GAMERA-ガメラ-/シンフォギアの守護者~The Guardian of Symphogear~   作:フォレス・ノースウッド

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前回から一年以上経過させてしまい申し訳ないデス(-"-;A ...アセアセ

長いことスランプに陥ってましたがどうにか最新話出せました。
今回手こずった理由は『黙示録の赤竜――ベイバロン』の猛威をどう描くか、もうちょっとあの大怪獣を構成する完全聖遺物の特性を踏まえつつ……『守る為の戦い』の足枷(ハンデ)の重さも描きたかったのですが、最近やっとアイデアが思いついたと思ったらすらすら書けてきて……執筆力の適合係数を維持できる方法が欲しい(^_^;)

では本作での対ベイバロン戦、どうぞ!


#65 - 紅き黙示録の猛威

 二課のシェルター内で私たちは、藤尭さんが操作している端末(コンピュータ)の3Dモニターを前に、固唾を呑んでいた。

 一瞬、画面(モニター)全体が閃光で真っ白になって自分の目が瞑られるけど………すぐに二課のドローンが撮影している光景――破壊された天を仰ぐ塔(カ・ディンギル)の瓦礫から現れたとても巨大で禍々しい……全身が血の色をした竜(ドラゴン)みたいな怪物と、それに立ち向かっている朱音、翼さん、クリスの三人の姿が映し直されて、未来(わたし)の瞳も捉え直した。

 そう、あの戦場(せんじょう)で災厄に立ち向かう〝シンフォギア装者〟は、三人だけ……本来ならもう一人、私の親友も〝人助け〟の為に、あそこにいた筈なのに。

 また戦闘が始まった直後、後ろからシェルターの出入り口の扉が開く音がして振り返れば――。

 

「響……」

 

 緒川さんに連れ添われる形で、響(しんゆう)がシェルターに入ってきた。

 その表情(かお)は、見るからに意気消沈している。装者の中で響だけ戦場から避難されたのは、多分朱音の判断だろう。

 本当にそうだとしたら、私も賢明だと思うしかなかった。

 

〝未来……前にも言った筈だ、誰にでも扱える〝力〟ではないと〟

 

 前に朱音からこう言われた通り、シンフォギアを扱える人間――適合者は少ない……二課が密かに全国からリディアンに候補者を集める手段を使っても、結局装者になれたのは翼さんとクリスと、そして朱音と響の四人しかいなかったのだ。

 その上、シンフォギアの力を引き出す為に必須なものが〝歌〟であり………さっきの真っ黒に染まって、猛獣の様に暴れ狂う姿を見てしまった後では……〝民間協力者〟なんて肩書きは付いていても、事情を知ってるだけの〝民間人〟でしかない私でも、響だけ避難させられた理由は察しがつく。

 今の響には……死と隣り合わせの戦場で〝人助け〟の歌を唄えるだけの……〝気力(ちから)が残っていないことを。

 そんな響の状態を、わざわざ響本人に訊かなくても伺えられるだけに、無力感に苛まれる響の姿を見ている私の胸の奥も、疼き出す中私は………ドローンのカメラが映す戦火は、激しさを増していく模様を、固唾を呑んで眺める。

 でも……モニター越しの戦場(せんじょう)を見続けていると、実際に戦うどころか、二課の人たちみたいにサポートする術すらも持っていない無力な自分(この前の囮役みたいなことはそう何度もできることじゃないと、自分でも分かってる)には、見ていることしかできないのに……胸の疼きが強くなってくる。

 

 ほんとの本当に、命がけで頑張っている朱音たちの力になることはできないか?

 

 ほんのささやかでもい……自分にもできることはないか?

