クロスアンジュ 天使と竜の輪舞 ジェミナライズ 作:オービタル
真実の地球より、離れた惑星......シンによって再建された新星ヴェクタ星である日.......事件が起こった。突然、マナが使えなくなった人達の居住区コロニーに爆破テロが起こり、被害は深刻化し、民間種族や人達は爆発テロリスト犯に怯えた。そしてシンによって設立されたヴェクタ安全保障局を建て、局長のエマ・ブロンソンがカズとバン、ロザリー、サイ、クリス、ヴィトール、ナオミが集められ、ブリーフィングルームでサリアがテロリスト犯の行動と作戦を説明していた。
「良い事?.....爆破テロ組織名『新人類』は現在、居住区コロニーで民間人を無差別で虐殺し、物資を強奪している。さらには、連合軍の新型強襲母艦『アルキメデス』を強奪そして民間人86名及び、連合の軍人54名を人質にしているらしく、その中に同盟国のクローガンの代表リーヴ夫妻とトゥーリアン総統府の大統領フェドリアン・ブリマーチが捕らえられている。もしリーヴ夫妻とブリマーチ大統領が殺されたら、クローガンとトゥーリアンの同盟は破られ、クローガンが反乱を起こしてしまう。それだけは絶対に避けなければならない!良いわね?!」
「「了解!!」」
カズ達はシャトルで避難民キャンプ場に向かっていくと隣に座っているナオミがカズに問う。
「まさかテロリストの首謀者がアンジュを売った友達だなんてなぁ、」
「だよね.....その人、おかしいよ....リベルタスが終わった後、アンジュに助けてもらったのに....」
「これぞ恩を仇で返す......!、と言うことか」
バンが割り込み、暴言を吐く。
「糞っ!そいつ助けなければ良かった....!後、カズ...お前良かったのか?出産間近の奥さんをそのままにして?」
するとカズは落ち込んだ表情をして、皆に言う。
「確かにそれも大事だけど......あのコロニーには何人者の子供達が殺されているんだ。エルシャは悲しんでいたよ.....『どうしてこんな酷い事をするの.......?!』って......俺は......そんな子供好きのエルシャを泣かせるテロリスト犯を......許さないんだ.......!」
「そうなのですか.......でもカズさんなら大丈夫ですよ」
「何で?」
「だって、愛するエルシャが待っているのですから」
「そうだな....おっと!そろそろ着くぞ!」
「はい!」
シャトルが着陸し、ハッチを開くとその光景は正に地獄だった......建物だった場所は爆破され転倒しており、ガラスには大量の血がこびりついており、無数の銃弾の穴で割れていた。避難民のキャンプ場では多数の負傷者がおり、タンカで運ばれるものや、手で頭を守ったまま怯えるものが多く、別の場所では、無数の死体が転がっており、ビニールシートで隠されていた。
「エマ局長の報告通り.......被害は尋常ではないなぁ......」
カズが死体を見るとヴィトールが手を胸に当て、れいをする
「酷い事をする.......アンジュさんを売り、処刑台で暴言を吐いた挙げ句、時空融合でアンジュさんからの助けを呼んだ。結果......マナが使えなくなったことで精神が崩壊し.....アンジュさんに救われ、シンが再建したヴェクタ星に移住させてくれたのに......友達だった者を殺し、マナが使えなくなった狂った人間達を集め、従えて.....テロ組織『新人類』を語り、無差別攻撃始めた.....止めなければならない......」
するとサイが死体に近付いて手を合わせて念仏を唱え始めた。
「サイ?」
「・・・・・・・・・・・・・・・・・・」
「何やってるの?」
カズが問うとサイが立ち上がる。
「昔の人は.....亡くなった人がしっかりと天国に行ける様に、こうやって手を合わせて、念仏を唱えてお経するんだ......ドラゴレイド人の葬式の時に僧侶に頼んで言うらしいんだとリュウガのお兄さん....スメラギさんから教えてもらったんだ。」
