GAMERA-ガメラ-/シンフォギアの守護者~The Guardian of Symphogear~   作:フォレス・ノースウッド

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あ……やっとここまで来れた(汗

一年もスランプしてた最大の原因にして難関、一度ぽっきり折れた響をどうやって再起させるか。

一度悩みのドツボに嵌ると長く響く響本人同様、この辺どうするかほんとついこの前まで何も浮かばなくて。
結局『未来視点』でどうにか。
未だに『響ならこうするであろう行動』は書けても、その時の心情を上手く全然表現できない(どうしても引いた目線でビッキーを見てしまう)未熟者でございますが……どうぞ!!



#66 - もう一度、立ち上がる勇気を――

 突然このシェルターの一角に入ってきたのは、二課の職員さん(この前の戦闘に巻き込まれた時、シンフォギアと響や朱音がその使い手である諸々の最重要国家機密を口外しない約束の同意書のサインを求めてきた人)と、多少の学年の違いはあったけど、みんな小学生くらいの子どもたちに、引率者らしい女の人だった。

 

「君たちは……」

 

 突然の訪問者たちに、私たちを代表する形で司令さんが、引率者の人を尋ねる。

 

「すみません、どうしてもこの子たちが見たいと仰りまして――」

 

 引率者さんが司令さんに説明し始めた傍ら、子どもたちは藤尭さんと彼の端末(パソコン)を取り囲んで、立体モニターに映った映像を見せてほしいとせがむ。

 藤尭さんは子どもたちの対応に四苦八苦しつつもキーボードを操作すると、シェルターの壁に大きなモニターが現れ、点灯した。

 

「朱音お姉ちゃんだ!」

「翼さんも変身してる!」

「あの銀髪お姉ちゃん、どこかで見た気がする……」

 

 モニターに映し出された朱音たちが戦っている映像を目にする子どもたちのリアクションで、私は〝もしかして〟とハッとする。

 そう言えば……朱音って時々、幼稚園児から小学生向けの音楽教室に通う子どもたちにお手伝いで歌を教えることがあって、この子たちが、その朱音の〝教え子〟なんだ。

 

「お兄ちゃん、あの時のお姉ちゃんがいるよ」

 

 壁面(モニター)越しに朱音たちを見守っている子どもたちの中で、見覚えのある男の子と女の子が私に気づいた。

 

「あの二人……」

 

 この前――響と朱音がシンフォギア装者であることを知った日に、親御さんと離れ離れになってたあの兄妹もいた。

 

「二人も、音楽教室に?」

「「うん」」

 

 その時、朱音が不安を少しでも和らげようと歌ってくれたのがきっかけで歌に興味を持った兄妹(このこ)たちも通い始めたとのこと、その音楽教室が実質、朱音が臨時講師してるところだったのは本当に全くの偶然(たまたま)だったらしい。

 

「がんばれ~~!」

 

 子どもたちの声援(エール)が室内(シェルター)に響く中、怪獣(あかいりゅう)の口から放たれたビームを吸収したらしい朱音たちの反撃を受けて怪獣が大爆発を起こした。

 

「やったの?」

 

 思わずその一言か零れる私だったけど……急に忙しくキーボードを入力して解析し始めた藤尭さんの切羽詰まった表情と、モニターに映った光の粒々が怪獣の姿に集まった様を見て、相手は復活しようと――〝了子さん〟はまだ戦う気なのだと悟るる。

 

『藤尭さん』

「朱音ちゃん丁度よかった、今のデュランダルに攻撃を加えてはダメです」

『被害は一体?』

「低く見積もっても……デュランダルから半径四方六キロ以上周辺は……間違いなく壊滅します」

 

 しかも、通信してきた朱音と藤尭さんのやり取りから、再生してる最中に攻撃をすれば大規模災害になってしまうらしい………私でもその大惨事が起きてしまったら、街が跡形も残らず壊滅して、私も、響も、創世さんたちも二課の人たちも子どもたちも、このシェルターにいる人たち含めた避難民みんな死ぬ事実が分かり……ぞっと悪寒が走った。

 

「……っ」

「ひ、響……」

 