 

 胸の前で、祈る様に握りしめる両手の力を強める自分自身問いかけていると……カメラ映像と一緒に流れる戦場の轟音以外は静まり返ったシェルターのこの部屋の自動ドアが開く音が鳴ったかと思うと、急に室内が賑やかになった――。

 

 

 

 

 

 

 

 

「~~♪」

 

 空は未だ、灰色で淀む分厚い雲海で太陽と蒼穹を覆い尽くされている薄闇の中で、激しき戦火の閃光が煌き、爆音が轟き、大気と大地を何度も震撼させられていた。

 そんな戦場の虚空(かちゅう)を優雅にして軽快、そして勇壮に飛び駆け行く朱音、はベイバロンの長く卑猥に蛇行する頸部の周囲を、思うままに飛び回り、超古代文明語の詞を歌う。

 ただ相手に注意を引き付けているだけではなく、ベイバロンの顔の動きを注意深く観察し、敵の視界の範囲を見定めた彼女は、歌声を発する口をマスクアーマーで覆った。

 シンフォギアの力を十全に使うには歌い続けなければならないが、その歌声はみすみす敵を攪乱する上でアキレス腱となってしまうので、咄嗟に見い出した打開策だ。

 同時に彼女は生成した炎をアサルトライフル形態のアームドギアへと固形化させると――。

 

《炎貫弾――スティングプラズマ》

 

 速度と機動力を維持させ旋回したまま、ライフルを腰だめに構え、消音機(サイレンサー)を付けた銃口からライフル弾頭状のプラズマエネルギーを乱射し。

 

《烈火球・嚮導――ホーミングプラズマ》

 

 追尾誘導能力を持つ火球らと併用して、巧みにベイバロンへ攪乱(ゆさぶり)を駆けながら攻撃を仕掛ける。

 プラズマ弾頭の雨はベイバロンの頭部を蜂の巣にし、続けざまに複数の誘導弾(かきゅう)が異形の首に命中して爆発。

 

《MEGA DEATH PARTY》

 

 追い討ちに着弾箇所へクリスのミサイル群が続けざま命中して、口から呻く鳴声(ノイズ)を響かせるベイバロンの影へ――。

 

《千ノ落涙》

 

 翼が諸刃の驟雨を降らせ、突き立て――忍術の《影縫い》で異形の動きを封じる。

 その巨体ゆえ、影縫いの拘束効果はそう持続しないだろうが、次なる攻撃に繋げるだけの猶予はあり。

 

「本命の土砂降りは――」

 

 弩弓状に変形させたアームドギアから、空へめがけ大型の矢を発射。

 

「―――こっちだぁぁぁ~~ッ!!」

 

《GIGA ZEPPELIN》

 

 矢は無数にして大多数の小型弾頭の雨となってベイバロンに降り注ぎ、その巨体の全身くまなく蜂の巣状に弾痕(かざあな)を開け。

 

 

《超烈火球――ハイプラズマ》

 

《蒼ノ一閃》

 

《MEGA DEATH FUGA》

 

 さらに朱音のライフルから大型の火球が、翼が上段から振り下ろした大剣(アームドギア)からは三日月の光刃が、クリスからは大型ミサイル二基とガトリングガンの掃射が同時に放たれ、三人の攻撃で赤竜の頭部が鮮烈な爆炎に呑み込まれた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 ~~~♪

 

 絶えず歌声を唱えてギアの出力を維持しながら――〝攻撃は最大の防御〟――と言う諺を地で行く、相手に反撃の隙を与えさせないコンビネーションアタックを繰り出す装者(わたしたち)。

 だが私たちの攻撃で受けた黙示録の赤竜(ベイバロン)の傷を、《ネフシュタンの鎧》の再生機能は容易く再生させてしまう。

 現に私と翼とクリスのとの連携で生じた爆発の黒煙(のこりが)の向こうにいる異形(きょたい)見据えていると、漆黒の靄から眼が妖しく輝き、フィーネの殺気を乗せてこちらをにらみ返してきた。

 反撃がくる!

 

〝Get in~My Comradeッ~~♪(乗れ!我が戦友よ!)〟

 

 即興の歌詞を唱えたフォニックゲインで、両の掌のプラズマ噴射口から放出されたエネルギーを二つの甲羅(シールド)に固形化し、四つのプラズマジェット自律できる盾は地上にいる翼とクリスへと廻り飛ぶ。私の意図を今の詩で察した二人はジャンプし、甲羅を足場に盾に乗った。これで飛行能力のない二人でも、宙を駆けることができる。細かい制御は私の脳波が行うが、大まかな動作は乗っている装者(せんゆう)の思考でも可能な仕組みだ。

 

「来るぞッ!」

「任せな!」

 