「そうか.......ありがとう.....サイ」
そう言うと皆も手を合わせて祈った直後、上空から3Dモニターが現れ、映し出された。
『家畜達よ!よく聞くが良い!我等、地に落ちた人間達を救いし、忌々しきノーマを根絶させ、再び平和を取り戻そうではないか!........我等の名は"新人類"..........ここを我等の世界に変え、新・ミスルギ皇国を再建し・・・・・・・・・・』
それが消えるとカズは早速ハッキングを開始した。
「これ......どっからハッキングしてんだ!?」
「今、場所をハッキングしている!」
「好き勝手にやりやがって!!何が地に落ちただ!無差別に殺っているじゃないか!!」
「ここを何だと思っているんだ!?」
バンとロザリーが暴言を吐くとカズがハッキングを終えて、報告する。
「場所が分かったぞ!」
「何処だ?!」
「このヴェクタシティの壁の向こうにある旧ヘルガスト難民用の街で基地を築いてやがる!そこから発進している!」
「よ~し!!待ってよろよ!いかれ主義者が!!取っ捕まえて!大破した地球に逆戻りにしてやる!」
「それか良い考えがある!制裁を下す為に裁判にかけてやる!」
サイは言うとカズに続いて壁の方へ向かった。
巨大な壁の扉に付き、開門すると向こうの光景を見たカズ達は驚いた。廃墟だったのが緑溢れる森林に変わっていた。
サイとクリスは壁の上層部で確認と狙撃をしてくれると、カズ達は辺りを確認し、前進した。
「クリア!」
「クリア!」
「クリア!」
「『そのまま前進して.....』」
サイが報告し、カズ達は前進する。その時、サイが何かに気付き報告する。
「待って!2時方向と11時方向に見張りが五六人いる.....クリス!」
「うん!」
クリスとサイはスナイパーライフルの銃口にサイレンサーを装備し、高速鉄鋼弾を装備した。
「よ~く狙って.......射て!」
クリスはスコープに写った見張りを狙い引き金を引いた。銃声は響かず、サイとクリスの辺りで小さな銃声が鳴り、見張りの頭に直撃した。
「やった!」
クリスは喜び、サイはホッとした表情で次の見張りをクリスと一緒に狙撃する。
その様子を見ていたロザリーは安心感を得た。
「サイとクリス....二人共、息ピッタリに狙撃してやがる。」
見張りを全て狙撃したサイとクリスはカズ達に報告する。
「『良いよ!俺らも後で合流するから先に行っていて!』」
「分かった!行くぞ!」
カズ達は前進し、サイとクリスも下に降りていった。
カズ達はテロリストの基地がドーム型の建物の真下にいると判明した。
「この下にいる!」
「良し!前進しよう!」
「待った!」
「?」
バンがカズを止めるとロザリーの腰部に付いていた長方形の形をした装置を外した。
「それは?」
「俺とロザリーとシンと一緒に作った最新装置!その名も『ジャミングパルサー』だ!」
「『ジャミングパルサー』??」
「この装置を......地面に付け、そして!」
バンは装置の回転式レバーを右に回すと聞こえていた物が急に聞こえなくなり、さらに鳥の鳴き声も何も聞こえなかったかのようになり、怯えるはずの鳥はカズの肩に止まった。
「............」
「この装置を作動したらどんな銃声も爆発音も何も聞こえなくなってしまうんだ......」
「めっちゃ便利やろ」
「だろ?」
「ヴィトール殺れ」
「了解」
ヴィトールは地面に高圧カッターを作動し、人が入れるくらいの穴を開けた。
「突撃!!」
カズに続いて、バンとロザリー、ヴィトールとナオミが穴の中に入り、その中にいた見張りは気付くのが遅いまま、カズ達のアサルトライフルで倒された。
「レイジング隊だ!!全員動くな!!」
しかし、基地ないを確認するが誰一人も居なかった。
「居ない!?」
「どう言うことだ!?」
するとバンが騒音を出すモニターと布で隠れた何かに気付く、
「?」
バンは恐る恐る布を取るとそれは........