 響も同じ気持ちがこみ上げた様で、金縛りにあったみたいに固まり瞬きも忘れて立ち尽くし……なのに全身が小刻みに震え、特に指先が顕著。

 

 

 

 さっきの……櫻井了子(フィーネ)に憤怒を露わにした時に見せた、全身が赤黒く染まって暴走し、あわや翼さんを殺しかけた時を思い出させられたのもあって、今の響の姿を見ていられなくなり、目線を壁面のモニターに移させる。

 再生中の怪獣に立ち向かい続ける朱音たち、けど下手に攻撃できないハンデを抱えているから……段々と追い込まれていき、逆に怪獣の肉体は少しずつ実体を取り戻しつつも、シンフォギア装者への攻撃が激しくなっていくのが、自分でも分かる。

 戦闘の被害がシェルターにいる私たちにまで及ばないよう、怪獣の攻撃をできるだけ避けず、各々が持ってる武器や防具を使って防いでいるんだけど……朱音たちの顔をよくみれば、苦悶の表情が強くなっていた。

 それだけ……怪獣は――その体内にいる櫻井了子(フィーネ)の力が増しているのだ。

 向こうは戦闘が長引くほど有利になって、逆に朱音たちは不利に陥っていくこの状況――

 

「もしこの前のような方法で完全聖遺物を抑えられたら……」

 

 ――をオペレートしている一人の友里さんが呟いて。

 

「っ――それってどういうことです!?」

「未来ちゃん!?」

 

 耳にした私は、思わず食いつく様に友里さんに尋ねて、たじろかせてしまった……いけない、こういう緊急事態だからこそ一度深呼吸して落ち着かせた上で。

 

「完全聖遺物を――了子さんを止められる方法があるんですね?」

「ええ」

 

 改めて、さっきの言葉の意味を訊いてみた。

 

「デュランダルを、二課本部から別の場所に移送する計画のことは聞いてるでしょ?」

「はい」

 

 

 その移送中に襲ってきたクリスと戦闘中、響の歌声でデュランダルが起動、奪われまいと手に取った響をさっきみたいな暴走を招いたけど、朱音と翼さんの二重奏(デュエット)で大惨事になる前に食い止められたことを友里さんが話してくれた。

 

「じゃあ……やろうと思えば、歌で了子さんと融合してる完全聖遺物を止められるんですね?」

「理論上は……けど、起動済みの完全聖遺物を三つともなると……――」

 

 了子さんを止められる方法はある……でもそれを実際に行うには障害(ハードル)が多くて、高い。

 確かに、ここまでほとんど休む暇も無くずっと連戦し続けて消耗が激しい朱音たちには困難が過ぎるやり方なのは、私でも分かる……。

 

「――一体どれだけの〝フォニックゲイン〟が必要になるか……」

 

 フォニックゲイン……《シンフォギア・システム》を使い、聖遺物を眠りから起こすのに必要なエネルギー。

 

〝シンフォギアは誰にでも扱える代物じゃない―――けれどこの力を使う為に必要なフォニックゲインは、誰の歌声からも生み出すことができる―――それだけじゃない、この地球(ほし)そのものと、そこに住むあらゆる生命にも宿って結び付けているエネルギー……命の光(かがやき)なのさ〟

 

 友里さんの口から出たその単語から、私は朱音がシンフォギアで変身してノイズの襲撃から助けてくれた日に彼女から聞いた説明(ことば)を思い出し。

 

「それです!!」

 

 ここまでモニター越しに朱音たちの戦いを見ているしかない中――〝自分にもできることは無いのか?〟――と、ずっと胸の内でくすぶっていた分、まさに閃光と表現するのが相応しいくらいに頭の中で閃きが走った私は、舞い上がった勢い余ってその場から立ち上がった。

 案の定、周りにいた人たちは突然のことに呆気に取られた顔を私に向けてくる。

 

「その……私たちが歌って……フォニックゲインを、朱音たちに届けるんです」

 

 恥ずかしさで頬が熱くなる感触を味わいながらも……思いついたばかりの――〝私たちでもできること〟を説明すると。

 

「えーと、歌で朱音お姉ちゃんたちを応援できるの?」

「そう」

「そんならやろうぜ!!」

「うんうん!」

「歌でお姉ちゃんたちに恩返し」

 