 クリスは私と翼より前に滞空し、握り拳にした両腕をX状にクロスさせると、腰部にあるスカート状のアーマーが展開、先の《カ・ディンギル》の砲撃による月破壊を阻止する為に絶唱と併せて使用された《エネルギーリフレクタービット》が周囲へ射出、展開され、同時に翼が《千ノ落涙》の直剣たちをビットの前方へ張り巡らせた最中―――黒煙を突き破って、マゼンタ色がかった光の奔流がこちらへ押し寄せる。

 赤竜の口から発射された熱線は、《千ノ落涙》の数々を容易く溶解させるも、光刃たちが身を挺してくれたお陰で熱線エネルギーの集束率が落ち、リフレクターの防護フィールドを前に粒子状に飛び散っていく中、私は手をかざし、前世(ガメラ)の特技――熱エネルギー操作能力で一度拡散したエネルギーを噴射口で吸収、フォニックゲインに変換させつつ己が力に変え、もう片方の手で翼とクリスに分け与えた。

 《デュランダル》を炉心としてるだけあり、赤竜の熱線は三分割均等に振り分けても、三分の一でさえ装者一人の絶唱が生み出すエネルギーを上回っていた。

 私〝独り〟では、今の《ベイバロン》の破壊の光から被害を最小限に抑えた上で防御し切れなかっただろう……ともに災厄に立ち向かう〝戦友〟がいてくれる頼もしさを、戦火の渦中にいることを承知の上で、改めて噛みしめつつ――。

 

〝さあ災厄よ~~己が光に~~焼き尽くされるがいい~~♪〟

 

 ―――装者(わたしたち)は、攻勢へと移調する歌声を発し出した。

 私は右腕を赤竜に突き出し構えると、手のアーマーを突起に変形、花びらの如く三枚に展開し砲口を露出させ、花びらが回転し始めると同時にプラズマエネルギーを充填させ。

 

《ARTHEMIS SPIRAL》

 

 一番手にクリスは自身のアームドギアであるイチイバルのクロスボウを、私たちと共闘できるまでに至るまで心象が変化した影響か、本来の《ウルの弓》に近い長弓(ロングボウ)へと変え、後部の矢筈に推進器(ロケットブースター)が組み込まれた大型の矢を引き、ロケットを点火させ射出。

 矢――ロケット弾は赤竜の巨体を覆う、今までの私達の攻撃を受け付けなかった堅牢な表皮を容易く貫き。

 

《蒼ノ一閃・激雷(あおのいっせん・げきらい)》

 

 続いて翼が一層巨大に大剣化させた天羽々斬の日本刀(アームドギア)を大きく上段に振り上げ、三日月の光刃を振り下ろし、赤竜の胴体に亀裂を走らせ。

 

〝PHOTON~SPIRAL~SHOOT―――~~~♪〟

 

《雷光集束波――フォトンスパイラルシュート》

 

〝――FIRE~ッ!♪〟

 

 そして私の腕の砲塔から、プラズマエネルギーをマイクロウェーブに変換させた紅緋色の高出力高周波光線を発射。

 前世の強敵の技より編み出した破壊光線を、クリスが開けた風穴へヒットさせ、ダメ押しに放射させたまま翼が与えた裂傷に沿って切り上げる。

 私たちの猛攻(カウンターアタック)を受け体内が超高熱化させられた《ベイバロン》の巨躯は、一瞬の膨張を経て、爆発――炎上、その巨体を超える火柱を上げた。

 

 

「やった……のか?」

 

 爆発のピークが過ぎて次第に萎んでいく炎を眺めるクリスの口から、苦味の混じった声色でそう一言、呟かれる。

 フィーネ当人からすればいつでも〝捨て石〟にできる自らの宿願を達成する為の駒でしかなかったかもしれないが……クリスにとっては切り捨てられる瞬間まで数少ない〝信頼できる大人〟の一人だっただけに、覚悟を決めて終焉の巫女との戦いに馳せ参じたのだとしても、複雑な想いは拭えないだろう。

 

「………」

 

 もしや翼の方にも目を向けると、口にこそしていないものの、彼女の表現を借りれば〝防人然〟とした面持ちに、アンビバレントなやりきれなさが入り混じっているのを物語っている。

