クロスアンジュ 天使と竜の輪舞 ジェミナライズ 作:オービタル
アンジュ達はサラマンディーネに連れられ『HUSTLE1』と書かれている建物へ入った。
アンジュとタスクは建物内にある施設を見て唖然した。
「何よ此処!?」
「古代の闘技場ですわ、かつて此処では多くの者が集い、強さを競いあったそうです」
「まさか500年前の施設!?完璧な保存状態じゃないか!!」
「姫様自らが復元されたのだ」
「え!?」
「サラマンディーネ様はその頭脳を持って旧世界の研究をし様々な遺物を現代に甦らせているのだ!」
「へー」
ナーガがタスクに説明しタスクは納得した。
「我々の龍神器もサラマンディーネ様がっ!?」
「それ、機密事項でしょ!」
「はっ!ごめんなさい!」
ナーガは気づき慌てて謝るが、サラマンディーネが許す。
「良いのですよナーガ、龍神器は元々リュウガの天神機 ヤマトのデータから作った機体です。分かりやすく言えば私とナーガ、カナメの龍神器はヤマトの子供とも言えるでしょう。」
「天神機....?」
「リュウガさんの一族が言うパンドラメイルの事です」
「パンドラメイル!?」
「そうです。タスク殿のパンドラメイルのヘラクレスと同じ機体です。」
するとアンジュが前に出て問う
「それで、此処で何をするの?」
「共に戦いませんか、私達と.....」
「はっ?!」
「私達の目的は、アウラを奪還し、失われた調和と安定を取り戻すこと....アウラを奪い、私達とリュウガの一族を殺し、貴方達を戦わせている全ての元凶....エンブリヲです」
「可の者を打倒すれば、戦いは終わる.....私達はアウラを、貴方達は自由を、目的は違えど倒すべき相手が同じなら協力できる。」
「フフフ....ハハハ」
突然アンジュが笑い出した
「なーんだ、そう言うこと...結局貴女も私を利用したいだけじゃない、戦力として...知って欲しかったなど、分かり会えたかったなど、好い人ぶってたのも全部打算だったじゃない」
そしてサラマンディーネは笑みを浮かばせてアンジュに言う
「その通りです、貴方にはそれなりの利用価値がありますから」
サラマンディーネの言葉によりアンジュはキレる。
「!!....ふざけるな!私はもう」
「もう....誰かに利用されるのはウンザリ.....ですか?」
「くっ!」
サラマンディーネが言いその事を聞いたアンジュは拳を握りしめる。
「そうおっしゃるともうて此処にお連れしたのです。勝負しましょうアンジュ....」
「勝負!?」
「そう、貴方の未来を賭けて、私が勝った暁には、貴方には、私の所有物になってもらいます。」
「なっ?!何を勝手な!」
サラマンディーネが勝負の説明をし勝敗の条件にアンジュとタスクは驚いた
「その代わり、貴方が勝てば、御二人は解放しましょう。」
「何処に行くも、何をするのも、自由ですわ」
「アンジュ....」
「奴隷か自由か...自分の手で掴み取れって事ね、フフッ!やってやろうじゃないの!!」
「そう来なくては!」
話が纏まりアンジュとサラマンディーネが勝負するため、最初にテニスが始まった。
「その球を打ち返して、枠の中に打ち込めば良いのね!」
「その通り、では始めましょう!」
「サービス!サラマンディーネ様!」
試合が始まり、アンジュはサラマンディーネの事を考えていた。
『私を所有物なんて、随分舐めてくれるじゃない、あのトカゲ女!....ギャフンと言わせて』
「なっ!!?」
サラマンディーネが強烈なサーブをし、アンジュが打ち返そうとするが速すぎて点を入れられてしまった。
「15-0!サラマンディーネ様!」
「くっ!」
「あら、速すぎました?手加減しましょう....か!!」
サラマンディーネのターンで強烈なサーブを打つがアンジュの行動力が速くなり、レシーブをする
「結構!....よ!!!」
「はっ!!?」
サラマンディーネは驚き、反応が遅れてしまう。それを見たナーガカナメが驚いてしまう。
「「なっ!!!?」」
「フィッ!!15-15!」
カナメが急いでポイントを変えアンジュとサラマンディーネはお互い睨み合いながら笑みを浮かばせいた。
そしてテニスが終わり、野球へ、次にレーシングカー『サイバーフォーミュラ』に、ゴルフ、卓球、ゲームセンターでのクレーンゲーム、そしてツイスターゲームまで勝負は続いた。
「サラマンディーネ様、右手、緑」
「はい!」
カナメの指示にサラマンディーネは指定の位置(ゲルググの絵!?)に右手を置き、タスクがルーレットを押し次の位置をアンジュに教える。
「アンジュ、左手、赤」
両者苦しみながら睨み合っているときサラマンディーネがアンジュに言う。
「予想以上ですわ...アンジュ!」
「何が....!?」
「少し...楽しみだったのです。今までリュウガ殿と互角に渡り合いましたが貴女も中々やりますね...!」
そしてカナメが次のルーレットで色と位置を言う。
「サラマンディーネ様、左足、赤」
「ですから、凄く楽しいのです!」
「この~!」
アンジュはサラマンディーネを転倒させようとしたが赤のマークでサラマンディーネの尻尾が支える。
「尻尾使うの反則でしょ!」