 朱音の教え子同然な音楽教室の子どもたちは、私からの方法(アイデア)に賛成を示し、一緒にやろうと言ってくれた。

 

「でも未来(ヒナ)、そんなアニメみたいな方法で、ほんとに朱音(アーヤ)たちを助けられるのかな?」

「何言ってんのよ創世!」

 

 一方、さすがに突拍子もないアイデアだけあって疑問を投げてきた安藤さんに、そのアニメ大好きマニアその人である板場さんが発破をかける。

 

「敢えて空気を読んでずっと黙ってたけど言わせてもらうわ!さっきからアニメあるあるのオンパレードじゃない! 通常兵器では敵わない怪物を倒せる特殊兵器、それを扱えるのは一部の少年少女、彼女たちをバックアップする大人たちが集まった秘密組織、学校の地下はその秘密基地、超古代のオーバーテクロノジー、その時代から現代まで輪廻転生を繰り返して暗躍してきたラスボス!果てはそいつが変身した巨大怪獣!! ここまでてんこ盛りじゃ脚本会議で没になる超展開よ!!」

 

 さ、さすが自分の知る限りリディアンに通う学生随一のアニメ大好きな板場さん……事情を知らない一般人からすると理解が到底追いつけそうにない事態(私ももし今日にシンフォギア諸々のことを知っても絶対一ミリも呑み込めなかっただろう……それこそ響風に言えば『言ってること全然分かりません』状態に陥った筈だ)の数々を、彼女なりに呑み込んでおり、私は心の内でこっそり苦笑いを浮かべた。

 

「もうアニメは虚構じゃないわ! 今こうして実際に起きてる現実よッ!」

 

 でも板場さんの声を、よくよく耳をすませて聞き取ってみれば……押し隠そうとしてるけど、それでも滲み出てきてしまう〝震え〟が混じっているのを窺える。

 板場さんなりに気丈に振る舞っているけど、内心は虚構(フィクション)の世界でしかなかった出来事が現実に存在して自分たちの日常(せいかつ)を、命を脅かしている実態に怖がって、それでも負けまいと戦っているのだ。

 

「言われてみればそうですね……」

 

 一方で寺島さんはこの非常事態の渦中でも普段と変わらぬおっとり気味のマイペース具合のまま、その胆力の高さには脱帽するし、その精神のタフさ具合がちょっと羨ましいと思った。

 

「やってやろうじゃない! ここでやれなきゃ私たちはアニメ未満よ……非実在少年にもなれやしない……私たちが今日まで何も知らずに、ずっと命がけで頑張ってきた友達に顔向けできやしないわ!」

「私もそのナイスなアイデアに乗ります、自分たちにもできることがあるなら、やらない手はありません」

「そう……だね、友達が必死に頑張ってるのに、その友達が頑張らない理由は……ないもんね、私たちも手伝うよ――〝歌〟で」

「みんな、ありがとう」

 

 一緒に歌ってくれると言ってくれた友人(ともだち)たちからの言葉に想いがこみ上げ、心の芯が温まってくるのを感じながら、私は笑顔と一緒に感謝を送り返した。

 

『話は聞かせてもらいましたよ!』

 

 一緒に歌を奏でてくれるのは、友達と子どもたちだけじゃない。

 

『伴奏なら俺たちにお任せ下さい!』

『朱音ちゃんに貰ったお礼の分だけ、最高に盛り上がる演奏をしてみせますよ!』

 

 友里さんの端末(パソコン)の画面には、ギターやらドラムのバチやら楽器を携えた自衛官の人たちが映っている。

 装者になってから朱音が、特異災害が起きる……と言うか人為的に起こされる度に避難民に向けて開いていたと言う即席ライブの、実質バンドメンバーとなっていた本来は陸自の音楽隊に所属している特機一課の皆さんだった。

 私も実際にこの人たちの伴奏をバックに生き生きと歌う朱音と翼さんの即席ライブを拝見したことがあるので、実に心強い。

 

『朱音ちゃんの持ち歌は大方演奏できるから、遠慮なくリクエストしてくれ』

「えっーと……」

「どれにしようか?」

「挿入歌になりそうな朱音お姉ちゃんの持ち歌いっぱいあるからな~~」

 