 翼も〝櫻井了子〟博士とは十二年以上ものの長い付き合いだった……いくら〝防人〟としての使命でいくら己を律して、戒めても……ともに特異災害に立ち向かってきた同士にして年の離れた旧友を倒さなければならなかった事態を前に、内心の奥底では一言で表せぬ気持ちが渦巻いてしまうのも無理はなかった。

 

「っ!」

 

 心(むねのうた)に切ない旋律が流れる二人の表情を見つめている最中――私の感覚は沈静化しつつある炎から、〝完全聖遺物〟たちの力が増していくのを感知。

 

「二人とも、まだ感傷には浸れそうにないッ!」

「何!?先の攻撃を受けて尚か!?」

「まだ大人しく成仏してくれねえのかよ……」

 

 見れば一見火の粉だと思われていた無数の微塵の正体はエネルギーの粒子であり、それらは赤竜の姿を象り始めたと思えば――

 

『ベイバロンのエネルギーを一時拡散した上で吸収、増幅して撃ち返した芸当にはさすがだと称賛しよう、だが――新霊長となった私を滅すには値しないッ!!』

 

 禍々しい反響と怨嗟が帯びたフィーネの声が、赤竜の咆哮とともに虚空を震撼させたのと同時に、赤竜のシルエットを形作る光粒子の密度が濃くなっていき、巨体の中心は一層の黄金(ひかり)を発した刹那――《デュランダル》が姿を現した。

 

「しつけえッ!!」

「待て!」

 

 アームドギアの銃口を向けたクリスと、向けられた光の濃度から、不意に〝嫌な予感〟が過った私は咄嗟に引き留める。

 

「なぜ止める朱音!?」

「そうだ……今再生中でデュランダルも見え見えな今、今度こそトドメさせるチャンスだろ?」

「逆だ、今攻撃すれば最悪の事態になる」

 

 苦虫を噛みながら、その〝最悪〟が如何ほどか、確認すべく本部に通信を繋ぐ。

 

「藤尭さん」

『朱音ちゃん丁度よかった、今のデュランダルに攻撃を加えてはダメです』

「被害は一体?」

『低く見積もっても……デュランダルから半径四方六キロ以上周辺は……間違いなく壊滅します』

 

 予感は当たった。私達は藤尭さんから齎された情報を前に絶句する。

 いくらただでさえあの巨体を維持し続けるだけでも相当なエネルギーが費やされるのだ………まして肉体の再構築など、〝不滅の剣〟が生み出す無尽蔵の出力(パワー)を以てしても、再生には多大な負荷がかかるほどのエネルギーが必要とされるのは明白。

 もし仮に、ベイバロンごとフィーネの肉体を再生させているネフシュタンの鎧に燃料を供給中のデュランダルを攻撃、またはこちらに奪還しようともすれば……その大量のエネルギーが行き場を失って暴走、暴発し、先の私たちの攻撃と比較にならない大爆発が起きる。

 廃墟になってしまったリディアン跡地の地下には、響達含めた市民たちがシェルターで事態の収束するのを待っており……もし爆発を招いてしまえば、あの時の〝渋谷〟と二年前のライブの惨劇と同等か、それ以上の多くの命を犠牲にしてしまう。

 

「終焉の巫女はそれも百を承知で……櫻井女史諸共」

 

 そう、世界に並ぶ者はそういない程に稀有な科学者であった櫻井了子を器としてフィーネも……それを分かっていてあの異形へと変異したのだ。

 

「最後の悪あがきにしては、やり口が下衆過ぎるだろ……フィーネが」

 

 創作において、強力な再生能力を有した敵に対して、よくその再生力を超えた攻撃を絶えず叩き込む〝攻撃は最大の防御〟か、再生を促進させる特殊器官をピンポイントで破壊する展開がよく見られるが………〝黙示録の赤竜〟に対して、それらの手段は一切通用せず……どちらを実行しても、未曾有のカタストロフを引き起こしてしまうのだ。

 

「ならば……あの手は?」

 

 実はもう一つ、赤竜――フィーネを止められる手札(カード)がある。

 

「そうか、あん時二人の歌で響(あのバカ)とデュランダルの暴走止められたじゃねえか」

 