するとアンジュはサラマンディーネの尻尾に噛みつき、サラマンディーネは悲鳴を上げアンジュと共に転倒する。
「尻尾を噛むのは反則です!」
「それだけで痛がる?.....プッアハハハハ」
アンジュとサラマンディーネが起き上がり突然、アンジュが笑い出しサラマンディーネも笑う
「姫様が笑った?」
「あんな笑顔...初めてだわ」
ナーガとカナメが笑い出したサラマンディーネの笑顔がいつものより違く、初めてでタスクは笑みを浮かばせた。
その頃、ナオミはアウラの都で色々なお店を見て回っていた。
同盟国の民間人の店とアウラの民の居住区があり、広間のど真ん中に巨大なタワーが建造されていた。ナオミは不思議に思った。
「何だろうあれ?」
「あれは超大型シールド展開装置です。」
「え!?」
ナオミの隣にいつの間にかクォリアンの男性がおった
「このタワーから半径15km直径30km まであるドーム型のシールドを展開させアウラの都を囲み外敵から基地や居住区、指令センターを守ることが出来る。しかもパルス、ビーム、エーテル系の兵器でもこのシールドには勝てない」
「あの~」
「しかし、このシールドには弱点がある。それは、小型の敵を進入させてしまうのだ。だが、大型の敵はシールドの中には入れず前線に配置された兵をうまく援護することが出来る。シールドの外にいる敵はセイクリッドメイル部隊が一掃してくれる。だから......」
「あのっ!!」
「ん?」
「さっきから色々とお喋りしてますが....」
「おう!これは、失敬した。僕はヴィトール クォリアン大七部隊所属の兵士です。宜しく」
「あ...ああ!私はナオミ、向こうの世界から来たノーマです。」
「向こう!?...すると君は偽りの地球人!?」
「え?...はい」
「ハァァァァァ!!感激です!まさかタワーを教えている人物が偽りの地球人であり種族はノーマ!ハァァァ生で会えるなんてすごいです!良ければ友達になっていただけませんか!?」
「え!?....別に良いけど、」
「感激です!ありがとうございます!良ければ案内しましょうか?」
「あ!そうしてください此処のお店の事を知りたくて、」
「分かりました案内します!」
ナオミはヴィトールと出会い街を案内された。
一方、リュウガは同盟国軍の指令センターにいた。何やら大騒ぎになろうとしていた。
「情況どうなっている?」
「分かりません、微かですが衛星機からアウラの都に向かっている物体を確認しました。」
「ん~~衛星機のカメラをノーマルにしてズームしろ」
「了解しました。」
リュウガはクォリアン兵士に衛星機のカメラをノーマルに変えズームすると
「嘘......だろ!!!!!?」
カメラに映ったのは真っ直ぐアウラの都に進軍してくるリーパーズの大部隊であった。これは緊急非常事態だとリュウガは思い直ぐにコリス提督に通信回線をした。
「コリス提督!非常事態です!」
『何だ?』
「リーパーズの大部隊が此方に進軍しています!」
『何だと!!!?直ぐにシールドを展開せよ!兵士は直ぐに民間人を避難し、シェルターへ!』
「承知しました!」
「まさか奴らが.....一体どうしてここへ!?」
そしてアウラの都から突然の警報音が鳴り響き民は不安を抱えていた。すると都各場所にある地下シェルターの入り口が現れ同盟国の兵士が民間人を案内した。
「急いでください!」
「女や子供、老人を最優先に!」
「押さないように!」
「慌てないように!」
兵士が案内しヴィトールとナオミもいたがヴィトールは後ろへと戻ろうとしていた。
「ヴィトールさんは!?」
「私はこれから民間人の後方を護衛します!ナオミさんも早くシェルターに!」
それを言いヴィトールは背部に収納していたアサルトライフルを持ち民間人の後方へ向かった。しかし、ナオミはまだヴィヴィアンがいないことに気づきヴィトールの後を追った。
一方、アンジュ達は試合を終えサラマンディーネとシャワーを浴びていたところ突然の警報が鳴りアンジュが言う
「何!?この音?」
「姫様!」
「サラマンディーネ様!」
「何事です!?」
「リーパーズの大軍が此処、アウラの都に進軍しているのです!」
「何ですって!?」
「あの化物どもが此処へ!?」
アンジュとサラマンディーネはすぐ着替え、同盟国の前線基地に来た。
「「コリス提督!、シャルルン提督!」」
「サラマンディーネにリュウガか!」
「情況はどうなっていますか!?」
「見ての通りだ。やつらはたぶん民間人の血を狙っているに違いないこのままだとまずいセイクリッドメイル部隊で何とか進行を抑えているがいつ持つか分からない.......」
「それで我々を援軍として?」
「そうだ」
「承知しました」
「それとあなた方偽りの地球人の機体には我々同盟国の兵器を装備させました。」
「貴方達の兵器を!?」
「それとタスクさん」
「はい?」
「貴方にはこれを」
シャルルン提督が渡したのは左腕につける端末装置 オムニツールを渡された。早速使うとオレンジに光るブレードが出てきた
「その刃にはリーパーズの細胞を破壊するウィルスが組み込まれている....全力で戦いなさい」
「......はい!」
タスクは胸をはって叫びサラマンディーネとリュウガと共に戦場へと向かった。