 子どもたちと安藤さんたちと一課音楽隊の皆さんがどの曲を応援歌に選ぶか相談し合っていた中――。

 

「未来……」

 

 背後(うしろ)から、私の名前を呼ぶ響の声が聞こえて、私は振り返った。

 

「響……」

 

 まだ私の親友(たいよう)の顔は、今にも泣きそうで暗い影が差し込まれて俯き、身体の震えは止まらずにいる。

 特に両手の広がった指は痙攣を起こしてる様……だったけど。

 

「この間、未来言ってたよね……私が――〝私の為でも頑張れる様になってほしい〟――って」

「うん、今だってそう思ってる、ずっと響の意志(ワガママ)を応援したいから」

 

 響がいつか、心から自分自身も誇れる様に、好きになれる様に、自分だけの〝翼〟を見つけて、飛べるように、その時が来たら心から祝福できるように………それが、私と朱音が、あの夜交わした祈りと、願い。

 

「未来……今ここで立ち止まったままじゃ……私……その未来の気持ちに……応えられない、多分一生……ずっと自分の為になんて頑張れなくなっちゃう………だ、だから、私――」

 

 響はずっと震え続けていた自分の手を、勇気づける為に握りしめ、影を振り払う様に決然と顔を上げて私の瞳と合わせた瞬間……私は両手で決意が込められた親友の手を、そっと優しく包み込ませてあげる。

 

「分かってる、それが今、響が心からやりたい……諦めたくない自分だけの一生懸命(わがまま)なら……」

 

 朱音の言っていた通り、今の響の心は〝自分自身との戦い〟を繰り広げていて………それをどうにかできるのは、響自身だけ。

 エールを送ってあげたり、背中を押してあげることしかできないのなら……せめてと、精一杯の気持ちを込めて。

 

「響のやりたいように、響だけの〝歌〟を、思いっきり――歌って」

 

 祈る様に目を閉じ、エールを送ってあげた。

 

「あっ」

 

 そしたら、私の手に響以外の誰かの手の感触がして目を開け直すと……音楽教室の子どもたちの中にいた双子の子たちが、響の手を握っていて、こっくりと頷いて私と同じく、エールを響に届けていた。

 後で聞いたけど、この双子ちゃんたちは響と朱音が初めてシンフォギアで変身した日に助け子たちだったとのことだ。

 

「師匠……」

 

 さらに、響の肩に、まだ自力で立ち続けるにはきつそうな大怪我を負っている司令さんの手が置かれ、温かい眼差しの籠った微笑みを向けた、周りを見れば、安藤さんたちや友里さんたちも響に笑顔を贈ってくれていた。

 言葉は無くても……分かる。

 

〝行ってらっしゃい〟

 

 ――って、心からの気持ちが宿ってるものだって。

 

「っ―――」

 

 潤んでいた響の目尻から、一筋の雫が流れると、その跡を拭い。

 

「行ってきますッ!」

 

 と、私たちからのエールにそう応えて、そーっと私たちが握りしめていた手を離しつつも――最速に、最短に、真っ直ぐに、一直線に――の勢いで、走り出していった。

 

「ここからカ・ディンギル跡地まで最速で行ける方法を伝えてきますね」

 

 緒川さんがそう言うと、響の後を追いかける。

 私は響が飛び出していったばっかりのシェルターの扉を見つめながら――。

 

「いってらっしゃい、響」

 

 ――もう一言願いを込めて、響の名前を呟いた。

 

 

 

 

 

「響さん、こっちです!」

「はい!」

 

 忍としての駿足で瞬く間に響に追いついた緒川は、そのまま彼女をある場所へと案内していた。

 

「緒川さん、これって?」

 

 緒川が指紋認証パネルに手を当てて解錠し開けた扉の先には、円筒状のカプセルが据えられ、それがさらにスライドして開き、丁度人間一人分が立った状態でどうにか入れるスペースが露わになる。

 

「二課で試作していた装者出撃用のカプセルユニット、まあいわばちょっとしたロケットです」

 