 翼の言葉からクリスも思い至った様で、そのカードのことを切り出す。

〝歌〟そのもので、聖遺物の活動を抑制させる。

 歌で聖遺物を目覚めさせるなら、その逆、歌で聖遺物の活動を鎮静化させることも可能――それは〝デュランダル移送作戦〟に際に、前者を響が、後者を私と翼が実証しており、不可能な話ではない。

 デュランダルだけでも再び眠りにつかせることができれば……フィーネは赤竜(ベイバロン)の巨体を維持することができなくなり、そうなればネフシュタンの鎧と同化してるフィーネとて、〝櫻井了子〟の肉体が限界に迫っている状態なら〝倒さず〟とも私たちで無力化、確保できるだろう―――そこまで行く前に、私たちの体力が持っていればの話だが……。

 

「私も、できればその方法で事を収めたいんだが……」

 

 今の私たちの手元にある選択肢で最も穏便に事態を収束できるこの手段(カード)にも、デメリットも懸念もあった。

 一つは、体力の消耗の激しさ……響を乗っ取り、ガングニールを伴っての暴走の時でさえ、絶唱で負った怪我の身だったとは言え私はその場で意識を失うほどだった。

 しかも今のデュランダルはあの時よりも遥かに膨大なエネルギーを常時生み出して活発であり、先天性第一種適合者である翼とクリスと合わせ三人で〝不滅の剣〟一振りだけ眠らせるのも、骨が大層折れるだろう……どれだけのフォニックゲインが必要となるか。

 仮にどうにかデュランダルを活動停止できたとして、フィーネを捕らえるだけの体力が残っていなければ……〝悲願〟を現代に蘇らせたカ・ディンギルごと破壊した憎き私たちを、みすみす奴を見逃しはしないだろう。博士の肉体が限界でも、ギアarmorを纏い続けられぬくらいの疲労困憊に陥った装者をシンフォギア本体共々始末する余力はある……《ソロモンの杖》でノイズを召喚し、灰化しようとする筈だ。

 ましてや、《デュランダル》と《ソロモンの杖》と《ネフシュタンの鎧》――完全聖遺物三つを鎮静させるなど、今のギアの段階(レベル)と私たちの技量では……想像絶する困難が立ち塞がっている。

 その上……もう一つ大きな〝障害〟がある。

 

『歌う暇を与えはせんッ!』

 

 元より聖遺物との繋がりは長く深い櫻井了子(フィーネ)もその事実を認識しており、みすみす私たちを歌わせる気など毛頭ないと言うこと。

 その証拠に、赤竜の肉体を再構成させている無数の粒子の一部が、光線となって私たちに襲い掛かり。

 

「再生中でも攻撃できるのか!」

「くそったれ!!」

 

 Holly Shit(ちきしょう)ッ!

 

《烈火球――プラズマ火球》

 

 私も思わず内心毒づきつつも、粒子一つ一つが独立自律して空中を動き回り、機関銃の如く矢継ぎ早に光線(たいあたり)と仕掛けてくる光粒子たちに対し、迎撃、回避し、攻撃の合間を付いて実体化しようとする赤竜のシルエット目掛け火球を撃ち放つ。

 

「どうやら、再生の阻害させることは可能らしいな」

 

《蒼ノ一刃》

《千ノ落涙》

 

「そいつがわかりゃ話は早えッ!」

 

《BILLION MAIDEN》

《MEGA DEATH PARTY》

 

 一定以上の威力を有した攻撃でなければ、藤尭さんの計算で確定した完全聖遺物の暴走による〝カタストロフ〟を起こさずに、再生スピードを停滞させることが判明したことで、私たち三人は戦闘続行、赤竜への攻撃を再開させる。

 けれど、この状況下を一言で表すならば――〝泥仕合〟の消耗戦だ。

 先に限界が訪れるのは………フィーネか? それともシンフォギア装者か?

 

『新霊長(このわたし)に勝つこと敵わぬと分かって、尚も足掻くか!?』

 

〝当然だ~ッ♪〟

 

 生憎私は前世(むかし)から、諦めが悪いからなッ!

 

 先も内心口にしたが、私たち自身が、終焉の巫女が齎す災厄から世界を守る――〝最終防衛ライン〟そのもの。

 私たちよりこの先には断固として、僅かたりとも通さないぞッ!

 

つづく。

 




どうか、時間と余裕があればでいいので感想待ってま~す(^▽^;)

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