「これは・・・・・・!?」
それは緑に発光し、人を死に至る粒子"ペトルサイト"だった
「ペトルサイト粒子!?」
カズは驚き、モニターの電源を付ける。
「ペトルサイトでどうするつもりだ........?」
するとモニターから作戦についての事が書かれていた。その内容はアルキメデスを地球軌道上に配置し、ペトルサイト粒子が入った核爆弾をアウラの都に落とすと言う計画だった。それを見たカズ達は驚きを隠せなかった。
「何てこった!!!!」
「早いとこアンジュやシンに知らせないと!ペトルサイト粒子がアウラの都に充満したら間違いなく!皆、破裂して死ぬ!」
「このままじゃ!地球が!エルシャが!シンに連絡してくれ!ヴィトール!ナオミ!」
「「了解!!」」
ヴィトールとナオミは直ぐにサリアがいるヴェクタ安全保障局へと向かった。
外へ出たカズ達はシンに頼んだスペースシップを呼んだ。
「Νーダンデリオン!」
「Νーエレーミア!」
「オリオン!」
すると、上空の彼方から、イエロー、グリーン、オレンジのカラーをしたΝーアキュラに似た3機のスペースシップが飛んできた。カズ達はそれぞれのスペースシップに乗り、アルキメデスを追ってワープした。
3機のスペースシップはワープアウトすると目の前に黒とオレンジをした変わった戦艦が移動しており、その下に巨大なミサイル並の突起物があり、その容器に大量のペトルサイト粒子が入っていた。
「いた!あの艦隊間違いなく奪われた新型の連合クルーザー"アルキメデス"だ!」
サイが言った直後、8時の方向からフェイズキャノンのビームがアルキメデスに直撃するが装甲全体に高出力シールドが貼られているためフェイズキャノンが無力化される。
「あれは!?」
フェイズキャノンが発射された方向から武装強化と改造されたΝーアキュラが飛んできた。(分かりやすく言えば、スペースシップ"カルナス"武装強化verとアキュラ高速巡航戦艦verのブースターとスターウォーズのXウィングのようなレーザブラスター付きのウィングのようになっている。)
「「Νーアキュラ!!しかも改造している!!」」
「お前ら!久しぶりだな!」
「シン!」
「話はヴィトールとナオミからから聞いた!あの艦隊を止めなければ地球はペトルサイトの炎で焼き付かされる!旧惑星ヘルガーンのように!俺が新型アーキバスに乗って時間を稼ぐから、お前らはその隙に奴を殺せ!」
「「了解!!」」
カズ達はスペースシップを散回し、シンは格納庫に行き、ネイビーとホワイトのカラーと背部のウィングは普通のアーキバスのではなく、変わった形のしたウィングを装備したアーキバスが用意されていた。(分かりやすく言えば、オーライザーのウィングを装備しているような感じです。)
「頼むぞ!新型で俺のアーキバス!」
シンはARSを着用し、新型アーキバスを起動するとアーキバスのウィングから青白く輝く粒子を放出し、空間へと出た。
「この機体......凄い!アルゼナル制のアーキバスと違って、共和国が開発したこの試作機アーキバスは俺の操作に追い付いている!更に出力も!推進力も!」
「行けっ!カズ!」
「分かった!」
シンとカズは装備を整えアルキメデスの艦橋へと向かった。
そして艦橋ではテロリストのリーダーが慌てていた。
「クソッ!クソッ!私はこんな所で死ねない!あの御方が言ってくださったのだから!絶対に!」
その時、艦橋のメインシャフトがグレネードランチャーで破られた。その中からビームアサルトライフルを構えたシンとグレネードランチャーを持ったカズが現れた。
「追い詰めたぞ.......」
二人は武器を構えるとテロリストのリーダーは笑う。
「アハハッ!何で.......?」
「?!」
「何でっ!?何であんた達はあんな化物が本当の人間って言うの!?マナを持つものだった者が人間のはず!?」
「アンタは.....そうやって親友だった者を殺し、罪のない人達を殺し、今度も罪のない人達を殺すつもりか........?」
「当たり前でしょ!あんな奴等は私たち人間の奴隷でいれば良いだけの道具だから!」