 特異災害発生時、二課の地下司令部から迅速に装者をノイズ出現地点まで急行させる為に開発が進められていた(装者がギアを起動させると同時に射出され、現場に到着するとカプセルが自動で空中分解してすぐさまノイズと戦闘を開始できる仕組み)ユニットであったが、まだ試作段階の域を出ていなかった代物であり、現状は航行距離が伸び悩み、一回使う度に分解され散り散りになったカプセルの部品回収が面倒等々のデメリット、さらに単独飛行が可能なシンフォギア――《ガメラ》の装者(にないて)たる朱音の存在も相まって実用化にこぎつけず、半ば物置に放置された置物同然な現在に至っていた。

 

「ですがシェルターから戦地(あちら)へ最短コースで急行できるだけの距離は飛んでくれますよ」

 

 ――が、たった今、ついに日の目を見る機会がこうして訪れたのだ

 

「ありがとうございます!」

 

 頭を下げて礼を述べた響が、カプセル内に入ると。

 

「響さん、お気をつけて……まだ未来さんと流れ星を見れていないんですから」

「あはは、そうですね」

 

 緒川なりのユーモア含めた見送りの言葉を受け、響は一刻も早く朱音たちを助けにいきたい気持ちに駆られていながら、思わず口元が綻び、彼のありがたい気遣いが身に染みる。お陰で全身に走る強張った緊張の糸がリラックスで少しほぐれ、俄然歌声を出しやすくなったと、自分の胸に刻まれた傷痕(フォルテ)に手を添える。

 

「もし……私自身が〝流れ星〟にでもなっちゃったら……未来に合わせる顔がないです」

 

〝私、命がけで頑張ってる響に、酷いことをした………なのに、この上もっと、我がままを言っちゃうけど、それでも……私は生きたい……みんなと………朱音と………そして――響といっしょに……生きたいんだッ!〟

 

 そんな響の心中(むねのうた)には、前に未来から投げかけられた音色(ことば)が……確かに根付いてもいた。

 緒川の言う通り、まだ未来と流れ星を見に行くことすらできてない……大切な親友(ひだまり)との約束すらまだ満足に守れない自分だけど、だからこそ未来たちから受け取った〝歌(おもい)〟は、しっかり自分の胸に刻んで、守り通さなきゃ――と、心に決めていた。

 

「では、射出しますよ」

「はい、お願いします!」

 

 カプセルのドアが閉まったのを見計らい、内部で瞼をゆっくり下ろして深呼吸をした響は――

 

「3、2、1――」

 

〝Balwisyall~Nescell~gungnir tron~~♪〟

 

 ――さっきまで、とても歌声を発せそうにない喉に詰め物が挟まっていた状態だったのが嘘の如く、自然と己が〝聖詠〟を唱えられ、彼女の全身は目覚めたガングニールによって黄色味がかった眩い光に包まれる。

 響の体内にあるガングニールが、確かに起動されたと共に、カプセルはロケットの火を噴かせて地上へと射出されて、戦場へと急ぎ、暗黒の曇天に支配された空の中を、駆け抜けていくのであった。

 

 

つづく。

 




シンフォギア本家だと、最終決戦のクライマックスでは毎度奈々さんのOPが流れましたよね。
ここぞでOP曲が挿入歌になる演出ってそりゃ私も大好きですが、個人的にはこれはシンフォギアシリーズにとってはネックと思ってます。

だって……『実際に劇中で流れない』ですもん!!!なのに奈々さんの主題歌に忖度してその間ビッキーたち歌わないんですもん!!
ましてや小説だとそんな演出使えないから……どうしてもクライマックスは装者自身で歌う展開にしたかったお膳立ての為、ここで今まで溜めてた伏線をこれでもかと拾いまくりました。

ちなみにラストに出てきたロケットは、Gで本部が潜水艦になってからその船に付いてた特に説明もなしに出てきたのに定着したミサイル出撃から、無印以前からロケットに装者を乗せて現場に送るアイデアはあったけどその時点ではまだ実用化されてなかったことにして、これも先に登場させました。

朱音(ガメラ)「ちなみに私は『ミサイルは乗り物』扱いはしたくない……理由は分かるよね(^^;)」
※前世でミサイルの猛威を何度も経験済み。

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