理由があると信じていた。やっと追い続けたものに、手が届いた気がする……。レイヴン。その称号は、お前にこそふさわしい』

『遅かったな……言葉は不要か……』

『ホワイト・グリント、大げさな伝説も今日で終わりだ。進化の現実ってやつを教えてやる』

『ホントは好きじゃないんだ、こういう、マジな勝負ってのは。俺のキャラじゃないしね。まあ、やるんなら本気でやろうか! そのほうが楽しいだろ!? ハハハッ!』

『認めない。人の可能性など、僕は認めない。だがもし、君が例外だと言うのなら……なら、生き延びるがいい。君にはその権利と義務がある』

 走馬灯のように、今までの転生で自分に言われた言葉やそのシーンを鮮明に思い出す。

 

「ここまでの君の活躍は素晴らしいの一言に尽きる。神様はそんな君に期待しているのかもしれないね。だから君の奇跡を起こす力で今度も世界を救ってほしいんだ」

 

 酷い頭痛の中、なぜか鮮明に聞こえる青年の声がただ、と付け加えた。

 

「僕は君に休んでほしいとも思うよ。確かに力を望んだ君にあんな世界を用意したが、ここまでとは想定していなかった。神様すら不幸な世界を救うために頼るような存在になるなんてさ」

「神様が、俺を頼る……?」

「そう。今度の世界は僕が用意したわけじゃない。上が決定したものだ。君が今まで行った世界とはまた違った絶望を抱えた世界。最初は上の決定に従おうとも思ったけど、ちょっと反逆してしまおうと思う」

「そんなことして大丈夫なのか?」

「大丈夫とは言えないかな。でも、次の世界で君のバッドエンドなんて見たくないからね。行かないようにすることはできないから、ちょっとだけ特典を付けてあげる。記憶もそのひとつだよ」

 

 青年が手に持っていた本はスッと消えて、羊皮紙と羽ペンが俺の目の前で淡く

輝きながら停止した。

 

「さあ、時間だ。上に気づかれる前に手続きを済ませてしまおう」

 

 促されるままに羊皮紙に名前を記入する。記入が完了すると青年が確認することなく羊皮紙は燃えてなくなった。同じく羽ペンも燃えたので慌てて手を離す。

 

「目的を確認するよ。今回君に依頼するミッションは絶望の未来へと進むことが半ば確定している世界を救うこと。どんなに拒絶されようともやっぱり神様は人間を救いたいんだ。だから君をその世界に投入する」

「なんだかお前らしくない言い方だな」

「君を送った世界みたいな説明を意識してみたんだけど、やっぱり似合わないことはするもんじゃないね。さて、送った後はこちらから干渉することは一切できないから、君の頑張りに期待するよ」

「任せろなんて言えるほど自信はないが、お前に危険なことまでしてもらったんだ。なんとかしてみせるさ」

「頼もしい限りだね。じゃ、行ってらっしゃい」

 

 はにかみながらそう言うと、青年はこちらに向かって手をかざした。すると俺の身体が淡く輝き出し、そのまま光へと溶けていく。薄れていく意識の中で青年の声が聞こえた。

 

「やっぱりキョウは優しいね。だから……」

 

 その先は聞き取ることはできなかった。俺のことをキョウなんて愛称で呼ぶ人物は誰だったか。蘇った記憶を思い返してみても膨大な量の記憶から探し出すのは今の俺には困難だった。ただ、優しくこちらに微笑む女性が脳裏に一瞬だけチラついた。

 




皆様に面白いって思ってもらえたらいいなぁ…。
まだまだマブラヴ要素皆無なんだけどさ…

一応調べたら…←これ(三点リーダ)2個使わないと文章的にいけないってことをはじめて知った←


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