その時、カズが怒りだし、ハンドガンを取りだし、テロリストの足を撃った。テロリストはあまりの痛さに耐えられなく、悲鳴を上げた。
「アアアアアアアアアアアアアア~~~~~~~~~~~!!!!!!」
「道具って.......貴様、子供もか........!?」
「グッ!当たり前だよ!『全てが元に戻ると』........あの御方が私を導いてくれたから!!」
シンとカズはテロリストのリーダーが放った言葉に反応した。
「あの御方......?、誰だ?」
「アンタ達が知らない人物だよ!あの御方こそ!アタシ達人間を救ってくれる創造主..........!アンタ達みたいな化物は悲鳴を上げながら.....ッ!!!!!!」
するとカズはハンドガンでテロリストのリーダーの頭を3発撃ち込んだ。
「それ以上、皆やエルシャや産まれてくる子供の事を化物を言うな!.............アンタの方が化物だ.......!」
「『カズ!聞こえるか!』」
「どうしたバン?」
「『その強襲母艦から膨大な熱が出てるんだ!』」
「何!?」
シンとカズは艦橋のコンピューターを見ると自爆システムが起動していることが分かった。
「何で自爆モードに!?」
シンはテロリストのリーダーの死体を見ると手元に自爆装置の機械があった。
「コイツ!死ぬ直前に自爆スイッチを押したのか!!クソッ!!!」
「最悪だ........!」
「逃げるぞ!」
シンとカズはアルキメデスから脱出するとアルキメデスの装甲が赤くなっており、そして爆発した。
「良し!........なら俺と一緒にマギーの病院に最速で行くぞ!」
「え!?何で?!」
「エルシャが産気づいてるんだ!」
突然の事態にカズは驚いた。
「.................え?!.....................なんですとぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉ~~~~~~~~~~~~~~~~!!!!!?????」
シンとカズは急いで地球へワープした。
マギーの病院に着いたカズは最速でエルシャがいる部屋へ向かった。
「エルシャァァァァァァァァ!!!!!!大丈夫か!?」
扉を開けると寝ている赤ちゃんを抱いたエルシャがいた。
「あら?カズ君お帰り♪それより、ほら.....」
カズは恐る恐るエルシャと赤ちゃんの所に行き、赤ちゃんを抱くとカズは泣きながらエルシャに問う。
「...............俺らの.........子だよね?」
「勿論よ♪」
エルシャが答えるとカズは大泣きした。
「..............良かった~!!!!!!」
エルシャは大泣きするカズの頭を撫でた。
するとシンは大泣きするカズに言う。
「カズ.......思う存分泣け......もうお前はあの子の父親なんだからな......」
「そうだな......!でも......エルシャも
この子も無事で良かった~!!!!!!」
すると大泣きしたカズを見て抱いていた赤ちゃんが嬉しそうに笑った。
数分後、カズは泣き止み、シンの所に向かった。
「もう泣き止んだか?」
「ああ!ありがとうシン.....お前があの場にいなかったら.......ユナとエルシャに会えないまま、死んでいたかも.......」
「ユナか.......良い名前だな......これからはユナちゃんとエルシャ守ってやるんだぞ......」
「ああ、.......それに........」
「何だ?」
「アイツが死ぬ前に言った......『あの御方こそ、アタシ達を救ってくれる創造主』って.......」
「創造主ねぇ.......その件については母さんに連絡して連合、同盟、アンジュにも調査してくれるよう頼んでみるよ」
「ありがとう.....」
シンは愛する奥さん母親と二人の子供と二人の妹達が待っている家へ帰りながら、あの言葉の事を思う。
「"あの御方"って.誰の事なんだろう...........嫌な事が起こらなければ良いんだが.......」